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天と地の間

クライミングに関する記録です。

3年ぶりに由布川へ

2015年08月08日 | 
由布川に来るのは実に3年ぶり。前回同様、相方は白きりさん。
少しでも温かいほうが良いだろうと集合は11時。沢に入るには遅いが、ここは勝負が早い。スピードが勝負だ。
椿の駐車場い下りるとラフティングの運営会社の人が装具を準備している。数からかなりのお客さんが来る模様だ。聞くと、熊本の
クライマーで知人の知り合いであった。近年、クライマーが増えたせいか、どこでつながるかわからない。今日は下るのではなく、遡
上するのだという。早めに来てよかった。


次々と集まるお客さん。2/3は若い女性。

早速、準備して長い階段を下る。入渓すると、涼を求めて浸かっている家族連れが散見される。それもすぐにいなくなる。続いて現れ
るのがカメラマン。いつ来てもいる。愛好家にとっては知られた場所なのだろう。
ほどなくすると、4mの滝が現れる。ここはやや力を要する箇所。だが近づいているとフィックスが張られてる。登るための人工物が
あるとがっかりだが、体力温存を考えて、ここは迷わず使おう。


入渓地点。
今日は今までで一番温かい。

だんだんと狭くなる。幽玄の世界へいざ。

10分ほど進むとめくらの滝の最後の陸地に到着。先の川幅は狭いところで1,5m。蛇行しているために先は見えない。そして両端は切り
立ち、薄暗い。何とも言えない雰囲気の場所だ。
装備をつけて25m程泳ぐと、幸いなことに前回と同じ箇所に狭い瀬があった。前に来た時よりも深くみぞおちあたりだが、これがあ
るのと無いのとでは大違いだ。
白きりさんを待って、15m先の滝へと向かう。なにかがちがう。前回と様子が変わっているような気がする。滝の流れが変わったのか
形状が変わったのが、3年ぶりの錯覚でもなさそうだ。


これまでで一番水量が少ないが、すさまじい
勢いで落ちてくるのは変わりない。

必死に漕いで落ち口に辿り着き、前回見つけた箇所に手がかりを探すも、這い上がれる弱点がない。水中に潜ってもスタンスになる
ものはない。何度も試みたが、強烈な水流に抗いながらの模索は体力を強烈に消費する。温存を考え、瀬に戻る。
瀬に着くと、あがいているときに感じなかった震えがはじまる。やはり、夏であろうと浸かったままでは寒い。闘争心を削がれそうだ。
このへんは冬壁とは真逆の感じがする。
私に代わって白きりさんが華麗な泳ぎで滝へと向かう。かなりねばって滝口で格闘するがやはり、てこずっているのが見て取れる。し
ばらく様子を見ていると下流から黄色い声がする。振り返るとヘルメットにライフジャケットに見を包んだ4、5人のグループが、スマ
ホを手に次から次へとラッコのような格好で向かってくる。その数、30を超えている。そして半数以上が女性。
そのうち来るだろうとは思っていたが、二人で格闘している場所だけにその数と華やかな雰囲気にやや戸惑いを覚える。幽玄の世界も
消し飛んでしまうかのようである。


我々もこんなことしているよりは鞍替えしたほうがいいかもしれない。
と一瞬思ったほどの光景。

当然、我々の行動は中断。お客さんをやり過ごす。この間、引率者に聞くと、やはり滝の様相が変わっているとの事。3年の間に変化が
あったのだろう。近年の雨量とここの岩質を考えれば不思議ではない。
二人になったところで再び白きりさんが向かう。なんどもチャレンジし、上半身がなんとか水面から上るまでいくが水圧に耐え切れず
に落ちてしまう。可能性はないのだろうか。水流で見えないが右手が凹角になっているような気もする。それを試そうとカムの5番を持
って今度は私が向かう。
水中では流れに逆らいながら頻繁に足を動かし、水上では流れ落ちる猛烈な水量に逆らってカムを掲げるも腕を上げることがかなわず
押し戻される。それでも何とか凹角上の箇所と思われるところでレバーを放したが噛まない。
滝に拘って取り付いてきたが、そうも弱点がなさそうだ。かなり水量が減れば分かるかもしれないが晩秋には来たくはない。
次回は残された唯一の突破口を使おう。こちらは時間はかかるが可能性は高い。
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また、由布川へ

