サザンカの宿

登場人物:ろば太(夫)、せんた君(妻、趣味「洗濯」)、感謝くん(双子娘A、癇癪持ち)、めん・たい子(双子娘B、食欲旺盛)

モノ「が」弱いの!

2006年02月28日 | 子育て進行形
せんた君
「乾燥機の調子おかしいんだけど、、、。
 何かした?」

ろば太
「するわけないだろ、僕が。」

せんた君
「おかしいなあ。
 フィルターのゴミ取りすると、
 却って乾かなくなっちゃうのよね。」

ろば太
「そういえば、
 冷蔵庫も、
 知らない間に
 扉が開いちゃってるよね?」

せんた君
「いっつも、
 おとさん開けっ放しにしてるって、
 子供たち怒ってたわよ。
 ろばちゃんが酔っ払ってやってたんじゃないんだ。」

ろば太
「結婚以来、
 一度も酔っ払ったことないだろ?
 携帯っていうか、
 携帯ラジカセも、
 2台ともアンテナ折れてるしね?」

せんた君
「ツマミにずーっと手をあててると、
 FM放送もなんとか聴けるけどね?」

ろば太
「車も塗装が剥げてきたしね?」

せんた君
「私は、
 3回しかぶつけてないのに。」

ろば太
「え?
 知らなかった。
 でも、不思議だよね?
 買ってから10年経ったものばっかりだよね、
 ガタがきてるのって。
 総取替えかな?」

せんた君
「そうね。
 車も電化製品も、
 結婚した時買ったのよね?
 10年しかもたないのね?」

ろば太
「結婚?」

せんた君
「違うわよ。
 結婚の平均寿命っていうか、
 持続年数は、
 38年って言われてるのよ。」

ろば太
「すごいな、せんた君。
 数学苦手なくせして!」

せんた君
「離婚するか、
 どちらかが死んじゃうか、
 その間38年なんだって。
 私たちは、
 どっちかしらね?
 賭ける?」

ろば太
「離婚か死ぬかってこと?
 ・・・
 何の得にもならないよね?」

せんた君
「そうかしら?
 あ、いや、
 そ、そうね。
 ・・・
 そう考えると、
 金婚式ってすごいことなのね?」

ろば太
「金婚式のお祝い品で、
 豪華な品物をくれる町があったはずだよ。
 車とか乾燥機とか、
 FMもバッチリ聴けちゃうラジカセなんかもあるかもね?
 ようやくやる気が出てきたぞ。
 よーし、調べてみよう!」

せんた君
「ホントに、
 モノに弱いわね?」



パンのみに生きる

2006年02月27日 | 子育て進行形
ゴミ袋ほぼ一袋分のススとタールを
2千円弱の煙突ブラシで掻き出し、
薪ストーブを見事立ち直らせた救世主ろば太。

復活祭の献立は、
せんた君オリジナル、
ルクルーゼで煮込む闇鍋風ポトフと、
ろば太オリジナル、
あっちちっち持てないよ焼きたてパンである。

ろば太
「たいちゃん?
 パンにハチミツ塗る?」

めん・たい子
「いやだ。
 メープルシロップの方がいい。
 だって、
 ハチミツは、
 ハチの味がするんだもん。」

ろば太
「すごいなあ。
 敏感っていうのかなあ、
 そういうのも。
 世の中に直接役に立たない
 天性の特殊能力って、
 おとさん大好きなんだよねえ。」

感謝くん
「へえ、そうなんだ。」

ろば太
「大体さあ、
 役に立つかどうかなんて
 社会と自分の摩擦具合によるわけだから、
 ヘタに知識とかあるいは哲学とか身に付けちゃうと、
 その厚くて重い鎧を着て
 複雑な生活世界と接するわけだから、
 却って身動きとれなくなることもあるんだよねえ。」

感謝くん
「ふむふむ。」

ろば太
「人は生まれながらに、
 あらゆる可能性をもってる筈なんだよ、
 自分の中に本来あった
 その全能力を信じてさえいれば、
 他人の振りを見て、
 テレビ買わなきゃとか、
 素敵なバックと洋服に替えなきゃとか、
 資格とらなきゃとか、
 昔は痩せていたとか、
 そんなこと気にしない筈なんだよね。」 
 
