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「家にいたい父を入院させてしまった」訪問看護のプロが27年前の経験をそう振り返るワケ

2021-10-30 15:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。

多くの人は「もし死ぬなら、家で死にたい」と回答する。ただし、自宅で穏やかな死を迎えるには「痛みのコントロール」が必須になる。今回は在宅療養を支える訪問看護師の目線から「在宅死のリアル」をお伝えしよう――。
「コロナ禍では看取り目的の訪問看護が増えている」
自宅で死ぬときには、訪問看護をお願いするケースが多い。訪問看護とは看護師が患者宅に訪問して、その患者の障害や病気に応じた看護を行うこと。健康状態の悪化防止や回復に向けた措置のほか、主治医の指示を受けて点滴・注射などの医療措置や痛みの軽減、服薬管理なども行う。
兵庫県豊岡市で訪問看護ステーション「ひかり」を営む、訪問看護師の小畑雅子さんの元を訪ねた。
聞けば「コロナ禍では看取り目的の短期集中型の訪問看護が増えている」という。
「病院では“10分だけ”などの面会制限があって、『最後くらいはおうちに帰りたい』とご本人や家族が希望し、病院側も『希望されるなら……』と退院を支援されます。ただ、看取りが近いとされていた老衰や認知症の方の場合は、家に帰ったら案外元気になってしまって、“最期”にならなかったりもしますが(笑)」
多発性肝がんで、実父を65歳で看取った
小畑さんは患者や家族によく話しかけ、ともに涙ぐみ、笑い飛ばす、柔らかで温かな女性だ。私が取材した中で「在宅看取り」がうまくいかなかったケースを話すと、「患者の苦痛が強いときには、家で上手に緩和できる体制であるかが重要です」と、説明してくれた。
「例えばがんの末期でも本当に穏やかに逝ける場合もありますが、がんの病状によっては最期にもがくように苦しまれる方がいます。私の義兄もそうで、即効性のある経口麻薬が服用できず、緩和が難しかった経験があります」
小畑さんが訪問看護師として在宅療養を支援しようと思ったのは、27年前、実父の正彌さんの死がきっかけだった。正彌さんは、原発不明の多発性肝がんのため、65歳で亡くなった。本人に病名は知らされなかったが、死の間際に正彌さんは「わしの病気はどうもやっかいみたいや」と口にしたという。
「私が初めて父の病気に気づいたのは正月に帰省した時でした。『ここ(肝臓)が腫れるのはおかしいんか?』と父に聞かれたんです。外からふれると、硬く大きなものがあってショックで。翌日、病院でがんと判明、今日明日に何かあってもおかしくないと言われました。母は肝臓にたくさんの腫瘍があるCTを見せられて“もうアカン”と思ったそうです」
鎖骨部からは「キリで刺されるような痛み」が出た
正彌さんは妻に「お前とは37年だったなぁ」と言った。妻は「まんだ、お父ちゃんに頑張ってもらわんと」と励ます。だが「わしがおらんでも、もう大丈夫だ」という言葉が返ってきた。
治療方針は苦痛緩和にしぼられ、1週間入院したのち、在宅に切り替えられることになった。
「父は残された時間を家で、家族と一緒に過ごしたいと望んでいると感じました。ですが痛みの緩和や急変時の問題、当時は往診を依頼する医師もいない、病院から家までの距離が車で40分と遠いことも不安でした。主治医はそんな気持ちに理解を示してくださり、レペタン座薬での沈痛、輸液指示と点滴を私が実施することの許可を出してくださいました。また何が起これば優先的に入院できると約束してくれました。医療者側の配慮と励ましで、父を家に連れて帰る決心ができたのです。私も職場の理解と協力を得て休暇をもらい、父を看護する覚悟を決めて帰省しました」(小畑さん)
しかし、進行がん末期の正彌さんは衰弱が進み、次々に苦痛症状が現れた。激しい倦怠感や血尿、転移したと思われる鎖骨部からは「キリで刺されるような痛み」が出た。
父を「入院させてしまった」という罪悪感も芽生えた
