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父の借金を負わされた男性がやっと掴んだ「幸せ」

2021-09-08 15:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です。

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「父の借金から国立大学を中退したりキャバクラで店長をしたりしていました。また、父に名義を勝手に使われたため信用情報がブラックで部屋もなかなか借りられず、ネカフェ難民をしたりリゾートバイトなどで食いつないだこともあります」と編集部にメールをくれた、30歳の男性だ。
勤めていた銀行で横領事件を起こした父
アキラさん(仮名、30歳)が生まれたとき、父親はすでに2000万円の借金を抱えていた。勤めていた銀行で横領事件を起こしたのだという。その後、配達ドライバーに転職したものの、そこでも商品を盗もうと倉庫に侵入してクビになった。
アキラさんが小学1年生になると、両親が離婚して母親が家を出て行った。忘れもしない夏休みに入る直前。玄関先で母親から「今日はおじいちゃんが学校に迎えに行くから。そのままおじいちゃんの家に帰ってね」と言われ、送り出された。普段と変わった様子はなかった。ただそれきり、母親とは一度も会っていない。
不思議なことに当時、アキラさんは母親が突然いなくなった理由を尋ねたり、さみしがったりした記憶がない。このときの心境を尋ねると、少し考えた末「諦め? でしょうか」と答えた。
預けられた祖父母の家では、同居していた伯父からささいなことで殴られたりしたので、安心できる家庭環境とはいいがたかった。別居していた父親は気がつくと、フィリピン出身の女性と再婚していた。
男性のクズっぷりを測る物差しとして「酒、煙草、女、ギャンブル」などという言い方をすることがあるが、「父は女の人にお金を貢いでしまう人だったみたいです」とアキラさん。真偽のほどはわからないが、祖母の話では、その女性の故郷には立派な豪邸が建っていると聞いた。
「親ガチャは外れでした」。アキラさんはまるでささいな失敗談でも打ち明けるかのようにあっけらかんと笑う。親ガチャとは、子どもは親を選べないという意味。ネット上のゲームで武器や通貨といったアイテムを抽選で購入する「ガチャ」という仕組みに由来する。
公立の小中一貫校に合格
親ガチャの引きは悪かったが、アキラさんは1つだけ母親に感謝していることがある。それは小学校受験をさせてくれたことだ。アキラさんは地元にある公立の小中一貫校に合格。おかげで教育環境には恵まれたという。教育熱心な家庭の子どもたちが集まる中でも、アキラさんの成績はつねにトップクラス。「小学生のころは図書館の本を片端から読むような子どもでした」。高校は公立の進学校に進んだ。
ただ父親は相変わらずだった。祖父母宅にもたびたびヤミ金業者からと思われる電話がかかってくる。恫喝してくる相手をアキラさんがあしらうこともあったという。
高校に入って早々に衝撃を受けたのは、携帯を買おうとショップを訪れたところ、滞納歴があるので契約はできないと告げられたことだ。父親が勝手にアキラさん名義で携帯を契約し、料金を支払っていなかったのだ。やむをえず継母の名義で、アキラさんと父親、継母の3台分を契約。1台でも滞納すると利用を止められるので、アキラさんは3台分の料金を稼ぐためにファストフード店などでのアルバイトに明け暮れた。
携帯料金とは別に父親からはお金の無心もされたという。「わりぃ、貸してくれないか」と言ってはバイト代をせびってくる。「その月のバイト代10万円を全部持っていかれたときはさすがに参りました」。
父親に翻弄されながらも、アキラさんの成績が落ちることはなかった。東大も合格圏内で、実際に力試しを兼ねて受けた早稲田大学には合格した。しかし、私立大学に進むだけの経済的な余裕はない。浪人覚悟で東大を狙うこともできない。一方でよい思い出のない実家を離れたいという思いもあった。悩んだ末、地方の国立大学へと進学した。
大学では、1人暮らしの生活費は家庭教師や居酒屋のバイト代で、学費は貸与型の奨学金で賄った。それでも生活はぎりぎり。大盛りのペヤング焼きそばを2日に分けて食べ、洗濯は水洗いだけで済ませ、シャワーを浴びる代わりにぬれタオルで体を拭いた。電気を止められたこともあったし、荒れた食生活のせいで時々耳鳴りや動悸にも悩まされたという。アキラさんは「貧乏エピソードとしてはこのころがいちばん大変でした」と振り返る。
必死の思いで2年生に進級した直後、今度は大学側から授業料が振り込まれていないと告げられた。口座を管理していた父親が使い込んでいたのだ。アキラさんは大学を中退。故郷に戻ると、今度は給付型の奨学金がもらえる大学を目指して再び受験勉強を始めた。
アキラさんは一貫して父親への恨み言を口にしなかった。それどころか世間話でもするかのような口ぶりで、時に笑みさえ見せる。「大変なことを大変そうに話しても仕方ないからだと思います。父親のことは達観してしまっていて、もう怒るとか、恨むとかじゃないんですよね。大学を中退したときも、またかーという感じでした」。
