山茶花談

さざんかだん

松本哲男展

2017-12-18 | 日誌


高崎市タワー美術館で開かれている、松本哲男展を見に行きました。
巨大なサイズの日本画の風景画です。
美術館の壁面の端から端まである
パネルが何枚も継がれた作品も多く、圧巻でした。

ひとつひとつの作品に付けられている説明が
それぞれたいへん印象深かったです。

最初に展示されていた山の作品は
栃木の那須で教師をされていたころに
通勤途中に見えた山だったそうです。

大きな山をどんなふうに描けばよいか分からなかったため
山に行き、木に触れ
その日触れた木の数だけ、絵に描いたそうです。
夥しい木が細やかな線描で埋め尽くされた
巨大な山の細密画でした。

たくさんの山や、世界の名所に赴かれ
何日もその山の中に入ったり
風景の前でスケッチを何度も重ねるうちに
いつしか独自の感覚が風景から感じられたそうです。

巨大なアフリカのヴィクトリアの滝の絵では
あまりに巨大な滝の風景から
最初、描くことを拒否されたように感じたそうです。

わたしがとても印象深かった作品
パンフレットの上の絵のグランドキャニオンですが
(右端が横ページにまだ続く大きさです)
淡く岩絵の具で岩が描かれているのですが
風景と絵の具が同じ素材で共鳴し合っているような
水と岩の絵の具が呼吸しているようにも感じられました。
焦点のないものは、目の前のすべてを描けばよいことを、山の絵を描いていて学んだ
・・と書かれていましたが
絵の前に立つと、グランドキャニオン全体がふわっと体の中に入ってきます。

風景の中に人物等は入っていないのですが
チベットのラダックを上部から見下ろして見たときに
山に囲まれたラダックの町の風景全体が曼荼羅に見えたそうで
ラダックの風景と空の上に、曼荼羅が重ねて描かれていました。

わたしも昔、インドのデカン高原をひたすらタクシーに乗って
平地を進んだとき、サーンチー
急にお椀をさかさまにした半円球の釈迦の遺骨を納めたストゥーパが現れました。
ほんとうに何もない平地に、そのストゥーパだけが静かに立っていて
建造物の修復をしていた男性の石を刻む音だけが
コーン、コーン・・と響いていました。
その丘に立った時、なぜかここは世界の中心のようだと感じました。
この展覧会を見た後思ったのですが
平地に半円球状の中心、その上に石の彫刻・・と
サーンチーは天から見下ろすと曼荼羅のようで
上のストゥーパは須弥山のようですね。






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