右腕の状態が思わしくないので、連休にもかかわらず登るのはやめて、開拓準備とアプローチ整備をかねて比叡に行くことにした。
日曜日の午後3時過ぎに一人軽四に乗ってのんびりと向う。7時到着すると、連休のわりには来ている人は少ない。これから入るのだ
ろうか。
今日は、ゆっくり本でも読もうと久しぶりにテント泊にした。積読になっていた本を3冊ほど持ってきたが、結局、缶ビールを2本
飲んだら何時しか眠ってしまった。軽四の長丁場で疲れた出たのかもしれない。本は、また積読に戻る。
9月21日(月)
Ⅲ峰のフィックスの張替えかたがた、アプローチを整備しようと鎌を持って行くと、トンネル入り口から左へと上がるアプローチ
が崩壊しており、やや歩きにくくなっている。後で聞いたところによると、1週間ほど前にあった地震が原因とのこと。一人ではど
うしようもないので、そのままし、Ⅲ峰へと行くとすでに入り口は藪に覆われ、自然に返っていた。早速、鎌を振りはじめたが、
どうも右腕が芳しくない。せめて入り口だけでも分かりやすく伐採しようと、とりあえずの伐採をし、フィックスを張り替えて下り
る事にした。
続いてメインのⅡ峰奥壁のアプローチ整備へ。
鋸、鎌、鍬の開拓3点セットを持って奥壁へと行くとわずか30分にもかかわらず、汗だくとなる。開拓途中の三つ子ハングの取り付
き基部に着くと、懸念であったルーフにあるスズメバチの巣が前回よりも大きくなっており、蜂も勢い良く飛び回っている。やはり、
掃除はやめたほうが無難と判断し、仕方なく取付までの伐採とマーキングを行った後、人形岩のアプローチを作るためにそちらへ向
かうことにした。
人形岩
Ⅰ峰のピーク、もしくはⅠ峰北面のルート上からⅡ峰奥壁を望むとすぐにそれと分かる岩塔である。しかし、奥まった位置にある
ため、知っている人は数少ない。ルートも2本引かれているのみで、そのうちの1本は2ピッチまでで終了している。今回、私が狙
っているのはその1本をつなげるルートである。
記録には、3ピッチ目はクラックが途中で途切れているとなっており、開拓途中であきらめたのかと思いながらも、念のために当時
の開拓メンバーに3ピッチ目の開拓の了承と、やめた真意を尋ねたところ、開拓途中で稲光と共に雷が鳴り出したのでやめたとのこ
と。20年近く前のことのため、はっきりしないところがあるが、やめたのは事実のようである。
人形岩の基部まで行ってみると、取り付きまでのアプローチはマーキングは無く、羊歯と藪に覆われ、たどり着くまで羊歯を払いな
がらの藪漕ぎとなる。取り付きに着くと、最短で楽にたどり着けるコースを探し、再び鎌と鋸を携えて羊歯と木を切りながら戻る。
幸いなことに鋸を引くときは腕の痛みはそれほどでもない。一時間近くかけてアプローチを作り、マーキングも終えたところで、取
りあえず様子を探るため、1ピッチ登ることにした。
Ⅱ峰周辺の岩場は、下部の風化が進んでいるようだ。ここも例外にもれず下部にやや風化が見られるが、登るにつれてよくなって
くる。カムもジャムもがっちり効き、快適だ。グレードは、あって10aぐらいだろうか。
1ピッチ終了点より、2ピッチ目を望むとクラックが右に回りこんで終了点こそ見えないがクラックが続いているようであり、ブ
ッシュもあまり生えてはいない。なんとか2ピッチ終了点まで行けそうであるが、今日はここまでにし、フィックスを張り、懸垂で
下りる事にした。
庵に行くと、いつものメンバーは韓国遠征で出払っており、代わりに関西の会の方が7人来ていた。この晩は、関西のクライミング
の動向などを聞いたりして交流を深める。
明けて火曜日。
朝から小雨模様。しかし、少し待てば上がりそうな気配であるため、ゆっくりと過ごす。昨日、デポをしようかとも思ったが、雨が
気にかかり、フィックス以外は撤収したのが幸いした。しかし、今日はすべてを一人で担ぎ上げなければならない。
雨が上がったのを見計らって、比叡へと向かう。Ⅱ峰下部に車を止めて、ザックにカム2セット、ボルトキット、ドリル、鍬、鋸等
を詰め込むと大変な重さになってしまった。30k近くはあろうか。一人では致し方ない。ゆっくり行くことにする。
40分ほどかけて、人形岩取り付きへ。フィックスにグリグリをセットし、1ピッチ終了点へ到着後、リボルトのための穴を穿つと
ドリルの音が辺りへ反響する。おそらく、Ⅰ峰を登っている人たちが振り向いているだろう。一人でこんなことをしているところは極
力見られたくないが、これも致し方ないこととあきらめ、せっせと作業を進める。

