セネガル日和2

アフリカ最西端の国、セネガル共和国での日々の出来事(2009.4~2010.3)

タバスキ(当日)

2009-11-28 | 日記
 私は今回で3回目、夫は7回目のタバスキのため料理はもう遠慮することにし、人々が羊をさばく忙しい時間帯をねらって簡単にあいさつ回りをして帰ろうと朝から家を出る。
 しかし、なかなかタクシーがつかまらない。なんとか3軒まで順当に回るも4軒めでとうとう食事をとらなければ出られない状況になった。14時に炭火で焼いた骨付き肉をいただき、では失礼と腰をあげると「さっきのは前菜だ!次を食べたら出かけてよし」と許可が出る。空腹のうえ、本番と思って食べたので既にお腹はいっぱいだが、ベッドを勧められ素直に横になって待つ。15時半になって前菜のソースに子どものこぶし大の肉がゴロゴロ入っているメインの料理が出てきた。やわらかい羊肉にしっかり味のついた玉ねぎソースが絡まってついついまた食べ過ぎてしまった。そして次なる家へ。その家でも当然、料理を勧められたが丁重に断ると、「では代わりに」とジュースが出された。これがまた不思議なジュースで飲めば飲むほど喉がかわく。肉とジュースでお腹がたぷたぷし、これまでにないほどのイカメシ感(自分がイカメシになった気分)を感じていたが、最後の1軒を訪ねる。そこでは有無を言わさずテーブルに案内され、本日3回目の羊料理と対面する。時刻は17時になっていたがタバスキに時間は関係ない。皿をつついている時、偶然その家の人が冷蔵庫の扉を開けたのを目にして驚いた。一段上に袋にもラップにも包まれていない余った羊の生肉が塊りでぎゅうぎゅうに詰め込まれていたからだ。ちょっとした事件を目撃した気分になり胸がつかえた。
 「一年分の羊を食べたね」などと話しつつ帰宅し、セネガル服を脱ごうとしたその時!玄関のチャイムが鳴った。出ると手に羊料理と生羊肉の塊りを持ったお向かいの奥さん。お裾分けをありがたく頂戴し、そのまま冷凍庫に保管する。その後、もたれた胃を抱えてうずくまっていると夫が「そんな時はこれに限る」と大根おろしを作ってくれた。舌を刺すほどの辛さにむせながら、喉もとに押し込んでこの日は早々に床についた。

[写真:メインの羊料理。フライドポテトとオリーブが散らしてある]

いよいよ明日

2009-11-27 | 日記
 今年のタバスキ(犠牲祭)はどの宗派も「明日」とスッキリ明確に決まったらしい。あいさつ回りをしなければならないこちらとしても一日にまとめてくれると非常に助かる。
 マルシェに行くのは気がすすまなかったが、切らしたものがあったので出かけると、人・人・人で年末のスーパーのような賑わいだ。また、あちらこちらへ運ばれる羊もやたらに目に付く。大量の羊の命のカウントダウンが始まっていると思うとドキドキするが、彼らはそんなことは知るよしもなく今も平和に葉っぱをはんでいる。

[写真:よく見ると、乗客に羊が混じっていた。]

トンネルの向こう

2009-11-24 | 日記
 ある時から洗面所に枯れ草のようなゴミが増えた。なんだなんだと思っているうちに、小窓の雨戸と網戸の間にどんどん枯れ草が押し込められ、若い鳥がせっせとまあるい穴を作りだした。本人は裏側(網戸側)から人間が見ていることなどもちろん気づいていない。くちばしを器用に使って形を整えたり、補強したり一生懸命だ。
 一週間ほど家を空けて帰ると、同じ場所からピィピィピィと甲高く賑やかな鳴き声が聞こえた。まさかと思って見てみると、元気な雛たちが孵っていた。彼らが動き回るものだから親鳥が枯れ草で埋めていた網戸側にまたポッカリ穴が開いた。一日に何度も利用する場所に居るものだからつい観察していたが、あるときにふと鳴き声がしなくなったので彼らが巣立ったことに気がついた。鳥の一生は短いな~、寂しいな~と思っていたら今度は来客用の洗面所の小窓に枯れ草が・・・。どうやら鳥界で我が家は人気の物件らしい。

[写真:洗面所の網戸側から見た巣]

クスクス

2009-11-20 | 食べ物
 またしてもお向かいのニングさんから差し入れをいただいた。今回は「クスクス」。
 クスクスは粒状に蒸した小麦に肉や魚、野菜等を煮込んだソースをかけて食べる料理。セネガル独自のものではなく、モロッコやアルジェリアなどマグリブ発祥の食べ物とされている。炭水化物と塩気のソースなのでおいしいのはもちろんだが、日本食で育った我々からするとつぶつぶの小麦が多少油っこくて重い気がする。
 お礼にと油で揚げたえびせんべいを持っていくと喜ばれた。乾燥の激しい地域なので油を積極的に摂取することは理に叶っているのかもしれない。

もうすぐタバスキ

2009-11-19 | 日記
 来週末あたりにタバスキ(犠牲祭)というイスラム教最大の行事がある。各家庭で羊をさばいて食すのだが、街中を歩くと子どもから大人まで「タバスキが・・」と話すのをよく耳にし、いかに人々がその行事に関心を払っているのかが伺える。特に男性にとっては何頭の立派な羊を購入できるかということは家長としてのこけんに関わってくるので真剣だ。
 そういう街の高揚につられてわくわくする一方で、この時期は犯罪に特に注意しなければならない。少しでも稼ごうと物価が高くなったり、値下げが効かなくなったりするのはもちろん、スリ・強盗などの犯罪も実際に増えている。こんなのどかな地方都市でも「市場で給料を全部スラれた」という教員の話や、ガソリンスタンドや大きな商店で強盗殺人が起こったという物騒な話がラジオで流れるようになった。「お金がないからある人(ある所)からもらう」という単純明快な犯罪動機。だからこそ、お金があるとみなされている外国人は特に気をつけたい。我が家の出入り口は全て3重の鍵がかかっており、窓には鉄格子、塀の上にはガラス片とまるで要塞のようだが、だから安心とは思っていない。セネガルに対して好印象を持ったまま帰国できるように、犯罪を誘発する隙を作らないように心がけたい。

[写真:トゥーバにあるセネガル最大のモスケ(礼拝堂)。セネガル服の正装をすれば中を見学することができる]