森川博之 「私的な遊戯」

私的に色々綴って行きます。
曲↓http://www.myspace.com/morikawahiroyuki

一つの世界の終わり

2009-07-23 00:31:26 | Weblog
今年は、音楽業界にとって悪夢の様な年だ。

スーパースターと称される、または大多数の方々がそう
位置づけている、ビッグネームが次々亡くなられている。

海外であれば、言わずもがなマイケル・ジャクソンであり、
国内であれば、忌野清志郎さん。

前から書いている通り、私は音楽をやりつつ箱で働いている人間だ。
そして、今年に入ってから上のお二方以外でも、私が少なからず
箱で関わらせて頂いた偉大な音楽家の方が、次々御不幸にあわれている。

そして、今日は私にとってトドメの一日だった。
カラオケの安い時間帯を見計らい、いつもの様にギターを抱えて、
いつもと違う新曲への好感触を得て、上機嫌に帰路に着いた。
根本的に人間は自分本位で、瞬間の幸福は蓄積される不幸をかき消す。

ネットでカチカチと、鼻歌交じりに適当なニュースを探す。

アベフトシ、死去。

いや、嘘でしょ。と思わず口に出してしまった。

ミッシェルガンエレファント。
90年代、私が最もJーロックに影響された時期であり、
且つ最も音楽業界が「良いベクトル」へと向かっていた(私の中では)
時期。

ラルク・グレイ・イエモン・ジュディマリ・椎名林檎・果てはミスチルまで。
この上、所謂大御所と呼ばれるサザンなども元気だった最高の時代。
正に群雄割拠だった。
そんな中で、今でも良く表舞台に出てこれたな、と敢えて感じるバンド、
それがミッシェルだった。

奇跡のバランスを備えたバンド。当時からそう私は思っていた。
ここでのバランスとは、聴き手の需要と供給する奏者の音楽性。
そして、バンドの危ういバランス。

チバユウスケという絶対的なフロントマンが居ながら、ライブでは
時としてベースがボーカルを喰い、ドラムが同じく喰い、
そして、テレキャスターをありえない速度でカッティングする
アベフトシに、皆が魅了された。

180を優に超えるすらっとした出で立ちで、背筋をピンと伸ばし、
サングラスをかけ、タイトなスーツ姿で淡々と弾く。

その姿は、ただ単純に、本当に純粋に「格好良い」と思えた。

ミッシェルは今はもう活動していない。
各々が各々のステージで、どこかで音を奏でている。

それでも良かった。どこかで、私が最も影響を受けた時代の
ミュージシャンがステージに立っていてくれれば、勝手に私は
やる気になり、どこかホッとした。

死は全てを無にする。

何だか、負の脱力感が凄まじい。

兎に角、今日は私の青春に大部分関わって頂いた、偉大なバンドの
偉大なギタリストの御冥福を、ただただお祈り致します。