9月28日(木曜) 講師:マリエッラ先生(トスカーナ州ルッカ)・その2
普段はアシスタントとして「縁の下の力持ち」役を務めているマリエッラの授業、2回目。実はおとといの明け方彼女は家で倒れ、一晩救急病院で過ごしたのではたして無事に授業ができるのかと一時は危うんだ。結局もともと低血圧なところにもってきて、胃の調子がおかしくて薬を飲もうと明け方に起き出し、脳貧血を起こして倒れただけで、検査の結果もなんら異常はなかったのであったが。
彼女の得意はルッカの伝統料理なので、今回もドルチェ以外はすべて極めつきのクラシックな郷土料理の定番ばかり。すでに生徒さんの性格と能力もある程度(すべて?)把握し、仕入れはなじみの店で自分でやり、器具もどこに何があるか知り尽くしているので非常にスムーズに進む。声が多少荒立てられたことは何回かあるが、すべて「シェフ(マリエッラ)にことわり・相談・確認せずに何かをやってしまった時」だけだった。伝統料理というのは技術的にもそれほど難しいことはないが、何百回も作っている料理だけにどのプロセスにも必ずといっていいほどどの人も一家言あるのだ。野菜のみじん切りの大きさ、塩を入れるタイミング、それに味の決め手となる各材料のバランスと、ハーブや香辛料のさじ加減。ルッカ人でない私たちには、こういうことはいくら包丁さばきがうまくても、何年日本で経験があっても絶対に判断ができない。以前に学校に遊びに来た卒業生もよく「こいつバカかと思われてもいいから、これでいいですか(Va bene così)と2回確認するくらいでちょうどいいですよ」と言っていたものだが、簡単な作業ほど「単にミンチにするだけだから」「単に塩コショウするだけだから」と油断してしまいがちで、難しい。講習は8週間あって作る料理は午前中に用意するだけでも200点以上あるが、同じ料理を2度作ることは決してない(名前が同じでも作る人が違ったり、地方が違ったりする)のだから、一度限りの先生のやり方を習っておくべきだと思うし、一番おいしい正統派の作り方で見たり食べたりしたいはずだと思うのだが。
27日目の昼食:
Insalata di faro スペルト小麦のサラダ ルッカの北方、ガルファニャーナ地方の特産のスペルト小麦を使用。水加減のやり方も炊き方もお米の炊き方とそっくりで面白い。千切りの野菜、さいの目切りのチーズやサラミを混ぜ、オリーブオイル・塩・こしょうなどで味付けするあっさりしたおいしいサラダ。
Tortelli classici al ragù di carne 「トルテッリ」(伝統的なルッカの詰め物入りパスタ)、ラグーソース 肉と青菜ベースの詰め物、1時間半は煮込まなくてはいけないラグーソース、手打ちパスタ生地をそれぞれ作って成形するので担当の班は大忙し。
Zuppa inglese ズッパ・イングレーゼ(昨日の残り)
Caffe’ エスプレッソコーヒー
滞在許可証がいつできるのかと警察に問い合わせのファックスを送ったところ「明日出頭せよ!」との命令が下る。指定された時間は3時。急きょイタリア語の先生に連絡、今度は受領だけだから「たぶん早く終わる」ので、4時ごろに待ち合わせて市内を散策しながらの授業に切り替えてもらう。「もし今度も待たされたら、丁重かつ断固とした、お役所に抗議するときの言い方を生徒に教えておいて」と頼んでおく。
27日目の夕食:
Farro sul brodo di fagioli スペルト小麦入りうずら豆のスープ 香味野菜で作ったソフリットに、煮あがったうずら豆を混ぜ、ムーランでこしてクリーム状にした中でスペルト小麦を煮る。
Spezzatino di vitella di latte con verdure 子牛と野菜のトマトシチュー 野菜はにんじん・セロリ・玉ねぎ・マッシュルームなど。季節によってじゃがいも・グリーンピースなど他のものに替えてもよし。ルッカはスパイスを多用するので、ここにもナツメグやクローブなどが隠し味に入る。
Crostata alla cannella con pere e cioccolato 洋梨とチョコレートの、シナモン風味のタルト これだけはマリエッラのオリジナルレシピ。タルト生地にシナモンパウダーを最初から練りこんで作るところがミソ。「ジャンルーカはシナモンが嫌いだけど、そんなの知ったこっちゃないわ!」と、さすが幼馴染だけに強気の発言。今度マリエッラに、京都銘菓「八ツ橋」を食べさせたら何と言うだろう?
