山茶花談

さざんかだん

詩人

2020-08-25 | 版画



生まれたばかりの、まっしろな本。
その紙が、とても白くて
自分の指の皮脂で汚してしまいそうで
ページをめくるのがためらわれた。

異国の路地の飲食店、
金属の串がたくさん刺された1個のレモン。
そのレモンのイメージがあまりに美しく、強く
カメラ越しの映像だという文字が
頭の中からすっかり消し去られていた。

詩人は周りの世界から繊細にイメージを深く広げて
文字を紡ぐ。

わたしは詩の形式も疎くて
たまたま好きな作家が数人だけ、
ペン画で描いてきた中原中也と
ポオにブレイク。

中也は自分の環境を透明な眼でイメージを広げながら語り
ポオは空想の世界をリアルに表現し。


先のレモンの詩が
カメラ越しの映像だということに
軽い衝撃を受けた。

現代詩がどんなものなのかわからないけれど
これは現代詩だ、と
なぜだか強く思えて。

詩人はカメラ越しの世界も
こんなに印象を深く感じ、文字に綴る。

コロナ下ではありますが
ある人はどこまでも世界を広げられるのですね。

詩集を送ってくださった詩人の方の
その誠実な人となりが詩から染み入るように感じられてきて。

ご受賞、おめでとうございます。
次作品、とても楽しみにしています。


※ 「休息」 メゾチント





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植物の時間

2020-08-17 | 日誌


「世界はここを中心に回ってるのよ・・」

何年か前に、河川敷の小さな蓮池で
そんな声が聞こえてくるようでした。






大雨で河川敷の芝生は全部水につかってしまい
蓮池はすっかり干上がってしまっていたのですが
今年は
杭が打たれた中に、自然にまあるい形で蓮が茂りました。
どの方角から見ても、それぞれが素晴らしくバランスの良かたちで。






そこからすこし先に見えた薄桃色。
曇り空に淡い桃色の花をびっしり咲かせたサルスベリ。
根元に落ちた花びらもうっすらと広がる桃色。








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