イタリアンでも食べルッカ

おいしい物と個性豊かな料理人達に囲まれた料理学校での日常記

3月29日・ジャンルーカ

2007-03-31 01:35:22 | 料理学院
3月29日(木曜) 講師:ジャンルーカ校長(その12)

恒例に従いこの木・金は事前にレシピは発表せず、生徒さんのリクエストを中心に、その日の仕入れ時の「お買い得商品」や冷蔵庫の余りものを組み合わせたメニューを当日に発表する。ルカ先生の弟のミルコは一足早く、明朝ブラジルにヴァカンスに出発するのでとりあえず今日でいったんお別れ。今回レストラン研修には入らないサイラス君とイタリア在住のコーリー君は引き続き家庭料理コースにも参加するが、特に1人だけ取り残される感のあるサイラス君は淋しそう。ま、今回はカラブリアとパルマに1名ずつ行くほかはだいたいみんな近場なので、いつでも会えると思うけど。

54日目の昼食:
Involtini di sarde con peperoni イワシとパプリカのロール巻き 「イワシの料理を何か」ということで登場、いや再登場。先日はイワシがなくマグロで作ったから。
Polpettini トルテッリの具が余ったので、ミニコロッケに仕立てた。
Radicchio trevisiano alla griglia トレヴィスのグリル焼き
Guacamole アボガドが余っていたので急きょ登場したメキシコ?のソース。サイラス君製作。アボガド、トマト、にんにく、レモン、とうがらし、イタリアンパセリ……等をミキサーにかけて作っていたが、本来はイタリアンパセリのかわりにコリアンダーを、レモンのかわりにライムを使うらしい。とうがらしもペペロンチーノでなくカラペーニョという名のものを使うとか。
Spaghetti al pomodoro スパゲッティのトマトソース
Branzino all’acquapazza スズキのアクア・パッツァ 昨日「煮魚」を作った近藤さんは「タイはともかく、スズキは味が強すぎて煮魚にうまく仕立てるのは難しい」と言っていたが、オリーブオイルやトマト、にんにくなどごくごく少しの材料で作るこのナポリ料理を見て「イタリアの魚にはこういう調理法が必要だ」と実感したらしい。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

午後、土曜日からの研修に必要な書類の配布と説明。年々多くなる一方なので、そのややこしいこと。いつもならばとっくに用意できている滞在許可証もまだできてないし。

木曜日の講習会のメニュー
Vitello tonnato 子牛肉のトンナートソース
Crespelle con asparagi e risottino con piselli freschi プリモの2種盛り合わせ・アスパラガス入りのクレープと、新グリーンピースのリゾット(写真参照)
Fritto misto alla toscana con cotolette di agnello トスカーナ風ミックスフライと子羊のカツレツ
Mousse di cioccolato bianco all’aroma di mandorle ホワイトチョコレートのムース、アーモンド入り

54日目の夕食:
Tortelli classici al ragù di carne ルッカの伝統的な詰め物入りパスタ「トルテッリ」。ヴァレンティーナのリクエスト。ミートソースで。ジャンルーカの評ではトルテッリは会心の出来、ミートソースはまあまあ。トルテッリの具とミートソースの両方に肉を使うのだが、それぞれ肉の向き不向きがあるので、両方が完璧にできることはまれらしい。
Cima alla genovese ジェノヴァ風のチマ 昨日の残り。
Verdure lesse all’olio e limone 温野菜(ゴボウの遠い遠い親戚のような野菜soncino、フェンネル、カルドンの3種類)「メリーのオイル」とレモンで味つけ。
Zuppa inglese ズッパ・イングレーゼ
Caffe’ エスプレッソコーヒー



3月28日・お別れ会

2007-03-31 01:31:26 | 料理学院
3月28日(水曜) 講師:ジャンルーカ校長(その11)

毎週水曜日に参加するCinqueterreのマウリツィオさんが、以前から「うちの町には昔日本の雑誌社が取材に来て、俺も参加した伝統行事の行列を撮影して帰ったんだが、その後その写真が載った雑誌を日本から送ってくれたんだ。何て書いてあるのか全然読めないんだけど大事に取ってあるのさ。今度持って来るから読んでよ」との約束を守って持って来てくれた。この人は野生のアスパラガス以外は何でも持ってくるのだな。見るとなんと『NHKテレビ・イタリア語講座』1991年7月号のテキスト口絵だった(芳賀八城さん撮影)。当時弱冠16歳、健康そうに日焼けしたなかなかの美少年で、言われない限りとても今のご本人とは似ても……アワワ。残念ながら巻末の「読み物」コーナーではナポリが取り上げられていて、この取材時のエピソードは載っていなかった。「その後、この行列を日本でもやってほしいってんで、みんなは2週間日本側に招待されて、伝統的な衣装を着てあちこちで太鼓や旗投げを披露したのさ。でも俺だけはひどいインフルエンザにやられて、淋しく家で寝てたんだ。ア~俺も日本に行きたかったな~」「うん、来てたら紅顔の美少年(←もはや死語?)としてモテモテだったかもね」「人生変わってたかな」というのは冗談で、実は彼はもうすぐパパになるのである。そういえばコーリーの奥さんも妊娠5か月だし、生徒さんのひとりも奥さんのオメデタがこの前わかったし、新米パパが3人もいる珍しいコースだ。

54日目の昼食:
Penne con ricotta secca, erbe e pomodoro 加塩されて日持ちするように加工されたリコッタ、ハーブ、生トマトのソースで和えたペンネ。
Agnello al forno con erbe aromatiche 子羊のオーブン焼き、香草ソース(写真参照)
Patate alle erbe ポテトのハーブ焼き
Caffe’ エスプレッソコーヒー