せんた君
「それって、私のこと?
 もしかして?」

ろば太
「あ、あれ?
 感謝くんの相槌は、
 不思議な力があるなあ。」

感謝くん
「ははは。
 ・・・
 って、おとさん?
 何言ってるか、
 全然わかんないよ!
 早く、パンちょうだい!」



煙突掃除(その3)

2006年02月26日 | 炉端でろば太
ろば太の家から
歩いて5分ほどの場所に、
人通りもまばらな
ちょっとした商店街がある。

わずか50メートルほどの通りに、
昼夜の店、
左右合わせて20軒程度はあるだろうか。

どういう経緯でそうなったのか、
肉屋が道路を挟んで睨み合っていたり、
個人名を店名にしたスーパーが2軒頭を突き合わせていたり、
銀行の両脇をスナックが挟み込んでいたりと、
最後の1軒になることを目指して、
不毛な戦いをしているかのようである。

金物屋も何故か2軒、
商店街の入り口付近と出口付近にあるのだが、
こちらは早々に戦意を失っているらしく、
どちらも今の老夫婦の代を最後に、
店を閉めるつもりのようである。

先の電話で
脈のありそうな金物屋へ入るろば太。
金物屋でモノを買うのは、
生まれて初めての経験である。

いつからあるのか分からないような
ゴキブリホイホイやら、
ハエたたきがこの季節でも店頭に並んでいて、
商品の入れ替えをする気配は全くない。

狭く薄暗い店内の埃を被った陳列ケースを抜けていくと、
小上がりような2畳敷き程度の一角に
コタツに入ってテレビを見ながら
店番をしている老夫婦の丸めた背中が見える。

ろば太
「先ほど電話した者ですが、
 煙突ブラシください。」

老夫
「1,628円だない。」

ろば太
「え?
 さっき電話では、
 1万6千円ぐらいって、、、。」

老夫
「似でだげっちょない。
 ちっと、違がったがな?
 ふあっはっは。
(日本語訳:
 当方の手違いで申し訳ありません。
 数字を読み違えておりました。
 今後このようなことのないよう、
 全社総力を挙げて、
 この問題を解決していく所存です。)」

ろば太
「いや、安い方がありがたいですよ。
 はい、1,630円。」

自分の財布からお金を出すろば太。

老婦
「わざわざ来てくれてありがと。
 1,620円にまけてやっから。」

ろば太
「あ、ありがとうございます。」

ススキの穂のような煙突ブラシを受け取り、
火消しのまとい持ちのように振りながら、
人通りのない商店街を引き返し、
家路を急ぐろば太。

「♪戸締り用心火の用心、
  一日一回良いことを、
  ニコニコニッコリ日曜日♪
 ・・・
 あのお金に手をつけないで良かった。
 ・・・
 待ってるんだよ、子供たち。
 いますぐ帰るからね。
 おとさんは、
 君たちの財産を命がけで、
 守ったんだよ。」

(つづく?
 ・・・
 いつになったら、
 掃除するんだろう。)

煙突掃除(その2)

2006年02月25日 | 炉端でろば太
果たして
優雅な暮らしの象徴である暖炉や薪ストーブに使う
煙突ブラシなんぞが、
この町で手に入るものかといぶかしんでいたのだが、
予め近所の金物屋に電話したところ、
1軒目こそ「『今は』切らしている。」
と、我が身のすれ違い人生を嘆いたものの、
2軒目で「あったハズだ。」
との好感触をつかんでいたのである。

ろば太
「お高いものなんでしょうね?
 いくら用意していけばいいのでしょう?」

電話口のお爺さん
「んー。
 1万6千円だったっけなあ。
 2万円あれば大丈夫だっぺ。
 探してみっから。」

煙突掃除をプロに頼めば3万円。
自分でやれば道具代2万円弱で済む。
しかし、
家中ススだらけの顔グロ家族になる恐れもある。

どうする、ろば太。
一世一代の結論を出す時が来たようだ。
浅はかな人間の知恵だけで、
この問題を解決するのは無理ではないのか?