2012年10月08日 | 
由布川、両岸の壁は高いところで50mを優に超える。そして、傾斜は下部がえぐれて反り返っている。川幅は狭い箇所で3m。当然薄暗く、
沢を遡行するというよりも、地底を進んでいるような錯覚になる。脱出口は少ない。岩質は凝灰岩。もともとやわらかい岩だがここほ
どもろい岩も珍しい。それゆえ、登るのは極めてやっかいである。残置のハーケンもボルトも効いていない。カムも、墜落を止めては
くれないだろう。墜落はできない。

水質は、下流が濁り、匂いさえある。上部に達するといくらかはましになるが、それでも他の沢よりは比べものにならない。地図を片
手にナビゲーションしていくという面白みはない。ただ泳ぎ、現れる滝をクリアしていくのみ。このことから、由布川を敬遠する沢屋
も多いだろう。
我々は、来るほどに歯がゆさが増してきた。はじき返されればされるほどに。決して由布川に魅了されたわけではない。唯一引き寄せ
られるものがあるとすれば、古い記録しかなく、先が分からないということ。

1度目は、一日の大半を泳ぎに費やし、「みこやしきの滝」に達したとき、ギアの不足と時間切れから越えることを残念せざるを得なか
った。

2度目、当面の目標であった「みこやしきの滝」を越え、「めくらの滝」に達することができたが、越えることはすぐさま、不可能と悟
った。この時、滝自体が記録とは大きく変わっていることにも気づいた。滝が変わるということは信じにくいが、ここ由布川ではありえ
る。
2度目のこの時は、11月上旬。首まで水の中に長時間浸かっていたこともあって、体は冷え込み、弱点を探す余裕すらなかった。水の中
での冷え込みは、闘争心をいとも簡単に萎えさせてしまう。冬壁の寒さとは異質だ。
一度失敗すれば、立て直すためには陸地まで撤退しなければならない。その距離、80mあまりを泳ぎ返すことになる。冷えた体では、再
チャレンジは難しい。
記録を調べてみると、由布川を解明するために、ボートを使ったと書いてある。先がわからなかったためだろうが、やはり長い泳ぎ
を強いられるために体力温存を考えてのことだろう。

3度目、水量は多いことは、覚悟の上で行った。予想通り、水量は多い上に、流れが大きく変わって滝に近づくと息もできず、取り付け
る状況ではなかった。

2度3度とはじき返されれば、歯がゆいのもあるが、いい加減、由布川を終わらせたいという気持ちが強くなってきているのが実情。今回
こそは、めくらの滝を越す決意できた。成敗の鍵はすばやく水から上半身を上げること。それに尽きるだろう。先のことはわからない。
情報がないから行けるのかどうかも定かではない。それがまた良いところであるが。

今日のメンバーは、白きりさんと二人。ふたりだとちょっと寂しいが遡行するには十分。
遡行は、敗退も成功もさして時間がかからないだろうと、10時に椿大橋で待ち合わせる。ここに、一台車を置き、椿の駐車場へ向かう。
夏はとうに過ぎているにもかかわらず、写真を撮りに来る人をちらほら見かける。これか、紅葉シーズンになれば、人出は多くなるだろ
う。


記憶にない大滝

入渓 11時15分。
ここにしては水がきれい過ぎる。ということは水量が多いことを意味している。いやな予感がする。水温も前回より低い。
5分ほど進むと右手に大量の水を落としている滝が現われた。まったく見覚えが無い。多分、前回通った折も流れていたのだろうが記憶
に無いのは水量の違いだろう。


今日は快晴。ここまでは明るいが。


まるで洞窟探検の様相。

さらに20分ほど進むと3mの覚えのある垂直の小滝が現われた。やはり、前回よりも水量が多く、この滝でさえも越えるのに一苦労する。
12時。めくらの滝手前の最後の陸地に到着。

ここで登攀用具を身に付け、水に入る。滝に近づくほどに轟音が激しくひびいてくる。滝が見える箇所まで来て、振り仰ぐと、前回より
もすさまじい勢いで落ちてきてる。今回もだめかと泳いでいると、滝の20mほど手前に水を透かして瀬が見えた。これは幸運。前回来た
時は足をつける場所は無かったものだ。滝ら落ちた砂が堆積したのだろう。そう考えると、これまでの水量が相当なものであったことが
想像できる。
瀬で小休止し、私が一番手で滝へと向かう。正面から右壁へと方向を変え、流れに逆らいながら必死に泳ぐ。壁のエッジにつかまり、呼
吸を整え、滝へと入る。


