周平の『コトノハノハコ』

作詞家・周平の作詞作品や歌詞提供作品の告知、オリジナル曲、小説、制作日誌などを公開しております☆

『ブサメンの音楽隊』~第4話~(シューピー散文クッキング第2弾)

2022年06月22日 | シューピー散文クッキング
周平本人が目を瞑りながら国語辞典を適当なページで開いて適当な場所を指差し、目を開けた時に指が指している単語(1話につき5個)を全て文章のどこかに組み込まなければいけない「シューピー散文クッキング」の第2弾『ブサメンの音楽隊』の第4話です!

さて、今回の材料は…

「地獄で仏に会う」…大さじ4杯
「やれる」…小さじ2杯
「血の気」…小さじ6杯
「納入」…大さじ5杯
「クレーム」…小さじ4杯

とりあえず今のところ、つまらないという”クレーム”は来てないので第4話スタート!!

『ブサメンの音楽隊』~第4話~

ロバこと僕・呂畑蓮、イヌこと犬飼翔、ニワトリこと仁羽桃李の3人は、西園寺つむぐの勧めでバンドを組む事になった。
「”地獄で仏に会う”」とはこういう事をいうのだろう。
女子にモテずに困っていた僕ら3人の未来は、隣のクラスの次期生徒会長最有力候補の西園寺くんのおかげで一気に明るくなっていった。
3人とも楽器など未経験だったが、女子にモテるためならどんな事でも”やれる”気がしていた。

バンド名は「ブサメンの音楽隊」に決定。お察しの通り、「ブレーメンの音楽隊」のもじりだ。
偶然か必然か、ロバ、イヌ、ニワトリがいずれも「ブレーメンの音楽隊」に登場する動物だったからだ。
ネコ役がいないのが残念だが。

僕はお年玉で一番安いキーボードを購入した。
今日やっと"納入"される予定だ。
本当はエレキギターが良かったのだが、一番の難関とされるFコードを押さえられる自信がなかったからという理由だけでキーボードにした。
女子にモテるためならどんな事でも”やれる”のではなかったのだろうか。

イヌもお年玉でエレキベースを購入し、毎日学校から帰ると大音量で練習し、隣の家から”クレーム”を受け続けているらしい。

ニワトリは父親が持っていたトランペットを譲り受けて、隣の家以前に家族から”クレーム”を受けながら練習を頑張っているらしい。

「なぁ、とりあえず何かの曲のコピーから始めて、ゆくゆくはオリジナル曲を作りたいよね?」と僕は2人に対して言った。

「そうだな。西園寺は作詞作曲もできるらしいから、あいつにオリジナル曲も作ってもらおうぜ。」とイヌ。

「でもさぁ、肝心なヴォーカルはどうするの? 僕は音痴だから無理だよ? そもそもトランペット吹きながら歌えないし。」とニワトリ。

そこで僕ら3人は近いうちにカラオケに行き、僕かイヌのどちらか歌がうまかった方が楽器を演奏しながらヴォーカルも務める事にしようと決めた。

数日後、僕らは3人全員のあまりの歌の下手さに”血の気”が引いた。

「よしっ! ヴォーカルも西園寺くんにやってもらおう!」

こうしてブサメンではない西園寺つむぐも「ブサメンの音楽隊」に強制的に加入となり、あだ名も強制的に「ネコ」となる。
彼女いない歴は1週間だ。

《第5話へ続く》

『ブサメンの音楽隊』~第3話~(シューピー散文クッキング第2弾)

2022年06月04日 | シューピー散文クッキング
周平本人が目を瞑りながら国語辞典を適当なページで開いて適当な場所を指差し、目を開けた時に指が指している単語(1話につき5個)を全て文章のどこかに組み込まなければいけない「シューピー散文クッキング」の第2弾『ブサメンの音楽隊』の第3話です!

さて、今回の材料は…

「海水浴」…小さじ5杯(群馬県に海ないよ~)
「面倒」…小さじ2杯
「丁寧」…小さじ2杯
「自由平等」…大さじ3杯
「つむぐ」…大さじ4杯

こんな企画、"面倒"だから辞めたいけど、そうも行かずに第3話スタート!!

『ブサメンの音楽隊』~第3話~

イヌだけじゃなく、ニワトリ(元・大将)も含め3人で行動する事が増えてから1週間くらい経った日の事。
僕たちは昼休みを相変わらず校舎の屋上で過ごしていた。

「午後の授業"面倒"だなぁ。帰りてぇなぁ。」と僕。

「でも、僕たち帰ってもゲームくらいしかやることないでしょ?」とニワトリ。

「それな。」とイヌ。

「夏までには彼女作って、一緒に"海水浴"とか行きてぇなぁ。」僕がまたぼやいた。

その後もこんな感じで生産性の無い会話を繰り返していた。

そこに一人の男子生徒が現れた。

「君たち、真冬に屋上なんかにいたら風邪引いちゃうよ?」

僕たちにそう声をかけてきたのは隣のクラスの学級委員長で、来年度は生徒会長間違いなしと言われてる西園寺”つむぐ”(さいおんじ・”つむぐ”)だ。

僕は「おぅ! 次期生徒会長がこんなトコに何しに来たのよ?」と声をかけた。

「いや、ちょっと、彼女にフラれちゃって…。一人になりたくてココに来たんだ。」西園寺くんは答えた。

「おいおい、早まるなよ! 俺たちなんてふってくれる彼女すらいないんだからな!」イヌが吠えた。

するとニワトリが、「たしか西園寺くん、生徒会長の選挙の演説で”自由平等”な学校にしたいとか言ってたよね? じゃあ僕たちにも彼女を与えてよ? そうじゃないと"自由平等"とは言えないよ。」と、僕とイヌもビックリな滅茶苦茶な事を要求しだした。

「君たち、そんなに女子にモテたいならバンドとかやってみたらどう? 僕もバンドでライヴをやってる時にお客さんとして来ていた他校の生徒が彼女になったんだ。もう、元・彼女だけどね。」

「バンドか! なぜそれを思いつかなかったんだ!!」イヌがまた吠えた。

「もしバンドやるなら僕が”丁寧”に教えてあげるよ?」
西園寺くんがそう言ってくれた事で、僕たち3人の不純なバンド計画が始動した。

《第4話へ続く》