先日からの異常とも思える暖かさが去って寒さのぶり返した日々だが、久々に天気がよく暖かい午後なので、裏山にアスパラ探しに出かける。途中ご近所さんが通りかかって車を停め「アスパラガス見つけたの?ブラーバだねえ。でもこのへんは毒蛇がいるから、茂みには足を踏み入れないよう気をつけるんだよ」。そういえばシエナでも茂みが丈高く茂っているところに限って蛇がいたなあ。今の気温では蛇の動きもあまり活発ではないだろうけど、気をつけよう。本日の収穫は大小取り混ぜ20本の新記録。そろそろオイル漬けもビンにいっぱいになってきたので、ジャンルーカに何か作ってもらおう。

54日目の夕食:語学の先生、ジャンルーカとマリエッラの一家などをご招待してとりあえず今期のお別れ夕食会。その後卒業証書授与。
メニューは午前中に仕込んだもの、生徒さんが分担して腕をふるったもの、など絢爛豪華。当初カイザー君は正直に人数分仕込もうとしていたが「いっぱい食べるものがあるんだから半分でいい、半分で!」と止めた。それでも余り、お持ち帰りする人続出。

<イタリア料理の部>
Uova sode guarnite ai tre gusti 三色固ゆで卵 
Pomodori ripieni 詰め物をしたトマト 本来のレシピではグリーンソースを詰めるバージョンだったが、グリーンソースは何回か作ったので、今回はバスマティ米を詰めた。
Lasagne con carciofi ed asparagi アーティチョークとアスパラガスのラザニア
Cima alla genovese ジェノヴァの伝統料理「チマ」。三角形をした牛肉のかたまりにポケット状の切込みを入れ、ひき肉やふやかしたパンなどで作った具を入れて焼く。
Verdure cotte 温野菜いろいろ
Schiacciata senese スキアッチャータ「平たくなった、つぶれた」という名前の、しかし巨大なカップケーキくらいには膨れているヘンな名前のお菓子。コロンバやブッチェッラートなどパン生地ベースのお菓子は祭り菓子に多いが、これもその仲間。今日はシエナ風の作り方で。
ミルコのお手製タルト。ルッカで聖ブラジウスの祝日に作られる、縁がクチバシのようにギザギザのタルトのバリエーション。このタルトの具は青菜、チョコレート、アマレッティなど3種類ほどあるのだが、ふつうは1種類ずつのを3台作るか、3分の1ずつに区切って3つ盛り合わせにする。それを今日のはカスタード、アマレッティ、チョコレート、リキュールをしみ込ませたフィンガービスケットで4層にした豪華版というかヘヴィ版。
<日本料理の部>
煮魚(キダイ、スズキ)
あさりの味噌汁
牡丹餅 昨日の「おさがり」。実は40個くらい作ったのでなお余り、もったいないので持ち帰れるだけ持ち帰って冷凍した。
<フィリピン料理の部>
ボラロ(カイザー君担当)一同の圧倒的多数のリクエストにより登場。骨髄とキャベツ、にんじん、じゃがいもなどを合計3時間くらい煮込んだスープ。ナンプラーも入る、アジア庶民の味方!って感じのこくのある、だがあっさりした味。カイザー君のお父さんに言わせると「si-got」とかいう日本のハーブを入れるとおいしいそうだが、日本の香草って山椒?三つ葉?青じそ?何のことなのか未詳だがいずれにしろ入手不能なので調査は未着手。
<ブラジル料理の部>
フェジュアダ(サイラス君担当)ブラジル料理の中でいちばん有名な一皿。全員に好評でたちまち完売。
<食後の部>
Caffe’ エスプレッソコーヒー
Limoncello リモンチェッロ 不肖わたくしめが日本から持参。愛媛の親戚が送ってくれた庭のレモンとウォッカで仕込んだのだが、完成品を持ち込むよりシロップで薄める前の状態で持ってきたほうが軽くて合理的だったとあとで気づいた。推定アルコール度40%だがマリエッラに言わせると「強すぎる。リモンチェッロは強すぎてはダメ」なのだそうで、私のレシピで作っている江東区のTさん、これ読んでたら修正してください。
Whiskey ウィスキー(希望者のみ)

3月27日・マリエッラの復活祭料理

2007-03-30 05:29:28 | 料理学院
3月27日(火曜) 講師:マリエッラ先生(その4)

53日目の昼食:
Ravioli all’ortica con burro e salvia いらくさのラビオリ、バター・セージソース
Pollo in fricassea チキンのフリカッセ(写真参照)昔々イタロ・カルヴィーノの短編連作『マルコヴァルドさんの四季』(岩波書店)を読んでいて、マルコヴァルドさんの家の窓から逃げ出したウサギを狙うご近所さんが「今日はウサギのフリカッセだ」と、獲らぬウサギの皮算用をする場面を読んでから「どんな料理かな」と思っていたらついに今日登場した。どうも私は何を読んでも、食べ物に関する場面だけは鮮烈に覚えているようだ。いったん鍋で鶏肉(でなくても白身肉)を炒め煮して、火が通ったらソースに卵黄やレモン汁を加えて仕上げる。本来きょうのセコンドは「復活祭も近いことなので」フリット・ミストと子羊のカツレツの予定だったのだが、夜が天ぷらなので揚げ物攻めではちょっと……というので登場した。とはいえこちらもれっきとした復活祭の定番料理のひとつとか。
Taccole lesse そら豆を平たくしたような「タッコレ」という豆をゆでたもの。フリカッセと相性のよい付け合わせのひとつ。
Mousse di fragole con cialda di mandorla イチゴのムース、アーモンド風味のラングドシャ添え 昨日のイレーネに続いて今日はコーリー君の誕生日なので、彼の分にはまたまた日本語・イタリア語・英語で祝辞を書いた皿に乗せてサービス。実はコーリー君は前日までカゼで寝込んでいて授業に来なかったので「不意打ち」効果が薄れずにすんだ。イレーネはキッチンにはよほどの用事がない限り来ないので楽だが、コーリー君はずっと一緒に料理をしているので、目を盗みながら祝辞を書くのは大変だったが、「近藤さん」がコンロから離れた食洗機のそばで作業したため、マリエッラにも気づかれることなく準備に成功。
Caffè エスプレッソコーヒー

