周平の『コトノハノハコ』

作詞家・周平の作詞作品や歌詞提供作品の告知、オリジナル曲、小説、制作日誌などを公開しております☆

8th distribution 『デストラクロック』

2014年02月28日 | オリジナル楽曲
前作『君との明日はありえない』から5ヶ月ぶりとなるオリジナル曲の配信です♪

今回は配信曲としては初のカタカナのタイトル。

デストラクション(破壊)+クロック(時計)の造語です。

その名の通り、つまらない時間を刻んでいる時計なら破壊して、
自分の気持ち、直感を信じて動こう!!的なメッセージを込めてます。

前作に続いて、またイントロや途中で不思議な効果音がしますが、
その辺も楽しんでいただけたら幸いです♪

オリジナルの楽曲をアップしている音楽配信サイトmuzieの周平のページです↓
ここで今回の新曲『デストラクロック』も聴けます♪
http://www.muzie.ne.jp/artist/r016691/

次のオリジナル曲は7月を予定しております。
ダークな感じでいこうか、久しぶりにベタなバラードでいこうか迷っております。
増税前に新しいキーボードを購入して、それを使用しての楽曲制作になるので、
自分でも今からワクワクしてます!

#135 『デストラクロック』

2014年02月28日 | 作詞作品集
目覚まし時計に
叩き起こされ
仕方ないから
今日をはじめる

寝惚け眼で
眺めるテレビじゃ
つまらないニュースと
占いばっかり

そんな僕だって また
つまらない存在だね
毎日 おんなじ
時間通り 動かされ

退屈で 窮屈な
現在(いま)を刻んでる
時計を壊して
明日(あす)からの
歩幅やスピードや
行き先は自分で決めたい
きっと 現在より輝けると信じて


間違ってる事
受け入れてゆく
奴らの方が
利口な社会は

目には見えない
強い何かを 
僕にも埋め込んで
改造する気だ

「運命」と呼べば素敵
だけど ただ運ばれているだけ
死んでもゴメンだ
ロボットなんかにされるのは

働いている時間が
圧倒的に多い人生で
これから先どれだけ
夢を追えるだろう?
恋ができるだろう?
回り続ける
この世界と時を止めて


一度きりの人生
悩んだ時は一時停止
迷った時には
逆回りも良いだろう

退屈で 窮屈な
現在を刻んでる
時計を壊して
明日からの
歩幅やスピードや
行き先は自分で決めるさ
絶対 現在より輝けると信じて

小説第4弾『この道の先には』~最終章~

2014年02月25日 | 小説
国道は平日とは思えないほど渋滞していた。
そこで将平くんは脇道へと車を進めた。
国道より圧倒的に細く、通りにくそうな道だが、他に車は全く走っておらず、人もほとんど歩いていない一本道だ。

「あれっ? ブレーキが…」
ボクが知る限り、これまでで最もか細い声で彼はそう言った。

「えっ? どうかしたの?」
ボクは訊いた。

「やばい! ブレーキが効かない!!」

「うそ? マジで!?」

「ちょっと待てよ… たしかこの道の突き当たりって、コンビニがあったよな?」

「それじゃあ、まさか…」

「俺たちはコンビニに車で突っ込まれる側じゃなくて、突っ込む側だったって事か?」

「そ、そんな…」

そうしているうちに車はどんどんと一本道の突き当たりにあるコンビニへと近づいていった。

「ダメだ… 止まらない…」
将平くんのか細い声の記録がまた更新された。
そして彼はあきらめたかのようにハンドルから手を放した。

「やっぱり運命は変えられなかったのか…」
ボクも助手席でうつむきながらつぶやいた。

死にたいと思っていた。
死んでしまいたいと願っていた。
どうしたら楽に死ねるだろうと考えていた。
1週間前までは。

それが将平くんと出会えた事で180度変わった。
人生で最高の友達ができた。
人生で初めて心から「生きたい」と思えた。

"この道の先には光がある"
そう言い切れるまでになった。

だが今、"この道の先にはコンビニがある"

