「2」、「0」、「1」、「3」
歩夢はタイムマシンの中にあるタッチパネルで戻りたい過去の年を入力した。
2013年。歩夢が22歳だった年だ。
もう2、3年前にタイムスリップしても良かったのだが、昔の歩夢に東京で2、3年は夢を見させてやっても良いのではないかと思い、キリが良く30年前の2013年に戻る事にした。
「OK」ボタンを押すと、タイムマシンの中は目を開けていられない程の眩しい光に包まれた。
10秒後、歩夢が恐る恐る目を開けると、さっきまでの眩しい光は消えていて、歩夢はとある公園の公衆トイレの個室の便座に座っていた。
「何もトイレの中じゃなくても…」
歩夢が2013年に戻って最初につぶやいた言葉はこれだった。
後で分かった事だが、どうやら東京コスモツリーが経った場所に昔あった公園の公衆トイレらしい。
「本当にここは2013年なのか?」
歩夢は街のあちこちを見渡して確かめた。
街の至る所に貼られた某秋葉原アイドルのポスター、携帯電話に「公園なう。」と今となっては寒気のする言葉を入力している若者、「消費税率8%になる前に買い替えを!」と貼り紙がされている家電量販店の店頭に展示された大型(今となっては小さい方だが)テレビ。
駅の高架下で横たわっている、お家の無い人の体に掛けられている布団代わりの新聞紙には「平成25年(2013年)10月13日(日曜日)」と印刷されている。
「間違いない。ここは2013年の東京だ…」
分かってはいた事なのだが、いざ本当にタイムスリップすると、歩夢は変な恐怖と孤独感に襲われた。
それはそうだ。この世界には52歳の歩夢を知る人間は一人もいないのだ。
「ちょっと待てよ? でもどうせ2043年だって俺の事を知ってる奴なんて、親父とおふくろとバイト先が一緒だった奴らくらいだよな。じゃあ、たいして変わらないじゃないか。」
そう開き直った歩夢は22歳の自分自身を探しに向かった。
(第6章へ続く)
歩夢はタイムマシンの中にあるタッチパネルで戻りたい過去の年を入力した。
2013年。歩夢が22歳だった年だ。
もう2、3年前にタイムスリップしても良かったのだが、昔の歩夢に東京で2、3年は夢を見させてやっても良いのではないかと思い、キリが良く30年前の2013年に戻る事にした。
「OK」ボタンを押すと、タイムマシンの中は目を開けていられない程の眩しい光に包まれた。
10秒後、歩夢が恐る恐る目を開けると、さっきまでの眩しい光は消えていて、歩夢はとある公園の公衆トイレの個室の便座に座っていた。
「何もトイレの中じゃなくても…」
歩夢が2013年に戻って最初につぶやいた言葉はこれだった。
後で分かった事だが、どうやら東京コスモツリーが経った場所に昔あった公園の公衆トイレらしい。
「本当にここは2013年なのか?」
歩夢は街のあちこちを見渡して確かめた。
街の至る所に貼られた某秋葉原アイドルのポスター、携帯電話に「公園なう。」と今となっては寒気のする言葉を入力している若者、「消費税率8%になる前に買い替えを!」と貼り紙がされている家電量販店の店頭に展示された大型(今となっては小さい方だが)テレビ。
駅の高架下で横たわっている、お家の無い人の体に掛けられている布団代わりの新聞紙には「平成25年(2013年)10月13日(日曜日)」と印刷されている。
「間違いない。ここは2013年の東京だ…」
分かってはいた事なのだが、いざ本当にタイムスリップすると、歩夢は変な恐怖と孤独感に襲われた。
それはそうだ。この世界には52歳の歩夢を知る人間は一人もいないのだ。
「ちょっと待てよ? でもどうせ2043年だって俺の事を知ってる奴なんて、親父とおふくろとバイト先が一緒だった奴らくらいだよな。じゃあ、たいして変わらないじゃないか。」
そう開き直った歩夢は22歳の自分自身を探しに向かった。
(第6章へ続く)