天と地の間

クライミングに関する記録です。

遅いめざめ

2011年08月30日 | 
これまで、いろんなジャンルのクライミングをやってきたが、沢だけは手を出さなかった。理由は怖いことと、沢から上がってからの藪
こぎ、濡れねずみでの下山。である。それが昨年あたりから、興味を持ち始めた。その理由は、知り合いの何人かが沢をやっており、そ
の魅力を事あるごとに吹聴するのである。くわえて、近年のこの暑さ。そして、実は水の中はクラミングよりも得意。これを使わない手
はないと思い立ったのである。で、昨年からお願いコールをだすも、だれもまともに受け取ってくれない。皆の共通した返答は「本当に
行くんですか~?」と妙に間延びした言い方。てんで信用してくれてないのである。ところが、一月半前に突然、以前所属していた会の
先輩から沢に行こうという連絡があった。場所は祝川ゴルジュ。大崩はよく知った山域。これ以上の沢はそうはないだろうと、参加を確
約した。しかし、道具は手持ちでなんとかなるが、身に付けるものがまるで無い。何がいるのかも分からない。沢のことは無知だから仕
方が無い。そこで、知り合いに相談すると「アプローチシューズでも良いんじゃないでしょうか」という回答。その「じゃないでしょう
か」を信じて、ファイブテンのアプローチシューズで行くことに決めた。ウエアはパンツは借りて、シャツは冬山の下着で行くことにし
た。

電話があってから、天候不順が続く。沢が増水し、なかかな行くチャンスに恵まれない。やっと、そのチャンスが来たのが日曜日。
27日(土曜日)に白岳さん、穴さん、ますもっち、おおくら省と公民館で落ち合い、久しぶりの再会に杯を重ねる。

明けて日曜日。曇り
6時40分より登山口を入る。
途中で休みを入れ、8時に喜平谷より入渓する。


いよいよ入渓。入ったときから心地よさを感じる。



折り重なる巨岩にその間を波頭を作って落ちる清い水。見るだけで日ごろの鬱積が吹っ飛ぶ。
巨岩を越えながら進むと40分ほどで滝が現れた。どうみても直登は無理だ。穴さんが云うには第一の核心とか。弱点はないかと右のほう
を見るとクラックが上部まで走っている。登ろうかと考えたが、カムが足りそうにない。その上、上部が草付きで悪そうだ。


コーナーにクラックがある。可能性はありそうだが。

あっさりと諦め、手前左側に打たれたボルトに沿って巻くことにした。一番安全であるが、5人もいれば登りと懸垂に時間がかかる。しか
し、急ぐことはない。時間は十分にある。沢初心者の私は、冒険は要注意だ。







懸垂後、一段高くなった箇所を越えて少し進むと、岩が狭まってきた。いよいよゴルジュである。穴さんによれば、水量は少ないとか。


いよいよ佳境のゴリュジュへ

トップは白岳さん。さすがにトライアスロンとトレランで鍛えたからだ。躊躇なく進んでいく。二番手はおおくら省、そして私が続く。
狭いところはチムニーの要領で、広い箇所は人間ブリッヂで横に進む。




怒涛の泳ぎ




手前は私


アプローチシューズが良く決まる。
こんなところで落ちたくはない。

心配していた足元も良く決まる。しかし、当然、コケのあるところはかなり滑る。そういう箇所はなるべく避けて進む。
ゴルジュを越えるとだんだんと開けてきた。登山道が近いようだ。

吐野 着 9時50分


核心を越えて
右端にひっそり、控えめにガッツポーズをとっている人が。
そう見えるだけである。


最後の泳ぎ。ここを過ぎると渡渉点はすぐそこ。

初めての沢登りを終えて。

大崩山域は知り尽くしたところ。昔からボルダーや山女釣りで川を少しは遡上した経験があるだけに、景観と水質には大いに期待して
いた。次から次ぎえてと現れるアトラクション。それは予想を超えてすばらしいものであった。と同時に怖さも感じた。不確定要素が
強いだけに、無理はできない。落ちたらどうなるかわからない。クライミングの技術は大いに役立つが、切り替えが必要だと感じた。
それができなければ何れ怪我をすることになるだろう。今後の私の課題になりそうだ。

久しぶりに時を忘れる日となった。
怪我も無く、沢登りを堪能できたのは、ひとえにすばらしいメンバーに恵まれてのこと。
忘れえぬ沢デビューとなった。

同行のメンバーの方々、ありがとうございました。

追記・・・

ますもっち、穴さんの車に同乗して、福岡から今さん、みわさんが来ていた。二人は別行動で1泊二日の予定で大崩の縦走に入っていた。
後から聞いたところでは、彼女たちは私に会うために11時半から1時まで吐野の渡渉点で待っていたとか。我々はというと、昼前には温
泉に浸かってのんびりしていたものである。
実に申し訳ないことをした。