次の瞬間…

「ドーン!!」という凄まじく大きな音がした。

終わったのだ。何もかも。

もうここは天国なんだなぁと思いながら2人が目を開けると、一人の男がその体ひとつで車を止めていた。

「えっ?」
ボクと将平くんは全く同じタイミングで言った。

車はコンビニの窓のわずか1メートルほど手前で完全に停止していた。
体ひとつで車を止めた男が運転席側の窓をノックして、将平くんに窓を開けるように促した。

将平くんが窓を開けると、その男は、

「ちょっと! 困るよ! 車で突っ込まれたりなんかしたら。ここは僕の大事な職場なんだよ!
こっちはギリギリの生活なんだから、この店が営業停止にでもなったらたまったもんじゃないよ!」

と、大声で怒鳴ってきた。

その男の左胸のネームバッジには「二瓶」と書かれていた。

※二瓶…小説第1弾~第3弾参照。

死にたいと思っていた。
死んでしまいたいと願っていた。
どうしたら楽に死ねるだろうと考えていた。
そう。将平くんと出会うまでは。

そして、きっと死んでいた。
そう。二瓶という男と出会わなければ。

(完)

小説第4弾『この道の先には』~第7章~

2014年02月18日 | 小説
3日後。

2014年2月25日(火曜日)

ついに運命の日がやってきた。

「あなたの最期占い」というなんとも胡散臭いスマホアプリで、
「2014年2月25日(火曜日)に某コンビニエンスストアに車が突っ込むという事故で死ぬ」と占われてから1週間。

死にたいと思っていた。
死んでしまいたいと願っていた。
どうしたら楽に死ねるだろうと考えていた。

彼と出会わなければ、きっとそのまま今日という日を迎えていたに違いない。
おそらく喜んでコンビニへ立ち読みに向かっていたであろう。

でもその立ち読みは彼に言われた通り、ちゃんと昨日の月曜日に済ませた。
無論、彼に言われなくても毎週そうしてきたのだが。

ボクの住むアパートの前で車のクラクションの音がしたのは、ちょうど正午をまわったくらいだった。
将平くんが約束どおりボクを迎えに来てくれたのだ。

「おはよう!」

「おはよう!今日はよろしく!」

もう二人の間のタメ口は完全に自然になっていた。

ボクが助手席に乗り込み、シートベルトを締めると、

「いよいよだね。でも絶対大丈夫だよ!コンビニにさえ行かなければ絶対に事故には巻き込まれないんだから。」

「大丈夫かな? 体が勝手に動き出してコンビニへ向かったりしないかな?」

「大丈夫さ!大丈夫!きっと大丈夫!」
将平くんはそう力強く言い放った。

「さぁ、行くよ!」

「うん。」

そして車は動き出した。

必ずやって来るはずのボクと将平くんの明日へ向かって。

"この道の先には光がある"
今ならそう言い切れる気がした。


(最終章へ続く)

小説第4弾『この道の先には』~第6章~

2014年02月11日 | 小説
2014年2月22日(土曜日)

ボクと彼が死んでしまうと占われた日まで、あと3日となった。

その日の夜8時を過ぎた頃、彼はボクの部屋にやってきた。

「本当に狭い部屋だなぁ」とは彼は言わなかったけれど、そう言いたそうな顔でボクの一人暮らしの部屋へと入ってくれた。

「では早速、作戦会議をはじめようか?」

「そうですね。」

「あ、もうお互い敬語はやめようよ! 昨日、"友達"って言ってもらえてすごく嬉しかったんだ。俺の方が2つ年上だけど、気にしないで良いから!」
彼はそう言ってくれた。

「はい… あ… うん…」
ボクは嬉しさと驚きで情けない返事になってしまった。

不思議なものだ。

つい数日前まで友達なんか一人もいなくて、早く死んでしまいたくて、でも死ぬ勇気も無くて、だから自分が死ぬ時期を知りたくて、「あなたの最期占い」をやって、その結果をツイッター上でつぶやいたら、全く同じ占い結果が出た人に出会えて、その人と友達になれて、そして今じゃもう死にたくないと思っている。

「とりあえず25日の火曜日は絶対にコンビニには行かない事だね。そうすれば事故に巻き込まれる事もないよね。」

「そ、そうだね。」
ボクの彼に対するタメ口はまだどこかぎこちない。
「ボクが決まって雑誌の立ち読みをするのは毎週月曜日だから、火曜日にコンビニに行く事は無いかな。よほど何か買い忘れて、すぐに必要な物でも無ければ…」

