ほっとする お茶の惑星

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300文字の小説

2007-06-25 | 中日新聞より
何が何だか                        (戸上 善之)


ボクが1階でテレビをつけた時、居間では、まだ2人のお客が、親父と話をしていた。
おふくろが果物を出すと、客の1人が言った。
「奥さん、もう何せんといてえな。あれっ、何や、もうこんな時間。そろそろ何さしてもらおか」
もう1人も「そや。あんまり何しとっても何やでな」と応じる。
「果物、何してってなあ」と、おふくろ。
「奥さん、そんなにしてもうたら、何ですわ。もう私ら、何さしてもらいますで」
「そやな、そろそろ何さしてもらお」
すると、おやじも、「そうでっか。ま、あんまり何しても何やでな。ほなら」と2人を玄関へ送り出した。
ぼくには、何が何だか、ちっともわからなかった。
                             (津市 地方公務員 46歳)

お客様とご両親の会話を理解しょうと何回読んだことでしょうか
文句なしにおかしいですね。ありますよねえ、こういうやり取り。確かに、“何が何だか”
分からないはずが、不思議と通じてしまうところに日本流コミュニケーションの奥義が隠されているのかもしれません。この面白さ、絶対、外国語には翻訳できないでしょうね。
私もいつも主語のない話は通じないよ~と言われております。