箪笥に向かって手を合わせ、
呼吸を整えるろば太。

と、
一番上の引き出しが
手招きをしているような気がして、
立ち上がって覗いてみるろば太。

そこには、
子供から預かっていたお年玉袋たちが、
行き場のない袋小路に突き当たって、
立ち惑って嘆き悲しんでいるではないか。

ぼろぼろの外袋には目もくれず、
神々しい千円札の束だけを
すばやく抜き取るろば太。

「子供たちのためでもあるんだ。
 俺が悪いんじゃねえや。
 いや、待てよ。
 お年玉袋は取っちゃいねえんだ。
 たまたま落っこちていたお金を拾っただけなんだ。
 俺の運が良かっただけなんだ。
 俺は悪くねえんだ。」

ポケットに
幸福行きのその切符をしまい込み、
フード付きのジャンパーとマスクで顔を隠し、
近所の金物屋へと向かうろば太。

(つづく、、、
 といいな。)

煙突掃除(その1)

2006年02月24日 | 炉端でろば太
せっかくマグロを買ってきたというのに、
家族の出迎えがない。
玄関を入ってただいまと言っても、
誰も返事をしない。
中に入ると、
火が消えたように静かである。

ろば太
「ただいま。
 どうしたの?
 何かあった?」

せんた君
「ん?
 別に。
 どうして?」

ろば太
「何か、みんな元気なさそうだからさ。」

せんた君
「薪ストーブ、
 調子悪いのよ。
 煙が逆流しちゃうの。」

ろば太
「なんだ、
 本当に火が消えてたんだ、、、。」

せんた君
「すごい煙だったのよ、もう。
 しばらくスモークサーモンとか、
 スモークチーズとか食べたくない気分よ。
 このストーブを買ったチューズデーさんに電話したんだけど、
 予定が一杯ですぐに行けないって言われちゃったの。
 ま、来てもらうと3万円ぐらいかかるしね。
 あーあ、
 薪ストーブがなくなっちゃったら、
 せっかくの冬の楽しみがなくなっちゃうわね。
 夏の衣替えしちゃおうかしら。」

ろば太
「じゃあ、自分で煙突掃除してみるか?」

せんた君
「大丈夫?
 そんなに腕長くないでしょ?」

ろば太
「煙突ブラシを使うんだよ。
 僕に任せて。」

ろば太の笑顔に、
苦笑いで返すせんた君。
それを見逃さない結婚暦10年目のろば太。

ようし、見てろ!
3万円の煙突掃除代を浮かせてやろうじゃないか。
代わりに、
「田酒」10本買ってもらうからな!

(つづく
  、、、のだろうか?)


思わぬ人

2006年02月22日 | 子育て進行形
家に帰るなり、
せんた君から
めん・たい子の悪行を聞かされるろば太。

せんた君
「私、具合悪いから
 お友達呼んじゃだめだって言ったのに、
 連れて来たのよ。
 今日は暖かかったから、
 『縄跳びとかして、
  お外で遊んでね』、
 って言ったら、
 泣き出すのよ、
 もうまったく。
 そのうち呆れて
 お友達とお母さんが帰ろうとしたら、
 裸足で表に飛び出して
 どこまでも追いかけて行くのよ。
 道路の真ん中でひっくり返って、
 『遊びたかったんだあ』、
 って大声で泣くの。
 お友達のお母さんが気の毒がって、
 お家に来てもいいよって、
 連れてってくれたんだけど、
 あんまり迷惑かけらんないから、
 30分ぐらい経って迎えにいったら、
 ガムなんかもらっちゃって、
 すっかり、上機嫌なの。
 一安心、と思って家に帰ったら、
 ホントは違うので遊びたかったんだー
 ってまた泣き出しちゃって。
 もう、参っちゃったわ。
 さっきようやく眠ったとこなの。
 もう、おかさんと寝ないからねー、
 なんて泣いて布団叩きながら。
 情緒不安定ね、あの子。」

ろば太
「ふふふ、可愛いじゃない?」

せんた君
「どこが可愛いのよ。
 もう、こっちの身にもなってよ。
 ろばちゃんだったらどうする、
 そういう時?」

ろば太
「んー。
 実際に起こらないと分からないけど、、、。
 でも、
 たいちゃん、
 また風邪ひいたんじゃないのかなあ。
 いっつも、
 わがままな行動取ったあと、
 熱出したり、
 具合悪くなったりするでしょ?」

