禅と薔薇

高島市 曹洞宗 保寿院 禅の話と寺族の薔薇のブログ

初物

2014年10月16日 | 小さな法話
初物だからと、大きな白菜をもってこられました。「初物」とは、季節のはじめにとれた穀物や野菜、果物のことです。
まだ、つくられた農家の方も食されていないとのこと。
ご先祖様のお位牌にお供えしてほしいということです。

そういえば、新米がとれたらご先祖様に、栗がとれたらまずお供えしてから、という方がおられます。かってに比べると、そういう習慣が最近ずいぶん少なくなったように感じます。

あるおうちのご法事で出会った川上さんは、東南アジアの国々に、学校を建設して贈る活動をされています。毎年、その状況を確認するのに、東南アジアに出かけられるそうですが、視察先の学校に行くときは、必ず子どもたちにプレゼントとして食事を用意されるそうです。食事といっても大がかりなことができる状況ではないので、パンを持って行かれるそうです。みんな、大変喜ぶそうです。
ある学校で、子どもたちにパンを配っていると、その中のひとりの女の子がしっかりパンを握りしめたまま食べようとしません。気になって尋ねてみたところ、家で待っている自分の弟や妹に持って帰って一緒に食べるのだといいます。

きっと自分もおなかが空いているだろうに、みんなと一緒に食べたいだろうに。
自分のことより先に、小さなきょうだいのことを心配しているのです。

自分で生まれ、自分だけで育った人は、誰もいません。毎日をたくさんの食べ物など他の命のお蔭をもって生かさせていただいています。そしてこの命も、父母をはじめ、ご先祖様から伝わってきた命です。
自分の命と、決して独りよがりしてはいけない「命」です。だから、自分のことをはからわず、人の為を思って行動することの大切さを、仏教は説いているのです。

きょうの寺族のおすすめの薔薇は、「エアリエル」です。フリルがかったピンクのとてもやわらかそうな薔薇です。この名前は、自然を護り、動物を癒やす天使の名から命名されているそうです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