りょーこのマネージャーな日々

ブログタイトル仮変更。子供達のマネージャー状態な日々をダラダラ書いてます。

坂の上の雲

2015-09-30 08:24:28 | ものがたり系
足掛け1年弱、ようやく読み終えた全8巻。
自分でもよく読了できたよなぁと思う…。
で、その後ドラマ全13話も一気に見たので、合わせて感想残しときたいと思います。

まずは、本のほう。
イヤ…私の読書スピードが遅いということもあるにしろ、あと私って本読んでるとよっぽどおもしろい内容じゃないとすぐに寝落ちしちゃうのね…そんなこんなで、ほんとに1年かかっちゃって…。
特にこの小説は、序盤は私にはだいぶ退屈な内容で…日露戦争が始まったあたりはだいぶ読みやすくなったんだけど、それでも途中途中の描写が詳細すぎたりして、長くて長くてなーかなか進まなくて大変でした…日本海海戦が始まった8巻だけは、おもしろすぎて一瞬で読み終えちゃったんですけどね…。
とりあえず第一の感想としては、これ、子規の話はこの物語にはいらなかったんじゃないのかな~と…。
子規の話を読みたくて読み始めた人がこれを最後まで読了するのはかなり大変だと思うし、逆に日露戦争を知りたくて読み始めた人(私もそう)には序盤が退屈すぎる。
もっと秋山兄弟に焦点を絞って、真之のいち友人としての立場での、いち登場人物としての子規、で、十分な気がしたし、子規は子規で子規だけを主人公とした物語を書いたほうがよかっただろうにと…。
まぁでも全体を通して、本当にこれだけ膨大な量を書くために、一体どれだけの取材や調査を行ったんだろうかと思うと、それだけで本当に頭が下がります…。
ただ、その膨大な調査を、物語の中にたくさんたくさん詰め込んでいるからこそ、かなり読みづらいという点は、一側面としてあるとは思います。
おもしろくて気分的にも高揚して一気に読み進めたいところに、仕方ないとはいえ、いきなり本筋にそれる内容が割り込んできてしまって、その高揚した気分がそがれてしまったり…たとえば8巻の日本海海戦、駆逐艦に移乗して敗走する敵将ロジェストウィンスキーを、日本の駆逐艦漣が発見するんですが、そのくだりで、敵将を発見した漣の塚本中尉について触れなければならず、いきなりその塚本中尉の生い立ちやら婚約者がいたやら画才があったやらの情報が割り込んできてしまうんですよね、まぁここでいきなり出てきた登場人物ですし、発見に至る双眼鏡の話も説明しなくてはいけないのは分かるんだけど、ここでどうしても一度気分がトーンダウンしてしまう。
これはほんの一例ですが、全8巻全てを通して万事この調子なので、やはりなかなか読み進められない。
イヤ、すごいことだと思うんですよ、これだけの情報量を詰め込んでくれていて、純粋な戦史、記録書と考えたら本当にありがたいものだなとも思うし。
でも、小説というかひとつの物語として考えた場合、やはりなかなか読みにくいなぁと。
あと、日本海海戦が終わったあとがものすごくあっさりしているのも、それまでの分量を考えるとちょっと残念に思ったりもしました。