「レペタン座薬での緩和には限界がありました。普段は穏やかな父ですが、痛みでイライラしたのでしょう、時に私に対して『(看護師の)お前でもどうにもならんのか!』と厳しく言う時もありました。父の苦痛をとってあげられない現実を突きつけられて涙が出ましたね。病院ならばさまざまな手立てが受けられ、父はもう少しラクに過ごせるのではないかと、幾度も自問しました。主治医へ相談したところ、『ご家庭では限界なので入院しましょう』と勧められて……」
正彌さんが入院すると、小畑さんは高熱を出して2日間寝込んでしまった。当時の日々を「看護師の自分でも、訪問看護師からサポートを受けられない現実は体調を崩すほどにハードだった」と振り返る。入院することで自分一人で請け負う体制から逃れ、ほっとして気がゆるんで、高熱が出てしまった、と。
だが一方で、看護師であるがゆえ「家にいたい」と願った父を「入院させてしまった」という罪悪感も芽生えた。
「それまで、患者さんの希望をかなえるのが最善という姿勢で、看護師の仕事を務めてきました。その私が大切な父の希望をかなえることを放棄した。看護師としても、家族の一員としてもうしろめたさを感じました。熱が出るほどほっとしたはずなのに、次の段階では自分を責めているんです」
息を引き取った父の顔は、安らかで優しかった
がんと診断されてわずか1カ月後、正彌さんはそのまま病院で最期を迎えた。
「父は意識が遠のきながらも家族の声に目を開け、手を声のほうに差し出そうとしていました。少しずつ心臓が動きをゆるめ、心拍数が毎分30回ほどに落ちているのに『もう少しで妹がくるよ』と声をかけると、それから1時間、心臓は動きを止めませんでした」
正彌さんの妹が到着し、声をかけた途端、正彌さんは大きな息を吐いた。泣き顔のように顔をゆがめて、両眼から涙が流れたという。
「筋肉の収縮により起こったといわれればそうかもしれませんが、私には父が別れがつらくて泣いたのではないかと感じられました。でも息を引き取った父は、安らかな優しい顔でした。在宅でも病院でも最期ができるだけ苦痛なく、穏やかであることが大切だと思います」
肛門から便が出るのを喜べなければ務まらない
患者本人が家でラクに過ごせるように、そして最後まで自分のやりたいことがかなえられるように、また家族が疲労してしまわないように、在宅で過ごすための支援をしたいと小畑さんは思った。開設した訪問看護ステーション「ひかり」は、今年で10年目を迎える。
訪問看護ステーション「ひかり」の外観
訪問看護には「寄り添ってぎゅっと抱きしめる」ようなきれいな仕事はあまりない。オムツ交換はもちろん、寝たきりの患者の便を出す業務もある。小畑さんや、同ステーションの若い看護師が患者の肛門に指を入れて刺激し、便を出す現場を見た。
1週間分たまっているときなどは、1回や2回、肛門を刺激しただけではすんなり出ないこともある。オムツを何枚か重ねて広めに敷き、何回も患者の肛門に指を突っ込んで便を出す。便は少しずつ出るから、室内に便の臭いが充満していく。看護師の顔から汗がしたたり落ちる。
そしてたくさんの便が出たときに、「出た!」と家族と一緒に喜べる人でないとこの仕事は務まらない。見た目は全く美しい光景ではないが、患者や家族には心から感謝されているのが印象的だった。
在宅での看取りは決して生易しいものではない
患者にかかわっている密度も濃いが、期間も長い。小畑さんのステーションでは、数年にわたって訪問看護を請け負うことが少なくない。
「コロナ禍では最後の短期間、週単位で訪問看護を利用される人も増えました。ただ私が経験したように、短い期間であっても在宅での看取りは決して生易しいものではありません」
兵庫県豊岡市の訪問看護ステーション「ひかり」の訪問看護師のみなさん
在宅療養では、「家族の介護力」が鍵になる。
「病気が進むと、食べる、トイレに行くなど、一人ではできないことが増え、不自由さが身にしみてきます。病状によってはさまざまな苦痛や困難が現れ、ご本人だけでは対処できないことも増えてきます。一方で、熱心に介護してくれる家族がいれば、その日常を“しあわせ”と感じられることもある」
しかし、「家族」は、望んでも得られない人がいる。
家族のサポートが得られない「独居」の人が、家で死ぬことは可能なのだろうか。

笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)など。


東京"高齢者激増"で起こる介護難民の恐怖

2021-10-30 13:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

高齢者問題=都市部の問題になる
先日、厚生労働省が2040年までの社会保障費用の推計を公表した。
日本社会はこれから前人未踏の少子高齢社会に突入していく。40年までのわが国の人口動態を見ると、団塊の世代が全員75歳以上となる25年に向けて高齢者人口(特に75歳以上人口)は急速に増加するが、その後は緩やかになっていく。一方で、すでに減少に転じている生産年齢人口は25年以降さらに加速し、40年までの15年間で1000万人以上の減少が生じる。
この結果、人口構造の変化、つまり高齢化が医療・介護費の増加に及ぼす影響は40年にかけて逓減していく。特に医療費に限ってみれば、人口減少による費用減効果が高齢化による費用増大効果を上回るようになるという。
要するところ、今後も日本の高齢化は進んでいくが、日本全体で見れば、それは「高齢者人口の増加」ではなく、「生産年齢人口の減少」によってもたらされる、ということだ。今や時代の課題は、増大する高齢者の「高齢化」問題ではなく、減少する現役世代の「少子化」問題にどう対応するかに移っていくことになる。
しかしながら、人口構成の変化、すなわち高齢化と少子化の波の到来は地域によって時間差があり、その様相は大きく異なる。
地方の中山間地域はいわば高齢化・少子化の先進地域で、もはや高齢世代の人口さえも減少局面に入っている。すべての世代で人口減少が進み、「限界集落」「自治体消滅」という言葉さえ生まれているほどである。他方、都市部は高齢化の後進地域で、現役世代や年少世代の人口が減少する中、高齢者人口はなお増大し続ける。結果、都市部は少子化と高齢化のダブルパンチをもろに被ってさらなる高齢化が急速に進行していくのである。
都市圏での高齢者人口増大のインパクトとはどんなものか。
40年までに増加する高齢者人口の実に75%(約400万人)は、東京など9都道府県に集中する。特に東京圏の高齢化の進展は急速で、10年から40年までの75歳以上人口の増加率は東京23区で60%超、千葉県西部、神奈川県北部、埼玉県中南部などの「東京近郊市」の大部分で100%を超えると予想される。
かつて高度経済成長期に都会に移住してきた団塊の世代の高齢者は25年までに一気に後期高齢者となる。その数、1都3県で総計約150万人。彼らが90歳になる40年には生き残った高齢者の半数が要介護状態になる。21世紀の高齢者問題は、都市部の問題といっても過言ではないのだ。
すでに高齢者人口すら減少に転じている地方では、もはやこれ以上の医療介護サービスのインフラ整備は必要ない。現に地方では特養ホームが空き始めている。もちろん医療介護を支えるマンパワー不足は深刻だが、それは地方に限ったことではない。
他方、都市部では、今後も施設介護、在宅介護、地域医療、病院、ありとあらゆる医療介護サービス需要が膨大に発生し続ける。増大する高齢者人口を支えるための医療介護サービスインフラの整備をさらに進めていかなければならないのだ。
実は現在でも、東京23区の医療介護サービス、特に施設介護サービスは充足していない。その不足を周辺近郊都市がカバーする形でなんとか帳尻を合わせているのが実態である。しかし前述のように、今後は近郊都市でも高齢化が急速に進行する。しかも近郊都市の医療介護サービス需要の伸びは23区以上に大きい。早晩、近郊都市には、23区から溢れ出た高齢者を受け入れる余力はなくなる。結果、東京圏の1都3県全体が大幅なサービスインフラ不足という事態に陥る。冗談ではなく、その可能性は極めて高いのである。
かつて特養ホームは「億ション」だった?
読者各位は、00年の介護保険創設前、1990年代に実施された「ゴールドプラン」「新ゴールドプラン」という計画を覚えておられるだろうか。
