周平の『コトノハノハコ』

作詞家・周平の作詞作品や歌詞提供作品の告知、オリジナル曲、小説、制作日誌などを公開しております☆

『ブサメンの音楽隊』~第2話~(シューピー散文クッキング第2弾)

2022年04月29日 | シューピー散文クッキング
周平本人が目を瞑りながら国語辞典を適当なページで開いて適当な場所を指差し、目を開けた時に指が指している単語(1話につき5個)を全て文章のどこかに組み込まなければいけない「シューピー散文クッキング」の第2弾『ブサメンの音楽隊』の第2話です!

さて、今回の材料は…

「ほぐれる」…小さじ2杯
「極寒」…小さじ4杯
「大将」…大さじ3杯
「八方」…大さじ5杯
「墨」…小さじ6杯

"八方"塞がりにならないためにも大事に行きたい第2話スタート!!

『ブサメンの音楽隊』~第2話~

「なぁ、イヌ…」

「なんだよ、ロバ。」

「僕たち、どうしたら女子にモテるんだろうな?」

「さぁねぇ… 分かったら苦労しないよなぁ。」

昼休みの時間、学校の屋上、もう何十回目か分からない僕(ロバ)とイヌのお決まりの会話。
真夏の青空の下、太陽の光が降り注ぐ屋上での青春シーンを想像してる読者が多い事だろうが、季節はまさかの冬、今にも雪が降り出しそうな”墨”色の空の下、”極寒”の中での会話である。

「僕たち、勉強もスポーツもできないし、顔もイケてないし、どうしようもないよな…」

「ほんと、”八方”塞がりとはこの事だよな。」

そんなロバこと僕・呂畑蓮と、イヌこと犬飼翔の前に1人の生徒がやってきた。

「2人とも、こんな寒いのによく屋上なんかにいられるね。」
その生徒が僕らに向かって言った。

「おう、”大将”。お前こそなんでこんな寒い屋上に来たのよ?」と僕が返す。

この男子は僕らのクラスメイトで、見た目が裸の”大将”に似ているので、皆から"大将"と呼ばれている。

「僕も2人と同じで女子にモテたいんだ。それに”大将”っていうあだ名も本当は嫌で…」

「でも”大将”は男女問わず皆から好かれてはいるじゃん? ”大将”と話してると緊張が”ほぐれる”って言ってる女子もいるよ?」
今度はイヌが返した。

「でも彼氏にしたいかって言われると違うんだと思う。僕、太ってるし…」

「”大将”っていうあだ名が嫌なら、ニワトリはどう? 本名が仁羽桃李(にわ・とうり)だし。その名前でニワトリじゃなくて”大将”っていうあだ名になった方が不思議だよ。どんだけ裸の”大将”に似てるんだよ!」
僕は笑いながら言った。

こうして、仁羽桃李の新しいあだ名は「ニワトリ」となる。
彼女いない歴は年齢×3÷3-5+3+2だ。

《第3話へ続く》

『ブサメンの音楽隊』~第1話~(シューピー散文クッキング第2弾)

2022年04月11日 | シューピー散文クッキング
おそらく大好評だったと思われる新企画『シューピー散文クッキング』の第1弾『夢馬鹿』の終了から1ヵ月半。
早くも第2弾がスタートです!!
まだ『シューピー散文クッキング』が何だか分からない方もいらっしゃるかと思いますので説明します。
『シューピー散文クッキング』とは周平本人が目を瞑りながら国語辞典を適当なページで開いて適当な場所を指差し、目を開けた時に指が指している単語(1話につき5個)を全て文章のどこかに組み込まなければいけないという、自分の首を絞めるような企画なのであります。

さて、今回の材料は…

「折れる」…小さじ2杯
「群馬県」…小さじ6杯
「北陸」…小さじ5杯
「早起きは三文の得」…大さじ2杯
「長所」…小さじ3杯

どこかで心が"折れる”事がないように最初が大事な第1話スタート!!

『ブサメンの音楽隊』~第1話~

2021年の都道府県魅力度ランキングで44位となり県知事が激怒した事でも知られる”群馬県”。
東北地方や"北陸"地方と誤解される事も多い”群馬県”。

そんな”群馬県”の中の小さな村に17年前に生まれたのが、僕、呂畑蓮(ろばた・れん)だ。
現在、県立の高校に通う2年生。
これと言って得意な科目も無ければ特技も無い。
顔もブサイクでロバに似ている。
それに加え、苗字も呂畑なため、あだ名は「ロバ」となる。
彼女いない歴は年齢×2÷2+5-5だ。

唯一の”長所”は早起きができる事だ。
幼い頃から両親から「”早起きは三文の得”」という諺をうるさく言われてきた。
だが、早起きで得をした事など一度も無い。
強いて言うなら夏休みのラジオ体操の最終日にもらえる謎のお菓子くらいだ。

授業中もどうしたら女子達からモテるのかばかり考えている。
小学校、中学校、高校それぞれで好きになった女子も何人かいるが、告白しようと思った時にはすでに誰かと付き合っていたりする。
中には、告白しようと思って「ねぇ、○○さん…」と声をかけたら「誰?」と返してきたクラスメイトもいて、心が”折れる”ような事もあった。

そんな僕にも親友と呼べる男子はいる。
クラスメイトの犬飼翔(いぬかい・しょう)だ。
顔はそれほど悪くはないが、なにしろ身長が低い。
それに加え、苗字も犬飼なため、あだ名は「イヌ」となる。
彼女いない歴は年齢×4÷2÷2だ。

《第2話へ続く》