~遅れてきた韓流~

'05年末の『冬のソナタ 完全版』で韓流にハマった
でも二十年前に趙容弼にハマっていたことは友人達には内緒だ

『デイジー アナザー・バージョン』ネタバレ

2006年06月29日 12時56分57秒 | チョン・ウソン
 
昨日が水曜割引デーだったので、早起きしてテアトル新宿で見てきました。
入りは7割くらいだったかな? 男性は数人。
入り口でデイジー缶(780円相当)をもらえたので、1000円の入場料はかなりお得でした(笑)。

さて。
この『デイジー アナザー・バージョン』ですが、今は頭の中は疑問でいっぱいです。
なぜ日本公開版がこのバージョンではなかったのかと…。

私は一般公開されたインターナショナル・バージョンの『デイジー』は正直言ってあまりいい出来だと思っていませんでした。
  • 刑事が殺し屋を捕まえようとする方法が愚かすぎてリアリティがない(ヘヨンへの責任を感じて自暴自棄になったジョンウが言い出すならまだ許せるけど)。
  • パクウィがデイジーの本当の送り主だと気づかないヘヨンが鈍感すぎる(ジョンウの持っていたデイジーとパクウィが贈っていたデイジーは微妙に違うでしょ! それに目をつぶるとしても、船上でデイジーを見たら普通そこで気づくでしょ、とか)。
  • 実際に会うようになってからも決して自分からはヘヨンに手を触れないようにしているパクウィが理解できない(好きな女が泣きだした時くらい抱きしめてあげなさいよ、とか)。
  • ヘヨンはヘヨンでジョンウ、パクウィ、デイジーの送り主、それぞれに対する気持ちの変化がよくわからない。
  • 大事にしている部下をなぜ始末しようとするのか、殺し屋のボスの気持ちもよくわからない。
    ってな感じで、突っ込みどころが多すぎて全然登場人物の気持ちにも物語にも入り込めませんでした。

    ところが、この韓国バージョンは見事なまでにこれらの疑問がクリアになっていたのですよ。まあ最初のジョンウの上司がオバカっていうのだけはどうにもなりませんが(笑)。

    つまりインターナショナル版は余計なモノローグを多用していた上に、物語にとって非常に重要なセリフやシーンを何ヶ所もカットしていたんですね。
  • 415という数字はパクウィにとってはヘヨンと出会った日付であり、ヘヨンにとっては毎日デイジーが贈られていた4:15の時刻ということで特別な数字だった。そのために同じ時刻に広場にデイジーを持って現れたジョンウをすぐ誤解した。ふたつも偶然が重なったので、ヘヨンはかなり強い確信を持ってジョンウをデイジーの送り主だと思っていた。
  • パクウィは映画が始まってすぐにボスに「殺し屋にとって女は危険な存在だ」と忠告されていた。またヘヨンと直接会うようになって仕事を干されていた後にボスに再会した時も(1年後の字幕なし)、女についてちくりと警告された。要するに殺し屋としての道を外れてしまったパクウィをボスは早い段階で見限っていたわけ。
  • ボスに最初から女について警告されていたので、パクウィは直接ヘヨンと会うようになっても、けっして友達以上の関係にならないように自制していた。
  • ヘヨンは咽を撃たれてからも病院にデイジーが届いていたり、退院後おじいさんに撮ってもらった写真に自分を見ている男の人が写っていたりしたので、ジョンウがそばにいるのに姿を現さないと思っていて、姿を消したと思うよりも苦悩が大きかった。
    こんな感じで、各キャラクターの背景がよくわかるので物語にもすんなりと入っていけるのです。

    他にもヘヨンがお茶を飲んで倒れた時にパクウィのモノローグで「少しの間眠っていてくれ…」というセリフが挿入されて睡眠薬入りだということがはっきりしますし、ジョンウの墓参りのシーンで上司はヘヨンにラジオのチャンネルがクラシックに変わっていたこと以外に「殺しの合図は黒いチューリップ」まで言っていますし(黒いチューリップはインターナショナル版で登場する前にヘヨンがパクウィのボートを訪れた時にもすでに登場して強調されています。ちなみにその時パクウィは「これは友人から僕へ贈られたプレゼント」と弁明していました)、最後のボスとの決闘の後、パクウィが生きていることもわかるので、エンドクレジットに流れる、あなたを置いてひとり旅立ってごめんなさいという歌詞がもっとぐっと来ます。

    というわけで、愛している女のそばにいながら自制しているパクウィが本当に切なくて、またヘヨンの辛さもよくわかって、またアンドリュー・ラウ監督らしい黒社会の厳しさも感じられて、インターナショナル版ではあくびしか出なかった私も、後半ボロボロと涙があふれてしまいました。

    このアナザー・バージョンなら、もう何度でも見たいです。テアトル新宿では7月1日(土)からは11:30の回も追加されますので、インターナショナル版には不満の方もぜひ見に行ってもらいたいと思います。

    ところでこのスチールは台湾の映画サイトからのものですが、台湾での題名は『愛無間 DAISY』なんですね(笑)。『無間道(インファナル・アフェア)』のアンドリュー・ラウ監督作品らしくて、気に入ってしまいました。

