山茶花談

さざんかだん

屏風

2017-11-17 | 日誌


今週末まで、高崎市タワー美術館で
「巨匠たちが愛した修善寺展」が開かれています。
日本画家の大きな屏風が圧巻でした。

入ってすぐの横山大観の「松竹遊禽」は、背景が一面金拍で輝いています。
左右2組の屏風にはカササギが描かれていますが
くちばしがとても大きくて愛嬌があります。
右の屏風、松の幹の丸い多数の木肌のひとつひとつの中には
くるくるとナルトのように筆で無造作に模様が描かれていて面白いです。
大観の名前も習字の書の書き方でなく
絵筆で描かれたかわいらしい文字で好きです。

日本画はこちらの美術館で見るまで
教科書などではきめ細やかに見えたので
実際は勢いよく絵筆で描かれていることを知りました。
遠くから見ると、左右の屏風の中の空気・空間が感じられてきて
ずっとその前に座っていたくなります。


また、今村紫紅の琵琶叭々鳥
特に右の屏風、クリーム色の地に、画面上半分に描かれた
琵琶の木の空間がすばらしかったです。
叭々鳥は、吉祥の鳥でよく描かれていますが
不思議なかたちの鳥ですね。

最後の部屋の新井勝利の「葡萄」。
瑞々しいです。
全体が淡く明るい黄緑の中に、葡萄もあまり強く描かれず
その黄緑の中に溶けてしまいそうです。
巨大な屏風一面のツタの葡萄を、おそらく作家が感じたまま
その淡い緑の透明な世界が描かれています。

絵は、人の心象が描かれたものですが
このすばらしい巨大な屏風の前に立っていると
周りに何も環境がなくても
この前で座ってお茶を飲むだけで至福だろうと思えてきます。
周囲の環境を必要と感じず
閉じられた空間の中でも絵と対峙していると幸せに満たされる
人はとても不思議な生き物だなと、つくづく思いました。



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