働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

高度プロフェッショナル制度は「働かせ放題法」か?

2018年07月23日 | 働き方改革関連法
働き方改革関連法の中の「高度プロフェッショナル制度」(法律案要綱「特定高度専門業務・成果型労働制」)を「働かせ放題法」と呼ぶ人がいます。

このような高度プロフェッショナル制度に対する安直なネーミングが、高度プロフェッショナル制度に対する誤解と無理解を拡散し続けています。本当に高度プロフェッショナル制度 は「働かせ放題」の制度でしょうか。

新労働基準法の条文を読んでみると、高度プロフェッショナル制度は現行労働基準法に規定されている「労働時間」の代わりに「健康管理時間」という新しい概念により規制される制度ということを理解することができます。

新労働基準法第42条の2第3項により、高度プロフェッショナル制度を導入する使用者は「健康管理時間」を把握する措置を講じないといけないことになっています。

*参考
新労働基準法 第42条の2第3項
対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(この項の委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に 係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(第五号ロ及びニ並びに第六号において「健康管理時間」という。)を把握する措置(厚生労働省令で定める方法に限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。註:厚生労働省令については労働政策審議会の労働条件分科会で議論されますが、働き方改革関連法の省令等の議論はすでに始まっています。今後、高度プロフェッショナル制度の省令についても議論される予定です。

平成27年建議
健康管理時間の把握方法については、労働基準法に基づく省令や指針において、客観的な方法(タイムカードやパソコンの起動時間等)によることを原則とし、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認める旨を規定することが適当である。

追記:高度プロフェッショナル制度を導入すると「ブラック企業」だそうです。高度プロフェッショナル制度では、タイムレコーダー等で健康管理時間を把握する措置を企業は講じなければならないので、高度プロでは企業等がまったく時間管理をしないわけではありません。現行の労働基準法のもとで、管理監督者にはまったく時間管理もせず深夜割増も支払わない法令違反の企業こそ「ブラック企業」ではないでしょうか?


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