来るべき高齢社会の到来に備え、施設・在宅を通じた介護サービス基盤の抜本的な拡充を目指して国が策定・実施した、介護サービス基盤整備計画である。実は89年の消費税創設、そして97年の3%から5%への税率引き上げはこの計画を達成するための財源確保の方策だった。この計画があったおかげで、不十分ながらもなんとか介護サービス基盤の整備が進み、介護保険は「保険あってサービスなし」に陥ることなくスタートできたのだ。
当時、高齢化問題はどちらかといえば地方の問題だった。当然のことながら高齢化の進行は地方のほうが速い。東京や大阪の高齢化率がまだ一桁だった頃、たとえば秋田や鹿児島の高齢化率はすでに15%を超えていた。財政力のある都市部では、高い地価もなんのその、50億、60億というお金をかけて老人ホームを建設していた。その金額は、1室(1床)で約1億円。高齢者介護を担当していた厚労省の役人は、ため息交じりに「23区の特養ホームはワンルームの億ション」などと揶揄したものである。それが可能だったのも、そもそも高齢者の数がまだまだ少なかったからだ。
当然ながらいかに東京都といえども、もうそんなことはできない。東京都は今後25年間で90万人以上の高齢者人口の増加がある。仮に全国平均並みの高齢者人口の3.5%相当の介護施設をこれから追加でつくるとして、今までと同じようなことをやっていたら約3万人分。そもそもそんなまとまった土地が見つけられたとしての話だが、土地代と建設費だけで、単純計算して3兆円の金がかかることになる。
さらに言えば、足りないのは施設サービスだけではない。デイサービスも、訪問看護サービスも、小規模特養もグループホームも、往診してくれる在宅支援診療医も、とにかくあらゆる医療介護サービスが不足するのだ。
大量の介護難民を発生させないために
多くの高齢者は、できれば自分が住み慣れた地域で老後を過ごしたいと考えている。施設には行きたくない。その気持ちは都市部の高齢者とて同じである。だからこそ、厚労省も各自治体も、ホームヘルプサービスやデイサービスといった在宅ケアの充実を積極的に進め、認知症グループホームや小規模多機能型居宅介護といった新しいサービスも用意して、地域で住み続けられるための取り組みを進めてきた。
近年、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や小規模の有料老人ホームといった、住宅型サービスが急速に増えている。「特定施設入居者生活介護」と呼ばれているもので、バリアフリーなどの配慮をした住宅(=ハード)に介護サービス(=ソフト)が付帯している共同住宅である。基本は「住宅」なので供給主体は福祉事業者に限定されないし、民間デベロッパーも参入しやすい。ケアの質の確保などの課題もあるが、持ち家率が低く地価の高い都市部に適したサービスと言える。
こういった様々な在宅支援サービスを一人一人のニーズに合わせてパッケージにし、切れ目なく提供するためのネットワークが「地域包括ケア」だ。地域の限られたリソースを効果的に活用するという意味でも、専門家は「地域包括ケアはこれからの都市部にこそ必要な取り組み」と断言する。
このまま手を拱いていれば20年後の東京は数十万人規模の介護難民の発生で身動きが取れなくなる。20年の東京オリンピックも大事かもしれないが、「街としての東京の持続可能性」を考えたら、21世紀前半最大の東京の政策課題は間違いなく「高齢者介護問題」である。一刻も早く、それこそ「東京都版21世紀のゴールドプラン」でも策定して、ヒト・モノ・カネを集中的につぎ込まなければ間に合わなくなる。
※本稿は個人的見解を示したものであり、外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係ありません。
香取照幸(かとり・てるゆき)
元・内閣官房内閣審議官 駐アゼルバイジャン共和国大使
1956年、東京都生まれ。東京大学卒。厚生労働省で政策統括官、年金局長、雇用均等・児童家庭局長を歴任。内閣官房内閣審議官として「社会保障・税一体改革」を取りまとめた。


