坂本龍、日本の整体

Perfume、社会科学(政治経済)、自然科学などなど、思うところを

【P】メディアの夜明け

2010-04-06 00:37:14 | 日記
 基本的なメディア論。

 発信者 →(情報)→ 受信者
 生産者 →(モノ)→ 消費者

 情報やモノは常に常に常に、上流から下流へと流れる。

発信者数1、受信者数1の場合、両者をつなぐ線の数は、1×1
                          (例:手紙、電話)
発信者数1、受信者数Nの場合、両者をつなぐ線の数は、1×N
                          (例:マス・メディア)
発信者数n、受信者数nの場合、両者をつなぐ線の数は、n×n
                          (例:ネット・メディア)

 これがマスメディアとネットメディアの決定的な違いだ。
             (N、nはnumberのN、nね。今はまだN>nだが。)

 Perfumeの場合、受信者側の不特定多数nの、その一部の有志が
義勇兵となり、アイマス、Remix、MADなどの宣材を制作し、ニコニコ、
youtubeで流して発信者側に回った。これは間違いなくメディア史に
おいての、それどころか人類史における画期的な事例だ。


 M1@お笑い@日本            脚本演出 吉本興行、島田紳助
 石川遼@プロゴルフ@日本        脚本演出 電通
 Perfume@ポピュラー音楽@日本    脚本演出 ???

 AKB48@ポピュラー音楽@日本     脚本演出  秋元康、電通
 アイコニック@ポピュラー音楽@日本  脚本演出 avex松浦、電通

 巨人@プロ野球@日本          脚本演出  ナベツネ
 亀田三兄弟@プロボクシング@日本  脚本演出 TBS
 ガルネク@ポピュラー音楽@日本    脚本演出 avex松浦
 キムヨナ@フィギュアスケート@日本  脚本演出 韓国政財界、電通

 上が成功例、下が失敗例、真ん中がただいま実験中の例だ。これら失敗
例にはある共通点がある。大本営、GHQ(総司令部)からの指令を受けた
マス・メディアが思いっきり追い風吹かそうとするのだが、その脚本演出
をやる者と、そのやり方のウサン臭さゆえに、ネット・メディアの名も無
き者達が義勇兵として立ち上がり、レジスタンス(抵抗)運動を展開し総
力あげて逆風吹かした点だ。
 大本営、GHQに仕切られた、マス・メディア。
 名も無きレジスタンス義勇兵たちの、ネット・メディア。
両者で見事に風向きが逆になっているのだ。

 Perfumeは、まずネット・メディアで強烈な追い風が吹き、それがマス・
メディアに接続された、日本(世界?)最初の成功事例だろう。

 そして成功例にもある共通点がある事に気付く。脚本演出する者に、対象
分野に対する畏怖、畏敬、敬意の念がある事だ。島田紳助の中には、お笑い
に対する畏敬の念があり、電通やスポンサーのお偉いさんの中には、ゴルフ
に対する畏敬の念がある。
 「オーガスタには、ゴルフの神様が住んでいるんだよ。」
オーガスタとはマスターズが開催されるゴルフの聖地の事。ゴルフをたし
なみ、ゴルフにはまっている人ならば、上記台詞の意味が分かるだろう。

 この畏敬の念がある限り、プロゴルフは永遠であり、M1が吉本の目先の金
儲けのための出来レースに堕し無い限り、M1はあと十年は続くであろう。逆
に出来レースに堕した瞬間、大衆は白け、あっという間に打ち切りとなる。
レコード大賞の歴史を振り返れってみれば、それは明らかだろう。

 では失敗例はなぜ失敗したのか。脚本演出する大本営に対象分野への畏敬
の念が無いからだ。それどころか目先の金儲けの為に対象分野を踏みにじっ
たからだ。巨人そしてプロ野球を、プロボクシングを、ポピュラー音楽を、
フィギュアスケートを、長年愛し、支えてきたファン達、その心の中の聖域
を、土足で踏みにじったからだ。