めくらの滝へと向かう白きりさん。
近づくのも一苦労。

水圧がすさまじく、呼吸が満足に出来ない。水面から上のホールドを探ろうにも水圧で手を押し戻される。水の中では動かせるが手探り
となる。この間、流されないために足は必死に漕がなければならない。そうこうしているうちに、ロープが足に絡まり、身動きできなく
なってきた。あぶない、一度退却することにする。
代わって、白きりさんが行く。同じく右側から回り込み、取り付くが同じように難儀している。5分ほど粘ったが戻ってきた。また私が行
く。あるかないか分からない見えないホールドを手探りで探すが、酸欠になり、またもや退却。7分ばかりしか粘れない。代わって、白き
りさん。またも同じように戻ってきた。


戻ってくる白きりさん。

不思議と水の中に入っていると、酸欠になるほど動いているためだろうか、寒さは緩和されるが、浅瀬にも戻って待機していると、震えだ
す。カロリー消費もかなりあるのだろうが、やはり、沢の水は体力を奪う。
3度目に行く前に、消費したカロリーを補うために、腹ごしらえをする。普段なら、しばらく時間を置くところが、じっとしていても体力を
消耗する。それ以上に気になるのが休むことによる気力の減退。
少量食べた後、10分ほどで向かう。
今度は、手探りで水中に掛のよいフレークを見つけた。これを手がかりに手を伸ばすが、粘るほどに喘ぐほどに水を飲んでしまい、力尽きる。
結局、一人5回はアタックしただろうか。腕力はもとより、泳力も落ち、近づくことも困難になってきた。
暗黙のうちに、撤退することにした。
午後3時半。椿の駐車場に帰り着く。「めくらの滝」へ向かう最後の陸地を蹴って、ほぼ3時間、滝に向かったことになる。疲労するはずであ
る。


意気消沈。帰りにて。

何度行ってもはじき返された。しかし、やるほどに根拠はないが行けるような気がしてきた。問題は水量。無論、そんなことはもとより承知で
春先に来るつもりであったがスケジュールが合わず、梅雨を迎えることになった。その後、梅雨明けしても降らない日はないという
ぐらいに降った。気象庁の言葉を借りれば、「かつて、経験したことがないような大雨」がこの界隈でも降った。やっと天気が安定するかと思
うと、今度は台風。水量が減る時期がなかったと言っていい。次回行くことがあるとすると水量が減る11月か。しかし、今度は寒さに耐えられ
るだろうか。
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山ノ口谷 遡行

2012年09月22日 | 
今回は前から行こうと声を掛け合っていた山の口谷に入る。
メンバーは他には白きりさん、ゼルプスさん。私が大分、白きりさんが熊本、ゼルブスさんが福岡ということもあって、それぞれ金曜日
の夜、現地集合ということにした。
その現地が遠い。隣の県でありながら5時間もかかった。車の中で待っているとゼルブスさん11時半到着。白きりさんは少し遅れるとい
うことで仮眠をしていると1時40分に到着。
そのままシートで仮眠を取って、6時前に起床。起床といっても、その前から何度も起きていて寝た気がしない。テントを立てる場所も
なく、みんな遅かったために車での仮眠となったが、やはり睡眠が足りていない。
軽く昼食を済ませ、配車して山ノ口の民家まで行く。民家から入渓地点までは5分程度。入渓は時刻7時28分。標高は340m。ここから1720m
の市房山のピーク直下までの遡行となる。ピーク間近までというのがいい。トポには10m以上の滝が20あまりあると書いてある。これも期
待したいところだ。
遡行を始めて30分ほどで汗が噴出してきた。意外と水温が高い。
次から次へと現れる大小の滝をクリアしながら、2時間ほど経った頃、小キジを打とうと沢の隅へと移動して用を足していると、左足の足
元近くにマムシがとぐろを巻いているのが見えた。距離は50cmあるかなしか。鎌首をもたげて、こちらの大事なところを狙っている様子。
そっと納めて、後ずさった。こんなものに咬まれたらたまったものではない。