18時から「和食講習会その2」天ぷらの講習。ジャンルーカはトンカツも作りたそうだったが「伝統的和食ではない」ということで却下し、かぼちゃ・なす・ししとう・海老などのほかかき揚げ等を作る。他のメニューとしてはきゅうりもみ、ほうれん草のおひたしなど。その上「近藤さん」が日本から送ってもらった小豆やもち米で「ぼたもち」(本人は「おはぎ」と称しているが、あれは秋に萩の花が咲く頃の呼び方なのであえて「牡丹餅」と表示します)を作る。飛行機の貨物室で急激な温度の変化にさらされたせいか小豆の匂いが日本で作っているときとは異なり、炊飯器で炊いた米も電圧が違うせいか炊き上がりが違ったそうな。異国で料理を作るのは難しいものですな。あとガルファニャーナのおいしい湧き水がまだ残っていたので、玄米茶とほうじ茶を淹れる。1回目はうっかりして普通の水で淹れてしまいあわてて作り直したが、やはり2回目の方がおいしかった。もしこの水でご飯を炊いたらどうなるのだろう。

53日目の夕食:
「和食講習会その2」のメニュー、プラス
Torta pasqualina 復活祭のタルト もともとはリグーリア州が発祥の地で、いまでは北~中部イタリアに広まったレシピらしい。まず塩味のタルト生地を作って14等分し、ねかせてからめん棒で薄~くのして7枚を次々と型に敷き詰める。そこにビエトラやリコッタで作った具を敷き、卵を割りいれ、塩・こしょう・パルメザンチーズで味つけしてまた上からも7枚の生地を重ね、縁をきれいに処理してオーブンで焼く。とにかく生地を伸ばすのに手間がかかるので(男性3人がかりでやった)たいていは市販の冷凍パイシートで代用したり1層にしたりする簡略版が多い……という話をメモして家に帰り、たまたま他の雑誌の付録についてきた料理雑誌を見ていたらこの料理が紹介されていた。ほとんど同じだったが下に敷く生地が6枚、具と卵を入れてから重ねる生地が8枚だった。この数には何か意味があるのか?と料理百科をひもとくと「昔は十字架にかかった時のイエス・キリストの年齢と同じ33枚だったが、今は枚数が減っている」のだそうです、これでも。
Zuppa garmugia alla lucchese 起源の古さにおいてはルッカ屈指の伝統的野菜スープ「ガルムージャ」アーティチョーク、葉玉ねぎ、豆類いろいろ、それにハーブが入るので実に香ばしい。
Caffè エスプレッソコーヒー

3月26日・ジャンルーカで週明け

2007-03-28 05:46:53 | 料理学院
3月26日(月曜) 講師:ジャンルーカ校長(その10)

早いものでもはや最後の週に突入。ゲスト講師の先生は現代風にアレンジした、個性を加味したおしゃれな料理が多いが、その段階に進む前に必要な、土台となっている「イタリア料理の定番」のうちまだ未紹介のもの、押さえきれていないと思われるものを中心に取り上げていく予定。

52日目の昼食:
Fettuccine al pomodoro con pesto alla rucola 手打ちのフェットゥッチーネ、トスカーナ風トマトソースとルコラのペーストソース
Bollito misto con salsa verde ゆで肉の取り合わせ、グリーンソース ゆで肉の食べ方はマスタードソース添え、果物のマスタード漬け(日本の福神漬けみたいなもんだ)添えなど地方によっていろいろだが、今日はトスカーナで普通に見られる食べ方、グリーンソース風味で。もちろん上等のオリーブオイルをかけてもおいしい。肉は牛、子牛、テール、牛タン。あと添え野菜としてじゃがいも、さやいんげん、フェンネル、ペコロス、にんじんなど。
Bonet piemontese ピエモンテのボネ(チョコレートプディング)中に砕いたアマレッティ・ビスケットが入る。アマレッティが大好きな、しかもドルチェに入っているアマレッティが特に大好きな語学のルカ先生はメニューを見たときからご機嫌。語学の先生は時々入れ替わるが、ルカ先生はもはや不動の四番バッターという感じで毎回登場。ここで教えるのが好きだからと本人は言っているが、実は休憩時間にさしあげるドルチェが真の目的なのでは……?
Caffe’ エスプレッソコーヒー

ちなみに今日はイレーネの誕生日。時間と材料が余っていれば別にケーキを作ろうと相談していたのだが、結局ムリだったのでボネを大きな皿に盛りつけることにし、日本語・英語・イタリア語・スペイン語で「お誕生日おめでとう」と4隅に書いて、食べられるスミレを添えた(写真参照)。ジャンルーカが買ってきた赤とピンクのバラの花束をテーブルに飾って、なんとなくパーティーっぽくなったかな?ちなみに当校のスタッフと生徒にはおひつじ座の人がやたらに多く、明日はコーリーの誕生日。

午後、前期の生徒さん2名が、貸していた電気釜を返しに来てくれる。1人は先日のブログを読んでから「世紀の難問」に挑戦してくれていて、毎晩寝る前の10分間を捧げてくれているそうだ(ラゴネルにも出題してみようか?)。ま、3年間誰も解けていない問題なので気長に行きましょう。

