サザンカの宿

登場人物:ろば太(夫)、せんた君(妻、趣味「洗濯」)、感謝くん(双子娘A、癇癪持ち)、めん・たい子(双子娘B、食欲旺盛)

朱に交われば、、、。反ソキャンペーン実施中。

2005年09月29日 | 子育て進行形
感謝くん
「今日、ハンソ?」

せんた君
「うん。
 ハンソでいいんじゃない。」

ろば太
「今時、反ソなんて死語じゃない?
 反ソビエト主義って言ったって、
 ソビエトなんてもうないんだからね。」

めん・たい子
「おかさーん。
 たいちゃんは、ナガソがいい。」

ろば太
「なんだい? そりゃ。」

せんた君
「たいちゃんは、風邪ぎみだから、
 ナガソで行った方がいいわね。」

ろば太
「『半そで』『長そで』のことか。
 ハンソで一つの単語だと思ってるんだな。
 おーい、感謝くん、めん・たい子、
 おとさんは、ハンソデデ、行くよ。
 ナガソデデは、行かないよ。」

感謝くん、めん・たい子
「ははは。
 おとさん、変なの。
 ハンソデデ、ナガソデデだって。
 ハンソデデン、ナガソデデデン、
 おかしい、おかしい。
 ははは。」

せんた君
「ふふふ、ほんと。
 ふふふ。」

ろば太
「え?
 ハンソデデデ、ナガソデデデ、
 あれ、ほんと変だね。
 ハンソ、ナガソ、
 あ、そうか、いいんだ。
 ごめん、合ってたんだね。
 じゃあ、おとさんは、
 今日も元気にハンソで行ってくるよ。」


○○に願いを

2005年09月28日 | 子育て進行形
1週間前のこと、、、。
夕食後、歯磨きの仕上げをするろば太。

ろば太
「たいちゃんの下の歯、
 ちょっとぐらついてるね。
 大人の歯に生え変わるのかな。」

めん・たい子
「もうすぐ6歳だもん。
 お友達で、歯抜けてる子いっぱいいるよ。
 あー楽しみ。」

そして、昨日の夜、、、。

ろば太
「さ、仕上げをしますよ。
 はい、アーンして。
 どれどれ、ゴシゴシゴシ、、、。
 う、うわあ!」

めん・たい子
「どうしたの?」

ろば太
「なんか、白い塊が取れたよ。
 おとさんこういうの弱いんだよな。
 歯が抜けたんだよ、きっと。
 痛くなかった?」
 
めん・たい子
「ううん、大丈夫。
 さっぱりだよ。」

ろば太
「さっぱり、、、?
 ああ、さっぱり痛くないってことか。
 えらいなあ、たいちゃん。
 おとさんは、血とか見るの苦手なんだよね。
 たいちゃん、
 抜けた奴、自分で摘んでちょうだい。
 まだ、ベロの上に乗っかってると思うから。」

めん・たい子
「はーい。
 これでしょ?」

目をつむるろば太
「そう、そう。
 じゃあ、
 それは、下の歯だから、
 屋根の上に投げよう。」

めん・たい子の手の中の物をなるべく見ないようにして、
たい子を連れ立って庭に出るろば太。

ろば太
「ようし、元気よくね。
 それ、投げて!」

めん・たい子
「はーい、それー。」

屋根に向かって思い切り投げつけるめん・たい子。
星空に吸い込まれるように勢いよく飛び放たれた白い物体、、、。

何故か、流れ星の時のように、
手を合わせてお願いごとをするめん・たい子とろば太。

 たい子(丈夫な歯になって、デザートたくさん食べられますように。)
 ろば太(神様、歯をあげますから、給料を下げないでください。)

家の中に戻り、
上の歯の歯磨きを続けようとするろば太。

ろば太
「あれ?
 たいちゃん、、、。
 下の歯、まだ付いてるよ。」

めん・たい子
「ふーん、やっぱり、、、。」

ろば太
「なんだい、やっぱりって。」

めん・たい子
「昨日、おとさんの帰り遅かったでしょ。
 だから、仕上げしないで寝たの。」

ろば太
「それで?」

めん・たい子
「昨日は、ね、
 おかさんがタコサラダ作ってくれたの。
 その後ね、 
 ずーっと歯が気持ち悪かったの。
 でもね、
 さっきおとさんが磨いてくれて、
 それで、すっきりさっぱり。」

ろば太
「あれ、タコだったの?
 おとさんたち、
 タコに手を合わせて
 お願いごとしてたの?」



※注 外国人の方へ
  日本では、下の歯が抜けると屋根に、
 上の歯が抜けると縁の下に投げる風習があります。
  西欧では、枕の下に置いておくと、
 天使がそれと引き換えにプレゼントを置いておくそうですね。
  モンゴルでは、守り神と考えられる犬に、
 食べさせるそうです。
  ・・・
  めん・たい子の身代わりとなったタコにも、
 日本では大切な意味があります。
 分かりますか?


