コツコツ一直線

好きな作品をアニメ・ジャイキリ・牙狼<GARO>中心に感想レビューしています。

氷菓 第5話「歴史ある古典部の真実」 感想

2012-05-21 22:06:31 | 氷菓(2012春夏)

 今回いよいよタイトル名にもなっている文集「氷菓」の謎が明らかに…。1巻締め回に相応しい素晴らしい回でした。氷菓の謎が明かされた時、流れたえるの回想にはなんともいえない気持ちに…。一言では説明できない、氷菓らしい1話でした。


 雨の中、えるの家を後にして帰宅する奉太郎と里志。里志は省エネ主義の奉太郎が謎を解こうと熱心になっていることが気になっているようでした。奉太郎はえるをがっかりさせたくなかったのでは…とか想像してしまったり。
 省エネ主義の奉太郎も、古典部の活動、えるや里志に影響されて気持ちが変わってきたようです。


「お前らを見ているとたまに落ち着かなくなる
 俺は落ち着きたい

 だがそれでも俺は…何も面白いと思えない
 だからせめてそのなんだ…
 推理でもしてお前らのやり方に
 一枚噛みたかったのさ」


 そんな奉太郎の気持ちを知った里志。里志は奉太郎が薔薇色の日々が羨ましく思っているのではないかと考えます。奉太郎にも青春したいという気持ちが…?奉太郎も楽しい何かを追いかけたいという気持ちが芽生えてきたのかもしれません。
 そして空は晴れて……。奉太郎の心情を表しているようにも思えました。



 部屋でこれまでのことを振り返る奉太郎。氷菓と関谷先輩。どうにか2つを結びつけようとします。
 そこに奉太郎の姉・供恵からの国際電話が。奉太郎姉は海外で色々大変な目にあっているようです。声が雪野さんのせいか、かなめのようなイメージが…。
 氷菓を作っていると報告する奉太郎。それを聞いた奉太郎姉はカンヤ祭はまだ禁句なのか?と何気なく奉太郎に尋ねてきます――。そのことにひどく混乱する奉太郎。どういうことなのか答えを催促しますが、奉太郎姉は答えず。答えは明らかにならなかったものの、核心へ近づいていきます。
 それで奉太郎は自分の推理が欠けていると気づき、また思考。


『突き止めてやる』


 関谷先輩のことについてよく考えて見ることに。優しい英雄…関谷先輩に起きた悲劇とは…?


  翌日、古典部の部室に皆を呼ぶ奉太郎。そして奉太郎は3人と話しながら、更に推理を。犠牲→生贄と、関谷先輩は望んで英雄になったのではないかと考えます。
 そして奉太郎は当時この学校の生徒で図書室司書の糸魚川先生なら真相を知っているのではと考え、図書室に話を聞きにいくことに。こういう時は奉太郎、手回しがよすぎ~。奉太郎も奉太郎で気になっているんでしょうか…?


 そうして図書室へ。糸魚川先生に早速話を聞くことに。とにかくえる、気になりすぎ。今までは普通だと思っていましたが、これは奉太郎も苦労するかも…。
 自分の推理について語る奉太郎。糸魚川先生も奉太郎の推理力に感心。奉太郎が気になっていたのは、関谷先輩が望んで英雄になったのかどうか。

 33年前のことを振り返る糸魚川先生。回想、当時のイメージとぴったりでよかったです文化祭の日程短縮に関しての抗議運動が始まったものの、リーダーには誰も立候補せず。
 そこでリーダーに祭り上げられたのが関谷先輩。関谷先輩は周囲の生徒から無理矢理リーダーにされてしまいました。本当の代表は表に名前が出ず。原作ではこの辺曖昧な感じがしましたが、アニメではその場面についてある程度明確に描かれていて、なんか凄く嫌な気分になりました。これはいじめ同然…。
 しかもそんな中、抗議運動がエスカレート、キャンプファイヤーで格技場が火事に…。抗議運動という名目ではこの行き過ぎた行動を正当化できず、責任を取る生徒が見せしめとして必要に。

 そして見せしめにされたのが
 リーダーだった関谷先輩。

 関谷先輩を生徒も学校も庇うことなく、関谷先輩は退学せざるを得ない状況に…。無責任すぎる…。その当時の関谷先輩の様子を観ていた糸魚川先生。糸魚川先生も心苦しかったようです…。
 その後、祭りは結局3日間に短縮。正直3日間で丁度よかった気もします。抗議運動は結局時代の雰囲気で、皆騒ぎたかっただけなんじゃないか…?と今回観て思いました。



