旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

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(29)史浩にいさん!あなたって人は。なのじゃ。

2008年06月25日 08時22分38秒 | 1章-はじまりは、こんなもん
目次 〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
   〈2章-D線の切れる音〉の最初から
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ワシの早朝練習は、まずコーヒーを買ってくる事から始まる。
初日の練習以来、福田先輩は毎朝、コーヒーを奢ってくれた。
朝練3日目にコーヒーをすすりながら、ぼそっと福田先輩が言った。

「なんぼ、なんでも朝の6時は早すぎたかのう。」
どうやら、福田先輩は後悔しているようだった。

ワシは、返答に困った。どう言ったらいいものか?
下手に同意して怒られるのも嫌じゃ。

怒るんじゃ、これが!!

「俺は、お前の為に早起きしてるのに!」あんたが6時に、決めたんじゃ。

「お前、そんなに練習が嫌なのか。」あんたと居るんが、嫌なんじゃ。

ワシの脳内シュミレーションでは、ほぼこのような結果になる。
この3日間で学習した。

練習ばかりであまり話したりしない福田先輩が、
珍しくそのまま話し続けた。

「朝、2時間の練習したら放課後と合わせて、
 1日で2日分の練習をすることになるからのう。」

「あー。それで朝6時なんですか。」

「だいたい4月から楽器を始めて、6月に合奏曲が弾けるわけない。
 じゃが、ステージで弾けないままでいるのも、辛いからな。」

福田先輩は自分の1年前の姿を思い出したのか、遠い目をする。

「先輩は最初から、バンバン弾けたんじゃないんですか?」

「誰がそんな事を言ってんだ。」

「藤本が福田先輩はきっと、
 中学くらいからギター弾いとった筈じゃ。言うんです。」

「ばか。俺もお前らと同じで高校に入ってから始めたんだ。
 マンドリン部に入るまで楽譜も読めんかった。」

「えっ。ワシと同じですか。でも、なんでそんなに上手いんですか?
 ギタートップの八守先輩より上手いって、言う人もおりますよ。」

福田先輩はそれを否定しない。

「俺は、去年の8月の定期演奏会が終わってから、ずっと早朝練習をしてるんだ。
 単純に人の倍の時間、練習をしてきただけだ。」

福田先輩は去年の定期演奏会までは、普通に皆と同じような練習をしていたそうだ。
特に上手くも下手でもない。大阪大会ではほとんど、弾くふりをしていた。
それは他の男子の1年生も似たようなもんだったから、特に何も思わなかった。
定期演奏会のステージの席が発表された時、
自分は男だから1年生の中では一番いい席(前の方。客席側)と思っていた。

福田先輩の前に女子が何人も居たそうだ。
子供のころにピアノをやっていた。中学時代はブラバン。その他。

「当たり前だ。中学時代の音楽の通知表『2』の俺が、
 普通に練習していて、そんな女子達にかなうわけない。」

「ワシも音楽そんなもんでした。」慰めたつもりで言ったら。

「10段階評価の『2』なんだ。」

「…そんなんで、なぜギタマンに入部したんですか?
 やっぱり、ギター弾きたかったんですか」

福田先輩はワシの顔をジッと見て、しばらく何も言わなかった。

さっきより、はるか遠い目をして窓を見た。

「窓の下に自転車置場があるじゃろう。
 そこで、お前の兄貴にさらわれて、この部室に連れてこられたんじゃ。
 ベースの川田と一緒にな。」

あー。兄貴…。

史浩にいさん!

あなたって人は。
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