【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

2chの佐々木スレに投稿されたssの保管庫です

佐々木スレ9-382 「奴はペインキラー」(3)

2007-06-08 | その他佐々木×キョン

382 :奴はペインキラー・インターミッションその2:2007/05/25(金) 00:10:41 ID:O2nhJqXV
「いずれーわーたしーがーしぬーとーきーはー♪あなーたーもみーちづれー♪」
「橘よ、他に質問する奴もいないようだし一応聞くが何だその歌は?」
「いえ、このスレではジョジョネタが通じにくいと言う事でしたので、
ちょっと趣向を変えてこういう歌はどうかしらと思いまして。
ちょうど少し前にヤンデレネタで盛り上がってましたし」
「いやもうけっこう前だけどな。このスレは妙に展開速いし。
それに絶対ジョジョよりそのネタの方が分かりにくいだろ」
「でも気持ちはよくわかるよね」
『さっ、佐々木(さん)!?』


384 :奴はペインキラー・13:2007/05/25(金) 00:12:34 ID:O2nhJqXV
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その日は、あの部活なのかどうかよく分からない不思議戦隊SOSの会合が
いつもより早く終わったので、俺は久々に本屋でも寄っていこうかと
商店街へ自転車を飛ばした。
さて、いざ本屋についてみると、駐輪スペースに見慣れた影が。
「佐々木か?」
一瞬びくりとして振り向いたその端正な顔は、
間違いなく中学時代において俺の一番の親友であり、
また不思議存在のお導きで最近になって再開を果たした佐々木、その人だった。
「やあ、キョン」
おい待て、これはいったい何事だ?
…振り向いた佐々木は顔色が真っ青で前髪が汗で額に張り付いているという、
絵に描いたような「具合の悪い人」だった。
いったい何があったんだろうか。
「…このところ寒暖の差がはげしくてね…少し調子が悪いんだ」
俺の疑問を察したか、佐々木はそういって力なく笑った。
…そうなのか? 俺は全然そんなの気がつかなかったな。
なんつったって身近に太陽よりよっぽど暑苦しい
人間スーパーノヴァがいるせいかもしれんが。
「…ああ、彼女はいつだってプロミネンスを吹き上げていそうだものな。
僕にはちょっと、真似できそうにないよ」
別にハルヒの真似なんざして欲しくはないがな。
人間それぞれのよさってのがあるもんさ。
「…昨今流行の、オンリーワンとか言う世迷言かい?
不思議存在を身近に抱える人間にしては凡庸この上ない台詞だね」
いいだろ、別に。それにお前が何を勘違いしているかは知らんが、
俺は徹頭徹尾凡庸な一般人だぜ。
「そうか、そうだね…」
「? なんか今日のお前は変じゃないか?」
なんというか、棘のあることを言ったかと思えば弱弱しくも見えたり。
こんな不安定な佐々木を見るのは初めてかもしれない。
「なんでもないよ、変だとすればそれはきっとキミのほうだ。
…ああ、すまないけど今日は急ぐんでね、このあたりでお開きとしたい」
まあ、それはかまわんが。あ、そうだ佐々木。
「…なに?」
むう、目が怖いぞ。
「お前その右手、どうしたんだ?」
そう、さっきから気になっていたのだ、佐々木のやたら線の細い腕、
その右手の手首から肘近くまでぐるぐると無雑作に包帯が巻いてあるのだ。
しかし、どうもかばっている様子は見られなかったし、何より普通に
自転車のハンドルを握って帰ろうとしてたってのがどうにも解せない。
「!」
…俺が尋ねたとたん、佐々木は一瞬体を震わせた後、呆然とした顔でこちらを見た。
その様子は、何か信じられないものでも見たような、具体的に言うなら
部下と妻の浮気を目撃した課長のような、驚愕と絶望を一緒くたにした
どろどろの釜の底みたいな顔だった。
…今日は始めてみる佐々木の表情が多いな。
くそ、こんな新鮮さなんて誰が欲しがるかよ。
佐々木はそのまま自転車に飛び乗ると、呆然としている俺を尻目に
一目散という言葉そのものの勢いで走り去っていった。


385 :奴はペインキラー・14:2007/05/25(金) 00:13:28 ID:O2nhJqXV



「…こんなところで、満足か?」
「んー……」
橘はレトロな探偵のように、顎に手を当てたポーズで黙り込んでしまった。
似合ってないぞそれ。
「もう、ほっといてください!
……ところで、包帯を巻いてたって言いました?」
「おう」
「…正直、思い当たる点がないわけではないんですが」
本当かよ。どれだけ名探偵なんだお前は。
「推理でもなんでもないのです。
…というより、男の子はこういう話に興味がないのが当たり前だもの」
男が、興味のない話? ますますもって分からんぞ。
「正直、あまり佐々木さんのイメージには合わないんですが…
一言で言ってしまえば、これはうr」
『余計な事言わないでくれる?』


底冷えのする声に振り返ると、近くのマンションに部屋の明かりで
「ssk」の文字が浮かび上がっていた。器用だな。それなんてラー○フォン?
『橘さん、私の名誉に関わる事をあんまり言いふらしてほしくないの』
普段は夕焼け小焼けを鳴らすしか仕事のない街灯上のスピーカーから
佐々木の声が聞こえてきた。
『やめなよ!キョンが分かってくれるのが一番だって言ってるじゃない!』
『しかし確かに、当初のルールではキョンが"自分で"気づくのが条件だ』
『こんなのノーヒントでやられて、わかるほうかどうかしてるよ!』
『さて、橘さん。多分あなたが思い至ったのは正解。
でも、だからといって現状をかき回して欲しくない。ということで、
あなたには少し枷を与えるわ』
突然、橘の口の中にどこからか飛来した青い光が飛び込んだ。
慌てて逃れようとするも、光の帯はたっぷりと飲み込まれてしまった後だ。
「た、橘! どうした!」
「ヴェ、ヴェーイ?」
「…は?」
一瞬沈黙が訪れた。
『あははは、橘さん、余計な事喋れないようにあなたの発声器官を狂わせたの。
大丈夫よ。キョンがゲームをクリアしたら戻してあげるから』
「ヂョッドゥ、ザァザァギザァン!  ナルスヅンディス!」
「な、なんだってー!!!」