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還暦おやじの洋楽日記

ARW(アンダーソン、ラビン&ウェイクマン)東京公演(2017年4月19日)

いつ空中分解するか心配したアンダーソン、ラビン&ウェイクマンだったが、無事に日本上陸。渋谷オーチャードホールで三日間行なわれた東京公演の最終日に行ったので、遅ればせながらレポートする。

19時開演だったが、田舎住まいのため仕事を早めに切り上げて渋谷に向かう。思いのほか早く渋谷に到着したため書店で時間を潰し、コンサートプログラム代わりに市川哲史著の「どうしてプログレを好きになったんだろう」なる本を購入して読む。5大プログレバンドについての評論集。イエスも当然載っており、8人組時代のドロドロの人間関係もえげつなく記述されている。
18時半の開場に合わせてオーチャードホールへ。このホールは久しぶりで、たしかまだ出来て間もない頃にポコのコンサートに行ったんだっけ。でもそれはもう四半世紀も前のこと。会場の規模は記憶よりも小さかったが、30数列目の僕の席からもステージはそんなに遠くなく、これぐらいのホールがちょうど良い。19時の開演時刻より10分程遅れてステージにメンバーが登場。いきなりラビンとウェイクマンがステージ中央で抱き合ったが、前述の本を読んだ直後では色々深読みしてしまう。
ステージ左にトレバー・ラビン、右にリック・ウェイクマン、そして中央にジョン・アンダーソンという配置で「Cinema」からスタートし、間髪入れずに「Perpetual Change」へなだれ込む。やっぱりジョン・アンダーソンの歌声こそイエスであり、特徴的な美声もそれほど衰えていない。以後、「Hold On」「I've Seen All Good People」「Lift Me Up」「And You and I」「Rhythm of Love」「Heart of the Sunrise」「Changes」と90125時代のイエスと70年代イエスの曲が交互に演奏される。サポートメンバーは、ルイス・モリーノ三世(ds)とイアン・ホーナル(b)の2名だが、急遽参加したというホーナルがコーラスワークでも活躍していた。
かつては美青年だったラビンも容色衰えて立派な中年おやじになっていたのがちょっと寂しい。それより年長のウェイクマンも格好は昔ながらの長髪でマント姿だったが、随分お肉がついた老人になっていた。今回は顎髭をたくわえていたアンダーソンは更に年配なのだが、二人に比べると若々しい。ポジティブ思考だと人間トシを取らんのかな。とにかくやたらハイテンションで、じっとしていない。お約束の「ぞうさん」「どんぐりころころ」も忘れなかったし、「Rhythm of Love」や「Changes」ではギター伴奏もしてくれた。演奏に関しては、ウェイクマンのシンセサイザーが音がでかいし、アドリブっぽく入れる伴奏がちょっと浮いていた。ラビンのほうは安定の演奏だが、今回は超絶技巧のソロ披露もなく淡々とこなしていた感じ。
新旧レパートリー交互演奏の均衡が崩れたのが、ABWHの「The Meeting」。そして長尺の「Awaken」へ。ウェイクマンのピアノはさすがだね。アンダーソンはミニハープを伴奏。ここまで立ち上がる観客は誰もおらず、ロックコンサートとしては異例の進行。そりゃ「Awaken」ではノリノリで立ち上がれないのは確かだけど、それでもクロージングの「Owner of a Lonely Heart」では後半、ラビンとウェイクマンが客席に降りて練り歩いたため、さすがに皆それを見ようと立ち上がる。誰も立たないロックコンサートに初めて遭遇できるかと期待した自分としては誠に残念であった。アンコールは定番の「Roundabout」。最後に5人でお辞儀をして楽屋に戻るが、ラビンが律儀に最後まで手を振って去っていたのが印象的だった。
約2時間のライブのセットリストは以下の通り。

1. Cinema
2. Perpetual Change
3. Hold On
4. I've Seen All Good People
5. Drum Solo
6. Lift Me Up
7. And You and I
8. Rhythm of Love
9. Heart of the Sunrise
10.Changes
11.The Meeting
12.Awaken
13.Owner of a Lonely Heart
( Encore )
14.Roundabout

このセットリストはネットから拾ったものだが、最近のネット情報の充実ぶりは凄いね。彼等のライブ映像もネットで公開されており事前に見られたのだが、楽しみがなくなっちゃうのでちょっとしか見なかった。
尚、彼等が日本に来る数日前にユニット名がARWから「Yes featuring Jon Anderson, Trevor Rabin, Rick Wakeman」に変更されたのだそうだ。つまり正式にイエスを名乗るバンドが2つになった訳で、まさに南北朝イエス再び。この後の展開は容易に想像がつく。何人組になっているかは知らないが、数年後のリユニオンツアーを楽しみすることにしよう。

(かみ)
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