山茶花談

さざんかだん

年下の兄弟

2022-01-23 | ペン画




外では、マンリョウとナンテンの実の赤色が
冬の木々の深い緑色の中で
薄い陽に照らされながら鮮やかに輝いています。


ここ数年
縁があって読んだ何人かの著者の本の中で
木々が地中の根の間の菌糸によって
さまざまな情報、栄養や危険信号などを
共有し合っていることを知りました。


窓から見える薄茶色の山も
この山の木すべてもそうなのだろうと想像しながら
立ち枯れている木も多く
山の古老の木たちが
地中で栄養を運んでいるのかもしれません。


日本の奥深い森の中で
粘菌を収集、発見した南方熊楠も
ひとり森の中で長い期間彷徨ううちに
自然と森から情報を
夢という深い意識下で受け取っていたのかもしれない・・
とも思われてきます。


民俗学の本にも出てくるように
深い山の中で暮らしていると
すこし不安定になる人が出てくるのですが
ひょっとすると
人の意識と、巨大に共有されている森の意識が
せめぎ合っての症状なのかもしれないと思いました。


ある植物学者が紹介するネイティブアメリカンの神話では
水も木も本来贈り物で
人は植物の一番下の兄弟、
だから人は他の生き物たちを先生として教えを乞う。


日本の古事記は人の存在が大きいようですが
物語からイメージを広げると
個人的に好きな、ガガイモの船に乗ってやってきた小さな神様や
体中から植物が生えてきた神様など
人を通してたくさんの植物が登場します。


ネイティブアメリカンも、日本の神話も
植物は何もなかった大地に贈られたもの。


その贈り物を
人の生産性から汚染しつつ生活している自分は
どう変換すればいいのだろう。


地面に生える小さな植物や土、冷たい冬の風、
草の中を流れる川、夜空に響く鴨の鳴き声、
それらの生き物の下の存在が人間だったら・・
と、まずは固い思考を変換させることから。


植物があふれる絵を描きながら
小さな実をびっしり付けたマンリョウや
次の花芽をたくさん出しているモクレンの大木の下で
そっと耳をすませてみる。





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壬寅

2022-01-01 | ペン画


新年明けましておめでとうございます。

昨年中は大変お世話になりました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

空の上から壬寅が降りてきました。

水のようにしなやかに、強くたくましい年になりますように。




※ 「壬寅」  Mizunoe Tora  Pen Gouache: gold and white    F6










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