「動脈硬化」を予防する、食事のポイントとは?

2021-10-30 08:30:00 | 日記

下記の記事はハルメクWebからの借用(コピー)です。

悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化を引き起こし心筋梗塞などの原因になるため、日々の食事に気を付けている人は多いと思います。でもコレステロール摂取量より大切なことがあると、ニコークリニック院長の田中裕幸さんは言います。
目次
    1. コレステロールの摂取量に制限はない?
    2. 動脈硬化予防_コレステロール改善にはリノール酸を避けることから
    3. 動脈硬化予防_血管年齢を若返らせる5つの食事ポイントコレステロールの摂取量に制限はない?

日本では長い間、コレステロールは悪者にされ、スーパーなどには「コレステロールゼロ」などとうたった食品が並んでいます。ところが、2015年から日本でコレステロールの摂取制限がなくなったことをご存じでしたか?
「そもそもコレステロールは食事で取り込まれたもの以外に、糖質からも作られます。コレステロールの摂取が少なければ、肝臓でコレステロールの合成が進み、摂取が多ければ、肝臓での合成が抑えられます」と田中さん。
コレステロール含有量の高いものを食べても、低いものを食べても、血中のコレステロール値はほとんど変わらないという調査結果も出ています。
「以前、テレビの健康番組などで1日のコレステロール摂取量を300mg以下にするよう盛んに言われていましたが、あれはある意味“ウソ”。重要なのは、コレステロールを取る・取らないではなく、食べるものの質なのです」動脈硬化予防_コレステロール改善にはリノール酸を避けることから
では動脈硬化を防ぐために、食事で何に気を付ければよいのでしょう。田中さんの調査では、食事に含まれる脂肪のうちリノール酸が多いと、LDLコレステロールが上昇し、動脈硬化が進みやすくなることがわかったといいます。
「リノール酸は、肉の脂にも含まれますが、最も多く含まれているのは植物油です。患者さんの食事指導で『魚を増やし、肉と植物油を控えてください』と言うと、ほぼ確実にLDLコレステロールが低下します」と田中さん。リノール酸は、植物油以外にも、マヨネーズやパン、菓子類などに多く含まれるので、好きな人は注意しましょう。
「逆に積極的に取りたいのが、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、エゴマ油といったオメガ3系の脂肪酸です。コレステロールの質がよくなり、血管を若く保て、動脈硬化の改善につながります。『コレステロール改善は食事から、特に油から。コレステロールは制限しなくていい』と覚えておきましょう」
 動脈硬化予防_血管年齢を若返らせる5つの食事ポイント
ポイント1
調理に使う油は植物油を避ける
リノール酸の摂取が多い食生活を続けていると、血栓ができやすくなり、動脈硬化を促す重大なリスクとなります。加熱調理には、リノール酸の多い植物油を避け、比較的リノール酸の少ないオリーブオイルを使うと、LDLコレステロールを上げることはありません。サラダのドレッシングなど加熱調理しない場合には、オメガ3系のエゴマ油やアマニ油がおすすめです。

ポイント2
パンや菓子類の見えない油に注意する
トランス脂肪酸は、LDLコレステロールを増やして血管をもろくし、過剰摂取すると動脈硬化や心疾患のリスクを高めます。トランス脂肪酸は、揚げ物やパン、お菓子などに多く含まれています。パンや菓子類を買うときは、原材料に植物油脂、マーガリン、ショートニングとあるものは避けましょう。

ポイント3
週2回は魚料理、または刺し身を毎日食べる
マグロ、青魚など油の多い魚を積極的に食べましょう。EPAやDHAの摂取量を増やすことが、血管の若返りにつながります。魚料理を最低でも週2回、または刺し身を毎日8切れ食べることをおすすめします。調理法は生が一番ですが、煮たり蒸したりした場合は、汁ごと落ちた油も食べましょう。

ポイント4
肉類は赤身を選び、脂を控える
牛肉や豚肉の脂身には、リノール酸が多く含まれています。とはいえ、肉は良質なたんぱく源でもあるので、赤身を選ぶなど工夫して食べるようにしましょう。ポイント3で、魚の油はしっかり食べるように伝えましたが、肉の場合は逆です。なるべく脂を落として食べるように心掛けてください。

ポイント5
卵は油を使わずに調理すれば、むしろ食べるべき
女性では卵の摂取によりLDLコレステロールが上昇するという研究結果がありますが、それは卵の調理法が大きく影響していると考えられます。油を使う卵焼きや炒り卵は控え、ゆで卵や生卵で食べましょう。卵は貴重な必須アミノ酸の供給源なので、調理法に気を付け、むしろ積極的に取るべきです。

■教えてくれた人
ニコークリニック院長/循環器専門医
田中裕幸さん
たなか・ひろゆき 1954(昭和29)年生まれ。長崎大学医学部卒業。九州大学医学部皮膚科、久留米大学第三内科(循環器)を経て、医療法人ニコークリニック開業。日本性差医学・医療学会評議員、更年期と加齢のヘルスケア学会幹事、女性医療ネットワーク理事などを務める。著書に『男は40代、女は50代から悪玉コレステロールの罠にはまるな』(青萠堂刊)。