梁石日の小説『血と骨』を彷彿とさせる父親の話はまだ終わりではない。
キャバクラで殴る蹴るの暴行を受けた
あるとき、アキラさんの前にこわもての男たちが現れ、「お前の父親が借金を踏み倒して逃げたから代わりに働け」と迫られた。このとき父親は継母とも離婚、キャバクラの雇われ店長として働いていた。「20歳そこそこでキャバクラ店長です。同級生はみんな大学生なのに」。冗談めかして言うので、つい私も笑ってしまいそうになる。
1カ月ほど経つと、父親はふらりと戻ってきた。すぐに店側に見つかり、しばらくは親子でキャバクラで働いていたという。
そしてある秋の日。アキラさんは自宅で首を吊って死んでいる父親を見つけた。財布の中身はわずか17円。メモ帳に「アキラ、ごめんな」と書かれていた。「ああ、やっと死んでくれたんだと思いました。これ以上迷惑をかけられることはないんだな、と。悲しいというよりは、安堵したというのが正直な気持ちでした」。
しかし、本当の危機はこの直後に訪れた。キャバクラのオーナーから父親の借金である500万円を返すまで働けと脅されたのだ。アキラさんが断ると、4、5人に囲まれ殴る蹴るの暴行を受けた。閉店後の店のソファーに座らされ、暴行は深夜から朝方まで続いた。最後は果物ナイフで足を刺され、アキラさんは恐怖のあまり首を縦に振る。
幸い足の傷は軽傷で済んだので、腫れ上がった顔のまま警察に駆け込んだ。しかし、担当者からは「捜査はする。でも、その間自分の身は自分で守るように」と言われた。命の危険を感じたアキラさんは、その足で生まれ育った街を離れ、東京へと逃れた。
それからおよそ10年。現在、アキラさんは都内のベンチャー企業のシステムエンジニアとして働いている。年収約400万円の正社員である。
東京に出てからは、飲食店や寮付き派遣で働いた。派遣の社員寮のほか、友人の家やネットカフェ、シェアハウスを転々とした。25歳までには正社員になりたいと考え、就職したのが今の会社である。最初は事務職としての採用。それから独学でプログラミングの知識を身に付け、社内の効率化やコスト削減に貢献した。実績を重ね、システムエンジニアへの職種変えを希望したところ、認められた。会社が順調に成長したこともあり、毎月の手取りも17万円から25万円ほどへと上がったという。
故郷を離れてからのことをアキラさんはこう振り返る。
「東京では何人もの友人に助けられました。東京の大学に進学して1人暮らしをしていた高校時代の友人や、ネットのゲームで知り合った友人。居候をさせてくれたり、中にはアパートを借りるときの保証人になってくれた人もいました。彼らに迷惑はかけられない。その一心でした」
父親を恨んでいますか? そう尋ねると、アキラさんはやはり少し困ったような笑顔を見せてこう答えた。「年の離れた友達のような人だったんです」。
アキラさんが伝えたいこと
アキラさんは「貧困から抜け出せた経験も取材していただければ」と編集部にメールをくれた。私はありがちな自己責任論を展開されるのではないかと少し警戒していた。しかし、アキラさんは「私は自己責任論者ではありません。自分の頑張りだけでは、どうにもならないことがあると身をもって知っているので。私が貧困から抜け出せたのも運がよかっただけです」と語った。
では、アキラさんは記事を通して何を伝えたいのだろう。「一方で運やタイミング次第で(貧困から)抜け出すことができないわけではない。そのチャンスをつかむために、少しでも備えをしておけばよかったと、私自身が思ったんです」。
例えば大学を中退したときや、キャバクラで働かされたとき、もう少し法律面の知識や何かしらのスキル、いわゆる社会常識などがあれば、また違った選択ができたのではないか。怖くていいなりになるしかなかった面はあったものの、少なくとも今の自分なら行政には相談していたはずだという。
「貧困状態にあるときは心の余裕もありません。コミュニケーション能力などには個人差もあると思います。それでも訪れた運をつかめば何とかなるときもあるんじゃないか。(自分と同じような貧困状態にある人の)背中を押したいというのもちょっと違う。ただ背中に手を当てたい。そう思ったんです」
アキラさんは優しく、ユーモアがあり、聡明だった。一方で自身の将来についてはこんなふうに突き放した。「価値観の合う人がいれば、結婚はするかもしれません。でも、子どもだけは絶対に欲しくありません。家族というものが疎ましい。自分の中に流れるこの血だけは次の世代に残したくありません」。
壮絶な経験を穏やかに話す姿と、自分の血だけは絶対に残さないと言い切る闇を抱えた姿のギャップは、私の中で最後まで埋まらなかった。当たり前かもしれない。取材で話を聞いただけで、すべてを理解することなど土台無理な話なのだ。
ただこれからのアキラさんの人生が実り多いものであることを願う。親ガチャという言い方をするなら、ガチャでアキラさんを引き当てる子どもがいるとすれば、その未来はそう悪いものではないと思うのだ。
藤田 和恵 : ジャーナリスト