夕方、エンツォさんのパートナーで、今はテレビを中心に活躍している女優のグイアさん(カターニア出身)が到着。話したことのあるプロの俳優さんなんて後にも先にもこの人だけなので俳優一般に通じることなのかどうか知らないが、キレイなだけじゃなくて普通の人と全然違う。話す言葉の一言一言がセリフというか詩であり、一挙一動が演技って感じの人である。ジャンルーカに言わせるとシチリア人特有の気質が相当影響しているそうだが。推定年齢50代前半、スタイルに気を使ってか数年前からベジタリアンだという(エンツォさんには今日のメニューをちゃんと見せて、何が夕食に出るかを説明しておいたのですが……)。でも「トルテッリーニは興味津々だから食べるわ。鶏もいただくわ」とのことでホッ。ちなみにトマトもあまり食べないそうだ。「野菜ですけど……」「でもトマトはお肌に悪いのよ。私たちイタリア人には、どうして目の下に早くクマができるのかご存知?トマトの食べすぎよ。あれは体内で発酵して、皮膚の老化を深めるの。地中海ダイエットがトマトを手放しにほめるのはどうかと思うわ。週に1回程度ならいいけど、南イタリアのようにトマト・トマト・トマトじゃね。日本食はステキだわ。生の魚(刺身と寿司のこと)はダメだけど、天ぷらは大好き」。明日の18時から日本食講習会の第2弾でほかならぬ天ぷらをとりあげるのだが、あいにくエンツォさんは明後日から仕事でニューヨークに飛ぶため、明日はどうしてもローマに帰らなくてはいけないそうだ。

52日目の夕食:
Tortellini in brodo di magro 赤身肉で取ったブロードに浮かべたトルテッリーニ ブロードは「ゆで肉」を作った時の副産物。
Insalata di galline con salsa verde ブロードに入れる肉のうち、鶏だけはそのまま食べてもボソボソしておいしくないので、ゆで卵や野菜と合わせ、グリーンソース(ゆで肉用のソースとは別)を添えてサラダに。
Verdure sotto olio 野菜のオリーブオイル漬け
Carciofi ripieni con pancetta e mentuccia パンチェッタとメントゥッチャ(野生のミント。厳密にはネピテッラとは違う品種らしいが、ローマ近郊に行かないと見つからないので今日はネピテッラで代用。先週の轍を踏まないよう今回は先回りして摘みました。
Caffe’ エスプレッソコーヒー

夜、ウワサの「モルトブルットなアニメ」、Celabrity Death Match, Happy Tree Friends を話の種に見てみる。確かにハンパじゃないスプラッタぶり。こういうアニメがあるということより、スプラッタを求める世代とアニメを見る世代が同じになったことに驚く。もっとも翌日(火曜日)生徒さんに「見ましたよ~」と報告したところ、先週は輪をかけてひどかったとか。やれやれ。ま、日本ではまず放映されそうにもないので、見聞を広めたと言うことにしておこう。

3月25日・最後の日曜

2007-03-26 04:38:47 | 料理学院
3月25日(日曜)

週末初めての雨。生徒さんの遠足の目的地はスペルト小麦と栗と……その他山のような食材の宝庫、ガルファニャーナ。おいしい湧き水も出ているというので、先日来ためていたペットボトルをバスに積み込んでくんできてもらう。もちろんルッカ市内でもおいしい水はくめるが、これはナポレオン時代に引かれた水道管を利用して運ばれてくるので、湧きたてのものに比べるとやや味が落ちるのだ。
ところで週末のラファエレ先生のレストラン訪問は大冒険だったようで、6時過ぎに出発したのに店に着いたのは12時半。昼食をいただいてちょっと近くを散歩し、乗換駅のリミニでしこたま雨に降られ、ボローニャで列車を乗り間違えてヴェローナに行ってしまい、ふたたび乗り換えて帰れるところまで帰り、ようやくバスでルッカ駅に着いたのが夜中の1時過ぎ。タクシーもなかったのでなんと学校まで歩いて帰ったという。私だったら駅前の大きなホテルに乗り込み、フロント係にチップをつかませてタクシーを呼んでもらうのだが、世慣れているとはいえ都会っ子で自家用車族のカイザーたちにその知恵はなかったか。歩いているうちに夏時間がスタートして時計の針が1時間前進し、学校に着いたのが明け方の4時半だったそうだ。でも食事はすばらしくおいしかったそうで、サイラス君は次回は先生の店で研修したいと希望している。

51日目の夕食:
Risotto ai quattro formaggi 4種類のチーズ入りリゾット
Focaccia フォカッチャ
Caprese カプレーゼ
Insalata verde グリーンサラダ
Caffè エスプレッソコーヒー

3月24日・土曜

2007-03-26 04:37:05 | 料理学院
3月24日(土曜)

この期最後の土曜日。生徒さんは6時台に起きて遠路ラファエレ先生のお店に食べに行く人、のんびり海で過ごしたい人、とさまざま。私は生協に行きがてら近くの新聞雑誌スタンドへ。イタリアの新聞雑誌のフロク合戦はいっこうに衰える気配がないが、大手時事週刊誌 Panorama が今週から約半年にわたって、イタリア旅行協会 Touring Club Italiano の Guida d’Italia という、赤表紙全23巻でイタリア全土をカバーするガイドブックをつけるのだ。日本で昔NTT出版から出た「イタリア旅行協会公式ガイド(全5巻)」はこの縮約版。美術館や建築物の説明も詳しいので、昔イタリアの大学院に留学して美術史を勉強していた友人はどこに行くにもこのガイドを携えていたほどだ。もちろんタダではなく、1巻目「リグーリア州編」はキャンペーンのため1ユーロ、2巻「ローマ編」以降は約12ユーロかかる(全巻予約すれば割引あり)。でも以前本屋で買ったときは会員割引価格でも20ユーロくらいはしていたから、かなりのお買い得。実はおととしライバル会社の新聞 La Repubblica からいったん全巻やはり「フロク」になったのだが数冊買い逃したし、今回のものは今年1月に全面改訂された新版らしい(以前はヴェネツィア編など20年くらい改訂されなかったのにえらい変わりようだ)ので、今後の予定をチェックすると、抜けている巻は7月~8月に出ることがわかった。ちょうど留守の時期だが、さてどうするか。

