四季に暮らす

季節の着物、食卓、ベランダの植物たち
和と洋が仲良く並んでいるような衣食住の風景

秋の読書

2008-10-21 | 着物書籍
そういえば「読書の秋」でもありますね・・(^^

ちょうど2年前の今頃、品川駅前校の生徒さんに勧めて頂いた本
『きもの』~幸田文(新潮文庫) を皆さまにもご紹介します
秋の夜長の読書にいかがでしょうか?

     
品川駅前校の会員ブログでは2006/12月にご紹介させて頂きました


(会員制ブログの過去ログを少し手直し再掲載しています)
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大正時代~関東大震災~復興へ向かう時代に生きる女性の
着物に対するそれぞれの思い

お金をかければきりがない着物まわりのことへの
3姉妹のそれぞれの考え方の違いには
いつの時代も変わらないことなのだ・・と驚きつつ
自分を重ねながら読み進めました

着物の着方にはその人の心が表われるのですね
虚栄心で着る着物もあれば、思いやりで着る着物もあることに
我が身をもう一度振り返る機会にもなりました

三女・るつ子への祖母の深い愛情、母親の娘たちに対する愛情
その、愛情を込めて仕立てられたり仕立てかえられていく着物を
大切に着ながら成長していくるつ子に惹きこまれていくのです

るつ子の母が、妻として母として嫁として女として
苦悩したり幸せを感じたりする姿にも共感しました
またそれら全てが着物に表現され尽くされていることに
「女と着物」の切っても切れない関係を改めて思い知らされます。

おばあさんがるつ子に、「あたしはね、るつちゃんに一生、かわいい紐を身につけていてもらいたいよ。」って言うシーンが好き!
・・と私の生徒さんはおっしゃっていました!私も全く同感です(^^

この言葉におばあさんの愛情が集約されていますよね。
この祖母が身近にいてくれたからこそ
るつ子は本質を見抜く目を持ちまっすぐ育っていったのでしょうね(^^)

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以前西麻布校で受け持った生徒さんが、何種類もの素敵な古布のはぎれを丁寧につなぎ合わせたような腰紐を授業に持って来られたことがありました
「祖母が何本か私のために作ってくれていたみたいなんです。」とおっしゃいました
絹の小切れの一枚一枚を丁寧にはぎ合わせ、愛情を込めて作られたものであることは一目見ればわかります

思わず、「この紐の代わりになるものはもう無いですよ。練習に使うのは勿体ないですよ。大事なときに締めるのにとっておいて下さいね・・」と
申し上げてしまいました
「そうですね・・」と改めて大切そうにうっとりと紐を眺めていらっしゃる生徒さんでした
今でも時々懐かしく思い出すことのある、羨ましいほど素敵な光景です

講師をしているとお持ちの帯や着物を「これは祖母(母)が・・」とおっしゃる生徒さんによく出会います
大切に着ていた着物や帯が次の代に愛情や思い出と一緒に受け継がれているのを見ると、私まで幸せな気持ちに満たされます

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講師としての私の心に真っすぐに届いたシーンは
祖母が着物の着方をるつ子に教えるシーンです♪
ぐいぐいと教え込んだ・・と表現されていました(^.^)

踵にさわる感じで、着丈のちょうどよさがわかる。
ふくらはぎへ纏いつく感じを覚えれば、裾のしまり具合がわかる。

腰の何処へ紐をわたらせば、きりりと軽快に感じるか。
どんな強さにしめればいいか。みんなからだで覚えてしまえ
・・というくだりです(^^)

ぐいぐい、という言葉に
無理やりという印象はなく、リズミカルな響きを感じませんか?


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僭越ながら私もこの品川駅前校にて、ぐいぐいと教え込んで参りたいと思います<(_ _)>
                   
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