2ピッチ目

新たに作った2ピッチ終了点より取付を見下ろす。ロープが壁から離れている。

人形岩の側壁。上部は薄く被ってくる。
終了点打ち替え後、2ピッチ目の登攀に入る。1ピッチ目よりやや難しいといったところであるがグレードは同じ10aぐらいとい
ったところだろうか。カンテを回り込むとすぐ上に終了点が見えてきた。2ピッチ目までは作られているようである。2ピッチ目に到
着後、終了点上部を仰ぐと、クラックが続いているが途中で切れている。その先のフェースは薄被りでホールドは何も無い。絶望的で
ある。クラック部分も下部は指が入らない程度のシンクラックである。記録にある途中で切れていたとういうクラックは間違いなくこ
れであろう。あきらめたのが納得できる。私もここまで来て、がっくりと来たが、何か可能性があるかもしれないと、左へとトラバー
スして上部を窺うと、ブッシュが点々と上部へとつながったいるところを見つけることが出来た。行って見なければわからないが、3
ピッチは、ここにルートをとることに決め、2ピッチの終了点を既設の終了点から3m程はなれたところに打つことにした。さすがに、
ここからはパートナーがいなければ行けないだろう。無理はしないことにし、懸垂で下りる事にした。
この日は、また庵に戻り、関西の人たちと談笑。明けて次の日は、疲れもあったため、朝、引き上げることし、関西の人たちとまた
の再会を期し、比叡を後にした。

途中で切れたクラック。そこまでもかなり悪い。人形岩の全体像を掲載できないのが残念。
次回ご期待。
登攀しなければピークに立つことの出来ない岩塔は、やはり魅力的である。ガストン=レビュファの星に延ばされたザイルではないが、
ピークでザイルを手繰って下に投げるのも一興だ。是非とも立って見たい。
まだ、三つ子ハングが開拓途中であり、また仕事を増やす結果になってしまったが、幸いにも三つ子ハングの取り付きから人形岩まで
は5分程度である。掛け持ちで出来そうである。
日曜日の午後3時過ぎに一人軽四に乗ってのんびりと向う。7時到着すると、連休のわりには来ている人は少ない。これから入るのだ
ろうか。
今日は、ゆっくり本でも読もうと久しぶりにテント泊にした。積読になっていた本を3冊ほど持ってきたが、結局、缶ビールを2本
飲んだら何時しか眠ってしまった。軽四の長丁場で疲れた出たのかもしれない。本は、また積読に戻る。
9月21日(月)
Ⅲ峰のフィックスの張替えかたがた、アプローチを整備しようと鎌を持って行くと、トンネル入り口から左へと上がるアプローチ
が崩壊しており、やや歩きにくくなっている。後で聞いたところによると、1週間ほど前にあった地震が原因とのこと。一人ではど
うしようもないので、そのままし、Ⅲ峰へと行くとすでに入り口は藪に覆われ、自然に返っていた。早速、鎌を振りはじめたが、
どうも右腕が芳しくない。せめて入り口だけでも分かりやすく伐採しようと、とりあえずの伐採をし、フィックスを張り替えて下り
る事にした。
続いてメインのⅡ峰奥壁のアプローチ整備へ。
鋸、鎌、鍬の開拓3点セットを持って奥壁へと行くとわずか30分にもかかわらず、汗だくとなる。開拓途中の三つ子ハングの取り付
き基部に着くと、懸念であったルーフにあるスズメバチの巣が前回よりも大きくなっており、蜂も勢い良く飛び回っている。やはり、
掃除はやめたほうが無難と判断し、仕方なく取付までの伐採とマーキングを行った後、人形岩のアプローチを作るためにそちらへ向
かうことにした。
人形岩
Ⅰ峰のピーク、もしくはⅠ峰北面のルート上からⅡ峰奥壁を望むとすぐにそれと分かる岩塔である。しかし、奥まった位置にある
ため、知っている人は数少ない。ルートも2本引かれているのみで、そのうちの1本は2ピッチまでで終了している。今回、私が狙
っているのはその1本をつなげるルートである。
記録には、3ピッチ目はクラックが途中で途切れているとなっており、開拓途中であきらめたのかと思いながらも、念のために当時
の開拓メンバーに3ピッチ目の開拓の了承と、やめた真意を尋ねたところ、開拓途中で稲光と共に雷が鳴り出したのでやめたとのこ
と。20年近く前のことのため、はっきりしないところがあるが、やめたのは事実のようである。
人形岩の基部まで行ってみると、取り付きまでのアプローチはマーキングは無く、羊歯と藪に覆われ、たどり着くまで羊歯を払いな
がらの藪漕ぎとなる。取り付きに着くと、最短で楽にたどり着けるコースを探し、再び鎌と鋸を携えて羊歯と木を切りながら戻る。
幸いなことに鋸を引くときは腕の痛みはそれほどでもない。一時間近くかけてアプローチを作り、マーキングも終えたところで、取
りあえず様子を探るため、1ピッチ登ることにした。
Ⅱ峰周辺の岩場は、下部の風化が進んでいるようだ。ここも例外にもれず下部にやや風化が見られるが、登るにつれてよくなって
くる。カムもジャムもがっちり効き、快適だ。グレードは、あって10aぐらいだろうか。
1ピッチ終了点より、2ピッチ目を望むとクラックが右に回りこんで終了点こそ見えないがクラックが続いているようであり、ブ
ッシュもあまり生えてはいない。なんとか2ピッチ終了点まで行けそうであるが、今日はここまでにし、フィックスを張り、懸垂で
下りる事にした。
庵に行くと、いつものメンバーは韓国遠征で出払っており、代わりに関西の会の方が7人来ていた。この晩は、関西のクライミング
の動向などを聞いたりして交流を深める。
明けて火曜日。
朝から小雨模様。しかし、少し待てば上がりそうな気配であるため、ゆっくりと過ごす。昨日、デポをしようかとも思ったが、雨が
気にかかり、フィックス以外は撤収したのが幸いした。しかし、今日はすべてを一人で担ぎ上げなければならない。
雨が上がったのを見計らって、比叡へと向かう。Ⅱ峰下部に車を止めて、ザックにカム2セット、ボルトキット、ドリル、鍬、鋸等
を詰め込むと大変な重さになってしまった。30k近くはあろうか。一人では致し方ない。ゆっくり行くことにする。
40分ほどかけて、人形岩取り付きへ。フィックスにグリグリをセットし、1ピッチ終了点へ到着後、リボルトのための穴を穿つと
ドリルの音が辺りへ反響する。おそらく、Ⅰ峰を登っている人たちが振り向いているだろう。一人でこんなことをしているところは極
力見られたくないが、これも致し方ないこととあきらめ、せっせと作業を進める。