コメント (6)
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井上タワー ごみの回収へ

2011年08月27日 | フェース
22日月曜日、今日は月曜日とあって相手がいない。そこで井上タワーへとごみの回収に行くことにした。
エリアに上がっていくと、気になっていた蜂の巣が誰かによって、すでに落され、下に転がっていた。
私は巣とともに前回、撃ち込んだ弾を回収し、帰途に着いた。
なお、前回、エアガンを使用したのは、「人目につかない。玉はバイオ(自然に帰る)であるが回収。」が前提の上で数発使用した。
蜂の巣の駆除に関しては、賛否が分かれるところだろう。家の軒先に作られた巣ならともかく、岩場とあっては、彼らのテリトリーに入
っているのはこちら側。彼らは害虫ではない。来年まで待つのが良いのだろうが、そう思いながら誰かが取り除いたくれると、ほっとし
たりする。だれも残酷なことはしたくはないし、巣に近づくことは刺されに行くようなものだ。

遊歩道 裸の件。
だれしも、登るときには事故を起こさない。周囲に迷惑をかけない。を念頭に登るのは共通認識だろう。しかし、そこの許可をとったも
のにとっては、ちょっと事情が違ってくる。遊歩道は所有者が2件にまたがっており、管理は佐伯市(当時は本匠村)という特殊事情があ
る。許可に当たっては地主、役場に赴き、「事故は起こさない。観光客には迷惑をかけない。」を確約し、開拓するに至った。もう20年
以上も前のことである。何かあったとき、いまさら私にその責任が帰結するとは思われないが、それとは別に自分の中に借りた責任という
ものが存在する。それゆえ、今ではめったに行かなくなった遊歩道でも、、やはり、行けば気になる。
マナーについては、個人の価値観に左右されるだろう。皆で決め、「是」となればそうなのだろう。私の考えず過ぎかもしれない。ただ、
気をつけなければいけないと思うのは、登る人と、そうでない人との価値観がまた、違うだろうという事。そして、遊歩道ではそうでな
い人(観光客)が優先だということ。
以上、述べてきたことは、登る人には関係の無い、私個人のかってな思いである。その思いから、前回の記事では少々行き過ぎた発言内
容になったようにも思う。そのことにより、不快な思いをされた人には、この場を借りて、お詫びします。

最後に
本匠は大分では貴重なエリア。ルールは皆で決め、掃除、ルート整備も皆で定期的に行うのが望ましいだろう。





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小積開拓第2弾

2011年08月14日 | 開拓
13日は昨年の秋に着手し、そのままになっていた小積の開拓の続きをしようと大崩に入ることにした。
昨年、1ピッチ仕上げている。今日の目的はその上を繋げられるか見極めるためだ。
今日は一人。登山口に着くと周辺は停め場がないほどの車の数。関東ナンバーの車もちらほら見受けられる。夏は涼しいためこの時期
と、秋の紅葉シーズンは大崩に入る人は多くなるようだ。しかし、原生林に囲まれ、登山道もやや複雑。山を始めて日の浅い人はおい
それと入れない。

登山口からすこし離れたところに駐車し、シャリばてにならぬよう、早めの昼食をとる。消化を待つ間、パッキングしたら75Lのザッ
クに一杯となった。そして、それを担ぐとぞっとした。非常に重い。それもそのはず、中身はカム2セット、ヌンチャク、ハンマーをは
じめとするボルトセットにドリル。ほとんどが金物。唯一、そうでないものがロープ。それも2本になれば結構重い。これだけ担げば重
いはず。昨年は二人で分担して担いだ。その時もかなり重く感じたものであるが、それを今日は一人で担いでいる。改めて、亡き友の
有難みが身にしみる。

その友を今日は身近に感じつつ、歩み始める。およそ25分で小屋通過。ここまでは登山道も歩きやすい。しかし、すでにかなりの汗が
噴出している。いくら大崩が涼しいといえども、下界は酷暑。運動量の多さを思えば当然のこと。
小屋を過ぎ、湧塚方面へコースを取ると、登山道は歩きにくくなる。歩き始めて1時間。キリの良いところで休むことにした。
最近、山歩きをしていない身にとっては、いきなり重量物を担いでの登行はこたえる。これが、11月や12月であれば、冬壁のトレーニ
ングと割り切り、この苦労も厭わないのであるが今日はこたえる。


いつみてもいい。
小積の雄姿。

登山道から分かれ、いよいよ小積谷へと入る。ここからが正念場。無論、登山道は無く、沢登りと化すからだ。苔むした岩や濡れたボル
ダーを越えていかなければならない。荷物に引かれてひっくり返るとどうなるか分からない。疲れもたまり、慎重に越えるために時間が
かかる。ひとつずつ越えながら、思う。いつまでこんなことが出来るのだろうかと。いや、多分、その時期はとっくに過ぎている気もす
る。