3月23日・残すところあと1週間

2007-03-26 04:36:04 | 料理学院
3月23日(金曜) 講師:リナルド先生その2

年金生活にいちおう入ったとはいえ、息子さんの経営する菓子屋を手伝ったり、ケータリングや調理指導の仕事をしたりと忙しい先生は昼食後すぐヴェネトに帰る。ベラルーシの3名も講習参加は今日で終わり、週末はローマで過ごして月曜日には帰宅するので、写真を撮ったり握手をしたり、いろいろとお別れの「儀式」が多い。生徒のお2人からはベラルーシの特産だという薄手の織物のテーブルクロスをいただいた。今度エスニック系の講習会をする時にはぜひ飾らなくては。

49日目の昼食:
Lasagne di crêpes al forno con radicchio, speck e fontina トレヴィス・スペック・フォンティーナチーズを具に、手打ち生地のかわりにクレープ生地と重ねて焼いたラザニア
Cotolette d’agnello al forno con verdure croccanti 小羊のリブ肉、オーブン焼き(写真参照)野菜の精進揚げ添え 本来はじゃがいものピューレも添えるが、先日からドイツ人のようにじゃがいもばかり食べているので省略。
Bavarese alla mela verde グリーンアップルのムース
Caffè エスプレッソコーヒー

2月に申請した滞在許可証、本来ならばもうとっくに受領できる時分なのであるが、まだ何の連絡もないなと思っていたら、やっと1人にだけ4月中旬の「出頭命令(笑)」が来た。ただし何か書類に不備があったらしく、当日その不備を正してからあらためて発給を待つことになる。「何が悪かったのかしら」とイレーネがルッカの警察に相談してみたところ「ひょっとして、書き損じたところをホワイトで修正してないだろうね?」。図星。実はホワイトを塗っているイレーネに向かって「それって正式な方法なの?日本じゃ線で消して、訂正印を押すんだけど」と言ったことがあったのだ。イレーネは大学を出てすぐうちに就職したので、あまり実務経験が豊富でなくほかのやり方を知らなかったのだが「申請書の書き方」にだって書き損じた場合のことなんて何も書いてなかったぞ。それにしてもカラブリアに研修先が決まっている「近藤さん」は気の毒だ。列車で10時間くらいかかるし、運賃だって60ユーロくらいかかる(もっともカラブリアからロンドンへはRyan Airという激安航空会社の路線があり、日によっては片道0.01ユーロなんて便もあるので、いっそいったんロンドンに飛び、そこからピサに飛んではどうだ?などとも相談している)。ルッカ警察のお兄さんは「だったらカラブリアに住所変更の届けを出して、あっちで受領したら?」と言っているけど、少なくとも「不備な書類を訂正して再提出する」ところまでは学校側とやらないと言葉の壁があるだろうし、ルッカに戻ってきてもらわないと……。

49日目の夕食:
Spuma di ceci e di piselli con crostini caldi ヒヨコマメとグリーンピースをムースにし、温かいクロスティーニを添える。生徒さんは勝手に「メリーのオイルがけ」バージョンにしてました。
Taglierini ai broccoli ブロッコリーのタリエリーニ プーリアだとオレッキエッテのソースにするが、手打ちパスタの生地があまったので。
Ombrina al forno ナナメシマグチ(ニベ科)のオーブン焼き
Insalata mista(トマト、レッドオニオン、キュウリ等)
Bavarese alla mela verde グリーンアップルのムース
Caffè エスプレッソコーヒー

夕食のゲスト:ジャンルーカの旧友で、アリタリア航空勤務のエンツォさん。昔ジャンルーカが東京で働いていたときバンコック勤務で、東京で出会ったのだそうだ。今回はバカンスを過ごしがてらおいしいオリーブオイルとワインを買いつけるのが目的で、さっそく「メリーのオイル」を試食していただく。今のパートナーで女優のグイアさん(舞台が主なので映画にはあまり出ないが、確か『永遠のメリー(Mary per sempre)』の続編 Ragazzi fuori に出演しているはず)も月曜日に来るそうだが、こちらの目的は何と、出演映画のロケ。月曜日にワンシーンのロケがあり、来週もう1度別のシーンのロケをやるそうだ。「現場が見たいかい?」と聞かれたので「日本人とフィリピン人とブラジル人とチリ人のエキストラはいりませんか?」と一応売り込んでおいた。

3月22日・北イタリアの肉料理編

2007-03-26 04:33:03 | 料理学院
3月22日(木曜) 講師:リナルド先生(ヴェネト州ラツィーゼ)

才人ラファエレ先生に代わっては、長年国立料理ホテル学校で教鞭をとった、教える方のプロ中のプロ、リナルド先生。外国で仕事をした経験も長いので「ひょっとしてロシア語はできますか?」と聞いたら「ロシア語は土曜日にしか話さないので今日はできない」とはぐらかされた。もちろん夜中までかかってレシピを翻訳したらしいエレナ嬢が通訳でつくので問題はないし、生徒のお2人も昨日より緊張が解け、ソーセージをほぐして炒めたりアンティパストの野菜をオーブン皿に並べたり、生徒さんに混じって積極的に手が出るようになってきた。ジョークが飛び出す先生で授業はなかなか楽しく、ある意味この先生もエンターティナー。たぶん生徒中でいちばん料理経験の少ないコーリー君などは昨日の授業はめまぐるしすぎたようだが、今日の授業はその点リラックスして臨めるので満足げだった。