デルタ株、ワクチン接種でも他人に感染の可能性 米研究

2021-09-08 14:48:53 | 日記

下記の記事は日本経済新聞オンラインからの借用(コピー)です。

新型コロナウイルスのデルタ株は、規定回数のワクチンを接種した人の鼻腔でも、ワクチンをまったく接種していないときと同じように増殖しうることが、8月11日付けで発表された予備的研究の実験で確かめられた。増殖したウイルスが人に感染しうる点についても同程度だった。
つまり、ワクチン接種を終えた人もウイルスを他人に感染させる可能性があるということだ。その可能性はあるだろうとこれまで多くの専門家が考えていたものの、実験で証明されてはいなかった。
「私の知る限り、ワクチン接種が完了した感染者(の試料)からヒトに感染するウイルスが培養されうることを示したのは、私たちが初めてです」と、米ウィスコンシン大学のウイルス学者で、今回の論文の著者の一人であるケイスン・リーマーズマ氏は語る。論文は、査読前の論文を投稿するサイト「medRxiv」で公開された。
以前からインド、米マサチューセッツ州プロビンスタウン、およびフィンランドの病院でそれぞれ実施された研究でも、デルタ株にブレイクスルー感染(接種後感染)した場合、感染者の鼻に高濃度のウイルスが存在しうることは示されていた。そのため次に確認すべきことは、ワクチンを接種した人も、感染力のあるウイルスを排出するのかどうかだった。
デルタ株は極めて感染力が強く、免疫を回避してしまうため、「非デルタ株に比べてワクチン接種後のブレイクスルー感染が起きやすくなっています」と、英ケンブリッジ大学の微生物学者、ラビンドラ・グプタ氏は話す。グプタ氏の研究室は、ワクチン接種を完了した医療従事者もデルタ株に感染することがあり、その鼻に高濃度のウイルスが存在することを最初期に報告したグループの一つだ。
ウィスコンシン大学の研究結果が正しければ、ブレイクスルー感染した人は、その多くが発症しないまま、知らずにウイルスをまき散らすかもしれない。「これは警戒すべき発見です」と、今回の研究を主導したカタリナ・グランデ氏は説明する。氏は「マディソン市およびデーン郡新型コロナデータチーム」のリーダーを務める公衆衛生管理者だ。
米スクリプス・トランスレーショナル研究所の創設者で所長のエリック・トポル氏は、デルタ株に感染したワクチン接種完了者が、発症前あるいは発症せずにウイルスを他人に感染させること、そしてこれが従来株よりも高い確率で起こりうることを懸念する。「ですから、ワクチン接種を受けた人にとっても、マスクの着用と感染対策は重要です」
今回のような研究は、デルタ株が現在推定されているよりはるかに高い割合で拡大しうることを強調するものだと、米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループの最高公衆衛生責任者(CPHO)イーサン・バーク氏は言う。3月25日付けで学術誌「PLOS ONE」に発表された氏の研究は、たとえ予備的であってもすぐに結果の出る検査を頻繁に行うことが、新型コロナの感染拡大を抑える上で非常に効果的であることを示している。なお、氏はウィスコンシン大学の研究には参加していない。
「今回の研究は1地域におけるものとはいえ、ワクチン接種を完了しているか否かにかかわらず、人から人へウイルスが感染する可能性について重要な知見を与えてくれます。このような知見が、特に検証および精緻化されてゆけば、組織が検査やソーシャルディスタンスの確保、ワクチン接種等に関する方針を立てる際に非常に役立つでしょう」とバーク氏は述べている。
試料中のウイルスに感染性があるかを調べるには
科学者らは、鼻腔内にあるウイルスのRNAの量を調べるために、Ct値と呼ばれる基準値を採用した(編注:Ct値は、PCR検査でウイルス遺伝子を増幅させる際に、その量が一定値に達するまでに要した増幅回数。つまり、Ct値が低いほど検体中のウイルス遺伝子の量が多い)。
Ct値はウイルス量、つまり体内のウイルス粒子の数と関連する。ウイルス量が一定の値を超えると、感染者はウイルスを排出して他の人を感染させる可能性があると研究者らは推測する。
「新型コロナウイルスは鼻と上気道に感染します。ここは多量な抗体を長期間にわたって得ることが大変難しい場所です。免疫系は、これらの部位に高いレベルの量の抗体を作るようにはできていません」とグプタ氏は述べている。
ウィスコンシン大学の研究では、いずれも検査で陽性反応を示したワクチン未接種の人とワクチン接種を完了した人、計719人を対象に、検査に使用した鼻腔用綿棒を分析した。その結果、対象となったブレイクスルー感染者の68%はCt値が25未満、つまりウイルス量が非常に多かったことがわかった。これは体内でウイルスが複製されている徴候だとグプタ氏は説明する。
検体の鼻腔用綿棒に感染性のあるウイルスが存在するかどうかを確認するため、研究者らは、いずれも検査で陽性反応を示したワクチン接種済みの人と未接種の人、計55人の試料から採取したウイルスを、新型コロナウイルスに感染しやすい特殊な細胞内で培養した。その結果、ワクチン未接種の人の88%、接種済みの人の95%という、全員に近い人の試料で感染性のあるウイルスが検出された。
「試料を細胞に接触させると、感染した細胞は死にます。これは、そこにウイルスが存在し、感染性があることをはっきり示しています」とリーマーズマ氏は説明する。
ワクチン接種を完了した人も大量の感染性ウイルスを作り出すとしたら、ワクチン接種を受けていない人と同じくらいウイルスを広める可能性があることになる。
感染予防にはマスクとワクチンを
「現在は、感染性の非常に高い変異株の出現、免疫のない人の多さ、マスク着用をめぐる対立など、悪いことの重なった最悪の状況です」とグランデ氏は言う。
米疾病対策センター(CDC)は、8月16〜22日において米国の95.65%の郡で新型コロナの市中感染の危険が「やや高い」または「高い」としている。CDCが定義する「高い」とは、その郡の過去7日間の新規感染者が10万人中100人以上か、検査の陽性率が10%以上であることをいう。そのような地域ではデルタ株の感染から最大限に身を守り、また他の人に感染を広げることを防ぐために、室内で人前にいるときはマスクを着用するようCDCは推奨している。
承認されたワクチンによって、新型コロナ感染症の重症化や死亡を防ぐことはできるものの、高齢者、免疫機能が低下している人、基礎疾患のある人では効果が大幅に低下する。
「デルタ株がどのように作用し、感染するのか、そして最終的にどうすれば家や職場、地域社会で身を守れるのかについて理解を深めるには、この変異株に関する情報がもっと必要です」とバーク氏は言う。「それがわかるまでは、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、定期的な検査やワクチン接種などの基本的な衛生管理が、感染のスピードを遅らせ、重症化や死亡を防ぐ上で引き続き重要な役割を果たすでしょう」
文=SANJAY MISHRA/訳=山内百合子 (ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2021年8月24日公開)
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
    * 鈴木一人東京大学 公共政策大学院 教授    *
分析・考察これまでもワクチンを接種しても感染し、感染させる可能性は言われていたが、いわゆる「ブレイクスルー感染」と混同していたこともあり、あまりはっきりとは出てこなかった話。しかし、飛沫感染で気道や鼻腔でウイルスが増殖することは知られており、この部位だけに抗体が集中することはあり得ないので、発症しなくても体内でウイルスを増殖する可能性はあった。それが実験で証明された形になる。
2021年9月8日 13:10