体長は60cmはあっただろうか。マムシにしては大きい。
枯れ木や落ち葉が保護色となって、すぐには判別できない。
下手をすると踏んでいたかもしれない。

トポの通り、なるほど滝は次から次へと現れる。その滝はスタンスもホールドも豊富で登りやすい。しかし、岩質は砂岩、粘板岩も混じる。
いつ壊れるとも知れない。どれが欠けても滑っても、落ちない体勢で慎重に登る。昔の教本にあった3点支持に近いような登りになる。時間
はかかるが確実に登れる。
2時間ほど上がってきた頃だろうか、頭上に見上げるほどの滝が現れた。100m滝だ。これは圧巻。トポには右に巻くと書かれているが、こ
れだけの滝であれば誰かが登っているだろう。これだけを登りにくる価値はあると思う。登攀意欲をそそられたが、トポ通り右に巻く。


100m滝。
見た目も良いが、それだけに意欲をそそられる。

100m滝を越えても、大小の滝が次から次へと現れる。50m滝の下部で昼食をとる。
50m滝は左端から中段まで登り、そこからは中間部を登る。途中でシャワーを浴びる。やはり、ここまで上ってくると冷たい。


50m滝の中間部から下部を撮影。

これを越えると、頂上はもう近い。短い滝を何本が越えると水量はめっきり減ってきた。涸れ沢をつめ、左のブッシュ帯にルー
トを取ってしばらく藪こぎをするとピークへの登山道へと出た。
山頂着13時20分。頂上には10人ほどの登山客がいた。そのほとんどは熊本側からの登山者。熊本南部では人気の山だけ
ある。天気が悪いにもかかわらず、次々に上がってきていた。

市房山は20代の頃、ハイキングに一人で訪れたことがある。そのときは熊本側から登った。たしか、ふもとは栗の産地で、拾った栗を
齧ながら登った記憶がある。今日と同じ季節、眺望が記憶にあるか楽しみであったが、まったく視界が利かず、これは残念な結果に。
13:30分。宮崎県側へと下山開始。山頂に達した折にぱらぱらと降り始めた雨は本降りとなる。
こちらから登ってくる人には出くわさない。林道に出くわすまでは、道もよく順調に歩を進めたが、それからは、何度となく林道に登
山道が寸断され、道の切れ端を見つけるのに、やや気を使う。なにより興ざめしてしまう。


下山途中から、宮崎県側を遠望。視界が利かないのが残念。

15:30分。下山。
下山してすぐに、「うぁー」という声。振り向くと白きりさんの靴に蛭が何匹もたかっている。もしやと私も足元を見ると、私も感嘆
詞がでた。同じく靴を這っている。一匹は腰まで来ている。一匹ずつ、枝で払いのけたが、全部払いのけたか気になる。もぞもぞ感は
なかなか拭えない。結局、白きりが10数匹程度。私が7匹程。ゼルブスさんが0。降りてきた順番どおりの数の推移。それを考えると、
先頭の二酸化炭素をキャッチした蛭がすぐに反応して群がるのだろうか。面白い結果だ。次回から最後尾をとろう。
今回は、思いもかけない生き物に驚かされた遡行になった。

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かのう谷 遡行

2012年08月25日 | 
今回は宮崎県にあるかのう谷を遡行する。
25日、金曜日の夜、大分を出た直後から、ぽつぽつと雨が降り出し、見立峠へと向かう九十九折の狭い道を上げって行くと、本降りと
なってきた。左に現われる小滝からはかなりの水が落ちている。今回もまた、沢の水量は多そうだ。
集合場所である見立のキャンプ場で仮眠を取りながら待っていると、1時間半遅れで、メンバーの白きりさんと事件記者こと島美人が
到着。島美人といっても、ふっくらしているが男である。彼は、甲子園の取材からやっと開放され、久々の沢になる。しばらく歓談し
たが、到着が遅れたため、そうそうに寝ることにする。明日は曇りの予報。空を見上げると満天の星。天気が回復したのか。期待が持
てる。
就寝 1:30

6時前 起床。
すぐ脇を流れる日之影川は前夜から大きな音を立てていたが、実際見ると、その流れはすごいことになっている。ここを少し下ったと
ころには河原に日之影ボルダーエリアがある。近県のボルダラーが集う人気のエリアだ。私も何度か訪れたことがある。その時とは比
較にならないほどの水量である。期待した天気も前夜とうって変わって、雨。今回もまた、水量に悩まされそうだ。

