禅と薔薇

高島市 曹洞宗 保寿院 禅の話と寺族の薔薇のブログ

三界妙夫人と愛徳夫人

2015年02月12日 | 小さな法話
涅槃図には、多くの仏・菩薩・神々・弟子・信者や動物などがお釈迦さまの入滅を悲しんでいる様子が描かれています。

その中には、諸王の夫人がいます。
集まった夫人はもともと衆生済度のため夫人の身をした人たちで、常に空、無相、無願の法をもって修行されていました。
その諸王の夫人の中で、目を引くのが三界妙夫人と愛徳夫人です。

この夫人は早くお釈迦さまのみもとへ行こうと、他より多くの供物をお供えします。
そしてお釈迦さまの御足を礼拝し、仏身を巡り、「お釈迦さま、仏とお弟子の方に供養の品々を調えてまいりました。どうかお慈悲を持って最後の供養をお受けください。」とお願いしましたが、何の答えもありません。
その思いを果たせない夫人たちは髪の毛をかきむしり、胸をうって泣き伏しています。
ですから、この夫人たちの悲しみは「最後の供養」を受けてもらぬ苦悩が主因なのです。

お釈迦様がなぜ最後の供養を受かられなかったかというと、最後の供養は、宿世の縁で純陀が行う事となっていたからだと言われています。