ワクチン接種8割のシンガポール感染急増 重症化率低く  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

【シンガポール=中野貴司】新型コロナウイルスワクチン接種完了率が8割を超えるシンガポールで、感染者が急増している。7日の新規感染者数は328人と、2020年8月以来の高水準となった。政府はタクシー運転手らにも週1回の検査を義務づけるなど、感染抑制策を強化する。
感染増加の主因は外食の解禁などによって人同士の接触の機会が増え、ワクチン接種完了後に感染する「ブレイクスルー感染」の事例も増えたことだ。政府の統計によると、直近1カ月の感染者の76%が接種完了者だった。接種から時間が経過するにつれてワクチンの効果が薄れることもあり、「ワクチンが感染を防ぐ割合は40%程度」(オン・イエクン保健相)にとどまるという。
ローレンス・ウォン財務相は6日、「このペースが続けば2週間後には1日あたり千人、1カ月後には2千人の新規感染者が出る可能性がある」と述べ、早期発見を目的とした検査を強化する方針を示した。マスクをつけない顧客との接触機会の多い飲食店やジムの従業員への検査の頻度を今の2週間に1回から毎週に増やす。タクシー運転手やスーパーの店員なども対象に加える。さらに、これらの対象業種以外の企業にも検査キットを配り、従業員の検査結果を所管官庁に報告するよう求める。
先進国の中でもワクチン接種完了率の高いシンガポールの感染抑制策の強化は、ニューノーマル(新常態)への移行が容易でないことを示す。ただ、シンガポール政府は「ワクチン接種完了者が感染後に重症に至る割合は1%未満と、未接種者の約6%に比べて低い」とワクチンが重症化を防ぐ効果を強調している。日々の集中治療室(ICU)の使用件数も10件未満で低位安定しており、重症者が増えない限り外食の再禁止といった強い規制強化には踏み切らない方針だ。