 日本は一神教の国ではなく多神教の国だ。神の国ではなく神々の国なのだ。
それぞれの道の、その求道の果てには神域とでもいう領域がある。それを目
先の金儲けの為に踏みにじる守銭奴たちが我がもの顔でのさばる社会。それ
はもはや日本の姿とは言えないのではないか。

          (神 域)
            ↑
           達 人(エクスパート)
            ↑
           玄 人
            ↑
        オボエタテの素人(ニワカ)
            ↑
           ド素人 


 マスメディアという大本営しかなかった時代、マス(大衆)はそれを疑い
ようが無かった。しかしネットメディアの登場により、マスメディアはその
欺瞞性(人をあざむきだます事)が暴かれた。そしてその欺瞞性ゆえに急速
に信頼を低下させ、視聴率低迷、販売部数減少を招いた。それはマスへの影響
力の低下を意味し、マス広告媒体としての効力を低下させ、売り上げの減少
を招いていている。

 しかし近代史を振り返るのならば、マスメディア発信の情報を共有する事
によってこそ、マスは形成されたのだ。ゆえにマスメディアの影響力の低下
はマスの分断、断絶を意味し、それはマスメディアの受け皿の解体を意味す
る。もうこのマスメディアとマスとの崩壊の悪循環は、始まり、そして今も
また進行している。

 また、マスメディアこそが『想像の共同体』としてのネイション・ステイト
(国民国家)の接着剤であったのだから、それは国民国家の解体をも意味して
しまう。

 ならば国民国家が国民国家である続けるために、マスメディアはいったい
何をするべきなのか。ネットメディアの有象無象の声に謙虚に耳を傾け、
信頼を回復する以外の道は無い。リコール問題にゆれるトヨタが、顧客や市場
の声に対して耳をふさぐ事が決して無いように。

 M1はお笑い文化を元気付け、それはいくばくか、日本を元気付ける。
 石川遼はプロゴルフを元気付け、それはいくばくか、日本を元気付ける。
 Perfumeはポピュラー音楽を元気付け、それはいくばくか、日本を元気付ける。
 浅田真央はフィギュアスケートを元気付け、それはいくばくか、日本を元気付ける。

 一方、プロ野球を、プロボクシングを、ポピュラー音楽を、フィギュアス
ケートを、目先の金儲けのダシに使い、それを穢し、土足で踏みにじる者達。

 日本が日本であるために、神々の国が神々の国であり続けるために、今、
我々は、何を為すべであり、何を為さざるべきなのか。



 上記の論を、『Perfume@ポピュラー音楽@JAPAN』の今後の展開に応用し
てみる。

 シングルリリース → それを収録したアルバムリリース

 従来のこの順番は先細りだ。魅力のあるシングル曲は誰にだってなかなか
制作できるものでは無いし、そうすると新規ファンの拡大は実現しない。ア
ルバムは既存ファンという名のタコツボにのみ消費され、その中に良曲名曲
があってもタコツボ外には広がりえない。ならばそれをネットメディアを介
在させる事により有意義に逆転出来ないだろうか。

 アルバムリリース → その中で評判の良かった曲をシングルリリース

だ。これは英米POPがそうなのだが、さらにネットメディアの時代ならではの
工夫をする。アルバム曲をLIVE演奏する際には、音響的な調整、あるいはア
レンジ変えをするのが常だ。それに加えyoutubeなどに上がったREMIX作品な
どをも参考にし、最強のヴァージョンにしてシングルリリースするのだ。

 私は「love the world@武道館」のグルーブが、「electro world@横浜ア
リーナ」の熱いビートが忘れられないのだ。さらにエレワ・イントロの白玉
シンセ音色を少しいじったREMIX作品を聴いた事があるのだが、その音色も忘
れられないのだ。「zero gravity」を広めたいのだ。それらを是非ともシン
グルという形でCDに収め、広く知らしめたいのだ。Perfumeのみならず各ミュー
ジシャンがそれをやれば、シングル市場に新たなる意味と価値をもたらすの
ではないだろうか。
 ♪ブーム「島唄」
 ♪ドリカム「何度でも」
これらもまた、CDよりLIVEヴァージョンの方が圧倒的に優れているのだから。

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