せんた君
「あ、そういえば、
 寝入りばなに、
 すごい咳してたかも。
 ・・・
 そう考えると、
 確かにそうね。
 ・・・
 ろばちゃんの方が、
 子供の気持ち分かるのかもね?」

ろば太
「はっはっは。
 そりゃそうでしょ。
 双子ちゃんのこと大好きだもん。」

せんた君
「あの子たち、
 ろばちゃんの誕生日に、
 何にもあげなかったのにね?」

ろば太
「・・・
 う、うん。
 でも、せんた君だって、、、。」

せんた君
「お手紙と手作りのネックレスもらったわよ。
 ・・・
 どっかにいっちゃったけど。」

ろば太
「思う人に思われず、
 思わぬ人に思われる。
 なんか、学生時代の恋愛みたいだなあ。」

せんた君
「思われたことなんてあったの?」

ろば太
「多分、ね。」

せんた君
「勘違いじゃない?
 電話とか手紙とかもらった?」

ろば太
「い、いや。
 目が合ったとき、
 ドギマギしてたから。」

せんた君
「むきになって見返す女の子なんていないでしょ?」

ろば太
「そ、そうか、、、。」

せんた君
「座禅会に行ったり、
 仏教の本とかばっかり読んでたんでしょ?
 もてるわけないよ、ろばちゃん。」

ろば太
「その奥さんなんだよ、
 せんた君は。」

せんた君
「え、ホント?
 そんなこと考えたこともなかったんだけど、、、。
 ・・・
 どうしよう?」

 

意外な才覚

2006年02月21日 | 子育て進行形
めん・たい子
「金メダル取れたよ。」

イタリアのトリノという所で、
オリンピックが開かれているという噂を
職場で耳にしているろば太。

ろば太
「カーリング?
 それとも今流行りのミキティ?」

感謝くん
「私は、銀メダルだったの。」

せんた君
「幼稚園で、ミニ運動会があったんだって。
 縄跳びとか、
 風船突きとか、
 ホッピングとか、
 何種目かあるらしいわよ。」

ろば太
「幼稚園のことか、、、
 でも、珍しいね、
 たいちゃんの方が、
 運動苦手なのに。
 何に出たの?」

めん・たい子、感謝くん
「なわとびー!」

ろば太
「めん・たい子は、何回?」

めん・たい子
「28回」

ろば太
「感謝くんは?」

感謝くん
「94回」

ろば太
「え?
 感謝くんの方が多いのに、
 銀メダルなの?」

感謝くん
「私は、前跳びで、
 たいちゃんは、後ろ跳びなの。」

せんた君
「前跳びに出た子は、
 10人以上いたんだって。
 後ろ跳びは、
 2人だけだったみたいよ。」

ろば太
「へえ、
 たいちゃんは選び方が上手いねえ。
 2人しかいなきゃ、
 メダルもらえるもんね。
 案外、たいちゃん才能あるのかもね。」

せんた君
「隙間産業の?」



業界用語

2006年02月20日 | 子育て進行形
半年振りにラーメン屋に行くろば太一家。

せんた君
「ラーメンは好きなんだけど、
 あのグルグルが嫌いなのよ。」

ろば太
「ナルトのことでしょ。」

感謝くん
「ミソタンメンは好きなんだけど、
 あの黒い耳たぶがイヤなの。」

ろば太
「それは、
 きくらげっていうんだよ、本当はね。」

めん・たい子
「チャーシューメンは好きなんだけど、
 あの、
 木みたいなのがイヤなの。」

ろば太
「ん?
 それは分かんないや。
 何?」

感謝くん
「分かった。
 チクワみたいな奴でしょ?」

めん・たい子
「そう、そう。」

ろば太
「え、何だろうなあ。
 木みたいでチクワみたいなのって。」

せんた君
「分かった、
 割り箸じゃない?」

めん・たい子
「ぶぶー。
 正解は、
 シナチクでした。」

ろば太
「木に色形が似ていて、
 チクワと名前のチクが一緒か、、、。
 なるほどね。
 あ、せんた君、
 そのハックション取ってちょうだい?」

せんた君
「あ、コショウね。
 はいどうぞ。
 このスープおいしいわね。
 オガクズのダシがよく出てるわ。」

ろば太
「うん、カツオ節ね。」



灰色の世界

2006年02月18日 | 炉端でろば太
合気道の寒稽古を終え、
銘酒「八海山」に酔い痴れるろば太。

今週1週間は、
3時間のつらい稽古が
毎日あったのである。
春を思わせる暖かい日が1日あったものの、
残雪の、氷点下の、淡雪の、吹雪の、
白い世界を、
毎日毎日通い詰めたのである。