7時05 入渓
3人とも、かのう谷は初めて。何をするにも所見は楽しい。迷って時間のかかるリスクはあるが、それもまた、味わいの一つだろう。
沢に入ると、懸念であった水量も思ったほどではなく、ほっとする。もともと少ない沢なのであろう。


予想のほか少ない水量であったが、涸れ沢と記載され
ている場所が流れているところを見ると、やはり、通常
よりも多めなのだろう。


胸まで浸かる箇所は少ない。

さて、沢へと入って、私は靴の選別を間違ったことに気づいた。山域からして、花崗岩だろうと思っていたところ、砂岩であった。時
折、チャートも混じったりする。コケが多く、良く滑る。今回のソールはステルスだ。それも専用の沢靴であればまだ良いが、3年も
履いて擦り減ったアプローチシューズのため、余計に滑る。フェルトにすべきであったか。滑れば、体勢を立て直すために普段は使わ
ない筋力を使い、余計に消耗する。最近、良く聞くインナーマッスルとかコアとかいわれている部分だろうか。



石垣の箇所に来て、遡行が間違っていないことにほっ
とする。
それにしても、ここまで来て、これほどの石垣。山を
生活に糧にしてきた先人の思いが伝わる。

滑りやすいが、岩は順層なために快適に滝を越えられる。越えられない滝は何本か巻いたがこの箇所が悪い。終始、雨が降っているた
めに足元が不安定。岩のほうへ行くと、ほとんどの岩が浮いている。自分はもとより、下を来る人に岩を落とさないよう細心の注意を
要する。


ここは巻いた箇所。


滝の左を登る私。

昼前に、兜巾岳直下の滝に達する。ここは右の尾根を登って、トラバースして滝の上部へと出るとなっている。傾斜がかなりある。結
構大きな木が在るのだろうと登っていくと、目の前に現われる木や根は枯れ木ばかり、要所要所にある木は直径1、2cmのもの。緊張を
強いられる。トポには中級と紹介されているが上級とされている祝川よりも悪い。枯れ木が生きていた当初は確かにそのグレードにな
るだろうが自然は刻々変化する。滝の上に立ったら、後は藪を少し漕げば兜巾岳の山頂だ。
ピークに立ったのは、12時55分。ほぼ6時間の行程であった。


ここが兜巾岳山頂。
標識は風化して、ごらんの有様。
長く人が訪れていない雰囲気がある。

帰りは林道へと下り、洞岳経由で下りることにしたが、これが非常に悪かった。
登山道はほとんど消え去っている上、足元はぬかるみ。文字通り、泥沼にはまってしまった。下りは登りよりも体力を消耗した。近く
を林道が通っている場合、その下の登山道はとかく荒れるものだ。山が、兜巾岳や洞岳といったマイナーな山ではなおさらそうなるの
であろう。予測はしていたがこれほどまでとは思わなかった。

今回の遡行は一日中雨に見舞われた。時折、激しく降った。視界はきかず、景色を十分に満喫することが出来なかったが、沢は十分楽
しむことが出来た。




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由布川渓谷 遡上 第3弾

2012年08月22日 | 
由布川は日程が合わず、昨年の11月に行ったきりとなっていた。
残された課題は「めくらの滝」。ぼちぼち行こうかという話になったが、7月の豪雨に続き、お盆は毎日のように雨が降った。当然、水
量はかなりの量が予想される。もう少し、様子を見ようかとも考えたが、とりあえず、状態でも見ておこうかと、18日に入ることにした。
金曜日の夜、キャンプ場バンガローで久しぶりに白きりさん、ますもちゃんと再会する。ますもっちは、3日前にスイスの新婚旅行から
帰ったばかり。こんなことしてていいんだろうかと、ちと心配になったりするが、日本は猛暑の折、仲良くスイスアルプスを登ってきた
ことを思えばどうでも良くなってきた。

土曜日、6時起床。
椿大橋に一台車を置いた折に、橋から見下ろすと、昨年よりは増水は見られるものの、思ったほどではない。
椿の駐車場に車を置き、長い階段を下りる。

入渓8時15分。
水温は昨年よりはかなり暖かく感じられる。それもそのはず、最後に行ったのは11月であった。かなりの差であろう。
15分ほど遡上すると、3m程度の見覚えのある小滝が現われる。昨年よりは流れ落ちる水量が多い。ここは、白きりさんがトップで突破。


