村井説人の日記

ページビューからは分からなかったポータルサイトの特性

昨日NetRatingsが面白いレポートを発表した。

ネットレイティングスは2007年8月28日、「ページビュー(PV)」数ではなく「総利用時間(Total Minutes)」から計測した2007年7月の月間インターネット利用動向調査を発表した。 (NBonlineより引用)

近年、「Flash」やら「Ajax」などの技術の進化、またそれら技術をベースに動いている「動画」や「写真」「地図」などのブロードバンドコンテンツの流通により従来のPV(ページビュー)ではなく、利用時間によってサイトの実力を判断しようと言う傾向が強まってきている。

従来、サイトの実力と言うのはPVでカウントされてきた。その為、各ポータルサイトはPVを稼ぐ為に、様々な努力をしてきた。結果、そのPV数をベースに広告が入稿されビジネスが成り立つと言う方程式ができあがった。

しかしながら、「ユーザービリティーをより向上させる」と言う方向にベクトルが向いているインターネットの技術進化は、残念ながら、そんな方程式はなんのその、逆にそのPV(=ページ遷移(クリックして次のページに行くこと))を減らすことで、ユーザビリティーの向上を実現させようとしてきている。

これは、ページを遷移しなくても永遠にそのページに新しい情報を出し続けることが出来る「Ajax(エイジャックス)」や「Flash(フラッシュ)」と言う技術進化が主に支えていると言われている。前回ブログに書いた「地図サービス比較」などはその技術がフンダンに生かされているサービスの代表である。

結果、ビジネスの収益源であったPVはなかなか増えず、その逆、PVでは計りきれないサーバーへの負荷は増加するという現象が起きてきているのが今のインターネットの世界。そこで、今は測りきれていないそのトラフィックが何なのか?どんな価値をサイトにもたらしているのか?を分析しようと試みたのが今回のNetRatingsのレポートと言えよう。

つまり、広告収益を上げる為に、ページ遷移画面を減らさない、もしくは増やすという「経営者側の判断」に対し、常にユーザーを第一義に考え、PV(収益)を下げてでもユーザビリティを向上させることで、顧客とのエンゲージメントを高めようと考える「サイト運営者側の判断」との「溝」を埋める必要が徐々に顕在化してきているのだ。

さて、これに関連して、
実はRSSも似たような問題を抱えている。

RSSで情報を配信することで、サイトのPVが減少すると言う問題である。
PVでビジネスを考える場合、RSSを配信してまで、自社の収益を下げる必要性は無いと考えるのが通常である。

しかしながらRSSフィードで情報を配信することは、確実にユーザビリティーを向上させることにつながり、さらには、PVでは測れない別のエンゲージメントの高いユーザーを確保することに繋がる。

その観点で物事を考えると、「ビジネスの進化とウェブの進化」双方をシンクロさせて考えることが、サイト運営者には強く求められているように感じている。当然その観点でWEBを引っ張っているサイトはたくさんあるが、そうでないサイトはそれ以上に多いのが現実だ。

さて、RSSの話はそんなところで終わらせておいて、話をモトに戻すと今回のNetRatingsの発表は、とても興味深い点があったので、そのポイントを紹介しておきたいと思う。

まず一つ目。滞在時間で分析してみても「Yahooは強すぎた」・・と言うこと。

NBonlineから抜粋


他ポータルとの圧倒的な数字の違いを見ると、嫌になります。
何ですか?この数字の違いは。。
憎らしいほど強いです。
これを覆すには何が必要か?各社まだまだ考え続ける必要がありますね。

 

二つ目は、各ポータルには特色がある・・・と言うこと。

  • Yahooは、  オークション(26%)・トップページ(15%) 詳細
  • MSNは、  無料メール(34%)・トップページ(21%) 詳細
  • Googleは、 検索(74%)・無料メール(6%) 詳細
  • Gooは、   ブログ(23%)・無料メール(8%) 詳細

この結果は、とても興味深いです。
各サイトの運営者にとっても、この情報はとっても重要なものとなるのではないでしょうか?ちなみに、これを見て最も感動したのはgoo(古巣だからと言うのではなく・・・)でした。

かつて、「ポータルサイト・検索as Number1!」を表明していたgooですが、

NBonlineから抜粋


ここで見られるように、「gooブログ」並びに「教えてgoo!」のような「ユーザー参加型」のサービスが着実に成長してきていることが明らかになっています。つまり、他のポータルサイトが相変わらず「旧来サービスイメージ」どおりの成長をしている中、gooだけがきちっと別の強みを進化させてきていることが良く分かります。2年前「goo2.0」を表明したNTTレゾナント。その艦隊が確実に、リーダーが支持した方向に舵を切って向かっていることが分かりますね。うれしい限りです。

願わくば、この領域が、今の検索ページのように早い段階で「金のなる木」に変貌することです。

ちなみに、まさにこの領域(CGM)向け広告を提供している我々は、彼らのサービスを「金のなる木」に変貌させることができる企業の内の一つだと思っています。早く、その一助になれるようになりたいと、今日改めて思ったしだいでした。

とりあえず、
NetRatingsのレポートは面白いので皆さん是非見てみてください。

では。

参考サイト
日経オンライン

NetRatings:総利用時間」からみたポータルサイトの利用特性に大きな違い (PDF)

このブログをRSSリーダーに登録しよう

はてなRSSにフィードを追加する MyYahooにフィードを追加する Googleにフィードを追加する
村井説人の日記を購読


コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )

« インド携帯電... 岡三証券マン... »
 
コメント
 
 
 
Yahoo!が圧倒的 (shinkai)
2007-09-03 18:27:53
先行者利益というのはあると思うけれども
他のポータルと10倍とは差があり過ぎる。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。