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還暦おやじの洋楽日記

プログレッシヴ・ロック・フェス2016 (2016年5月22日)

日比谷野外音楽堂で行なわれたプログレッシヴ・ロック・フェス2016に行ってきたので、そのレポート。これまでいくつかのコンサートレビューをこのブログで書いたことはあったが、それは殆どの曲を知っていたから。今回出演するバンドはそこまではなく、いちばんの目当ては復活したキャメルだが、真面目なお付き合いは「Nude」までで、その後はご無沙汰してしまった。スティーブ・ハケットはソロを数枚聴いたけどピーガブ時代のジェネシスは敬遠していたのでそんなに知らない。一応、ブログに書くからには読んでくれる人の役に立つ情報を提供したいと思っているので、中途半端な情報じゃあかんと当初は書くつもりなかったけど、行ってみたら意外と知ってる曲が多かったのと、思った以上に気持ちの良いコンサートだったので、1週間遅れながらレポートしてみる次第。

(出演ミュージシャン)
1. 原始神母
2. スティーブ・ハケット
3, キャメル

当日は初夏の汗ばむ陽気。開演時刻の16時めがけて有楽町から日比谷公園へ向かう。野音は初めて、というよりも野外のロックフェス自体が初めて。公園内を歩いているとドイツビール祭りをやっていて旨そうだったが我慢。
開演の10分前ぐらいに到着、中に入ると思ったより会場が小さい。でもお蔭でステージが近いし、緑に囲まれたロケーションは開放感に溢れて気持ち良さげ。席を探してうろうろしていると、定刻前だというのに「吹けよ風、呼べよ嵐(One Of These Days)」の演奏が始まった。オープニングアクトの原始神母は日本のピンクフロイドのコピーバンド。初めて聴くが、これが意外なほど良かった。2曲目の「太陽讃歌(Set The Controls For The Heart Of The Sun)」で銅鑼を叩くシーンは明らかにポンペイを意識しているな。「タイム(Time)」と「虚空のスキャット(The Great Gig In The Sky)」では2人の女性コーラスが活躍。続けて始まったのが「原子心母(Atom Heart Mother)」。この大作を殆どフルで演奏したことに敬意を表する。70年代前半の曲ばかりだったのもマル。

観客席の後ろには売店があったので缶ビールを買い求め、まだ明るいうちから飲み始めて次を待つ。客席の間をひらひらと蝶々が飛び交い、そよ風が吹いて心地良い。初夏の野外コンサートとプログレという組合せは、どう考えてもミスマッチと思ったが、これが意外にイケる。しかもここ数年に行ったイーグルスやシカゴのコンサートに比べても、客層が若い。もちろん、それなりの年齢のおやじ達が中心だけれど、親子連れや若いお姉ちゃんもそこそこ来ている。野外のせいもあるだろうが、皆、服装も若々しいし元気に溢れており、仲間や家族でプログレ談義なんかしている光景をそこらかしこで見かけた。ひょっとするとアメリカンロック好きよりもプログレ好きのほうが若くいられるのだろうか。

休憩時間が終わって17時頃、2番目に出てきたのはスティーブ・ハケット。出てくるまでてっきり彼がトリだと思っていた。スティーブ・ハケットは"Genesis Revisited"の豪華サポートミュージシャンによる来日公演に行ったことあるが、そのときの目当てはジョン・ウェットンやイアン・マクドナルドだったんだよな。今回、ベーシストがスカートを穿いていて女性ベーシストとは珍しいなと思ったが、顔はどうにもおっさん。後でネットで調べたらニック・ベッグスという有名なミュージシャンらしい。
前半は彼のソロ作を演奏。残念ながら知っている曲はなかったが、ウエストコーストばりのコーラスを聴かせるアコースティックな曲もあって、なかなか良かった。後半はジェネシスの作品。長身のボーカリストが出てきて、声と歌い方がガブリエルそっくり。自分の出番以外は奥に引っ込む尊大な大物感の演出もガブリエルを意識しているのか、ナッド・シルヴァンという人だそうだ。「シネマショウ(The Cinema Show)」「幻惑のブロードウェイ(The Lamb Lies Down On Broadway)」と続き、「ダンス・オン・ア・ヴォルケーノ(Dance On a Volcano)」と「ファース・オブ・フィフス(Firth Of Fifth)」は絶対やるだろうなと思っていた曲。これがクロージングナンバー。

また20分ぐらいの休憩があったので2本目は缶チューハイ。ようやく陽が落ちてあたりが暗くなり始めた19時少し前にキャメル登場。キャメルは二度目の来日公演を観に行ったことがある。その時は「I Can See Your House From Here」のメンバーで場所は中野サンプラザだったと思う。もう30数年も昔の話。今回はデビュー当時に戻って、ギター、ベース、キーボード、ドラムスだけの4人編成だが、前に見たメンバーで残っているのはアンディ・ラティーマーとコリン・バースだけ。
「ネヴァー・レット・ゴー(Never Let Go)」で始まるが、メル・コリンズ時代のフュージョンっぽいバージョンではなくオリジナルに忠実な演奏。以下、「The White Rider」「永遠のしらべ(Song Within A Song)」「心のさざなみ(Uneven Song)」と作品発表の時系列に曲を演奏。
アンディ・ラティーマーは半袖のTシャツ姿で弾きまくり、とても重病を克服した病みあがりとは思えないくらいに若く見えるが、コリン・バースは頭も髭も真っ白になっていた。キーボード奏者はずっと座りっぱなしだったが、ピーター・ジョーンズという盲目のミュージシャンとのこと。彼は歌も歌い、分厚いキーボードで最小構成のバンド編成の音を十分埋めていた。
「ラヤダー(Rhayader ~ Rhayader Goes To Town)」は30数年前はたしかラティーマーとキット・ワトキンスのダブルフルートで奏でた曲。「水の精(Spirit Of Water)」の後の「アイス(Ice)」ではラティーマーの泣きのギターが炸裂。その後の2曲は知らなかったが、「Dust And Dreams」からの曲だったらしい。亡きクリス・レインボウに捧ぐというMCの後に演奏されたのが「ロング・グッドバイ(Long Goodbyes)」、この曲がクロージングナンバー。
一旦引き上げたメンバーがステージに戻ってきて最後はアンコール「レディー・ファンタジー(Lady Fantasy)」で締め。

それぞれの演奏時間は、原始神母が50分、スティーブ・ハケットとキャメルが1時間半づつ、といった按配。単独コンサートに比べれば曲目は少ないが、3つのバンドの充実した演奏をまとめて聴けてお買い得。それにしても気候の良い季節の野外コンサートはいいね!もう機会はあるまいと思っていたキャメルを再び観ることができたし、満足の内容だった。

(かみ)
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