サザンカの宿

登場人物:ろば太(夫)、せんた君(妻、趣味「洗濯」)、感謝くん(双子娘A、癇癪持ち)、めん・たい子(双子娘B、食欲旺盛)

ちょっと違うぞ、めん・たい子!

2006年10月31日 | 子育て進行形
日曜日は、
町内子供会主催のボーリング大会でした。

『小学生無料、大人1人1000円』、
との回覧版の事務的な案内を
「元を取る」を座右の銘にするろば太が
漫然と見逃す筈はありません。
しっかりと、
子供2名、大人2名の2千円を前納していたのでした。

感謝くん
「おとさんに負けないぞ。」

めん・たい子
「おかさん、教えてね。」

せんた君
「ろばちゃんにハンデあげる?」

ろば太
「おにぎり、梅でいい?」

などと、
銘々の思いを乗せて
仲良し4人はボウリング場入りしたのでした。

受付には子供会会長と思われる戸籍係長のような男性が、
名簿を見ながら蛍光ペンでチェックをしています。

職場の宴会幹事なら大声で、
「ここは、関所でーす。 
 会費払わないと入れませーん。」
などと開演前の盛り上げに入るところですが、
事務に追われる係長に
その余裕はありません。

ろば太
「山茶花ろば太(仮名)です。」

受付の男性
「あ、どうも。
 えー、おとうさんは、3レーン。
 おかあさんは、6レーン。
 感謝くんは、11レーン。
 めん・たい子ちゃんは、14レーンです。」

ろば太
「え?
 子供と一緒のレーンじゃないんですか?」

せんた君
「子供たち、ボウリングなんてやったことないんです。」

感謝くん
「おかさん、一人じゃ怖いよぉ。」

めん・たい子
「いやだいやだ。やりたくないよぉ。」

子供会会長の男性
「おとうさん、おかあさんが、
 子供さんのところに付いていてもいいですよ。」

ろば太
「で、でも、
 せっかく、、、。」

子供会会長の男性
「すみませんでした。
 せっかくの機会ですものね。
 親子一緒の方がいいでしょう。」

ろば太
「し、しかし、それでは、
 私たちが、既に、、、。」

子供会会長の男性
「いいえ、気になさらないでください。
 ご両親の分は、
 他の方が、代わりにプレーしますから。
 組み合わせに支障はないでしょう。」

怒り心頭に発しなんとするせんた君の肩を押さえ、
怖い怖いという子供たちを腰につかまらせ、
一見すると仲のいい電車ごっこのような一列縦隊で、
レーンに向かうろば太一家。

感謝くんに付き添いながらも上の空のろば太。
教える振りをしながら、
めん・たい子を振り切って、
一人でボールを投げようとするせんた君。

釈然としないまま
予定の2ゲームが終了し、
3階のホールに会場は移され、
各賞の表彰式となった。

子供会会長
「小学1年生の部、1位、
 感謝くん。
 あれ、感謝くーん。」

何の用だとばかりに、
のっそりと前に出て行く感謝くん。
会長から渡された景品を黙って受け取り、
邪魔だとばかりにせんた君に渡す。

せんた君
「と、図書カードよ。
 やった、1000円分回収。」

子供会会長
「2位は、、、ちゃん、
 3位は、、、くん。」

ろば太
「呼ばれないな。」

子供会会長
「そして、ブービーは、、、」

ろば太
「ブービーは、、、?
 早く言ってよ、係長!
 ・・・
 よし、いけ、めん・たい子。」

子供会会長
「、、、くんです。」

ろば太
「何だよ、めん・たい子。
 中途半端だな。」

めん・たい子
「おとさん、何で急に怒るの?」

それ以降、
めん・たい子と口を聞かないろば太であったが、
さすがに大人気なかったと夜中に反省し、
めん・たい子の作文ノートをランドセルから取り出して、
週末の宿題である作文を盗み見する。

「・・・
 はじめてのボウリングでした。
 感謝くんがなまえをよばれたので、
 びっくりしました。
 1とうしょうだったので、
 2どびっくりしました。
 なかには、
 『としょかんのカード』がはいっていました。
 とても、おもしろかったです。
 また、やりたいです。」

ろば太に対する非難めいた言葉が書かれていないことを確かめ、
明日は早起きをして、
図書カードと図書館カードの違いを教えてあげよう、
と新たな目標に心躍らせる、
子供思いのろば太なのであった。

(あ、お久し振りです。
 みなさんお元気でしたか?
 ○○事件に関与していたわけではないのですが、
 すっかり更新をサボってしまいました。
 これから遡って10月分を書きますので、
 しっかり付いてきてくださいね。
 んじゃ!
 
 天高く事情聴取はつづきをり
            櫂未知子   )