48日目の昼食:
Riso alla pilota 脱穀係風リゾット(写真参照) 米はピラフ状に、ただしオーブンではなく鍋を使って煮る。炒めて油気を落としたソーセージとからめ、さらにシナモン風味のパルメザンチーズを添え、オーブン焼きのスペアリブを乗せるボリューム満点の伝統料理。伝統料理なのに「シナモン風味のパルメザンチーズ」は先生も他では見たことがないこのリゾット独特の食べ方だそうだ。でも相性抜群なので考えた人は偉い!
Stinco di vitello al sesamo con rotolo di patate alle erbe aromatiche 子牛のすね肉のゴマ風味 香草風味のポテト(また?)をピューレ状にして作ったロール巻きを添えて。
Caffè エスプレッソコーヒー

午後、前期でイタリア語のクラスの人気講師だったロレンツァ先生が打ち合わせに来る。実はロシア語学科卒業の先生、ベラルーシのお2人(あるいはその同僚)がまた春以降に戻ってくる予定なので、その時の通訳を担当するかもしれないのだ。親会社は石油会社らしいので資金の余裕はあるようだが、1週間も2週間も通訳を雇ってホテルに泊めるんじゃ大変だもんね。実は先生は日本語の勉強も始めており、イレーネの生徒になるかもしれないというややこしい関係が周囲では展開している。私の方は実はアゼルバイジャン語にただならぬ興味が湧いてきているのだが。
事務所で平和にブログなど書いていると、マリエッラが「ちょっとお願いが」とやってくる。コピーか探し物を手伝ってほしいのだろうと思ったら、探し物は探し物でも、裏手の農場横でネピテッラ(野生のミント)を探してきてほしいと言うのだった。いくら日が長くなったと言っても19時前、すでに黄昏時。もっと早く言ってくれ!おりしも懐中電灯の電池が残り少ないので予備を2つも持って出かける。イヌに吠えられつつ他人様の玄関横の茂みを照らし、かがみこんで何かを探す私の姿はこの瞬間、ルッカ県で一番怪しい外国人であったと思う。

木曜日恒例のルッカ人コースのメニュー:
Mousse di prosciutto di Parma con pane di granturco パルマの生ハムのムースをトウモロコシ入りパンに乗せて。
Ravioli con carciofi アーティチョークのラビオリ ネピテッラ騒動を引き起こした問題の一皿。念のために言っておくが、ブログ執筆が遅れたのは不審者として警察に連行されたためではありません。
Stracotto al vino rosso delle Colline Lucchesi con purea di patate 牛肉を「ルッカの丘陵地帯の」赤ワインでじっくり煮込み、じゃがいものピューレを(また?)添えて。
Tronchetto alla crema di caffè con croccante コーヒークリームとプラリネ入りロールケーキ

48日目の夕食:
Sorpresa di verdure grigliate con scamorza affumicata gratinata グリルした野菜と燻製のスカモルツァチーズを重ねてグラタン焼きに。
Tagliorini con mele e speck りんごとスペックのタリオリーニ 北イタリアらしく生クリームベースのソース。考えてみれば今期生クリームのソースは初めて!
Cremino alle nocciole ヘーゼルナッツクリームのムース 今期のドルチェの中でも屈指のおいしさ。なのに写真に撮ると格別おいしそうではないのが菓子の写真の難しいところだ。パスタやメインだと食材の量のバランスや焼き色、ソースのとろみ等々で味の見当がつくけど、ドルチェの砂糖やクリームは溶けて混じっちゃうもんなあ。ちなみに数が足りなかったのかはたまた忘れたのか、ふだんなら語学の先生のためにちゃんと取っておかれるドルチェがこの時に限ってすべて食べつくされ、事前にレシピを見たときから楽しみにしていた先生たちは「もし試験があったら全員落第にするところだ!」と真剣に残念がっていた。
Caffè エスプレッソコーヒー



3月21日・エンタメ系のラファエレ先生

2007-03-26 04:29:40 | 料理学院
3月21日(水曜) 講師:ラファエレ先生(エミリア=ロマーニャ州カットーリカ)