コロナ「入院待機患者」が見捨てられる本当の理由 医療崩壊

2021-09-08 13:30:00 | 日記

下記の記事はデイリー新潮オンラインからの借用(コピー)です。

新型コロナ第5波が拡大し、入院難民が続出している。連日、メディアは自宅療養中の死亡例を報じている。8月2日、政府は重症者の病床を確保するため、療養方針の見直しを発表した。入院の要件を重症患者や重症化リスクの高い人に限定し、中等症以下は、原則として自宅療養となった。その代わり菅義偉総理は自治体と連携して「酸素ステーション」を設置する方針を発表。首都圏や関西圏など少なくとも9都道府県に開設または設置が予定されている。緊急搬送中に受け入れる病院がなかった場合や、入院調整中の患者を引き受ける緊急避難措置だ。
 メディアは、このような方針変更を政府の窮余の一策と報じるが、私は、そうは思わない。こんなことをしていると、日本の医療は崩壊してしまう。どういうことだろうか。本稿でご紹介しよう。
他国比較では抑えられている感染者数・死者数
 私が問題視するのは、厚生労働省の主張は前提自体が間違っていることだ。医療の基本は、早期診断・早期治療だ。コロナについても、臨床研究が進み、ステロイドなどの薬剤を上手く利用することで重症化を予防できるようになった。中等症以下の感染者は自宅療養というのは、早期治療を放棄し、悪化させることに他ならない。
 問題は、これだけではない。そもそも、感染拡大に関する現状認識が、世界とはかけ離れている。第5波の世界的流行の真っ只中といえども、「医療崩壊」に見舞われている先進国は日本だけだ。ワクチン接種が進んだ先進国では感染者数、死者数が減って、医療負荷が軽減されているため、問題が生じていないとお考えの読者もおられるだろうが、実態は違う。日本の感染者数や重症者数は多くない。8月24日の日本の新規感染者数(人口100万人あたり、7日間平均)は183人で、主要先進7カ国の中で4番目だ。カナダ(68人)のように感染がコントロールされている国もあるが、英国(490人)や米国(454人)とは比較にならない。
 さらに日本の特徴は死者数が少ないことだ。
   8月24日の死者数は0.26人(人口100万人あたり、7日間平均)で、独(0.24人)に次いで少ない。ちなみに多いのは米国(3.29人)、仏(1.92人)だ。
 入院治療が必要な重症者数は、死者数に比例するから、欧米先進国と比べて、日本の医療負荷は遙かに小さいはずだ。ところが、その日本で医療崩壊が起こっている。勿論、医師や病床が少ない訳ではない。
   日本の人口1000人あたりの医師数は2.4人で、人口あたりの死者数がはるかに多い英国(2.7人)と遜色ない。人口1000人あたりの病床数は13.1床で、英国(2.5床)の5.2倍だ。
 日本で医療が崩壊するのは、感染症対策の基本を無視しているからだ。感染症対策の基本は隔離だ。隔離が求められるのは、感染者だけでない。病院・病棟についても通用する。かつて、結核が国民病だった時代、政府は結核患者を結核療養所に病院ごと隔離した。結核患者数が減った昨今、稼動率は33%と低いものの、全国に4370床(2019年)の結核病床が存在する。これこそが、感染症対策の基本で、コロナについても同じことが通用する。世界の多くの国は「入院が必要なコロナ患者は重症は大学病院、中等症以下は公的病院で集中的に引き受けている」(英国在住医師)。
尾身会長のJCHOは確保病床の70%(総病床数の7.2%)
 では、日本で、どのような組織がコロナ患者を受け入れるべきか。勿論、公的病院だ。東京なら都立病院と国立病院(独立行政法人を含む)だろう。ところが、このような病院が十分な役割を果たしていない。東京都の感染症拠点病院である都立墨東病院の場合、病床数は573床で、感染症科の病床数は40床だ。8月6日の入院は重症が10人、それ以外が63人である。
 ただ、都立病院は、まだましだ。問題は国立病院だ。都内には、感染症拠点病院に認定されている国立国際医療研究センター病院、国立病院機構(国病)が運営する4病院、地域医療機能推進機構(JCHO)が運営する5病院、労働者健康安全機構が運営する東京労災病院の11の病院が存在する。総病床数4379だ。JCHOの理事長は、かの尾身茂氏で、まさにお膝元である。ところが、いずれも患者受入に消極的だ。
   例えば、国病の確保したコロナ専用病床数は128床で、全体の6.5%に過ぎない。厚労省の内部資料によれば、8月6日時点の受入数は84人で確保病床の66%、全病床の4.2%に過ぎない。JCHOの場合、総病床数は1532床で、確保病床は158床(10.3%)だ。8月6日時点の受入数は111人で、確保病床の70%、総病床数の7.2%に過ぎない。JCHOの長である尾身氏は、「JCHOは最大限やっている」という主張を繰り返してきたが、実態は違う。
   このような独法は、公衆衛生上重大な危害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態に対処することが法的に義務付けられている。もし、都内の病床数のせめて1割にあたる437床でも、コロナ病床に転換すれば、東京都が整備を予定している酸素ステーション246床は不要となる。もし、全てをコロナ病床にすれば、それだけで待機患者問題は解決する。
   田村憲久厚労大臣は、厚労省が所管する独法に患者の受け入れを要請すべきだった。これは独法の設置根拠法で、厚労大臣にその権限があることが明記されおてり、独法は正当な理由なく断ることができない。現在の状況で、田村大臣が、この権限を行使しないことは「不作為について違法性が問われる重大な問題」(厚労省関係者)だ。
   しかしながら、独法でコロナ患者を受け入れるということは、「出向している医系技官やノンキャリが矢面に立つ」(前出の厚労省関係者)ことを意味する。厚労省は、これだけは避けたいため、田村大臣が、このことに言及したことはない。
「コロナ専門病院化」と「ロックダウン」どちらが社会の負担になるか
   そして、実際にやったのは、小池百合子東京都知事とともに民間病院への患者受け入れ要請だ。これは、2月に改正された感染症法に基づくもので、このあたり、厚労省は法改正までして、用意周到に準備している。公衆衛生上の危害が生じる緊急事態に対して、自らの責任を放棄し、本来、病床確保の責任を負う必要がない民間病院に押し付けたことになる。
   これは感染症対策の基本に反する。感染者を隔離するには、施設を限定して、集中的に治療するしかない。幸い、今回問題となっている感染者は、厚労省が自宅で療養が可能と判断している軽症から中等症だ。一部が重症化するとは言え、独法の病院でも十分に対応できる。いまこそ、コロナ病院の「選択と集中」を進めるべきだ。逆に、多くの施設が分担して、少数の感染者を引き受ければ、院内感染を増やし、コロナ以外の患者の治療も停滞させる。こんな対策をとっている国はない。
   なぜ、こんなことをするのか。勿論、厚労省の責任回避だ。横浜市長選挙での与党候補の惨敗に象徴されるように、国民のコロナ対策への不満は強い。その主犯は、厚労省と周囲の専門家たちだ。彼らも、そのことは十分に認識している。彼らは、国民の関心をそらすのに懸命だ。
   このあたりも周到に準備している。尾身氏は7月30日の菅総理との記者会見で、ロックダウンの法的整備に言及しているし、その後も、繰り返し「ロックダウン法制化の議論も」と公言している。田村大臣は、JCHOなどの独法には既に入院患者がいて、簡単に転院させられないため、コロナ専門病院にはなれないと繰り返してきた。公衆衛生危機に対応する法的義務がある独法のコロナ専門病院化と、ロックダウンの社会的コストのいずれが高いかは、議論の余地はない。彼らは何とかして、待機患者問題は独法の不作為ではなく、デルタ波による感染拡大が問題だと印象づけたい。
今冬の感染者は今夏の数倍
   彼らの立場に立てば、このような姑息な対応も合理的だ。それは、もう少し粘れば、失敗の責任をとらずにすむからだ。第5波の感染は、8月25日をピークに減少に転じている。9月になれば、さらに下火になる。そうなると、コロナ流行で延期されていた厚労省幹部の人事異動が発表される。担当を外れてしまえば、責任は追及されない。それまでしのぎきればいい。尾身氏は、このような後輩官僚たちを側方支援していることになる。
   ただ、こんなことを続けていると、日本はさらに大きなツケをはらうことになる。今夏の欧米での流行をみてわかるように、ワクチンを打っても、重症化や死亡は減るが、コロナの感染者はあまり減らない。コロナの流行の本格的なシーズンは冬だ。今冬の第6波での感染者は、今夏の数倍になるだろう。入院治療の必要性は、格段に増すはずだ。そのためには、いまより多くの病床を確保できるように体制整備しておかねばならない。公的病院をコロナ専門病院に転換させておくのが合理的だ。これこそが、コロナ対策の喫緊の課題といっていい。もはや厚労省の戯れ言に付き合っている時期ではない。他国にならい、合理的な対応をとらねばならない。
上昌広
特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。
1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している