 

ゴマ顔

2005年09月27日 | 双子姫作品集

感謝くん、めん・たい子
「おかさん、お腹空いた。」

せんた君、お皿を2枚、
双子姫の前に並べる。

感謝くん
「わーい、やったー。
 今日は何かしら?」

めん・たい子
「うわー、楽しみー。
 デザートだーい好き。」

せんた君
「今日のおやつは、
 ゴマです。」

感謝くん、めん・たい子、ろば太
「え!」

気にせず、ゴマをお皿に盛るせんた君

せんた君
「はい、どうぞ。」

仕方なく指先にゴマを押し付け、
少しずつ食べはじめる双子姫。
やがて、、、

めん・たい子
「うわっ、これ見て。」

ろば太
「何これ、誰の顔作ったの?」

めん・たい子
「ううん、たいちゃんが作ったんじゃないよ。
 食べているうちに、
 かってにこういう顔ができたの。」

ろば太
「こわいよ、それ。」


なーに、普段のとおりでござるよ

2005年09月26日 | 子育て進行形
 拝啓
暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので、
朝晩はめっきり涼しくなりました。
そちらは如何お過ごしですか。

感謝くん
「おとさん、何言ってんの?」

健康とは健体康心の略で、
とどのつまり、
体を健やかに、心を安らかに、
のいいであります。

めん・たい子
「おーい、おとさーん。
 聞いてんのかーい。」

平素、身体には留意しますが、
豈に図らんや、
「心」は如何しょうか。
季節が変わっていくこの時期に、
ちょうどお彼岸というのがあるように思います。

せんた君
「ねえ、できた?」

どうか、
故人へ思いを致すとともに、
ご自身の心も安らかにするよう心掛けて
このお彼岸の時期を
ごゆるりとお過ごしくださいませ。
 敬具

ろば太
「できたよ。」

感謝くん
「そのハガキ、誰に送るの?」

ろば太
「ポーランドの友人だよ。
 漢字読めるようになったっていうから、
 普段、日本の友達同士でやり取りする感じで、
 ハガキを書こうと思ってね。」

せんた君
「ろば太さん、
 2週間前にお隣から借りた
 実用文例集と漢和辞典、
 もう返してきていい?」

ろば太
「ようござんす。」


おとさんは、会ったことないんだよ

2005年09月25日 | 子育て進行形
ろば太のおばあちゃん(86歳)の家に泊まりに行く3人組。
2時間後、曾ばあちゃんの家に到着。

曾ばあちゃん
「いやあ、よぐ来たない。
 先に墓参りさ、行ぐべ。」

お墓に到着。
墓誌の刻まれた石に興味を覚える双子姫。

ろば太
「ここに33歳ってあるでしょ?
 これがおとさんのおじいちゃんだよ。
 33歳で亡くなったんだって。」

感謝くん
「えー、おとさんより若いのに、
 もうおじいちゃんなのー?」

ろば太
「写真1枚だけあるから、
 家に戻ってから見てみようよ。」

曾ばあちゃん家に戻って、
曾じいちゃんの写真を見る3人。

めん・たい子
「これがおとさんのおじいちゃん?」

感謝くん
「いいな、おとさんは。」

ろば太
「何で?」

感謝くん
「だって、おとさんのおじいちゃんは、
 お兄さんみたいなんだもん。
 ・・・
 感謝くんたちのおじいちゃんは、
 本当におじいちゃんみたいなんだよ。」

後で合流することになっていた、
ろば太の両親、双子姫のじいばあが到着。

おじいちゃん
「おいっす! 早かったね。」

感謝くん
「ほら、ね?」

めん・たい子
「ほんとだ。」

ずっと自分を待っていたのだと勘違いして、
双子姫を抱き寄せようとするおじいちゃん。

感謝くん、めん・たい子
「うわあ、おじいちゃんだー。
 ・・・
 逃げろー。
 やっぱり、いいなあ、
 おとさんのおじいちゃんの方が、
 ・・・
 若いし、、、。」