  氷菓の表紙もその事件の暗喩でした。カンヤ祭という名前もこの事件からきていました。

 関谷→カンヤ祭

 結局退学する関谷先輩を誰も守らず、生徒も無視して静観。すべては欺瞞でした…。だからこの事情を知る古典部の面々はカンヤ祭という名を使わず。

 また退学を予見していた関谷先輩は「氷菓」という名前を文集につけました。そして奉太郎は氷菓の意味を理解。氷菓…それは言葉通りの意味ではなく、ダジャレでした。


 氷菓
 「英訳:Icecream(アイスクリーム)」
 
   ↓

 「I scream」
 
   ↓

 「私は叫ぶ、悲鳴をあげる」


 氷菓とはそういう言葉遊びでした。関谷先輩は本当は退学したくなくて、退学したくないと叫び訴えたかった、でもそれがその時できなくてずっと後悔していたんだと思います。だからこそえるに
 氷菓の意味を知り、幼少期叔父にそのことを教えてもらった時のことを思い出すえる…。涙を流しながらその当時の話をします――



「思い出しました

 私は叔父に「ひょうか」とは
 なんのことかと聞いたんです

 そしたら叔父は私に、そうです、
 強くなれといったんです

 もし私が弱かったら、
 悲鳴も上げられなくなる日がくるって。
 そうなったら、私は、生きたまま……」



 関谷先輩に例えられたうさぎが狼のような獣に狩られる光景を想像するえる。そんな関谷先輩を無視する他のうさぎ=生徒達…。そしてそのことに絶望し発狂するうさぎ=関谷先輩…。とても残酷な光景で、悲しかったです…。
 その光景を想像した幼い日のえるはだから泣いてしまったようで…関谷先輩は決して怒っていたわけではなく、いざという時、訴える強さを持つことをえるに教えようとしていたんですね…。
 原作を読んだ時は答えは分かったものの、関谷先輩がどういう気持ちでこの名前をつけたのかよく考えてみないとはっきりわかりませんでした。でもアニメでは映像もついたことでそこも含めて分かりやすくなり、原作への理解も深まりました。関谷先輩の無念な気持ちがよく伝わりました。あの童話風の演出は本当凄かった…。童話って下手な物語より残酷だと本当思います…。

 そうして氷菓の謎はこうして明らかに。謎を解いてくれた奉太郎にえるはようやく叔父を送ることができる感謝を。


「ありがとうございます、折木さん」

「いや、たまたま…」
「はいっ、たまたまですね!」

 照れた奉太郎が~。何度観てもニヤニヤしてしまいます。もう付き合っちゃえばいいのに…とか思ってしまったり。関谷先輩の過去は悲しいものでしたが、えるの笑顔に救われた気がしました。



 そうして氷菓事件は一件落着!しばらくした頃、奉太郎達も氷菓を作るためにプランを練っていました。本作りに妙に詳しい摩耶花。摩耶花は同人誌を…?その辺の話も今後楽しみにしていきたいと思います。
 奉太郎は氷菓の謎についてまとめることに。でもこういう時しか使い道がないとか摩耶花に言われたり、奉太郎散々な言われよう…。文集完成楽しみです。

 校門まで一緒に歩く奉太郎とえる。里志と摩耶花に協力を要請した理由、それは将来どうでもよくなんて、今は思いたくないから。奉太郎もそんなえるの言葉に納得。
 校門で別れる2人。えるは自転車登校だったんですねー。確かに家遠そう…。


 それから姉に手紙を出す奉太郎。相変わらず寝ぐせがひどい~。姉に問いかけ、自分の気持ちを整理する奉太郎。奉太郎も古典部での日々をなんだかんだで楽しんでいるようでした。奉太郎姉はやっぱり確信犯…。


「いい旅をアドバイスをありがとう

 折木奉太郎」


 そしてエアメールをポストに投函。こうして氷菓事件は一段落。

 今回で原作1巻の氷菓を消化。原作では分かりにくかった部分(特にI scream関係)の捕捉もあって、とても上手くまとめられていたと思います。原作を読む前はまさか序盤の方で氷菓の意味が明らかになると思っていなかったので驚きました…!でも意味が分かったことで、アニメのタイトルが氷菓になったことに何となく納得しました。
 あと今回は堀口悠紀子さん作監ということで観ていてずっとニヤニヤでした~。いつもより丸みをおびた線が堀口さんらしくてよかったです…。特にキャラの感情描写が素晴らしかったです…!また担当回きますように~。



 次回は「大罪を犯す」今回で原作1巻の氷菓を消化し2巻へ…の前に次回は4巻の短編をやるみたいです。1話にも4巻の短編が入っていたので、この先も時系列順に進行していくんでしょうか。京アニは時系列に関して他のスタジオよりこだわっている気がします。

 あと前回を観てから原作2~3巻を読んだのですが、作品の印象が一気に変わりました!1巻の時点ではなんかピンとこなかったのですが、2巻からは推理しがいがあって1ページ1ページワクワクしながら読めました。今回まで観て「なんだか眠くなる」「謎の部分がどうも…」と思った人もこれからに期待を。特に3巻は今からどうアニメでやるのか楽しみで仕方ありません。奉太郎だけじゃなく、それぞれのキャラが…!氷菓は本当右肩上がりな作品だと思います!感想も最後まで書いていきたいです。

 ではまた次回に!