皆勤賞を取ったのは、
門人50人のうち
わずか3人。

帰国を控えて是が非でも
黒帯を取らねばならぬ米国人男性。
3ケ月前に入門したばかりで、
身体を動かしていないと
死んでしまうという自衛隊隊員Hさん。
そして、ろば太の3人である。

寒稽古最終日は、
昇級昇段審査も兼ねていて、
昇級時期ではないろば太は、
白帯上位者として、
受験者数人分の受け役を勤めたのである。
その功あってか、
教授陣と合格者に混じって、
何故かろば太も打ち上げに招待されたのであった。

館長(7段)
「合格者の皆さん、おめでとう。
 さらに研鑽するように。」

教授A(6段)
「ろば太さんもご苦労さん。
 受けも大変だったでしょう。
 さ、飲んで飲んで。」

ろば太
「いただきます。」

八海山をジョッキで受けるろば太。
近頃、
稽古後の数時間だけ、
ろば太の中から屈強な男が現れ出るのである。

教授B(5段)
「ずいぶん力ついてきましたね。
 もう白帯じゃなく、
 限りなく黒に近い灰色の帯ですね。
 さ、飲んでください。」

ろば太の中の屈強な男
「ありがとうございます。
 今日は、いくらでも飲みますよ。
 ガハハハ。」

ジョッキの八海山を、
2口で飲み干すろば太。
もっと注いでくれたまえ、と
ジョッキを一升瓶に向かって差し出す。

館長
「私が道場を開いてから、
 30年以上になります。
 かなり激しい稽古をしていますが、
 これまで、誰も、
 大きな怪我をしなかった。
 これが何よりの誇りです。」

ろば太の中の屈強な男
「館長、
 それは、怪我をした人は、
 道場に来なくなったからじゃないですか。」

はやく注いでくれと、
ジョッキの底でテーブルを叩くろば太。

稽古の時のように素早い動きで、
ろば太の正面に移動し、
ろば太のジョッキを
お猪口に取り替える教授A。

急用を思い出したといって、
コートも持たずに、
青い顔をして外に飛び出していく
ろば太の中の屈強だった男。

ろば太
「な、なーんて、
 冗談言っちゃったりして。」

八海山の瓶を
人指し指と中指の2指で挟み、
軽々と持ち上げる館長

館長
「私は、冗談は嫌いだ。」

ろば太
「わ、わたしも、
 嫌いなんですよ、館長。
 あ、お酒、お注ぎしまーす。」

教授B
「また、
 真っ白に戻っちゃいましたね。」

ろば太
「はっ!
 ・・・・・」

窓の外は、
いつの間にか雪景色である。


親友は多く要らないの、、、。

2006年02月17日 | 子育て進行形
感謝くん
「何でお家には、
 プリキュアのおもちゃないの?
 お友達みんな持ってるよ。」

めん・たい子
「どうして、
 たまごっちもないの?
 お友達は、みんな持ってるよ。」

ろば太
「みんなって誰?」

感謝くん
「えーと、あみちゃんと、
 ゆうこちゃん。」

めん・たい子
「たまごっちは、
 えーと、ゆうこちゃんと、
 あみちゃん。」

ろば太
「・・・
 2人しか、お友達いないんだ、、、。」

知る必要のないこと、知らせる必要のないこと。

2006年02月16日 | 子育て進行形
感謝くん
「ユウゾウくんが、
 ゲリだよね?」

めん・たい子
「ぜったいにそうだよね。
 ユウゾウくんのほうだよ。」

ろば太
「何の話?」

せんた君
「今日、幼稚園お休みした子、
 2人だったんだって。
 1人がインフルエンザで、
 もう1人が下痢だったそうよ。」

感謝くん
「ゲリは、ユウゾウくんだよ。
 だってリンタロウくん、
 そんな顔してないもん。」

めん・たい子
「そうだよ。
 だって、
 リンタロウくんのほうがすきだもん。」

ろば太
「顔とか好き嫌いで、
 病気を決めちゃうのか、、、。
 そういえば、
 おとさん、昔、
 間違えて、
 『内科、肛門科』
 って標榜している病院に行ったことがあってね。
 みんなに誤解されたことがあったよ。」