同窓会(その2)

2005年09月24日 | 子育て進行形
英国留学時の友人から、
同窓会のスケジュール調整のメールが届く。

ろば太
「えーと、候補地は、
 石川県と札幌市、、、。
 せんた君どっちがいい?」

せんた君
「蟹のいる所」

ろば太
「そうか、どちらでもオーケー、と。
 あの金沢市の香林坊で食べたお寿司おいしかったよね。
 寿司屋のカウンターで食べるの初めてで緊張したけど、
 大人になって良かったなって思ったよねえ。
 地酒もおいしくてさ、
 べろんべろんに酔っぱらっちゃって。
 今度は、子供がいるから、
 そんなに羽目はずせないけどね。」

せんた君
「私、金沢に行ったことないわよ。」

ろば太
「え、、、。
 ・・・
 札幌のビール園には行ったよね。
 黒ビール7杯も飲んで、
 帽子なくしたんだよ、、、ね?」

せんた君
「一緒に札幌には行きました。
 ビール園には行ってません。」

ろば太
「・・・
 それで、と。
 はは、2月の札幌雪祭りに行くのもいいね。
 どう?」

せんた君
「繁忙期なんじゃない?」

ろば太
「だ、大丈夫、忙しくないと思うよ。
 仕事のピークは年末だから、
 そのころなら休みも取れるよ。」

せんた君
「飛行機の繁忙期、ってことよ。
 チケット取れるのかってこと。
 仕事がヒマなことは分かってるわ。」

ろば太
「な、なんだよ、その言い方。
 膨大な量の仕事を、
 余裕を持ってこなしているから、
 そう見えるんじゃないか。
 今日は、ずいぶん冷たいな。」

せんた君
「胸に手をあてて考えてみたら。」

ろば太、胸に手をあてて、
金沢、札幌の記憶を絞り出す。

(せんた君と行ったと思ってたんだけどなあ、、、
 そうだ、写真があったはず。)

押入れのアルバムを掘り起こし、
思い出の写真を探し出す。

ろば太
「あ、ごめん、思い出した。
 金沢は、せんた君じゃなかった。
 ほら、出張で会社の先輩と行ったんだ。
 写真残ってるよ。」

香林坊の繁華街の真ん中で、
ネクタイを頭に巻いている真っ赤な顔のろば太と、
ワイシャツの裾を出し、
割り箸を両手に持って万歳三唱をする、
薄ら髪の先輩、
その2人の男がカメラに向かって最高の笑顔を振りまいている。

せんた君
「私、この人に似てるの?
 ・・・
 ビール園に行ったのもこの人?」

ろば太
「そういえば、そうだ!
 その写真もあるよ。」

せんた君
「たまには、
 素敵な女性と飲んでみたら?」

同窓会(その1)

2005年09月23日 | 子育て進行形
英国および仏国留学経験あり、
と履歴書に書いているろば太。

当時のご学友達との同窓会の話が舞い込んでいる。

ろば太
「イギリスフランス留学の時の友人から、
 どっかで集まろうっていうメールが来てるんだけど、、、」

感謝くん
「おとさん、
 またどっか行っちゃうの?」

めん・たい子
「やだやだやだやだ。」

せんた君
「3歳の頃のこと覚えてるのよ。
 ろば太さん突然3ケ月間もいなくなったでしょ。
 子供たち、不安なのよ。」

ろば太
「え、突然、じゃないでしょ。
 半年も前から準備してたじゃない。」

せんた君
「子供たちは、相当ショックだったみたいよ。
 飛行機に乗って消えて、
 そのまま3ケ月もいなくなっちゃったんだから。
 だから、今度も一人で行くなんていったら、
 幼稚園に行かない、
 なんていいだすかもしれないわよ。」

ろば太
「そうか、
 ・・・
 じゃあ、みんなで行くか。」

せんた君
「わーい。
 で、どこ?
 イギリス? フランス?
 意外にハワイ?」

ろば太
「違うよ、ジャパンだよ。」

めん・たい子
「え? ジャパンってどこ?
 おいしいケーキとか一杯ある?
 アイスクリームの滑り台とかある?
 もしかして、お菓子の国のこと?」

ろば太
「お菓子の国もあるし、
 お寿司の国もあるし、
 毛蟹の国もあるよ。
 でも、必ず、
 歯磨きの国とか、
 お片づけの国とか、
 お掃除の国とかにも寄らないといけないんだって。」

