イタリアンでも食べルッカ

おいしい物と個性豊かな料理人達に囲まれた料理学校での日常記

2005年9月10日・ジャンルーカ講習その2

2006-09-11 22:34:45 | 料理学院
8日目・9月10日(土)
本科の生徒さんたちは自由行動日。その間に、昨日の午後にひきつづきジャンルーカの講習2回目。今日はお肉で「日本では作りにくいが、ここでこそ見て味わえる旬のメニュー」。

8日目の昼食
Sformato di pecorino in salsa vegetale ペコリーノチーズのプディング、野菜ソース
Pappardelle alla lepre 手打ちのパッパルデッレ、ノウサギのソース ジビエに合わせるのでココアを練りこんだほろ苦いパスタ生地で。ルネッサンス期から伝わる作り方とか。
Rostinciana di maiale con funghetti misti(写真参照)豚スペアリブとミックスきのこのトマト煮込み。きのこはポルチーニのほか、黄色くて軸の細い giallarelli、ポプラ(ピオッポ)に生えるpioppiniなど使用。スペアリブはかたまりで買ったのでナタのような包丁で1本ずつ切り離さなくてはならず、まるで料理人というよりは肉屋さんのような作業。やりたい人に交代でしてもらうが、一番じょうずだったのは「料理が大好き」という添乗員の男性だったりする……。
Torta di amaretti アマレッティ(マカロンに似たイタリアのビスケット)のケーキ。ルッカ伝統の Torta d’erba と同じ形に仕上げる。デザートというよりはおやつやコーヒーブレイクに向いたドルチェ。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

ジャンルーカの講習1日目&飛び入り参加カルミネシェフ

2006-09-11 02:28:48 | 料理学院
9月8日(金)・ジャンルーカの講習その1

7日目の昼食:
Penne con salsiccia e rosmarino とうがらし入り生ソーセージとローズマリーのスパゲッティ
Tonno con gli asparagi マグロのアスパラ風味(カルミネさん命名)エンツォ先生が使ったマグロの残りを使用。小さなステーキくらいの厚みに切り、フライパンで焼いて、おなじくフライパンでソテーした細いアスパラガスを添える。
Fagottini di carne di agnello in foglie di vite con salsa di uva selvatica 子羊の肉をミンチにしてブドウの葉でくるみ、オーブンで焼く。今回はブドウの葉はジャンルーカが(イラクサとりのついでに)取ってきたが、ソースに使うブドウは「uva selvaticaがあったからそれで作る」。Selvaticaって野生だけど、野生のブドウってさぞかし粒が小さくすっぱいのではと思いきや、どこかの畑のブドウが手を伸ばせば届くところにノビノビと生えているのを勝手にジャンルーカがそう形容しているだけらしい。「じゃ野生じゃなくて自生だね。ひとのを取ったんだからヤセイというよりヤトウ(夜盗)か」「白昼堂々なんだから昼盗(チュウトウ)ですよ」。ワイン用のブドウは生食用ほどおいしくないんじゃないかと味見してみた一同、十分おいしいのに驚いた模様。
Ricciarelli di Siena シエナの伝統菓子・リッチャレッリ アーモンドプードルをたっぷりと使用。これだけ毎日使われると、高級食材だという感覚が薄れそう。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

ゲスト:シドニー出身で、ヴァカンスのためルッカに2か月滞在中のオーストラリア人ご夫妻(日本人の夏休みはまだまだ貧弱だとつくづく思わされるね)。奥様のマーゴさんは月曜日からときどき講習に参加するとのこと。イタリア語は旅行会話程度らしいが、なにしろ今回はオーストラリア在住経験のあるもと英語の先生、バイリンガルの帰国子女がいるので大船に乗った気分です。
カルミネ・コッツォリーノさん ジャンルーカの昔からの合気道友達。ご本人いわく「イタリアに来て、レストランで食事にお金出したくなかったらジャンルーカに電話して食べに来るんです。そのかわりジャンルーカが日本に来たら、彼は日本で最近おいしい店を知らないから、僕が案内するの」。生徒さん「そんなことしたら差し引き損じゃないですか」。なかなか経済観念が発達してるわ。