植物由来のコロナワクチンが最終治験に、まもなく実現か

2021-09-08 12:00:00 | 日記

下記の記事は日経ビジネスオンラインからの(コピー)です。


この記事はナショナル ジオグラフィック日本版サイトからの転載です
カナダ、ケベック市にあるメディカゴ社の温室で、ワクチンをつくるタバコ属の植物をチェックするスタッフ。(PHOTOGRAPH BY MATHIEU BELANGER, REUTERS)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、世界各国のワクチン生産能力の大きな格差が明らかになった。現在のワクチン生産方法は、高額で複雑だ。そのため、ワクチンを生産できるのはひと握りの国々に限られるうえ、そのような国々でさえ、頻発する汚染と品質管理の課題に直面してきた。
 既存のワクチンには、マイナス60℃もの超低温で輸送、保管しなければならないものもある。こうしたワクチンの低温流通システム(コールドチェーン)は、高コストなだけでなく、へき地のコミュニティやインフラが不十分な国々にとって流通の大きな障壁になっている。
 その打開策は、ワクチン生産に植物を利用することだ、と考える科学者がいる。
 人体に使用できる植物由来ワクチンはまだ出回っていないが、複数のプロジェクトが進行中だ。カナダのバイオテクノロジー企業のメディカゴ(田辺三菱製薬の子会社)は、タバコ由来の新型コロナワクチンを開発した。現在、全世界のおよそ3万5000人を対象に第3相臨床試験(最終段階の治験)が行われている。同社の医療担当役員、ブライアン・ワード氏によれば、同社が開発した植物由来のインフルエンザワクチンはすでに臨床試験を終了し、カナダ政府の最終承認を待っているところだ。
 2020年12月には、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)傘下の米ケンタッキー・バイオプロセッシングが、植物由来の新型コロナワクチンの第1相臨床試験を開始すると発表した。また、同年10月には、日本の化学大手デンカの子会社であるドイツ、アイコンジェネティクスも、植物由来のノロウイルスワクチンの第1相臨床試験を開始している。
 大学研究機関や、バイオ技術の新興企業、そして各国政府は、この分野の取り組みを拡大するために多額の資金を投入して協力関係を整備してきた。韓国政府は、植物由来ワクチンの研究に135億ウォン(約13億円)を投入した。2021年10月には、浦項(ポハン) 市に韓国初の生産施設が開設される予定だ。植物由来ワクチンの市場規模は、現在の4370万ドル(約48億円)から今後7年間で6億ドル(約660億円)弱にまで上昇するという試算もある。
「植物由来ワクチンの開発は、ゆっくりとではありますが、着実に前進しています。現在、新型コロナワクチンの迅速な生産が実現可能な段階に来ています。おそらく半年もあれば、数千万回分のワクチンを生産できるでしょう」。米コーネル大学の微生物学者で、作家でもあり、植物研究と農業バイオ技術を専門とするキャスリーン・ヘフェロン氏はこう話している。「もうすぐ複数の成功事例を目にすることになります。この取り組みが植物由来ワクチンの開発に新たな進展の道を開くことを、大いに期待しています」
従来のワクチンが抱える大きな問題
 植物由来ワクチンは今に始まったことではない。その概念は約30年も前に実証済みだ。研究者たちは、イモ、米、ホウレンソウ、トウモロコシなどの植物を使って、デング熱、ポリオ(小児まひ)、マラリア、ペストなどのワクチンを開発してきた。
 だが、いずれも臨床試験の最終段階まで進むことはなかった。ヘフェロン氏によれば、おそらく植物由来薬品に関する法制度の欠如や、新興バイオテクノロジーへの投資がためらわれたことが原因だった。
 2006年には、家禽類が感染するニューカッスル病の植物由来ワクチンを、米農務省が承認した。しかし、人間用の植物由来ワクチンが承認されたことはなく、最近までは、臨床試験の最終段階まで進んだものもなかった。
 ワクチンを作るには、特定の病原体に対する免疫反応を引き起こす抗原をまず大量に生産しなければならない。一般的には、弱毒化または不活性化させたウイルスや細菌や毒素、あるいは新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質のような病原体のたんぱく質などが抗原に用いられる。
 いずれにしろ、従来のワクチンの抗原は、動物の細胞(昆虫、サルの腎臓、ハムスターの卵巣などを利用)に病原体を感染させたり、ウイルスや抗原のコピーを作るように指示する遺伝情報をもたせたりして生産していた。こうした細胞は、巨大な金属製のバイオリアクター(培養槽)で数日間から数週間、培養される。その後、長く複雑な精製工程を経て、ワクチンがようやく容器に充填される。
 問題は、バイオリアクターが高価であり、その管理には専門訓練を受けたスタッフが欠かせない点だ。また、汚染のリスクが高いので、異なる種類の抗原を培養するバイオリアクターは、別々の建物内に設置し、厳格な管理下で無菌状態を維持しなければならない。
 なお、米ファイザー・独ビオンテックと米モデルナの新型コロナワクチンでは、抗原そのものではなく、メッセンジャーRNA(mRNA)が使用されている。mRNAは、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質をヒト細胞に作らせる遺伝情報物質だが、こちらも高額の費用がかかる施設で量産し、精製する必要がある。