白きりさんと私。これから滝へと向かうところであるが、
まるで地底に行くよう。


ますもちゃんと私。快晴というのになんという暗さだろうか。
私は今回、はじめてライフジャケットを着用。


下流を撮影。ここからがらっと様相が変わる。

さらに10分ほど行くと、めくらの滝へと向かう狭いゴルジュに到着。ここからはめくらの滝まで70m。突破しない限り、足を休めるとこ
ろは無い。

登攀用具を身に付け、流れに逆らいながら狭い屈曲したゴルジュを泳ぐこと数分。広くなった箇所に出る。めくらの滝がある場所だ。滝
は瀑音とともにすさまじく大量の水を落としている。 流れるという形容はあたらない。直ぐに気づいたことは、前回来た時と景観が大
きく変わっているということ。流れが変わったためだろうか。また、今回は晴天の上、午前。前回の薄暮のような時とは違うのも違って
見える要因なのだろうか。もうひとつ気づいたことは、これを越えるのは絶望的だということ。
とはいえ、ここまできたからにはこのままでは引き下がれない。ひとまず、体勢を整えようと、滝下りのグループが打ったのであろうピ
ンに白きりさんが体重を預けると、スポット抜けてしまった。ピンを見ると径は細いものの長さは30cmあまりある。ホームセンターで購
入したものだろうか、だいたいそんなものが簡単に入る自体、岩質の弱さを推して知るべしといったところだ。代わりに白きりさんが長
めの厚いハーケンを打つが苦労している様子。当然だろう。立ち泳ぎしながら打っているため、コントロールが定まらず、打っても力が
逃げるのだ。それでも、少しずつでも効いていけば良いのだが打った先からリスが崩れ、ぐらつく。まったく効かない。実に厄介な岩質
だ。こうなると、カムしかない。近くにポケットを見つけ、カムを効かせて体重を掛けたところ、あっさりと外れ、放り出された。壁が
削られ開いたのである。今度は浮力を利用し、体重を掛けないようカムに縋る。
一息ついたところで、白きりさんが弱点を探りに滝へと向かうが翻弄されすぐに戻ってきた。代わって私がに向かうが流れが速い。なん
とか直下まで近づいたが、勢いよく落ちてくる水のため、呼吸が出来ない。無理にしようとすると水を飲み、一部は肺にまで入りそうな
る。危ない。咳き込みながら滝から離れる。


滝へ向かう白きりさん。
暗いため、シャッタースピードが落ちて滝は霧状に見えるが、
実際はすさまじい勢いで落ちている。


滝の周りは広くなりこれまでより、やや明るくなる。


喘ぐ私。満足に呼吸ができない。


波立つ水面。近づくのも体力を消耗する。

再び、白きりさんが果敢に向かう。何とか滝の右端にたどり着き奮闘するも、またも撤退。
戻ってきた白きりさんが云うには、体を引き上げる手がかりがあったとのこと。しかし、一歩上がったところで、この水圧には耐え切れ
ないだろう。それに呼吸も出来ないだろう。
条件の良い日を選び、出直そうということで撤退することに決めた。

椿が近づくにつれて、カメラを持った観光客がぽつぽつと現われる。登り口まで来ると家族連れの人も結構見られ、あらためて、ここが
観光地だということを確認する。


椿の駐車場へと上る階段。地上へ出た感がある。
行動時間は短かったが、水の中で予想以上に体力を消耗したのか
階段がきつかった。

椿大橋へ車の回収に行くと、折りしも滝下りの人がお客さんを連れてきていた。彼らは由布川渓谷には詳しいようだ。聞くと、水量はい
つもと変わらないという。しかし、大きく流れが変わったという。
それで納得。前回よりも難しく感じたはず。水量に関しては、いつもと変わらないということは無いと思うが、彼らが言うからには大幅な
違いは無いだろう。


入渓当初、高いと感じていた水温も1時間も浸かっているとさすがに冷えてくる。なんど震えがきただろうか。もたもたしてられない。も
っと保温を考え、速攻で攻めなければならないだろう。
それにしても、脆い岩質、あらゆるプロテクションをもってしても墜落を止めてくれる保障は無い。落ちても最終的には水の中だろうが、
それまでに岩で何度かバウンドするだろう。それを考えれば、次回も多少動きづらくともライフジャケット必携か。
いずれにせよ、次回は周到な準備と覚悟で望まなければならないだろう。
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