夕食:
Crespelle con ortica イラクサのクレープ カネロニを作るときのように耐熱皿に並べ、上からベシャメルソースをかけ、トマトソースを散らしてグラタン状に焼く。ベシャメルソースを日本でちゃんと習ったことのない人に説明しながら作るが、イタリア人はベシャメルにもちゃんと塩・こしょう・ナツメグで味つけするのに、日本では味をつけないのが不思議だとジャンルーカ。カルミネさんも「ホントにそのとおり。ボクから見てもヘンに感じますね。いろいろなソースや材料を組み合わせて作る料理でも、それぞれにおいしい味がちゃんとついていないと、やっぱりおいしくできない」。
Verdure ripiene vegetariane 野菜の詰め物の料理というと、ふつうはミンチにした肉が主体になるけれど、これはくりぬいた中身を詰め物に使うヴェジタリアン風。野菜はじゃがいも、玉ねぎ、グリーントマト、ズッキーニ、ポルチーニ。
Insalata verde グリーンサラダ
Panna cotta alle mandorle con passato di fichi アーモンド風味のパンナコッタ、イチジクのピューレ添え わが庭のイチジクがやっと陽の目を見た。パンナコッタの本体はアーモンドプードルを生クリームとミルクと一緒に火にかけてわかし、布でこしてからゼラチンや砂糖を加える、とレシピにはあったが(中座したので理由は不明ながら)今日はこさずにそのまま固めた。パンナコッタにしては舌触りにあのなめらかさが感じられず、ちょっと意外な感じだが、「最近はパンナコッタを塩味にして前菜に出したりもしますから、これも面白いんじゃないでしょうか」との感想も出る。甘みもしっかりついているせいで私の好みではややヘヴィすぎる気もしたが……。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

中庭で語学の授業を受けているときに蚊(あるいはブヨのようなもっと性質の悪い虫)に足を刺されて、なかなか腫れと痛みがひかない生徒さんがいるので、夕食後マリエッラの車で市立病院の救急窓口に連れて行く。腫れがひどいのは虫の毒のせいかもしれないが、早く直そうといろいろな薬を塗りすぎたのも一因らしい。イタリアではよく使われる「コルティゾーネ」なる(副腎皮質ホルモンの入った)薬を塗って包帯で足首を固定してもらい、痛み止めの薬の処方箋を出すから薬局で買うように、患部を氷で冷やすように、等々の注意をされて、受付でタクシーを呼んでもらって、治療費は(AIUその他の保険に入っている・いないは問わず)無料。いくら用心してまじめに生活していてもいつ突然降りかかるかもしれないケガ・事故・急病に見舞われた人間からお金をとってはいけない、というイタリアの基本的な考え方は外国人にはありがたい(が、残念なことに私はどうもここでダニに刺された気がスル)。出費はしめてタクシー代の18ユーロ強と、薬代の5ユーロ也。

2006年秋のエンリカ先生

2006-09-11 02:25:27 | 料理学院
9月7日(木)
講師:エンリカ先生(トスカーナ州クェルチェータ・ディ・セラヴェッツァ)+セカンドシェフのルイージ、助手?として前期の卒業生のミチさん

6日目の昼食:
Ravioli di melanzane e basilica alle triglie バジリコの香りをきかせたなすのラビオリ、ソースはヒメジのトマト煮(リヴォルノ風ソースに似た感じ)。
Insalata verde グリーンサラダ
Meringa メレンゲ(夜に食べたお菓子の飾りつけ用に作ったものの余り)
Caffe’ エスプレッソコーヒー

夕食:
Zuppa di pesce con pane a cassetta al rosmarino 魚介のスープ、ローズマリー風味の山形パン添え カチュッコを始めとして魚介のスープにはガーリックトーストがつきものだが、今日はローズマリーの葉を入れた手作りパンを添える。お店では全粒粉で焼いたパンを使うこともあるそうで、その場合はガーリックトーストにするとのことだが、今日のローズマリーバージョンはそのままカットするだけ。
Dentice alla pantesca タイのパンテレッリーア島風 タイを三枚におろして、シチリア・パキーノ産のミニトマト、オレガノ等をふりかけてオーブン焼き。
Parmigiana di gamberi e melanzane クルマエビとなすのパルミジャーナ
Marzapane pietrasantino ピエトラサンタ(先生のお店の近くにある、「小アテネ」の異名をもつ白大理石の一大産出・加工地)風マジパン 昔は復活祭の時だけ、年に一度作られていたお菓子。アーモンドは高価な食材なのでよっぽど大きなお祭のときにしか使えなかったらしい。なるほど~と感心する間もなくこの翌日にはアーモンドのドルチェを2つも作ったのだが……。
Caffe’ エスプレッソコーヒー