「今回のパンデミックで、すべての人に行き渡るだけの十分なワクチン生産能力が世界的に不足していることがはっきりしました」と、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの感染症研究者ジョン・トレゴニング氏は言う。コスト、スペース、人材の面で、非常に負担が大きいせいだ。米国防総省は、承認された3つのワクチンの生産施設を25年間維持するだけでも、15億ドル(約1650億円)の費用がかかると試算している。
植物を育てるだけでワクチン工場に
 植物由来ワクチンでは、バイオリアクターは不要になる。植物自体がその役割を果たすからだ。温度や湿度が制御された製薬専用の温室で、植物を育成するだけでよい。温室内に昆虫や害虫は侵入させないが、無菌状態を維持する必要はない。
 米ノースカロライナ州ローリーにあるメディカゴ社の温室では、2本の機械式アームが、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)の苗126本が並ぶ金属トレイを持ち上げている。ひょろひょろしたベンサミアナタバコはオーストラリア原産で、タバコ製品の原料となるタバコの仲間だ。
 ロボットアームは苗のトレイの上下を素早く反転し、植物への感染力がある土壌細菌アグロバクテリウムを無数に含む液で満たされた容器に浸す。この温室のアグロバクテリウムには、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの遺伝情報の断片を組み込んでいる。ベンサミアナタバコの苗を溶液に浸しながら、小型の減圧装置で根の部分を減圧すると、すぐに葉はしおれた状態になる。数秒後に復圧すると、葉は再び広がって、スポンジのようにアグロバクテリウムを含む液を吸収し、全体に行き渡らせる。
 このようにほんの数分間で、ベンサミアナタバコはミニサイズのバイオリアクターに変身する。アグロバクテリウムが植物細胞に感染すると、感染力をもたない抗原であるウイルス様粒子(VLP)を無数に作りだす。
「本当に見事です。最高の仕組みと言ってもいいでしょう。この工程は、アグロインフィルトレーション、またはバキュームインフィルトレーションと呼ばれています」と、メディカゴ社のワード氏は言う。
 ワード氏の説明によれば、植物を温室に戻してから5、6日後に葉を収穫する。その後、葉をみじん切りにして酵素槽に入れ、ここで硬い細胞壁を破壊して無数のウイルス様粒子を取り出し、精製して容器に入れるという。こうして完成するのが植物由来ワクチンだ。2018年、メディカゴ社のインフルエンザワクチンは、世界で初めて第3相臨床試験を終了した。
レタスによる「食べられるワクチン」も視野
 従来のワクチンは、ウイルスやウイルス粒子を細胞から取り出して精製した後は、低温で保存しなければならない。メディカゴ社のインフルエンザや新型コロナの植物由来ワクチンでも、この点は同じだ。
 だが、精製段階を完全にカットして、この問題を回避する植物由来ワクチンもある。ワクチン生産に広く使用されている遺伝子組み換えレタスはその一例だ。開発に携わってきた米ペンシルベニア大学の研究者、ヘンリー・ダニエル氏によれば、レタスの種子の葉緑体のゲノムに、遺伝子技術を利用してウイルスの遺伝情報を挿入するのだという。
 葉緑体は、植物が光合成(植物が日光を利用可能なエネルギーに変換するプロセス)を行う細胞内の器官だが、独自のゲノムをもっている。ゲノムは機能や自己複製を指示する遺伝情報のセットだ。細胞そのもののゲノムはたいていコピーが1つだけだが、葉緑体は約100のコピーをもっているうえ、細胞の中に複数含まれる。したがって、葉緑体はそれだけ多くの抗原をつくることができる。
 ウイルスの遺伝子をゲノムに挿入された種子は、管理下ではあるが一般の農場や温室と変わらない環境で栽培され、収穫される。レタスの場合は食用植物なので、ウイルス様粒子を精製せずに、抗原を含む葉緑体をそのまますりつぶして粉末にし、経口投与できるように錠剤やカプセルにも加工できる。いわば「食べられるワクチン」だ。
 人間や動物用の複数のレタス由来ワクチンが開発中だが、まだ臨床試験に進んだものはない。錠剤タイプのワクチンは常温で長期間保存できるので、低温流通の問題がない点はメリットだ。
 植物由来ワクチンの生産コスト推定額は、まだ公表されていない。だがダニエル氏は、「バイオリアクターより植物を利用するほうが安くなることは間違いありません。バイオリアクターの発酵設備は数億ドルかかりますし、精製や低温流通などにもコストが必要ですから」と話している。
 植物由来ワクチン技術の進歩は、現在と将来のパンデミックへの対応を強化できるだけではなく、ワクチンの生産を途上国に拡大する機会をもたらすだろうとヘフェロン氏は言う。毎年400~500万人の命を救っているワクチンは、公衆衛生には不可欠だ。しかし、世界には今も髄膜炎、はしか、百日咳のワクチンを利用できない地域が多数あり、年間およそ150万人が、予防可能な感染症で亡くなっている。
「国による経済格差が、ワクチン接種の深刻な不平等をもたらしています。生産方法の種類を増やすことができれば、より多くのワクチンを、より早く、より多くの人に届けられるかもしれません」とトレゴニング氏は話している。