事前のジャンルーカの紹介によると、事前に送られてきたレシピに従って買出しリストを作るのにすでに辞書が要るほど独創的なシェフ。レシピの下読みをしてきた生徒さんも「ガルブーリって何ですか?」「Xantanagum(キサンタンガム=Xantham gumの誤植)って?」おまけに営業が遅く終わったらしくこちらには午前3時半に着いたらしいのだが、道がうろ覚えだったのでベアトリーチェ先生の店にいるケンさんに電話して教えてもらったそうだ(……何時に?)。イタリアに来て2日目にこんなシェフのレシピを訳さなくてはならないエレナ嬢に私は心から同情する。ズボンはマウリツィオご愛用のメーカーによるトマト柄だったりペペロンチーノ柄だったりするし(いちどこの2人を並べて見たいものだ)、小柄な頭にコック帽でなくハンチングをかぶった姿は何となくトリックスターっぽい。
まずはテーブルについていつもの通り事前の講義。お店のメニューも見せてもらい、「お客様が童心に返って楽しめ、あっと驚くような料理を考えるのが自分のスタイル」という持論を聞く。前菜は知らぬ人とてないイタリア料理の定番「カプレーゼ」(トマト、モッツァレッラ、バジリコ)の骨格だけ残し、姿をとことん変えたバリエーション。プリモはお父さんのために料理をした時、誰もがセコンドの素材だと思っている「鶏の串焼きとポテトのオーブン焼き」でプリモを作ってみようと思ったのがきっかけ……。
ここまで聞いて、今までおぼろげにしか把握していなかったこの先生の特質がわかった気がした。料理をアートとして演出してはいるのだが、要するにこの人の本質はエンターテイナーなのだ。マウロ先生やガエターノ先生のようないわば「純文学系」職人のシェフにとって、新しい外国の素材や調理器具、凝ったデザインや盛りつけは、ちょうど彫刻家が大理石の塊から不要の部分を全部削り落として、自分にしか見えない理想の像を現出させようとするように、自分の中にある「この一皿の理想の形」を抽出させるための方便であり手段だが、この人はお客様の喜ぶこと驚くこと愉快がることを第一の目標に置いている。
門外漢の私から言わせてもらうと「なんでまたそこまで」と思わないわけでもない、ちょっとムリな作り方もないではない。たとえば鶏は「プリモのソースには使わない素材」と相場が決まっていた。ブロードをとるのならともかく、ソースをしょって立つには味が淡白すぎるのだ。そのため今日のソースは山のようなパルメザンチーズを加えて味を補ってやらなければいけない。「鶏のおいしさをより純粋な形に結晶させる料理」を探す純文学系のシェフなら、こんな「誰も予想もしなかった意外な設定の殺人犯人」のごとく、「鶏の外観も食感もすべて除去したこのソースの中に、陰画のように鶏の味だけが浮かび上がるなんて、よもやあなたは想像なさらなかったでしょう?」などと考えながらほくそ笑むようなことはしないと思うのだ。まあこの先生の個性なのだし、今日の料理のような「伝統の形への挑戦」が次々とぶつけられ、それにびくともせずに生き残ってこそ真の伝統料理だと思うから、どんどんやっていただきたいが、こういう行き方はなかなか真似できない……どころか、そう生まれついていないと無理だろうな。この夏に東京で店を出すらしい卒業生「若」は先生と同じエンタメ系と見たが、さて彼はどんな店にするのだろう。

47日目の昼食:
Pomodoro con spuma di mozzarella di bufala cuore di basilico Spumaとはスペインのフェラン・アドリアが開発してもはや世界を席巻した感のある「エスプーマ(泡)」のことで、お約束のようにガス式のボンベが登場。中をくりぬいたトマトにこれでムース状にしたモツァレッラを詰めて皿に伏せ、周囲には「スープ状にした」モッツァレッラを流し液状にしたバジリコを散らす。もちろんアドリアも似たような料理を何年も前に作っており「自分より先に、スペイン人にカプレーゼで遊ばれてしまった」ラファエレ先生が対抗心を燃やして作った一品ではないかとも思われる。さらに本来トマトの下にはガルブージ(見本市でメーカーの人と話がはずみ、試しに飾りに取り入れただけらしくて、この料理の本質とは関係ない)が来る???と想像に苦しんでいると「ガルブージや千切りの野菜を揚げて、上に飾ってもいい」とシェフの説明。要するにレシピの綴りが
Posizionargli sotto il pomodoroとなるべきところ、
Posizionarli sotto il pomodoro とgの字が1字抜けていたために、「それらの(ガルブージの)下にトマトを」が「それらを(ガルブージを)トマトの下に」になってしまっていたのだった。期待して?損した。
Ravioli di farina al rosmarino, farciti di patate al forno con salsa di pollo allo spiedo ローズマリー入りの手打ちパスタ生地でラビオリを打ち、オーブン焼きにしたジャガイモをマッシュして具にし、串焼きにした鶏をピューレにしてさまざまなものを加えてソースにして添える。本来黒トリュフも加わるのだが省略(なくてもいいと思った)。
Tiramisù dissociato 分離した、いやさせたティラミス。普通の要領で作るとコーヒーの味とマスカルポーネの味とビスケットの味が混ざってわかりにくくなるので、まずコーヒー抜きで作り、十分冷やしてからあとで温かいコーヒーを注ぐ。講習中は時間が足りず、とりあえず見本の分だけ急いで冷やして皿に乗せ、先生がコーヒーを注ぐとティラミスはたちまちフニャっと崩れ「私を立ち直らせて~(Tira mi sù!)」とつぶやいたとかつぶやかなかったとか。
Caffè エスプレッソコーヒー

この日から週1回、3回完結の「和食講習会」がスタート。1日目は寿司と刺身。今度の日曜日にお邪魔する、スローフード協会認定の?有名なお店をガルファニャーナで経営している居酒屋さん、先日講習に参加したファブリツィオ君もエルバ島からかけつけ、イレーネの大学の学友エリーザも彼氏と登場。イタリア人と「ごぶさたしてます」「こちらこそ」と挨拶しあうのは妙な気分。生徒さんにもいろいろと手伝ってもらうが、実際に「にぎり」を作る段になると一番先頭に立ったのが、シカゴで「寿司作り」の授業を受けたことがあるカイザー君(頭にはねじり鉢巻)だったのには笑った。スシといえば最近ルッカの中心部に新しく中華&和食の店がオープンした!その名も「ぼすし(Bosushi)」。なんか脱力感を覚えるネーミングだね。さっそくサイラス君が偵察におもむき、中華の方を味見して和食のパンフレットをもらってきてくれた。賢明な選択だ。北斎の描く大波の絵をバックに、中国製珊瑚細工のタイがはねている表紙もミスマッチで、アメリカのB級映画に通じる妙な迫力を覚える。どうもフランスが本店のチェーン店らしいが、味の方は誰も「行きたい」という人がなく、未詳。

