僕達のホテルカリフォルニア~1977年の中二病 14
「それってニューキッドインタウンより古いの?」彰太はさっきから質問ばかり繰り返している。
「同じアルバム。シングルとしてはニューキッドインタウンより新しい」不機嫌そうな坂畑だが、なぜか懇切丁寧に教えてくれる。
「え?だって、ポップスベストテンでは今、ニューキッドインタウンが最新シングルだって言ってたよ」
「日本ではそうだけど、アメリカではホテルカリフォルニアがニューシングルなの」
「坂畑さん、もしかしてアメリカ人?」
「んなわけないでしょ」
「だよね」
「これに書いてある」
それはFMレコパルという、彰太の知らない雑誌だった。
「あのさ、お願いがあるんだけど」
「なに?」
「そのカセット、一日でいいから貸してくれないかな」
坂畑はしばらく考えていた。「いいけど、あんたの家、カセット何台あるの?」
「一台」
「じゃあ録音できないじゃん」
あ、そういえば。
「あたし、レコード持ってるから、そっちを貸してあげるよ」
「日本では未発売のニューシングル?すごいね」
「バカ。LPに決まってるじゃない」
「あそっか、イーグルスの新しいアルバムが出てるんだ。なんていうタイトル?」
坂畑は黙って歩き始めた。彰太と床山はおそるおそる、うしろについて行く。
校門を出た坂畑は駅の方に向かって、雨の中を歩き始めた。彰太の家とは逆方向だ。
中学と駅の中間くらいのところにある、2階建てのアパートの前で坂畑は止まった。
「ここで待ってて」
アパートの階段を昇って廊下に姿を消した坂畑は、すぐに戻ってきた。
「はいこれ」
LPのジャケットには「ホテルカリフォルニア」と書かれていた。
アルバムのタイトルがシングルなわけか。
「ありがとう」
「どういたしまして」
坂畑って噂とはなんか違うような……。
「あと、傘、2本しかないけど、こっちの黒いのをふたりで使って」
気遣い?
「月曜日には返す」
「傘はあげる」
「レコードだよ」
「急がなくてもいいから」坂畑はアパートには入らず、真っ赤な傘をさして、駅に向かって歩いていった。
彰太と床山は、呆然として、坂畑のうしろ姿を見送っていた。
「それってニューキッドインタウンより古いの?」彰太はさっきから質問ばかり繰り返している。
「同じアルバム。シングルとしてはニューキッドインタウンより新しい」不機嫌そうな坂畑だが、なぜか懇切丁寧に教えてくれる。
「え?だって、ポップスベストテンでは今、ニューキッドインタウンが最新シングルだって言ってたよ」
「日本ではそうだけど、アメリカではホテルカリフォルニアがニューシングルなの」
「坂畑さん、もしかしてアメリカ人?」
「んなわけないでしょ」
「だよね」
「これに書いてある」
それはFMレコパルという、彰太の知らない雑誌だった。
「あのさ、お願いがあるんだけど」
「なに?」
「そのカセット、一日でいいから貸してくれないかな」
坂畑はしばらく考えていた。「いいけど、あんたの家、カセット何台あるの?」
「一台」
「じゃあ録音できないじゃん」
あ、そういえば。
「あたし、レコード持ってるから、そっちを貸してあげるよ」
「日本では未発売のニューシングル?すごいね」
「バカ。LPに決まってるじゃない」
「あそっか、イーグルスの新しいアルバムが出てるんだ。なんていうタイトル?」
坂畑は黙って歩き始めた。彰太と床山はおそるおそる、うしろについて行く。
校門を出た坂畑は駅の方に向かって、雨の中を歩き始めた。彰太の家とは逆方向だ。
中学と駅の中間くらいのところにある、2階建てのアパートの前で坂畑は止まった。
「ここで待ってて」
アパートの階段を昇って廊下に姿を消した坂畑は、すぐに戻ってきた。
「はいこれ」
LPのジャケットには「ホテルカリフォルニア」と書かれていた。
アルバムのタイトルがシングルなわけか。
「ありがとう」
「どういたしまして」
坂畑って噂とはなんか違うような……。
「あと、傘、2本しかないけど、こっちの黒いのをふたりで使って」
気遣い?
「月曜日には返す」
「傘はあげる」
「レコードだよ」
「急がなくてもいいから」坂畑はアパートには入らず、真っ赤な傘をさして、駅に向かって歩いていった。
彰太と床山は、呆然として、坂畑のうしろ姿を見送っていた。