オリジナル小説「Kiss In Heaven」
尾崎詩絵里
第一章 自殺
「もういやだ、生きていてもいいことなんて何もないよ。家では、秀才肌の兄貴と小さいときから比べられて、小学校から高校までは、クラスでもぜんぜん目立たない存在で・・・
この間のクラス会なんてひどかったよな・・
誰も俺の名前覚えてないんだもんな。
それに、それに・・・こんな俺でもはじめてできた彼女、玲子にも振られるし・・・
人生ってなんでこんなに不公平何だろう。
もてる奴はもてるし、何でもできるし・・
でも、俺は好きになっても、いつも片思い。
天は二物を与えずなんていう言葉くそくらえだ!!
俺なんか死んだって誰もきっと悲しんでなんかくれないんだ・・・それどころか、お葬式にきた奴らが、大場って誰だっけっていわれたりしたりしてなww。神様、仏様、キリスト様、今度生まれ変わるときは、顔がよくてスポーツができて、勉強ができる人間に生まれ変われますように!!」
「バカモン!そんなに都合がよく生まれ変われるか?人間は努力して何ぼじゃい」
「やべぇ・・・・幻聴まで聞こえてきやがった。さっさと飛びおりなきゃ・・・
皆さん・・・・大場和彦は、今から死にますよ。この校舎の屋上から飛び降りますよ。大丈夫ですか?とめなくても・・・?」
ってこんな時間、誰もいるわけないか。
明日の新聞の3面記事くらいにはのりてぇな
こんな奴でも、虫けらみたいに死んでも、生きていた証にな・・・」
「すいぶん口が達者なやつだな、そんなにいやなら飛び降りなきゃいいじゃろ」
「やべ・・俺キチガイになっちゃたんかな・・・よし飛び降りるぞ・・・1、2の3・・・の4の5の・・・」
「そんなんじゃ、いつになったら飛び降りるんだ・・・もうやめとけやめとけ、おまえみたいな意気地のない人間に死ぬのは無理じゃって」「わかったよ・・・わかったよ・・・飛び降りればいいんだろう!!!!!!!」
というともう、やけくそになって大場和彦は自分の母校の高校の屋上から飛び降りた。
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「母さん、母さんやばいよ。和彦自殺したって!!」
「またぁ・・今度はどこ切ったの?手首、頭ぶつけたの、睡眠薬の飲みすぎ??」
「本当の話だよ。今、警察から電話がはいっているんだよ」
「もう・・・この朝ご飯を作っている一番忙しい時間帯に警察も迷惑ね!!」
「とりあえずいいから出てよ・」と和彦の兄、康彦が受話器を母親に渡した。
「はい。大場でございます。」
よそゆきのちょっと甲高い声で母親は、電話にでた。
「え・・はい。和彦は家の息子の一人・・あのできそこないのほうですが・・・・・・
え!!!和彦が、屋上から自殺を・・・まあ、申し訳ございません。死んでまで警察の皆様にご迷惑をおかけして。今すぐに参りますので・・といいましても、化粧をするので、1時間後くらいに参ります。何か持っていくものございますか?はぁ・・主人にも連絡をとったほうがいいと・・わかりました。」
というと和彦の母親は受話器を戻した。
「康彦、なんか和彦が人生に絶望して、自殺したんだってそれも母校の高校の屋上から、お父さんに連絡を取って一緒に行ってきてくれる?和彦の死体なんて怖くて見られないし、今日、華道一緒にやっているお友達とランチの約束しているのよね」
「母さん、ふざけるのもいいかげんにしろよな・・息子が一人死んだんだぞ」
「そうね。康彦じゃなくってよかったわ・・
じゃ仕方ない。化粧するから、待っていてね」
そう、もう読者の皆さんにはおわかりのとおり、和彦の大場家での扱いはこんなものだった
~つづく~
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