ドラマのほうは、非常によかったですね。
1時間半のドラマが13話、どうやってこの膨大な量の原作を映像化するのだろうかと思いましたが…本当に見やすかったですし、おもしろかったですし、キャストもほぼミスマッチ感なく、全体的に素晴らしかったと思います。
とてもじゃないけど本では読めないという方は、このドラマを見るだけでももう十分だと思いますね。
主役の3人は全員はまり役だったと思います、特に好古の阿部寛はよかったですね~好古のイメージそのものでした。
てか阿部寛ってほんっとに名優だなと思います、私そんなにドラマも映画も見ないけど、出てるものことごとくはまり役で印象深い気がする。
ひとりどうにもミスマッチな気がしたのが、乃木希典。
なんか、原作を読むと、乃木は戦争は下手だけど神秘性があって周りの人達を虜にするようなところがある(それでみんな、言葉悪いけどだまされてしまう)というかんじだったけど、この乃木だと、なんかこう言っちゃひどいけど神秘性もなにもないしょぼくれたおっさんにしか見えなかった…。
それ以外は全体的に素晴らしかったな~と。
映像も、当時の写真の使い方とか、絵や文字での演出が個人的には好みだったし、陸戦海戦ともにものすごい迫力で、文字ではなかなか感じきれない部分までひしひしと伝わってきて、この旅順要塞を実際に見ておきながら一体どうすれば正面突破なんて恐ろしい命令を出せるんだろう…とか、あーやられたバルチック艦隊が海に浮かぶスクラップ状態ってこういうことか…とか、すごくよく伝わってきましたね。
あれだけの砲弾の雨を浴びながら、人間一体どうやって気持ちを奮い立たせて前進していけるものなのか…どう想像しても及ばないですね…。
ストーリー的にも、必要なところは拾い、肉付けするところはして(やはりドラマチックにするために恋愛がからむところは脚色が多かったですね、あと個人的には是清さんが好きなので原作よりたくさん出てきてくれて嬉しかったです)、テンポよく進めていたと思います、それこそ原作で感じた高揚してる時の腰折れ感とかは全くない。
原作では子規はいらないんじゃ…と思った私も、ドラマでこうやって見ると子規のパートもきちんと活きるなぁと感じました…まぁ単純に、原作では8巻中3巻に入った瞬間に死んでいる子規が、ドラマでは13話中7話で死んでますから…存在感が全然違いましたね、これくらい扱われるなら十分意義のあるパートだったと思います。
あ、でもストーリーでびっくりしたのは、黄海海戦がまるまるカットされていたことですね、ここは(現実的に僥倖の要素が大きかったとしても)多少なりとも触れたほうがよかったんじゃないですかね、図説と語りの解説だけでもいいから。
それから、細かいところですが、下瀬火薬の説明も全くなくて、セリフとしてロシア海兵の「これが例の鞄というやつか」くらいで終わっちゃってたので、これって見てる人意味分かったのかな?とか…ま、細かいんですけど(笑)
あ、あと、確か真之が軍人になるのって、好古の薦めがあったからでしたよね?それが完全に真之からの自発的なものになってたのも驚きました。
まー、正直、1年かけて読んでますから、前半のほうはほとんど忘れちゃってて、照らし合わせもなにもなく、あーこんなことあったっけな?とか思いながら見てましたけどね。
それから、随所に織り込まれている語りは当然原作の中から抜粋されているわけなんですが、これを聞いてると、この司馬遼太郎という人がいかに美文家であるかというのが感じられましたね。
あとがきから抜粋されているナレーションが多いのも印象的でした…明治人の「いたいたしいばかりの昂揚」とか、いいですよね、なかなか表現できないと個人的には思うんですけど。
音楽も素敵だったし、全体的に、本当に素晴らしい内容だったと思います。