47日目の夕食:
Sushi & Sashimi
Sake
Guanciale di vitello cotto a bassa temperatura con spinaci croccanti e purea di patate (写真参照)最近レストランの肉料理というとフィレとかステーキとか、そのままでもおいしいような部位ばかり。でも値段は10分の1くらいで買えるほお肉だって、ちゃんと料理すればおいしいのだ!と訴える先生が「80℃で3時間焼く」べきところ、当校のスケジュールおよび設備では難しいため、紙ぶたをした鍋で2時間くらい?煮たほお肉料理。じゃがいものピューレ添え。
Crocchette マッシュしたじゃがいもが余ったので、チーズや刻みパセリなどを混ぜて成形し、揚げた即席コロッケ。
今日はすしがメインなので、食後のコーヒーはなし。寂しいなあ。

3月20日・ジャンルーカの南伊風お魚編

2007-03-26 04:27:08 | 料理学院
3月20日(火曜) 講師:ジャンルーカ校長(その8)

さてベラルーシ人+アゼルバイジャン人チームが加わっての調理講習。お店が火曜日定休らしい、Cinqueterreのマウリツィオさんも1週間ぶりに登場。彼はペペロンチーノ柄だのトマト柄だののコックズボンを愛用しているが、ジャンルーカがアメリカでプレゼントされたものとは違ってイタリア製だと言う。カタログを持ってきてあげようとの約束を守ってちゃんと持ってきてくれたが、「野生のアスパラ」のアの字も出なかったのは何故だ。最近の流行は「東洋風」(キモノ衿、漢字のモチーフ)と新素材。なんでも素早く熱を逃がし夏でも暑くない素材があるそうだ。イタリアは法律により調理人は必ず長袖のコックコートを着用しなくてはいけないので(といってもTシャツで仕事をしている人はいっぱいいる。ただしそれで腕にやけどをしたりキズを負ったりした場合は保険料の算定に影響すると思う)、切実な問題なのである。マウリツィオは海辺のレストランのコックだから、当然店でも出せるような、しかも暖かい時期向きの魚介料理が今日のテーマ。したがって南イタリアの調理法や味つけを取り入れたシンプルなメニュー。日本語とベラルーシ語の2人の通訳がしゃべりまくってはウルサイので、今日もなるべく口を出さず、ただ誤解が生じたり理論的な説明は聞き逃したりしないようには気をつける。したがってヒマなので、いっぱいいるに違いないにんにくの準備などしていたら、2玉使ってまだ足りなかった。

46日目の昼食:
Filetto di pesce bianco (nasello e ombrina)con pomodori gratinati al profumo di salvia 銀ダラとニベ、グリーントマトのオーブン焼き セージ風味
Involtini di tonno con peperoni マグロとパプリカのロール巻き 本当はイワシで作るのだが、海が荒れてイワシ漁ができなかったらしい。かわりにマグロを切り身にして肉たたきで薄く伸ばして使用。
Insalata verde グリーンサラダ
Stracci di pasta fresca con calamari, cozze e peperoni 卵を入れない不ぞろいの手打ちパスタ、ヤリイカ、ムール貝、パプリカのソース(写真参照)ベラルーシ2人組のうち、ご主人の方はパスタが大好きらしいので、生徒さんはみな一通り体験したことでもあり一からやっていただく。バスケット選手になれそうなくらい(コーリーといい勝負)背が高く手が大きいので、こねたり伸したりする作業にはピッタリだ。
Caffè エスプレッソコーヒー

翌日のラファエレ先生のレシピはすべて新作なので、その解読と翻訳に励む。解読といってもパソコンで書かれており悪筆で読めないのではなく、肝心のタイトルが書かれている部分に店のロゴが重なっていて読めなかったり、他の先生は絶対に使わないような器具や材料が含まれており、しかもその綴りが間違っていたりするためである。前菜は中身をくり抜いたトマトを皿に伏せ、その下にガルブージという謎の物体を油で揚げてもぐりこませるらしい。なぜこれを下に置いてからトマトを置かないのかは凡人の考えの及ばぬ神秘の世界である。デザートは「4人分」とわざわざ明記してあるのに、材料名があるだけで分量がまったく書かれていない。400人分だったら何が変わるのだろう。砂糖の代わりに塩を入れるとか?

46日目の夕食:
Insalata con vitello, sedano, pomodoro e cipolla 子牛肉、セロリ、トマト、玉ねぎのサラダ
Cacciucco alla livornese リヴォルノ風カチュッコ 今日はシャコが手に入らなかったので画竜点睛を欠く。
Polpettini con bietola 小ダコとビエトラの炊き合わせ(と書くと和食のようだがホントに白ご飯と合わせてもいいくらい)
Charlotte di fragole con crema alla robiola イチゴとロビオーラチーズクリームのシャルロット
Caffè エスプレッソコーヒー

シェフは助手ともども今晩はこちらに泊まるというが23時を過ぎても気配なし。買出しのリストを作るジャンルーカもマリエッラも「この『ガルブージ』って何のこと?」と口々に言っている。「ネット検索しようか?」と言ったら「何がネットだ、本人に電話して聞く!」と一蹴される。が、無視して調べる。前夜MTVを観ていた生徒さんが「日本では絶対放映されないスゲエアニメを3つも」を見たというので、その正体も調べなくちゃいけないから。その結果わかったのは「ある冷凍食品の会社が販売しているロングパスタの名称」ということだった。「スゲエアニメ」の方は、1)プロレスリングの上で人間が次々に殺しあう Celebrity Death Match(アメリカ・アニメ評論家のカイザー先生によると「モルトブルット」な作品)、2)放送禁止用語が連発されるという、シカゴが舞台のThe Boondocks、3)かわいい動物たちがこれまた次々と、しかもエゲツナイ方法で死んで(殺されて)いくHappy Tree Friendsという作品と判明。放映はしてないかもしれないけど、DVDは日本でも入手できるらしいのでびっくりした。来週もあるらしいから、これから火曜日は生徒さんはみな寝不足でゾンビ状態になりそうだ。