せんた君
「ホントは、
 おしりの病気なのに?」

ろば太
「逆だよ、
 風邪で罹ったんだよ。
 内科で診てもらったの。」

せんた君
「別に気にすることないじゃない、
 病気にカッコいいも悪いもないでしょ。」

ろば太
「そりゃそうだけど。
 肛門科に行ってくる、
 ってのは、
 恥ずかしいでしょ。
 言える?
 隣近所の人とかに?」

せんた君
「そうね、、、。
 全くの他人なら言えるだろうけどね、、、。
 ・・・
 わかったわ。
 もっと恥ずかしい診療科目とセットにしたらいいのよ。
 そしたら、
 肛門科って言っても気にならなくなるでしょ。」

ろば太
「そうだね。」

せんた君
「まかせて。
 何か考えるから。
 お友達にも連絡して、
 アイデア出してもらうわ。」

活き活きと目を輝かせ、
アドレス帳を取り出し、
友達の連絡先を調べ始めるせんた君。
周りの言葉は、
もう耳に入らない状態になっている。

ろば太
「あんなやる気のある顔、
 初めて見たよ。
 ・・・
 肛門科に行ったって、
 信じて疑わないんだな、、、。」

真綿で締めないでね。

2006年02月15日 | 子育て進行形
冷え症で悩むせんた君。

この冬は、
ろば太がファッションセンター「しまむら」に
3度通ってようやく購入を決断した
ボア付袖無し半纏を挨拶もなく奪い取り、
フェイクファーの帽子とコーディネイトした
狩猟民族スタイルで
寒さを凌ごうという作戦だったようである。

ところが、
とある事情で薪ストーブが使えない日が続き、
冷えのせいでか、
このところ、
腰の痛みが悪化してしまったようである。

ご近所の奥さんにそのことを話したところ、
真綿の腰当てクッションを買わないか、
今ならもう一つ付けてあげると薦められ、
何にでもすがりつきたい心境で、
即金1000円で買ったのだと、
腰痛予防の腰回し体操をしながら、
満面の笑みで話しを続けている。