2006秋のエンツォ先生

2006-09-11 02:23:34 | 料理学院
5日目・2006年9月6日(水曜) エンツォ先生の巻

1年半前のエンツォ先生は雪のせいで何度も講習が延期になったので、その苦い教訓を忘れず、「今回は雪が降る前に呼ぶことにした」(ジャンルーカ弁)。ロシアじゃあるまいし、10月末にはコースは終わるのに雪なんか降らない!と高をくくっていたところ、雪など降らなくてもアクシデントに遭うことのできる器用なエンツォ先生はまたたく間にキッチン内で右足をねんざし、またも登場が危ぶまれたがなんとか登場。最近はシエナの国立ワイン展示場 Enoteca Italiana と協力関係にあり、展示場でワインをお供に食事したい人向けに料理を提供する、いわばケータリングをしているらしい。エノテカといえば例のワインの本は原稿料の見積もりを出せとのメールがこのほど届いた。提示額が受け入れられれば9月末か10月上旬に原稿が届く予定。今回も日本語版のほか英語・ドイツ語・フランス語版を製作するらしいが、私見ではどうせフランスワイン以外ほとんど飲まないフランス人のための版を作るより、中国語版を早く出すべきだと思う。

5日目の昼食
Cannoli e fantasia di mare 手打ちパスタで作るカンノーリ、海の幸の取り合わせ
Tortino di patate con filetti di triglia alla livornese 千切りにしたじゃがいもをお好み焼きみたいに平たく丸く焼き、ヒメジのリヴォルノ風ソースに添える。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

5日目の夕食
Tagliata di tonno su letto di lenticchie マグロのたたき香草風味、レンズ豆のバルサミコ風味添え
Flan di stoccafisso con marmellata di cipolle 干しダラのフラン、玉ねぎのジャム添え
Polpettine di merluzzo alla portoghese 昼間のカンノーリの具が余ったので、つぶして丸めてミニコロッケのような揚げ物にした。alla portoghese「ポルトガル風」なのは、ポルトガルには干しダラの揚げ肉団子があるそうで、それにあやかったから。
Torta di ricotta e pere リコッタと洋梨のケーキ リコッタとほぼ同量の砂糖を使いさらに表面にもふりかけたので予想はしていたが、実に実に甘かった。成形を工夫すればお茶席で出せるかも……。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

今回は久々にオール日本人の生徒だが、顔ぶれはといえばオーストラリアで日本語の先生をしていた人、ボローニャとフィレンツェにそれぞれ語学留学していた人、商社勤めでデュッセルドルフに勤務し世界42か国を訪れた人、テキサスとアムステルダムで義務教育を受けた帰国子女、外大でフランス語を専攻した人等々がおり十分に国際色豊かだと思っていたら10月からはナポリ人が加わることが決定した(前期のルイージの知り合いではない)。さらに来期に参加したいが間に合うかという問い合わせが国際電話で入った。本人からではなく、依頼を受けた通訳さんから。ちなみに国籍はアルバニア。
今回の留学のことをブログにして友人たちに広く公開する!との意気込みでやってきたものの、PCの設定は全部友達がやってくれ、「す~ぐつながるから大丈夫!」と太鼓判を押されはしたが自分はぜんぜん詳しくないので苦労している、1年半前のラム君のような人が今回にもいて、月曜日にイタリアの無料プロバイダーのアドレスをとったものの接続の設定がうまくいかず、火曜日に事務所でやったらできたので部屋に行って試してもらったらやっぱりできず、電話線の不具合かと思って水曜日に部屋におじゃますると、単に電話のジャックをPCの側面につなぐべきところを後ろの関係ないところに差し込んでいただけなのが判明し、正しく差し込んだらたちまち接続とメールの送受信・ブログ書き込みに成功。明けて木曜日はなぜかバッテリーが急速になくなってPCが強制終了になったというのでコンセントを調べると、アダプターをヘンに間にはさんだため差し込んであるように見えるプラグが実は外れていたことが判明し、逆に差し込んだらたちまち通電した。本人は画面右下に電池のマークがいつも見えているのは「電力が通っている証拠であり、これが見えなくなったらヤバイ」のだと思い込んでいたらしい。海外でネット生活を送ろうと思っている方々、PCのハード・ソフト方面を研究するのも大事ですが、アナログ方面的落とし穴もいっぱいあるので用心いたしませう。
今日の午後は携帯屋さんのパオロさんが来ていろいろな機種を見せてくれ、今回も数人がBluetooth対応の携帯を購入することに決まる。前期の「隊長」が残してくれたメモが役立つか?