Caffe’ エスプレッソコーヒー
おまけ:ルッカ人対象木曜日の講習メニュー
Sarde a beccafico alla palermitana
Taglierini con tonno fresco e caponatina di verdure al basilica
Palamiti o sgombri in guazzetto
Torta al limone con meringa
Caffe’ エスプレッソコーヒー
実は魚の下処理は生徒さんに手伝ってもらったが、セコンド用に仕入れたサバが1匹腐っていて、腹の肉など半分溶けていた。生協にクレームをつけに行くとジャンルーカが言うので、臭さに絶句しながら生徒さんがゴミ箱から回収した。最近のスーパーの魚売り場の電球は研究に研究が重ねられていて、古い魚でも新鮮に見えるのだそうだ。そんなことより輸送と保存の方法を研究してくれ。
普段はアシスタントとして「縁の下の力持ち」役を務めているマリエッラの授業、2回目。実はおとといの明け方彼女は家で倒れ、一晩救急病院で過ごしたのではたして無事に授業ができるのかと一時は危うんだ。結局もともと低血圧なところにもってきて、胃の調子がおかしくて薬を飲もうと明け方に起き出し、脳貧血を起こして倒れただけで、検査の結果もなんら異常はなかったのであったが。
彼女の得意はルッカの伝統料理なので、今回もドルチェ以外はすべて極めつきのクラシックな郷土料理の定番ばかり。すでに生徒さんの性格と能力もある程度(すべて?)把握し、仕入れはなじみの店で自分でやり、器具もどこに何があるか知り尽くしているので非常にスムーズに進む。声が多少荒立てられたことは何回かあるが、すべて「シェフ(マリエッラ)にことわり・相談・確認せずに何かをやってしまった時」だけだった。伝統料理というのは技術的にもそれほど難しいことはないが、何百回も作っている料理だけにどのプロセスにも必ずといっていいほどどの人も一家言あるのだ。野菜のみじん切りの大きさ、塩を入れるタイミング、それに味の決め手となる各材料のバランスと、ハーブや香辛料のさじ加減。ルッカ人でない私たちには、こういうことはいくら包丁さばきがうまくても、何年日本で経験があっても絶対に判断ができない。以前に学校に遊びに来た卒業生もよく「こいつバカかと思われてもいいから、これでいいですか(Va bene così)と2回確認するくらいでちょうどいいですよ」と言っていたものだが、簡単な作業ほど「単にミンチにするだけだから」「単に塩コショウするだけだから」と油断してしまいがちで、難しい。講習は8週間あって作る料理は午前中に用意するだけでも200点以上あるが、同じ料理を2度作ることは決してない(名前が同じでも作る人が違ったり、地方が違ったりする)のだから、一度限りの先生のやり方を習っておくべきだと思うし、一番おいしい正統派の作り方で見たり食べたりしたいはずだと思うのだが。
27日目の昼食:
Insalata di faro スペルト小麦のサラダ ルッカの北方、ガルファニャーナ地方の特産のスペルト小麦を使用。水加減のやり方も炊き方もお米の炊き方とそっくりで面白い。千切りの野菜、さいの目切りのチーズやサラミを混ぜ、オリーブオイル・塩・こしょうなどで味付けするあっさりしたおいしいサラダ。
Tortelli classici al ragù di carne 「トルテッリ」(伝統的なルッカの詰め物入りパスタ)、ラグーソース 肉と青菜ベースの詰め物、1時間半は煮込まなくてはいけないラグーソース、手打ちパスタ生地をそれぞれ作って成形するので担当の班は大忙し。
Zuppa inglese ズッパ・イングレーゼ(昨日の残り)
Caffe’ エスプレッソコーヒー
滞在許可証がいつできるのかと警察に問い合わせのファックスを送ったところ「明日出頭せよ!」との命令が下る。指定された時間は3時。急きょイタリア語の先生に連絡、今度は受領だけだから「たぶん早く終わる」ので、4時ごろに待ち合わせて市内を散策しながらの授業に切り替えてもらう。「もし今度も待たされたら、丁重かつ断固とした、お役所に抗議するときの言い方を生徒に教えておいて」と頼んでおく。
27日目の夕食:
Farro sul brodo di fagioli スペルト小麦入りうずら豆のスープ 香味野菜で作ったソフリットに、煮あがったうずら豆を混ぜ、ムーランでこしてクリーム状にした中でスペルト小麦を煮る。
Spezzatino di vitella di latte con verdure 子牛と野菜のトマトシチュー 野菜はにんじん・セロリ・玉ねぎ・マッシュルームなど。季節によってじゃがいも・グリーンピースなど他のものに替えてもよし。ルッカはスパイスを多用するので、ここにもナツメグやクローブなどが隠し味に入る。
Crostata alla cannella con pere e cioccolato 洋梨とチョコレートの、シナモン風味のタルト これだけはマリエッラのオリジナルレシピ。タルト生地にシナモンパウダーを最初から練りこんで作るところがミソ。「ジャンルーカはシナモンが嫌いだけど、そんなの知ったこっちゃないわ!」と、さすが幼馴染だけに強気の発言。今度マリエッラに、京都銘菓「八ツ橋」を食べさせたら何と言うだろう?
Caffe’ エスプレッソコーヒー
おまけ:ルッカ人対象木曜日の講習メニュー
Sarde a beccafico alla palermitana
Taglierini con tonno fresco e caponatina di verdure al basilica
Palamiti o sgombri in guazzetto
Torta al limone con meringa
Caffe’ エスプレッソコーヒー
実は魚の下処理は生徒さんに手伝ってもらったが、セコンド用に仕入れたサバが1匹腐っていて、腹の肉など半分溶けていた。生協にクレームをつけに行くとジャンルーカが言うので、臭さに絶句しながら生徒さんがゴミ箱から回収した。最近のスーパーの魚売り場の電球は研究に研究が重ねられていて、古い魚でも新鮮に見えるのだそうだ。そんなことより輸送と保存の方法を研究してくれ。