せんた君
「真綿でこの値段は、安いはよね?」

ろば太
「綿なんてどこでも安いんじゃない?」

せんた君
「それは、木綿でしょ。
 真綿っていうのは、
 繭から作った物なのよ。
 絹なのよ。」

ろば太
「いわゆるコットンか。」

せんた君
「違う、シルクよ。
 これを腰にあてて、
 上からズボンを穿くと、
 腰がほんのりと暖かくなるのよね。
 パートの事務所にも持っていこうかしら。」

ろば太
「いいんじゃない?」

せんた君
「でも、
 ちょっと太って見えるのが難点なのよね。
 この、腰のあたりが、、、。
 ねえ、感謝くん、めん・たい子ちゃん、
 おかさん、太って見える?」

感謝くん、めん・たい子
「うん、太ってるよー。」

せんた君の背後から近づき、
それぞれ左右の太股を必死にもみほぐし、
さすり上げる二人。

せんた君
「・・・
 そこには、
 クッション入れてないんですけど。」

私も、モーニングください。

2006年02月14日 | 子育て進行形
感謝くん
「牛乳ください。」

ろば太
「はーい。」

食器棚から取り出した感謝くんのコップに牛乳を注ぎ、
少し飲んでから感謝くんに渡すろば太。

感謝くん
「何でおとさんが飲むの?
 おとさんの味ついちゃうでしょ?」

ろば太
「嫌かい?
 思春期にはまだ早いのに冷たいなあ。
 じゃあ、殺菌のために、
 温めてくるよ。」

感謝くん
「あっためるなら牛乳じゃない方がいい。」

ろば太
「何がいいの?」

感謝くん
「ミルク!」

ろば太(牛乳を温めながら)
「ねえ、せんた君?
 感謝くんたらさあ、
 冷たいのが牛乳で、
 暖かいのがミルクって言うと思ってるみたいだよ。」

せんた君
「ふふふ、知ったかぶりしてるのね。
 あれ、ろばちゃん、
 今朝は、パンとコーヒーなんだ?」

ろば太
「そうだよ。」

せんた君
「すごいわね。
 朝からモーニングなんて。」

ろば太
「え?
 ま、まさか、
 パンとコーヒーのこと、
 モーニングっていう
 メニューだと思ってるんじゃないだろうね。」

仕事のこと

2006年02月13日 | 子育て進行形
感謝くん
「次は、おとさんの番だよ。」

ろば太
「え?
 あ、ごめん。
 えーと、パス。」

めん・たい子
「トランプしてる時に、
 夢みてちゃだめでしょ。
 もう、上から乗っかるよ!
 何か考えてたんでしょ?」

ろば太
「うん、仕事のことね。」

せんた君
「あ、ダウト!」

感謝くん
「おとさん、ウソつき!」

めん・たい子
「おもしろいね、おとさんって。」

ろば太
「ホントなんだよ。
 ホントに仕事のこと考えてたんだよ。」

せんた君
「へえー?
 他にいい仕事ないか、とか?」

ろば太
「おっ、近い。」

せんた君
「え?」

ろば太
「いつ、辞めようかなって。」

せんた君
「え?」

ろば太
「誰だって、
 そんな風に考えることあるでしょ?
 何やってもうまくいかない時とか、
 やっている意味が分かんない時とか。
 もし違う仕事だったらどんな人生を送ってたんだろう、
 なんてさ。
 せんた君だって、
 会社でそんなこと考えたことあるだろ?」

せんた君
「失礼ね、まったく。」

ろば太
「え、何が?」

せんた君
「そんなに暇じゃないわよ。
 東京で働いていたんだからね。
 お使いに出たついでに、
 恵比寿のランチバイキングに並んだり、
 銀座のショッピングで歩き回ったり、
 他のこと考える余裕なんて無かったんだから。」

ろば太
「会社には行ってたけど、
 仕事はしなかったってことね?」

せんた君
「え?
 ろばちゃんは、何しに会社に行ってんの?
 何のために生きてるの?」


結局、遊ばないで寝てしまいましたとさ。

2006年02月12日 | 子育て進行形
感謝くん
「ドッチボールやろうよ。」

ろば太
「あとでね。」

めん・たい子
「今やろうよ。」

ろば太
「もうすぐで終わるから、
 練習しててよ。」

うつ伏せになって本を読むろば太のそばで、
ボールを抱えながら頭を付き合わせる双子姫。

感謝くん
「どうすればいいんだろう。
 あの練習しかできないよ。」

めん・たい子
「そういうのでいいんじゃない。」

感謝くん
「よし、やろう。」

めん・たい子
「感謝くん先にやっていいよ。」

感謝くん
「はーい。
 えい!」

ろば太
「いて!」

めん・たい子
「次は、わたしね。
 えい!」

ろば太
「イテ!
 こらっ、何でおとさんにぶつけんの?」

感謝くん
「当てる練習だよ。」

ろば太
「二人で投げたりとったり、
 そういう練習してたらいいだろ。」

めん・たい子
「だってそしたら、
 キャッチボールになっちゃうでしょ。
 ドッチボールじゃなくなっちゃうよ。」

ろば太
「いいんだよ、それも練習なんだから。」

感謝くん
「だってさあ、
 どっちが当てるか分からないから、
 ドッチボールって言うんだよ。」

ろば太
「違うよ。」

めん・たい子
「どっちが勝ったのか分からなくなるから?」

ろば太
「違うよ。」

せんた君
「ボールがどこにあるか分からないから、
 どっち?ボール?なのよ、ね?」

ろば太
「違うよ。
 ドッジって英語で、
 よける、って言う意味なんだよ。」

感謝くん
「変なの。
 そしたら、ドッジボールって、
 中にいる人しか遊べないじゃん。
 外野の人は、ボールよけないもん。」

ろば太
「なるほどね。
 さ、疲れたから、
 寝るか?」

感謝くん、めん・たい子
「はーい。」