眞子さま、小室さん結婚で「解決金なかったことにされる」 元婚約者サイドの悲鳴

2021-09-08 11:00:00 | 日記

下記の記事はAERAdoからの借用(コピー)です。


9月1日、秋篠宮家の眞子さま婚約内定者の小室圭さんが年内結婚の見通しであると、唐突に報じられた。

テレビのコメンテーターは、「お幸せに」の祝福コメントを並べ立てているが、そもそも婚約延期の原因となった小室家と元婚約者の金銭トラブルが、「なかったこと」にされていないだろうか。

「解決金に進展はありません。このまま支払われず、なし崩し的に『なかったことにされるのでは』、という不安は、当然あります」

 そう話すのは、小室さんの母、佳代さんの元婚約者の代理人だ。

 小室圭さんの代理人をつとめる上芝直史弁護士が、都内で記者会見を開き「解決金をお渡しする形で、この問題を終了したい」と話したのが4月12日。
 もうすぐ5カ月が経過するタイミングで、眞子さまと小室さんの年内結婚が報じられた。

 だが、解決金の問題は何も進展していないという。婚約者の代理人は、こう話す。

「解決金の件で進展は何もありません。元婚約者は、当初から佳代さんの口からきちんとした説明を聞きたいと話しています。会いたくなければ、文書でもいい。しかし、小室さんサイドの弁護士は、『伝えておきます』と言うだけで、こちらに何の連絡もありません。われわれは、待つしかない立場です」

 この代理人は、9月1日の早朝に「年内結婚」のニュースを見た。朝の5時だったがすぐに、元婚約者へ「報道を受けてコメントを出す意思があるのか」と連絡をした。返事はまだない来ていない。

「元婚約者は、いまも小室君を息子のように大事に思っています。彼の幸せを祈る気持ちは変わらないだろうとは思います」

 2018(平成30)年の誕生日会見で、秋篠宮さまは「多くの人がそのことを納得し喜んでくれる状況にならなければ、私たちはいわゆる婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」と明言した。

 しかし昨年の誕生日では、「結婚を認める」と発言し、金銭トラブルに対する小室さんの姿勢について、「対応を全くしていないかと言えばそんなことはないと思います」と、かなりトーンダウンしている。

今年2月には誕生日会見に臨んだ天皇陛下が、「秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております」と話したものの、小室さんの代理人弁護士が言い出した、「解決金」の進展もない状況では、国民が納得し喜ぶ状況にはほど遠い。

 にもかかわらず、なぜ結婚にGoサインが出たのか。

 皇室を長年見てきた人物はこう話す。

「秋篠宮さまの姿勢は、決してブレていません。家と家の儀式である納采の儀は、行わない。だが、両性の合意に基づく結婚は憲法で保障された権利である。ならば、結婚も自分たちの責任で行うべき、というお考えは一貫している。実は、秋篠宮さまは子煩悩な父親というよりは、子どもに自立した生き方を求めている方です。一般の家庭で30歳になろうという娘の結婚を、父親がいつまでも反対していたらおかしいでしょう。眞子さまが結婚を望むのならば、自分の力で生きて行きなさい、ということでしょう」

 一時金については、眞子さまは1年半以上前から「受け取らない」と口にしていると記者も聞いていた。しかし、受け取らないことが「後ろ指をさされず結婚できる」理由にはならないだろう。

 婚約延期の原因となった金銭トラブルについて、結局、小室さんは一方的に自分の主張を文書で行っただけだ。元婚約者と向き合い、真摯(しんし)に話し合いをする姿勢はついに、伝わってこなかった。