感謝くん、めん・たい子
「じゃあ、行かなーい。」 

せんた君
「私は、
 足裏マッサージの国と
 海産物三昧の国、
 それにマジックと世界のショーの国、
 で、最後に、
 歯磨いて温泉入って布団敷いてもらって寝る国」

ろば太
「それ、今度の回覧版でまわっていた、
 町内敬老会旅行の、
 付き添いボランティア募集の案内チラシじゃない?
 ・・・
 行きたかったんだ、、、。
 もう、回覧版まわしちゃったよ。」

せんた君
「私の心をわかってくれる人がいる国に行きたい。」

感謝くん、めん・たい子、ろば太
「行ってらっしゃーい。」


曲者は、君だ!

2005年09月22日 | 子育て進行形
ちょいとした用事があって、
遅く帰ってきたろば太。

せんた君
「ざんねん。
 さっきまで起きてたのに、
 待ちくたびれて、
 2階で眠っちゃったわよ。」

ろば太
「そうか、惜しかった。」

吹き抜けになっている2階から、
可愛いくしゃみが、
1回、2回、3回と聞こえてくる。
秋の花粉症でこじらせたろば太の風邪が、
ついに伝染ってしまったか、、、。

ろば太
「あれ、大丈夫かな。」

せんた君
「ああ、大丈夫でしょ。
 ・・・
 多分、、、
 感謝くんかめん・たい子のどっちかよ。」

ろば太
「・・・
 ・・・
 他に誰かいたっけ?」

正解は、サクマのアメ玉です。

2005年09月21日 | 子育て進行形
家に帰ると、
玄関でめん・たい子が泣いている。

ろば太
「どうしたの?」

めん・たい子
「おとさん驚かそうと思って、
 急いで玄関に来たら転んじゃったの。」

ろば太
「うわあ、そりゃ大変だ。
 じゃあ、こっちにおいで。
 ・・・
 はい、おくちアーンして。」

めん・たい子、口を大きく開ける。
ろば太、避難袋から取り出した
サクマドロップを一つめん・たい子の口に入れる。

ろば太
「どう?
 サクマのアメ玉だよ、
 痛くなくなったでしょ?」

めん・たい子
「ほんとだ。すごいね、サクマのアメ玉って。」

様子を伺っていた感謝くんだが、
自分も欲しい、とは言わない。
感謝くんは、甘いものが好きではないのだ。

乱痴気騒ぎの夕食、
逃げ惑う歯磨きアワー、
女だらけの大風呂大会、
といつものメニューをこなし、
後は寝るだけとなった頃、
めん・たい子がまた、泣き出した。

ろば太
「どうしたの?
 どっか痛いの?」

せんた君
「大丈夫?」

めん・たい子
「お腹痛いよお。」

ろば太
「何か変なの食べたかな?」

せんた君
「今日は、お菓子食べなかったわよね?」

感謝くん、恐い顔で、
その場ジョギングを始める。

感謝くん
「言わないから、言わないから。
 私、絶対に言わないから。」

せんた君
「なーに?
 何か知ってるの?」

感謝くん
「ううん、さっきの見てなかったもん。
 ね、おとさん?
 たいちゃんにあげたとこ、
 見てなかったよね?
 大丈夫だよね、恐い人こないよね?」

せんた君
「何か、あげたの?
 ろばちゃん?」

ろば太
「うん、でもそんなのでお腹痛くならないと思うよ。
 だって、ただの、、、。」

感謝くん
「うわっ、
 ・・・
 悪魔の目玉、よ。」



どういう遊び?

2005年09月20日 | 子育て進行形
ごちそうさまをした後、
余った海苔を片付けようとするろば太。

感謝くん
「待って、おとさん。」

海苔を小さく小さくちぎり、
上唇に当てる感謝くん。

感謝くん
「たいちゃんのホクロ」

慌てて新しい海苔をろば太から奪い、
細くちぎって鼻の下につけるめん・たい子

めん・たい子
「おとさんの鼻毛」

三角形にちぎり、
頬骨の高みから頬にかけて海苔を当てるろば太

ろば太
「痩せて見せようとするときの
 せんた君の大袈裟メイク」

横長の長方形に破き、
両目を隠すようにあてがうせんた君

せんた君
「犯罪を犯したおかさん。」

感謝くん
「あ、自分のこと言った!」

めん・たい子
「おかさんの負け!」

双子姫作品集(その3)

