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山茶花談

さざんかだん

朝の歌

2020-02-16 | 中原中也


中原中也 「朝の歌」より  monoprint, pen 2005



樹脂の香に 朝は悩まし
 
うしなひし さまざまのゆめ、

森立は 風に鳴るかな


ひろごりて たひらかの空、

土手づたひ きえてゆくかな

うつくしき さまざまの夢。






天井に 朱(あか)きいろで 戸の隙を 洩れ入る光 ・・・と詩は始まります。
昨日見たウッディ・アレンの映画は、過去の世界にタイムスリップした男性が
過去の世界で巨匠の画家や小説家に出会う物語。
過去の世界だったら自分の小説も認められるのでは・・と期待しつつ
過去で出会った女性が、更に過去にタイムスリップして同じことをつぶやくのを見て
はたと「いま」に気づきます。
中也が過ごした朝の光や森立の音は、いまもわたしたちの近くにあって
中也の呼吸がすぐそばで感じられてきます。
うしなひし、うつくしきさまざまな夢は歴史の中で積み重なりながら
「春の日の夕暮」の わたしたちの ”自らの静脈管の中へ” 前進し続けています。






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この小児

2020-02-05 | 中原中也


「この小児」   monoprint , pen


黒雲空にすぢ引けば、
この小児
搾(しぼ)る涙は
銀の液・・・

    地球が二つに割れればいい、
    そして片方は洋行すればいい、
    すれば私はもう片方に腰掛けて
    青空をばかり―


中原中也 「この小児」より 






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春の日の夕暮れ

2019-04-28 | 中原中也


瓦が一枚 はぐれました

これから春の日の夕暮は

無言ながら 前進します

自(みずか)らの 静脈管の中へです



(中原中也 / 春の日の夕暮 / Monoprint・Pen)





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2018-09-14 | 中原中也



錆(さ)びつく鑵の煙草とりいで

月は懶(ものう)く喫つてゐる。



(中原中也)

※ 「月」より モノプリント・ペン 2007年




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冬の長門峡

2018-03-03 | 中原中也



水は、恰(あたか)も魂あるものの如く、

流れ流れてありにけり。


(中原中也)
※冬の長門峡  木版/ペン  2006年



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