地球浪漫紀行☆世界紀行スタッフの旅のお話し

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南ドイツの旅3 ボーデン湖のツェッペリン号

2008年09月27日 17時22分46秒 | ドイツ
こんにちは、西川です。
ヨーロッパ第一の大河ライン河がひょうたんのように膨れ上がっているボーデン湖。
ドイツ、オーストリア、スイスの国境をなすボーデン湖の周りは、
年間を通して穏やかな気候で、地中海の気候にも例えられるほど温暖です。
周りの街や湖に浮かぶ島々は観光客で賑わい、
週末のレジャースポットとしても人気があります。
美しいボーデン湖には何艘ものボート、
上を見上げると空には飛行船が浮かび、
時間がゆっくり流れていると感じられる景色でした。
飛行船の船体には「ツェッペリンNT」の文字。

ツェッペリン社が飛ばしているツェッペリン号は、
ドイツ側のボーデン湖畔北岸の町フリードリヒスハーフェンから、
ボーデン湖の遊覧飛行を楽しむことができます。
全長75メートル、幅10.5メートル、高さ17.4メートル、
最高速度は125キロの12人乗りです。
19世紀末から20世紀初めにかけて活躍した飛行船のパイオニア、
ツェッペリン伯爵にゆかりのあるフリードリヒスハーフェン周辺の
メーカーによって開発されました。

1838年ボーデン湖南岸の町・コンスタンツで生まれたツェッペリン伯爵は
若い頃から空への夢を抱き、陸軍退役後、飛行船の製造を開始し、
資金難に悩みながらも1900年第一号の飛行船を完成させました。
全長126m、直径11.7mの流線型、アルミニウムを張った硬式飛行船。
ダイムラー社のガソリンエンジン2基を載せ、時速32キロで飛びました。

第一次世界大戦が始まると、飛行船も爆撃用に使われましたが、
戦争が終わるとドイツ国内に定期航路もひらかれるようになり、
次々と新しい飛行船が製造されました。
1928年には全長235メートル、直径30.5メートル、航続飛行距離1万キロの
巨大な『ツェッペリン伯爵号』が造られ、翌年世界一周を果たしています。
1935年、さらに巨大な全長245メートルの『ヒンデンブルク号』が製造され、
フランクフルトと、アメリカのレークハーストを結ぶ定期航路がひかれ、
航空史上に一時代を築きました。

しかし、1937年5月6日、悪天候の中、レークハーストに到着した際、
水素ガスに引火、爆発、炎上する大事故が発生しました。
この事故をきっかけに、1940年ツェッペリン社は、計119機で製造を止めてしまいます。

それから60年がたち、ツェッペリン社は空のクルーザー・飛行船を再び甦らせました。
1993年、飛行船誕生の地、フリードリヒスハーフェンにツェッペリン社が
新会社を設立し、夢の飛行船の研究を再開。
2001年8月母港をそのままフリードリヒスハーフェンに置き、
旅客営業を開始したのです。

浮力を得るのに、水素ガスではなくヘリウムガスと空気を使用し、
安全性を高めました。プロペラが付けられヘリコプターに近い機動性を持ち、
アルミニウムに変わる複合素材を使用しているため、
丈夫で軽い骨組みになりました。
従来の機械式飛行船とガス式飛行船の長所を組み合わせた構造で、
極めて安全かつ快適な飛行が可能となりました。



また、飛行船は飛行機のように二酸化炭素をまき散らしたり、
滑走路も必要としません。緑の芝生からふわりと浮かび上がります。
一度は歴史的使命を終えてしまったかと思われた飛行船も、
『ツェッペリンNT(ニューテクノロジー)号』の名の通り、最先端の乗り物として、
また環境にも優しい乗り物として、再び注目されています。

船内は飛行機よりも大きい窓で視界は抜群で、
眼下にはボーデン湖の景色が楽しめます。
キャビン内の移動も自由です。
地上300mのクルージングは振動もエンジン音もなく、
滑るように進んでいきます。
安定したフライト、ゆったりしたスピードで、
まるで風に乗っているかのような印象です。
日本でも運行されはじめましたが、「Zeppelin NT」のシャープなデザインの
飛行船に本場ボーデン湖で乗船する醍醐味は格別でしょう。

飛行機で空を飛ぶのが当たり前になっている今、
ツェッペリン号での空中散歩は、
もう一度、「鳥になって大空を舞う」という
かつての人類の夢と情熱を感じさせてくれるでしょう。

(西川 太陽)
写真提供:Deutsche Zeppelin-Reederei GmbH
弊社でも2009年初夏、第3回ドイツ・ツェッペリン号の旅を募集いたします。

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