2005年09月19日 | 双子姫作品集

1 めん・たい子編
「赤ちゃんは、プールが大好き。
 それは、味噌汁でした。」
「次の日の朝になると、
 赤ちゃんは石が大好きで、
 何度も何度もベランダに投げるので、
 お姉さんは大喜びです。」(ここまでが先週の分)
「夕方になると、
 お姉さんが止めたのに、
 赤ちゃんはお外に行って、
 補助輪のない自転車に乗ってしまいました。」

2 感謝くん編
「ウンチくんはウンチをして、
 自分のウンチになってしまいました。」
「おとうさんは、
 ウンチをして
 自分を驚かせました。」(ここまでが先週分)
「次の朝、
 変なおしっこ(原文は、「おしこ」)がでてきました。
 それは(原文は、「それわ」
 ピンクのおしっこがでてしまったのです。」

なんか、
感謝くんの方は、
止めた方がいいような気がしてきた、、、。


秋晴れの下(その2)

2005年09月18日 | 子育て進行形
小学校の校庭に到着した4人。

せんた君
「開会式で、たいちゃんが挨拶するのよね?」

めん・たい子
「そうだよ。
 ちゃんとみててね。
 大きい声で言うから。」

感謝くん
「でも、、、
 ほんとにちょっとだよ。」

ろば太
「感謝くんの気持ちは良くわかるけど、
 そんなにひがまないでさ。
 代表になるっていうのは、
 すごいことなんだから。
 ほれ、そろそろ始まるよ。
 いってらっしゃい。」

めん・たい子
「はーい。」

開会式の準備が整い、
入場し始める園児たち。
時間通り開会式が始まり、
校長先生、PTA会長の挨拶が終了。
が、いまだ、めん・たい子は出番なし。
そろそろ、開会式が終わってしまう、
そう思い始めた頃、、、

司会の先生
「次に、開会式の終わりの言葉に移ります。
 代表の人が挨拶をします。」

せんた君
「いよいよね。
 私たちの子どもなのに、
 代表に選ばれるなんて意外ね。」

ろば太
「そうだな。
 僕もたいちゃんみたいな子どもじゃなかったからなあ。
 なんだか、こっちが緊張しちゃうよ。
 僕達のような日陰組から、
 あんな主役になるような子どもが生まれるなんて、、、。
 ・・・
 ようし、ビデオは準備完了。」

司会の先生
「グリーン組代表、
 ○○みさきちゃん、○○ゆうとくん、○○あみちゃん、
 ○○こうきくん、○○さとるくん、○○しんごくん。
 イエロー組代表、
 ○○さとしくん、○○みかちゃん、○○なおちゃん、
 ○○わたるくん、○○みずほちゃん、○○たけしくん。
 ブルー組代表、
 ○○けんじくん、○○ひろしくん、○○もとこちゃん、
 ○○はるかちゃん、○○ひとみちゃん、○○ゆきひろくん。
 ピンク組代表、
 ○○なつちゃん、○○れいこちゃん、○○ゆうすけくん、
 ○○ゆうくん、○○すみこちゃん、めん・たい子ちゃん。」

せんた君
「あれ、代表って、
 たいちゃん1人だけだと思ってたのに。」

ろば太
「クラスの3分の1の子が、
 代表になってるんじゃない?」

代表の子が前に整列し、
隙間だらけの残り約3分の2の子供と向き合う、
バランスの悪い隊形。

司会の先生
「では、代表の人たちお願いします。」

代表の子の一人、ゆうすけくん
「これで、開会式を終わります。」

その他の代表の子供たち
「れい!」

一斉に礼をする3分の2の子どもたち。

子どもたち全員がビデオカメラに入るように、
遠景から撮影を開始し、
めん・たい子にズームアップする瞬間を待つろば太。

司会の先生
「はい、それでは、
 代表の人は、列に戻ってくださーい。」

ろば太
「あれ、終わり?
 ・・・
 あ”、たいちゃんのことアップで撮らなかった。
 ・・・
 ま、いいか。
 すっごく上手だったよって誉めてやろう。」

せんた君
「そうね、私も、
 たいちゃんの声しか聞こえなかった、っていうわ。」

ろば太
「思い出したよ。
 そういえば小さい頃、
 「かげひなた」っても呼ばれてたよ。」

せんた君
「あ、私もおんなじ。
 ふふふ。」

笑顔あふれる父兄の列に入り、
同じようににこやかな笑顔で、
子ども達に拍手をする2人。

校庭に映る影は、
どれも心からのような拍手を描き出している。


「秋晴の 人に影あり 砂軋(きし)む
 (ろば太)」



秋晴れの下(その1)

2005年09月17日 | 子育て進行形
今日は楽しい運動会。
会場は、幼稚園隣りの小学校校庭!