    なお、6月27日には『猟奇的な彼女』もリメイクするアメリカのゴールドサークル プロダクションにこの『デイジー』のリメイク権が売られたと報じられました。この殺し屋を捕まえるために自らを囮にするというプロットをどう料理するのか、今から楽しみです。

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    22 コメント

    コメント日が  古い順  |   新しい順
    はじめまして (あさこ)
    2006-06-29 13:53:39
    TBありがとうございます。

    漠然と「違うなぁ」と思って見てたところを

    きれいに整理して書いてくださってるので

    たいへん参考になりました。

    こちらを見てから感想書けばよかった(笑)。

    確かに感情面ではアナザーバージョンの方が描写は優れてますね。説得力ありました。
    返信する
    Unknown (salleana)
    2006-06-29 14:05:28
    あさこさん、TBとコメントありがとうございました!

    アナザー・バージョンはジョンウの視点はばっさりカットされていたので、彼のファンは物足りないかもしれませんね
    返信する
    初めまして♪ (charlotte)
    2006-06-29 14:20:27
    こんにちは。TBありがとうございました。

    そうそう、ジョンウバージョンもないとね。笑

    ところで韓流作品をたくさんご覧になっていらっしゃるんですね。すごいです。

    私なんて初心者なんで参考にさせていただきます!

    ところで、私は両方見てやっと納得いく見方が出来ました。ヘヨンのありがとうっていう台詞がなかったのはどうかなあと思ったのですが。

    また遊びにきます~♪
    返信する
    お疲れ様でした。 (hyoutan2005)
    2006-06-29 16:26:41
    昨日一緒に観に行って正解でしたね。

    帰ってからすっかりくたびれて、居眠りしながらレビューを書いていた私と違い、こちらは丁寧なレビューで観に行けない人への参考書になりますね。

    素晴らしい内容なので、記事中にまたちゃっかり、リンクさせていただきました。(笑

    また、行けたら行きましょう。
    返信する
    はじめまして (ホワン)
    2006-06-29 18:01:32
    はじめまして

    読ませていただきました。

    実は・・・私も少し疑問があったんです。

    同じような。

    編集も・・・・ラウ監督のファンの方すみません。

    そうなんですね。

    アナザーはわかりやすいのですね。

    私の理解力がないせいなのかもしれませんが、感想を読ませていただいて納得いきました。

    映画は受け取り方はそれぞれ、とはいうもののバージョンでこんなに違う映画もあるのですね。

    丁寧な感想ありがとうがざいました。<m(__)m>
    返信する
    なるほど~ (macchi)
    2006-06-29 23:20:41
    韓国版の方がわかりやすいという事ですね。

    これは是非、見比べてみたいです。







    返信する
    また見たい… (salleana)
    2006-06-30 20:22:14
    >charlotteさん

    TBとコメントどうもありがとうございました!

    初心者なんてとんでもないことをおっしゃる…

    私はcharlotteさんの半分も映画見てないです

    ヘヨンのありがとうがオフになったのは、観客の想像力で別のセリフで置き換えることもできるので、私には悪くないことに思えました。

    私もまたそちらに遊びに行きますね。



    >hyoutan2005さん

    朝早くからお疲れさまでした!

    またすぐ見たいのに、金欠が恨めしいです~

    上映期間が伸びるか、神奈川でも上映するかしてほしいですよね…。



    >ホワンさん

    そうなんです、よくあるディレクターズカットのロングバージョンなどとは比べ物にならないくらい、まったく違う構成でした。



    >macchiさん

    なんとか時間を作って見に行ってくださいね!

    DVD発売まで、長すぎます…。
    返信する
    アナザーバージョン (たま)
    2006-07-02 00:58:47
    TBありがとうございました。

    「遅れてきた韓流」って、ウソン、ジソブあたりではまったわたしにもぴったりきました。



    デイジーはやっぱりこっちのほうがいい!ですよね~~。



    前回見て、最後のテーマソングの歌詞を覚えていたので、ヘヨンが撃たれた場面であの歌が流れたときには涙ぼろぼろ・・・でした。



    最後、3人が雨宿りしている上の看板の文字も変わってましたね~。言葉を覚えてないので、UPしませんでしたが。



    わたしもTB貼らせてくださいね。
    返信する
    こんばんは☆ (きらら)
    2006-07-02 01:32:02
    ハジメマシテ♪



    今日こちらの「アナザーバージョン」観て来ました♪

    2話完結、みたいな映画でしたが

    ワタシてきにはどちらともお気に入りです。

    DVDでたら欲しいよぉ~。そして両方をもう一回見比べたいです♪



    ↑イルマーレ、もうご覧になったのですね!

    ウラヤマシイ。。。

    実は私もまだ韓国版が未見なのですが、先日のBSでの放送を録画したので

    先に観ておきたいとおもいまーす♪



    返信する
    こちらだけ見ていたら…? (salleana)
    2006-07-02 01:38:17
    >たまさん

    TBとコメントありがとうございました!

    看板の文字は気づきませんでした。

    それを確かめるためにももう1度見たいなあ…。



    >きららさん

    アナザー・バージョンを先に見てからインターナショナル版を見れば、そちらも楽しめたのでは?と思う私です。

    DVDは是非とも両方入れてほしいですね、同感です。
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