遂に10年も遡ってしまいました。
東南アラスカの沿岸水路を幾たびか訪れました。当時はまだ「オーバーツーリズム」など意識しなかったのですが、漠然とした「後ろめたさ」が付きまとっていました。このコロナ禍でその「後ろめたさ」ははっきりと目の前に出てきました。紛れもなく20年も引きずっていたモヤモヤの正体です。数年前からその正体は分かっていたのですが、それが現実的に対処するように、と突きつけられてしまったようです。
人間は地球を食い潰し、汚してきました。汚しきり使い切ってしまったので地球の外に出てまた同じことをしようとしています。
自分に何ができるのか、自分の頭で考えなければなりません。そうしなければ・・・
風もなく海も穏やかな水路でザトウクジラの噴気の音が響きます。エンジンを切った船が惰性でクジラの噴気の中に分け入りました。クジラが放った霧状の噴気が海面に落ちます。せつなサラサラサラと微かに音がしました。一粒の霧状の水滴が海面に落ちる音など聞こえるはずもないのですが、それが何万も集まって微かな音になりました。こんな美しい音を自分は聞いたことがありません。「天使のささやき」なんて陳腐な名前を付けたくなるような・・・
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