雲一つない空は、まさに秋晴れ。
気分も最高・・・!
「運動会 庭の平を 天に向け
 (山口 誓子)」

めん・たい子
「おとさん、絶対にビデオ撮ってね。
 たいちゃん、代表で挨拶するんだから。」

ろば太
「すごいなあ、
 みんなの代表に選ばれるなんて。
 おうちで絵本上手に読んでること
 先生は分かってるんだね。
 がんばってね。」

感謝くん
「でも、たいしたことないんだよ。」

せんた君
「そういうのをヒガミ根性っていうのよ。
 小さいときの私にそっくりだわ。
 やんなっちゃう。」

ろば太
「小学校の時のあだ名が、
 『ヒガミ屋』だったんだっけ?」

せんた君
「違うわよ、、、。
 でも、担任の先生から、
 『偽善者』って言われたことはあったわ。
 ・・・
 ろば太さんは?
 何て呼ばれてたの、みんなから。」

ろば太
「『二重人格者』かな。」

せんた君とろば太、
それぞれの小学生時代を思い出した後、
大きくため息をつく。

せんた君
「何か、今日行きたくなくなっちゃった。」

ろば太
「・・・
 同じ気分だよ。」

感謝くん
「私も」

めん・たい子
「みんな、元気出して、手を振ってー。
 出発進行!1、2、1、2、
 イエーイ。」

(続く)

運動会(めん・たい子の作品)

2005年09月16日 | 双子姫作品集
めん・たい子
「土曜日は、運動会だね。」

感謝くん
「先生が言ってたもんね。
 『運動会で、1個の心にしよう!』って。」

めん・たい子
「・・・
 感謝くんのにする?
 たいちゃんのにする?
 ・・・
 どっちの心にする?」

霊験あらたか、秋の新作メニュー

2005年09月15日 | 子育て進行形
早朝座禅会から帰ってきたろば太。

日頃の心の汚れが落とされ、
風一つない湖の水面のように、
ろば太には今、
全てのものが清らかに映し出されて見える。

何の迷いもない。
何ぞ惑うことあらんや。
いわんやをや。

せんた君
「あ、お帰りなさい。
 あ、ちょっとそのフライパン火に掛けて。」

ろば太
「はい、畏まりました。
 今日も野菜炒めですね。
 少々お待ちください。」

せんた君
「うわっ、あと5分しかない。
 あ。この野菜切っておいたから。」

ろば太
「ええ、大丈夫ですよ。」

せんた君
「あ、ほらほら、焦げちゃう焦げちゃう。」

ろば太
「ふふふ。
 心配ないですよ。
 野菜炒めくらい、
 目をつむっても作れますよ。
 おや、
 この黒いブニャブニャしたものは何ですか?
 今日はこれも入れるんですか。」

せんた君
「き、気をつけて。
 それ、ト、トリュフよ。」

ろば太
「え、黒いダイアモンドって言われている、
 あの、と、とりゅふ?
 な、なんでこんなの買ったの?」

せんた君
「賞味期限が近いからって、
 お隣さんからもらったのよ。
 あ、でも考えてみたら、
 ウチはなーんにも損しないんだったわ。
 落ち着いてやっていいわよ、ろば太さん。
 あれ、ろば太さん、聞いてる?」

感謝くん
「おとさん、頑張って。」

めん・たい子
「どうか、神様。
 お片づけとかちゃんとしますから、
 おとさんを助けてあげてください。」

ろば太
「だ、駄目だ、せんた君。
 なんか急に、
 息苦しくって、
 目の前が白くなってきたよ。」

せんた君
「フライパンが焦げてるのよ。
 ああ、もう幼稚園に送っていかなきゃ。
 ろば太さん、急いで。」

ろば太
「こ、こわいよー。
 もう、目開けられないよお。
 えーい、投げ込んじゃえ。
 これでどうだ!」

感謝くん、めん・たい子、せんた君
「あ”っ」

ろば太
「な、なに?
 怖くて見れないよー。
 どうしたの?」

感謝くん
「・・・
 んもー。
 味噌汁のなべに入っちゃったよ!」

めん・たい子
「どうすんの?
 おとさん!」

せんた君
「もったいない。」