仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)活動報告

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孤立死を生む支援制度の不備

2013-03-05 10:08:11 | 記事
2013年2月1日 東京新聞

 避難者同士でも溝 49歳孤独死の背景

 東京電力福島第一原発事故で、東京都江東区の国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」に避難している住民の孤独死が三十一日、取材で確認された。福島県郡山市から自主避難した男性(49)で、死後一カ月がたっていた。住民の声を聞くと、同じ避難者でも年代や避難の事情で溝があり、孤立を深める現状が浮かび上がった。 (小林由比、森本智之)

 江東区社会福祉協議会によると、男性は放射線量の高さを理由に二〇一一年十一月、東雲に避難した。郡山市は国が立ち入りを制限する警戒区域ではないが、震災直後から新潟、山形県で避難生活を送った後、東京でのホテル暮らしを経て、入居したという。

 地元では市の外郭団体に勤務し「五年くらい前に自己都合で辞めた」(団体関係者)。障害者福祉施設などで事務作業に当たっていたという。

 社協は昨年九月から戸別訪問で男性宅を訪れ、三回目の十月十二日にはインターホン越しに話ができた。支援の飲料水が必要か尋ねたが「いらない」との返答だったという。昨年十二月初旬、郵便物を預かった管理人が男性と連絡を取ろうとしたが月末まで取れなかったため、郡山の両親に連絡。年明けの一月五日、両親や警察官が鍵を壊して中に入ると、男性はこたつに入りあおむけの状態だった。同じ階に住む六十代の女性は「全然知らなかった。まだ若いのに…」と絶句した。

 東雲では、避難者同士の孤立を防ぐための交流サロンが週二回開かれている。しかし、単身で大熊町から避難する男性(47)は「高齢の人が多い茶飲みに、僕らみたいな世代は参加しにくい」と話す。男性は現在、仕事をしており、都内に親戚や友人もいるが、「そういう人がいないと孤独だろう」と推し量る。

 自主避難者と警戒区域からの避難者との間にある「溝」を指摘する声もある。浪江町から子連れで避難する女性(35)は「浪江とかから強制避難させられた人と、郡山みたいに自主避難の人では賠償金にも差が出てしまい、やっかみなどもあると聞く」。別の避難者も「自宅に帰ろうと思えば帰れる人たちは自分たちとは違うという複雑な思いもある」と打ち明ける。

 避難者でつくる東雲の会会長で浪江町から避難する藤田泰夫さん(60)は「見回り活動などをしているが、すべての人を把握はできない。一人で部屋にこもることが多いと、どうしても精神的につらくなり、病気がちになる」と懸念する。社協などでは、避難世帯の半分以上となる単身の約三百世帯に対し、訪問の回数などを増やしていきたいという。

(http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2013020102100005.html)


 支援制度が整っていないなか、福島原発事故の自主避難者は、生活の見通しが立たないまま見知らぬ土地へ行かざるを得ない状況にあった。この男性もまた、新潟、山形での避難生活を経て、東京で生活することになる。住み慣れた土地から慣れない土地へ移動するだけでも精神的な負担が大きいが、4、50代の男性が単身で来た場合、孤立しやすいという面もある。

 実際に仙台POSSEでの被災地支援の現場を見ていても、単身の男性は交流サロンなどの集まりに参加できない方が多い。というのも、交流サロンなどに参加しているのは高齢の女性が多く、もともと地域で交流のあった人がいない限り中高年の男性一人ではイベントや交流サロンには参加しづらい状況にあるからだ。加えて、就労圧力が高まっているいま、働いていないということに負い目を感じ、人の目を気にして外に出られず、社会に出る機会が奪われたりしていることも少なくない。
 
 このような状態を踏まえて、個別支援として訪問の頻度を上げることや、相談がいつでもできるような信頼関係の構築、支援の質の向上も必要になってくるだろう。そのためには巡回する人数を増やさなければならないが、被災者や地域住民だけでなく、社協や、行政が主体となって行うような支援体制の拡充が必要だ。

 いずれにしても、原発を推進し、慣れない土地に行かざるを得ない状況を作ってきた企業や国の責任が問われていないことや、避難者への生活保障が十分でないことへのしわ寄せは、全て当事者に向かっている。



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