しかし…これは原作ドラマ関係なくの感想ですが…このあとの大東亜戦争に特に色濃く感じられるところではありますが、本当に、上に立つ人間がどんな人間か、それ次第で、人生も、国運も、どうにでも変わってしまうんだなと、痛切に感じましたね…。
ロシアとの協調に固執して勝手に行動する伊藤博文は現代の鳩山を彷彿とさせられたし、なにより旅順要塞攻略に関しては乃木と伊地知にどれだけイライラさせられながら読んだか…!!!!!
対して大山・児玉や、東郷のような人間が上に立った場合、まるで同じ軍隊とは思えないほどの戦果を挙げるわけで…。
これだけの勝利を成しえた日本軍が、どんどんおかしくなっていって、あの大東亜戦争になってしまうんですから…あの時の大本営や士官に、もしもこの時代の名将のような人達が何人もいたのなら、同じような結果にはならなかったのでしょうか…イヤそもそも戦争にならなかったのか?でもそこはまたいろいろな要因が絡み合ってますしね…。
それにしても、まだまだ世の中、知らないことが多いなぁとも思わされました。
私は日本史専攻ではなかったので余計になんでしょうが、乃木希典なんて、名前は知っていたけど、日露戦争の名将という認識しかなかったですよ。
まーまさかこんな悪い戦をやった将だったなんてね…。
それから、東郷ターン。
私、昔塾講師をやっていた頃、短期講習の時にどうしても講師が足りず、即席で中3社会の授業をやったことがあったんですね、日本史すら専攻してない私がですよ、歴史教科書を数日で総ざらいして、3日間の講習をやったことがありまして。
その時、たまたま、日露戦争の東郷ターンを知りまして、興味を持って、ネットで調べて、ちょっと雑談的なかんじで、授業中に取り上げたんですよね。
男の子達はその響きが気に入ったようで、授業後トイレから「トーゴーターン!」なんて叫んでふざけてるのが聞こえてきてましたけど(笑)今思えば果たしてあの時の私の東郷ターンの解釈と指導は正しかったのか、甚だ自信がありません…(苦笑)
今なら日本史も東郷ターンももっとうまく教えられるな…(笑)
そういえば、ドラマで、東郷ターンの意義も、バルチック艦隊の頭を押さえるってところだけ触れてたけど、片舷の砲門全部を有効に使えるってところは触れなくてよかったのかしら?なんて思ったりもしました。
まぁでも、一方で、相手からすれば射程目標が大きくなるっていう点もあるし…相手の技量が稚拙だと分かっているからこそできる作戦ですよね…このへんは艦これでも学びました(笑)

そしてなんといっても、連合艦隊解散の辞ですね…。
原作でもドラマでも、全文は取り上げられていなかったので、ネットで調べて全文読みました、原文も現代語訳も。
イヤ…素晴らしいですね、本当に。
文章自体の格調高さもさることながら、内容がまた素晴らしい。
これだけの大勝利をおさめ、日本を滅亡の淵から救った人達が言うからこそ、重みがあるというところもあります。
平時戦時関係なく普段から鍛錬を怠らず備えておくことが国を護ることにことにつながると。勝って兜の緒を締めよと。
戦争法案反対とか言ってた人間はこういうのどういう思考回路で読むんだろうか…と思っちゃいました…まぁ「今は帝国主義の時代じゃない!」とか言うんだろうな…。

去年の12月、クリスマスの時ですね、急遽四国に行くことになって、ずっと興味があったけど手が伸びなかった坂の上の雲を読み始めて、1年弱。
4月には横須賀の三笠も見に行きましたが。
今思えば…読み終わってから四国と三笠行きたかったです…。
松山では秋山兄弟生誕の家とか看板も見かけたけど当時まだほとんど読み進められてなくてスルーしてしまったし…(そもそもあまり時間もなかった)。
しかも今いろいろ陸戦の砲弾のことを調べていたら、私達が松山で乗ったロープウェイ乗り場に、撮影で使われた28サンチ榴弾砲のレプリカも展示されてたらしい…見たかった…見たかった…orz
三笠は、私よりだいぶ早く読み終えたお父さんが行きたい行きたいとあんまりしつこく言うもんだから根負けして行ってきて、まぁあの当時でもそれなりに楽しんで艦内をめぐったけど(艦これやったりしてたから海軍自体にそれなりの興味はあったし)、でも日本海海戦を読み終わった今行ったら確実にあの時よりはるかに感慨深く見て回れるに決まってるじゃないか…。
まぁ、5歳の息子が、私と一緒に日本海海戦を見ながら、以前見に行った三笠が戦っているとのことで大興奮で見てたので、それはそれでよかったんですけどね…とはいえ、いずれまたちゃんと見に行けたらいいなぁと思いますね…。

なんにしろ…日露戦争にしても、大東亜戦争にしても、こういう先人達の血と汗と涙の上に、今私達が日本人として生きていられるということを、忘れてはいけないなと、つくづく感じるところです…。

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