旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

(12)福田先輩が終わらせない。のじゃ。

2008年10月07日 21時10分52秒 | 3章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争
目次
〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から

指揮をしている顧問の古森は、
一つでもパートが止まれば、演奏を止めようと思っていた。

イントロは最初からあきらめていたので、転調した『サビ』の部分からだ。
ドリン系のメロディーはなんとかなる。
問題はギターだろうと、最初から思っていた。

ギターの楽譜は一見、手強そうに見える。
ワシの目には、ただの黒い固まりなのじゃ。

さすがに3年生は、なんとかメロディに合わせてついていく。
福田先輩以外の2年生は早々にあきらめた。
ワシら1年生は早々どころか最初から投げている。
あの藤本でさえ、さっさと諦めて棗田先輩ウォッチングだ。

曲が進むうち、3年生が一人、また一人と脱落していく。
最後に残ったのは最前列、棗田先輩とトップの八守先輩。
そして3列目、2年生の福田先輩だけだ。

棗田先輩がそろそろ、やばそうだ。
演奏が止まったり、いつもなら決してしない左手を見たり、
楽譜を見直したりしている。

ああ、もうだめだ。棗田先輩もあきらめた。
右手をだらりと下ろして、天井を見上げた。

つられて、藤本も天井を見た。

残るは八守先輩と福田先輩。
指揮をしている、古森先生がちらちらとギターを見ている。

おそらく八守先輩は、楽譜をまともに見るのは今、初めてだろう。
それを思うと、さすがと言わざるを得ない。
しかし、楽譜をもらったのはみんな同じ日なのだ。
誰かが、演奏しているとしたら、それは八守先輩でなければならない。
それこそが、トップというものだろう。

八守先輩もそろそろ、やばくなってきた。
先ほどの棗田先輩の再現だ。左手を見たり、楽譜をしきりにのぞいたり。

昨日、福田先輩が言っていた。
「普通のコードだと思ったら、微妙に半音ずつ変化するところがある。
これは事前にチェックしておかないと、すぐには対処できないだろう」と。

八守先輩は初見が強いらしい。
だから、なおさら半音の変化に気づいたのだ。
そして、混乱した。

ギタートップが落ちた。だけど演奏は止まらない。

福田先輩が終わらせない。

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