会場は有楽町の東京国際フォーラム、ホールA。シカゴのコンサートは約10年前にも行ったことがあり、同じ会場だった。そのときは当日券目当てで会場に行ったものの売り切れと言われて呆然としたが、その後で余りが出たチケットを何とか購入して入場できたのだった。「残り物には福がある」の諺通り、前から10数列目の非常に良い席だったが、今回はそんな冷や汗掻きたくなかったので事前に購入したところ、2階席の結構遠いところ。でもドーム球場のようにステージから馬鹿みたいに離れている訳ではないので、ぎりぎり許容範囲かな。
18時開演予定が10分少々遅れてスタート。いきなり「僕等に微笑を」から始まるセカンドアルバムの組曲。かつてテリー・カスが歌った「僕等の世界をバラ色に」のボーカルはリー・ロクネインで、その手があったか。続いてロバート・ラムが「スミマセーン、何時デスカー」と叫んで「一体現実を把握している者はいるだろうか」がピアノ・ソロ抜きで演奏される。以後、「ダイアログ」「追憶の日々」「アライブアゲイン」・・・といった70年代のナンバーが立て続けに演奏されるが、サックス吹いているのがウォルター・パラザイダーではなさそうなことに途中から気がついた。ビル・チャンプリンが既に脱けたことは知っていたが、ウォルター・パラザイダーはいるものだと思っていた。脱退なのか一時的な不参加なのかわからないが、いずれにしてもオリジナルメンバーは、ロバート・ラム、ジェイムス・パンコウ、リー・ロクネインの3人。リズム隊はドラムスとパーカッションの2人体制なのでステージ上には総勢9人のメンバー。
10年前のコンサートの記憶もおぼろげになってしまったが、ビル・チャンプリンもいなくなったせいか、以前よりも70年代色が強くなったのかと思えたのが前半の進行。特に7枚目からの「遥かなる愛の夜明け」はともかく、アルバムの曲順そのままに「モンゴヌークレオシイス」になだれ込んだのは、ヒット曲ばかりの選曲の中で異色だった。
でもピーター・セテラの有名なヒット曲はさすがに無視できない訳で「愛ある別れ」「忘れ得ぬ君に」「君こそすべて」といったナンバーは中盤にササッと片付けた印象。ビル・チャンプリンの後任のルー・パーディーニは外見はボズ・スキャッグスに似た人。ちょっとスモーキーボイスでうまく後任をこなしている。ピーター・セテラのボーカルの代役の殆どはジェイソン・シェフだが、彼が加入した以降のナンバーは結局1曲も演奏されず気の毒だったな。「ストリート・プレイヤー」は意外な選曲で嬉しかったが、いななきトランペットもできれば聴きたかった。
後半に入って「アイム・ア・マン」のドラムスとパーカッションの長い掛け合いが凄く盛り上がった。「サタディ・イン・ザ・パーク」「素直になれなくて」といった代表曲を続けた後、突如、聞き覚えがあるけど何だったけ、という演奏が始まり、それは「愛のきずな」の後半部であった。これがクロージングナンバー。
アンコールは「自由になりたい」、そしてお約束の「長い夜」の2曲。最近のコンサートの常として、彼等が退場するかしないうちに会場の照明が点灯してお開き。時計を見たら20時ちょっと過ぎだったので、正味2時間弱のコンサートだった。
以下、本日の演奏曲目を記す。曲順までは覚えていないので収録アルバム順で記載した。
Chicago Transit Authorityより
・Does Anybody Really Know What Time It Is?
・Beginnings
・I'm A Man
Chicagoより
・Ballet for a Girl in Buchannon
・25 Or 6 To 4
Chicago Ⅲより
・Free
Chicago Ⅴより
・Dialogue
・Saturday In The Park
Chicago Ⅵより
・Just You 'N' Me
・Feelin' Stronger Every Day (後半部のみ)
Chicago Ⅶより
・[I've Been] Searchin' So Long
・Mongonucleosis
・Call On Me
Chicago Ⅷより
・Old Days
Chicago Ⅹより
・If You Leave Me Now
Hot Streetより
・Alive Again
Chicago 13より
・Street Player
Chicago 16より
・Hard To Say I'm Sorry/Get Away
Chicago 17より
・Hard Habit To Break
・You're The Inspiration
演奏された曲目は70年代中心、80年代の曲を含めても全て「シカゴ17」までのナンバーで、それ以降の曲はなし。「Stone Of Sisyphus」の収録曲や、ジェイソン・シェフのオリジナルレパートリーも聴いてみたかったけど、初期のワイルドな時代の曲をたくさん聴けて、これはこれで満足。この先、またシカゴのコンサートを見る機会があるのかどうかわからないが、まだまだ頑張ってほしいな。
(かみ)
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