「福建麺」と漢字で書いてこちらシンガポールでは「ホッケン・ミー」と読みます。私の好きなシンガポール料理のひとつでもあります。手元に写真がないので、人様のサイトから拝借しますと、「ホッケン・ミー」はこんな感じのヌードルです。(クリック先の左側の写真です)
一見中華風のスパゲッティのようで、お味も中華風の「カルボナーラ」といった感じです。
この「ホッケン・ミー」ですが、私には行き付けの屋台があります(笑)。ところが最近その屋台のおっちゃんがお店ごと人に売ってしまったらしく、ある日別の若いお兄さんが屋台に立っていました。聞くと前の人から譲り受けたと言うではありませんか。また更に聞くと「脱サラして始めた」というではありませんか!咄嗟に私は、あのおっちゃんの味とは永遠にお別れだぁ誠に残念至極という思いから、そのお兄さんに聞いてしまいましたよ。
「ちゃんと作れんのか?」(笑)。
今思えば随分失礼なことを聞いてしまったと反省しています。が、お兄さんは胸を張って「大丈夫!試してみてくれ!」というので、じゃあ試してやっかと一皿注文しました。卵を割る手つき、麺を入れるタイミング、そして蒸らし時間、どの所作を見ても素人さが伝わってきます。そんな私の不安を感じたのかお兄さん、「大丈夫、習った順番通りやっているから。」はっきり言って泣けてきます(笑)。
ところが実際食してみると、これがなんと結構いい具合に出来上がっているではないですか!そのことをお兄さんに伝えると物凄く喜んでおりました(笑)。
でも今回は「たまたま」そして「まぐれ」で出来たのではないか?という疑念が拭い切れず、それから結構頻繁に通ってしまいました。要はサンプリングされてその店のリピーターになってしまった訳です。いつもの私の悪い癖がまた出てしまいました(苦笑)。
そして、味も安定してきぞというある日のこと、立ち寄っていつもの通り注文すると「合点だ!」ぐらいの感じで言葉が返ってきたのですが、いざ食してみると、色は黒く濁り、麺はふやけて、のびきっています。海老もフニャフニャで新鮮さがない、かなり前に作って置いておいたな、とうことが一発で分かります。で、思わずお兄さんに言ってしまいました。
「兄さん、今日の質は最低だ。作り置きだろ。ホッケン・ミーは作りたてじゃなきゃダメなんだよぉ!」
こうして文字にすると随分凄みのある印象を与えてしまうかもしれませんが、当然私は顔には満面の笑みをたたえながら言っているので、どうぞご心配なく(笑)。
こんなうるさい客に付き合わなければならないお兄さんは大変です。「分かった。今度からあんたが来たときにはちゃんと新しいのを作るから。」とお兄さん。リピーターを失ってしまう危機が迫ります。
そんなことがあってから「しばらく行かない」と決めたのですが、なぜか今日のお昼に行ってしまいました。中一日しか空いていません。で、今日はというと、お兄さんの方が満面の笑みで迎えてくれました。どうも、大釜で大量に作っていて、もう少しで出来上がるという絶好のタイミングで私が現れたようでした(笑)。そんな勝ち誇ったかのようなお兄さんの仕草に、私は思わず言ってしまいました。「兄さん、助かったな。」私も口が悪いです(笑)。
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今日も有り難うございます!
大将から魂を教わるラーメン・ガール。
顧客から魂を教わるホッケンミー屋。
方法は全く違えど、おいしいものができることでしょう!