小さく見えるかもしれないが、ボルダーができるほどの巨岩群。
これを越えていかねばならない。
左の幹は直径1mはある。

目的の取り付きまで後10分程というところでぱらぱらと雨が落ちてきた。それがみるみると激しい雨になってきた。なんということだ。
ここまで来て!
雨が上がった後、取り付きに着くと、岩は前面びっしょり。明日は、曇りの予報だった。かりに晴れてもクラックの中は簡単には乾かな
い。


1ピッチ50mのクラック。
(昨年、秋に撮影のもの)
途中にボルトは無い。

この時期の天気と近年の異常気象を思えば、予測内の範囲。残念であるが、道中の疲労度を考えた場合、開拓が出来るか大いに疑問だ。
そう思うとなさけないが諦めもつく。問題は荷物。担いだきた荷物をすべて下ろす気にもなれない。そこで、クライミングに必要の無い
荷物をホールバックに詰め、デポすることにした。
デポした場所は、誰もが最も目に付きやすい場所。これは、近くにめぼしい場所が無かったためと、ここに来る人で失敬する人はいない
だろうという楽観的な予測。そして、なんといっても、私は、どんぐりを隠した場所を忘れるリスト同じで、しばしば置いた場所を忘れ
る。もし、デポの話を耳にはさんだら、あれは、84のどんぐりだと伝えてほしい。
下山して美人の湯に行くと、マスターが明日は午後からまとまった雨が降ると教えてくれた。やはり、下りてきて正解だった。湯に浸か
りながら、今後の方策を考えた。時期が時期だけに疲労度が増したが、秋になると良いかというと、あのきつさを押して、一人で開拓を
するというのはかなり困難な気がしてきた。
気持ちが折れそうであるが他に方策を考え、なんとかしたい。


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127時間

2011年08月07日 | 映画

腕が挟まったチョックストーンのイメージ写真と
思っていたが、127時間の砂時計を模したもの
かもしれない。

題名は127時間。内容は、クライマーがトレース中、チムニーの中で落ちてきた岩に手を挟まれ、脱出不能となった実話を基にしたもの。
衝撃的なシーンがあり、それを聞いた人の中には、それゆえに行くのを躊躇った人もいると聞くので、ここではその衝撃的なシーンを語
るのはやめよう。それほど引くようなシーンではなかったのだが、それ以上に、極限状態がリアルに描がかれていて似たような経験を持
つ私は引き込まれた。
すべては今日のこの時に繋がっていたという死へ向かうときの達観と生への執着。どちらに天秤が傾くかは微妙なところだろう。主人公
は、これまでの人生と真摯に向き合う。そして、ある決断をし、未来を手にする。その模様が良く描かれていた。


お薦めの映画である。


この辺りは一度は行ってみたいエリアの一つ
砂岩のクラックがある。

危険と隣り合わせのクライマーにとっては(内壁専門は別)、シュチュエーションは違えども、何が起きるかわからない。一人で出かけ
る時は、必ず出先のメモを残しましょう。本人も反省していた。
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本匠 ディープ・ウォーター・ソロ・クライミング

2011年08月01日 | フェース
久しぶりに尾平のボルダーに行こうかと思っていたら、竹田方面は土曜日、雨との情報。次の日も降水確率は高い。ならばということ
で、シバタ君、シュガーと本匠に行くことにした。エリアは井上タワー。
どこも暑く、染み出しがあるため、12人ほど集まってきた。そのほとんどは下のエリアへ。上部は我々3人と福岡勢2人。9と10でアッ
プをしたら、湿度があるためにすぐに汗が噴出した。滑りもあり岩のコンディションは良くはない。
アップの後、ドロマイトでも取り付こうかと思っていたら、福岡のSさんが蜂の巣があるという。見るとドロマイトの核心にかかると
ころにソフトボール大の黄色スズメバチの巣がある。周りは哨戒蜂が飛び回っている。この周辺のルートも取り付くのは止めたほうが
良いだろうと、下に降りることにした。


中間部に茶色い巣が。
巣が大きくなる秋までに落とさねば。


河原に下りると、皆、ディープ・ウォーター・ソロ・クライミングをやっている。我々も早速、加わることにした。水の深さは5mほど
はあるだろうか。7,8m登って落ちてもまったく問題ない。皆、左端からトラバースしてから直登していたが、私は水面から直登を試
みてみた。あと一手という所までこぎつけたが、やはり、水面から上がるところが難しい。


福岡のS氏
巨大なコルネの上に立って飛び降りても
足はつかない。


水遊びばかりしているお富。なにしに来た。


トラバースするシバタ。
核心の手前でドボンは早すぎる。修行が足りぬ。


2,3本登ったところでしばらく休み、日が傾きかけた頃、せっかく来たのだからと下部エリアの11のルートに取り付いたら、当然、体
が重く、やっとのことでOS。
私の後、二人が登ったがやはり重そうだ。
泳ぎは登った後が良いのは分かっているが、これほど暑く、調子も悪ければそうも言ってられない。


下部エリアの11を登るシュガー



コメント (8)
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