「なるほど。じゃあ食料とかは今から十分に買い置きしておいた方が良いね。あと雑誌の立ち読みも月曜のうちに絶対に済ませる事!」

「うん。分かった!」

彼は言葉を続けた。
「そして君は当日、ずっとこの部屋に引きこもっていた方が良いよ。」

「うん。引きこもる事には慣れてるよ。でもさすがに自分が死ぬといわれてる日に一人でいるのは心細いかなぁ。将平くんも一緒に居てくれない?」

「いや、俺はその日、隣の街のライヴハウスでライヴがあるんだ。だから一緒には居られない。もちろん俺も当日は絶対にコンビニには行かないようにするよ。」

「じゃあ、そのライヴ、ボクも一緒に行って良いかな?」

「もちろん!大歓迎さ!俺が機材とか運ばなきゃいけないから、俺の車で一緒に隣の街まで行こうよ!」

「うん。」
ボクの彼に対するタメ口もだいぶ不自然さが無くなっていた。

(第7章へ続く)

小説第4弾『この道の先には』~第5章~

2014年02月04日 | 小説
2014年2月21日(金曜日)

夜の7時、家の近所にある居酒屋の前でボクはスマホをいじりながら将平さんが来るのを待っていた。

「あ、どうもはじめまして!将平です。遅れちゃってすみませんでした。」
彼は約束の時間を5分ほど過ぎてボクの前に現れた。
彼はギターが入っていると思われるケースを背負っていた。

「いえいえ、とんでもないです… どうも、はじめまして…」
バイト中を除けば久々の人間との直接の会話だったので、その先の言葉が続かなかった。

すると、それを悟ったかのような彼が
「じゃあ、お店に入りましょうか?」と言ってくれた。

「そ、そうですね…」

2人とも生ビールを注文した。
その後、ほんの数秒間だけれど、ボクにとってはとても長く感じる沈黙が流れた。

「今日はお仕事はお休みなんですか?」
彼が沈黙を破ってくれた。

「あ、はい。」

「俺も今日は仕事が休みで、さっきまでバンドでスタジオ入って練習してたんです。」

「将平さんはバンドをやってるんですか?」

「はい。バンドでギターやってます。」

ちょっとだけ会話が弾み始めた。
その後はしばらく当たり障りの無い会話が続いたが、やがて彼の生ビールが3杯目に突入した辺りから、本題へと入っていった。

「絶対に死にたいなんて思っちゃダメですよ!そりゃ死んだ方が楽だと思ってしまうような瞬間は俺にも時々ありますけどね。」

「そうですよね…」

「もし不幸な出来事とか、不運な事が続いたりした時は、これからその分も自分は幸せな思いをしなきゃ損だ!死んでたまるか!って考えるようにしてるんです。」

「なるほど…」

真剣な彼の言葉たちに対して、ボクは失礼なほど少ない返事しか用意できなかった。
それでも彼は怒ったりしないで真剣に話を続けてくれた。

そして、普段は全くビールなんて飲まないボクが、彼の強い勧めで生ビール2本目に突入すると、やっとボクも今の本音を吐き出せた。

「今は将平さんっていう、その… 友達って言ったら失礼なんですけど… 心強い仲間ができたような気がしてるので、だんだん死にたいなんて思わなくなってきました。」

「それなら良かった!ボクも嬉しいよ!」

居酒屋での飲み代は彼が全部出してくれた。

「なんか、ご馳走になっちゃってすみません。」

「いや、全然大丈夫!」

「もし良かったら明日ボクの家に遊びに来ませんか? 狭い部屋ですけど… 
やっぱりボク… 死にたくないんです! 来週の火曜日に2人とも死なないように明日一緒に作戦を立てませんか?」

「おっ!イイネ~!作戦会議かぁ。」

ボクと彼は翌日の夜も会う約束をして、その日は別れた。

信じられない。
ボクの口から「死にたくない」なんていう言葉が出るだなんて。
3日前では到底考えられなかった事である。
これが酔った勢いで出た言葉じゃない事を祈るばかりだ。

(第6章へ続く)