2ピッチ目

新たに作った2ピッチ終了点より取付を見下ろす。ロープが壁から離れている。

人形岩の側壁。上部は薄く被ってくる。
終了点打ち替え後、2ピッチ目の登攀に入る。1ピッチ目よりやや難しいといったところであるがグレードは同じ10aぐらいとい
ったところだろうか。カンテを回り込むとすぐ上に終了点が見えてきた。2ピッチ目までは作られているようである。2ピッチ目に到
着後、終了点上部を仰ぐと、クラックが続いているが途中で切れている。その先のフェースは薄被りでホールドは何も無い。絶望的で
ある。クラック部分も下部は指が入らない程度のシンクラックである。記録にある途中で切れていたとういうクラックは間違いなくこ
れであろう。あきらめたのが納得できる。私もここまで来て、がっくりと来たが、何か可能性があるかもしれないと、左へとトラバー
スして上部を窺うと、ブッシュが点々と上部へとつながったいるところを見つけることが出来た。行って見なければわからないが、3
ピッチは、ここにルートをとることに決め、2ピッチの終了点を既設の終了点から3m程はなれたところに打つことにした。さすがに、
ここからはパートナーがいなければ行けないだろう。無理はしないことにし、懸垂で下りる事にした。
この日は、また庵に戻り、関西の人たちと談笑。明けて次の日は、疲れもあったため、朝、引き上げることし、関西の人たちとまた
の再会を期し、比叡を後にした。

途中で切れたクラック。そこまでもかなり悪い。人形岩の全体像を掲載できないのが残念。
次回ご期待。
登攀しなければピークに立つことの出来ない岩塔は、やはり魅力的である。ガストン=レビュファの星に延ばされたザイルではないが、
ピークでザイルを手繰って下に投げるのも一興だ。是非とも立って見たい。
まだ、三つ子ハングが開拓途中であり、また仕事を増やす結果になってしまったが、幸いにも三つ子ハングの取り付きから人形岩まで
は5分程度である。掛け持ちで出来そうである。