働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

スーパーシティ法案とは 問題点は なぜ可決成立を急ぐ?

2020年05月23日 | スーパーシティ法案
「スーパーシティ法案に反対します」「スーパーシティ法案に抗議します」
「#スーパーシティ法案に反対します」「#スーパーシティ法案に抗議します」「#超監視超管理社会を拒否します」などといったタグつきツイートがツイッター(Twitter)でも見受けられるが、コロナ禍でも安倍政権が成立を急ぐスーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)は2020年5月22日、参議院・地方創生・消費者問題特別委員会で可決。そして5月27日には参議院本会議で採決される見込み。ところでスーパーシティ法案とは、スーパーシティ法案の問題点は?

本日(2020年5月27日)、参議院本会議でスーパーシティ法が成立。

スーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)とは
スーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)とは、正式名称は「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」、国家戦略特別区域に係る法律の特例に関する措置を追加しようとする法案。

スーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)は、2020年2月4日に閣議決定され、国会に提出された。

スーパーシティ法案要綱(PDF形式)

スーパーシティ法案新旧対照条文(PDF形式)

スーパーシティ法案の条文全文は、参議院ホームページ「地方創生及び消費者問題に関する特別委員会に付託された議案」ページへ。

地方創生及び消費者問題に関する特別委員会に付託された議案

スーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)問題点
安倍政権が、コロナ禍の中、今国会での成立を急ぐスーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)は、人工知能(AI)やビッグデータなど最先端の技術を活用し、未来の暮らしを先行実現する「まるごと未来都市」をつくると、安倍政権はひたすら宣伝するが、問題点の多い、危険な法案。内田聖子・NPO法人アジア太平洋資料センター共同代表が、しんぶん赤旗電子版(2020年3月1日配信)の中でスーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)問題点を次のように指摘。

「国や自治体、警察、病院、企業が、いまは別々に持っている情報がありますよね。例えば、納税の状態や既往症、位置・移動情報や商品の購買歴といった個人情報です。これらの情報の垣根が壊され、一元化が進む恐れが強いと思います」

また、内田聖子・NPO法人アジア太平洋資料センター共同代表は2020年5月22日、「たった今、スーパーシティ法案が参議院の地方創生・消費者問題特別委員会で可決。今後は本会議での採決へと動く。短時間で議論も深まらないままの委員会可決に抗議します。かろうじて、与野党の付帯決議も併せて可決されたが、15項目の多岐にわたる分野。まったく議論不十分であることの証ではないか」とツイート。

なお、内田聖子・NPO法人アジア太平洋資料センター共同代表は、朝日新聞デジタルが2020年5月21日に「与党急ぐスーパーシティ法案 規制緩和だけではない問題」(有料記事)にコメントしているが、詳しくスーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)問題点を指摘。

「与党急ぐスーパーシティ法案 規制緩和だけではない問題」

追記(2020年5月29日)
スーパーシティ法が成立した日(5月27日)の夜、TBSのNEWS23が「成立した改正国家戦略特区法、いわゆる『スーパーシティ法』。最先端技術を生かした都市作りを可能にするという法律ですが、『便利さ』の一方で、『超監視社会』につながるとの懸念も」と報じた。また内田聖子・NPO法人アジア太平洋資料センター共同代表もNEWS23でコメント。なお、TBSが「監視社会への懸念も “スーパーシティ法”成立」のニュース映像(5分28秒)YouTubeにアップ。

TBS NEWS23 監視社会への懸念も “スーパーシティ法”成立(YouTube

追記(2020年5月27日)
本日(5月27日)、参議院本会議でスーパーシティ法が成立。海渡雄一弁護士は「あきらめるのはまだ早い。IR法と同じように、どの自治体も手を上げなければこの計画は破産させられる。立候補自治体がでないよう、住民に制度の潜在的なプライバシー侵害の危険性、自治の仕組みが壊され企業主権になりかねないことを訴えていく」とツイート。

追記(2020年5月25日)

福島瑞穂(みずほ)議員が、本日(5月25日)、「スーパーシティ法案は5月27日水曜日参議院の本会議で採決の予定です。この法案はプライバシーの点と民主主義の点で大問題の法案です。国家戦略特区改悪法案として国会に出されています。プライバシーを侵害し、民主主義を壊すスーパーシティ法案はいりません」とツイート。

また、ご自身の公式ブログに記事(「2020年05月22日、スーパーシティ法案で特に事業者が個人情報を取り扱いをする際の問題点について質問」)を投稿。このブログ記事には、参議院・地方創生及び消費者問題に関する特別委員会における福島みずほ議員と村上敬亮・政府参考人との「やり取り」が詳細に記録されている。これを読むとスーパーシティ法の問題点が明らかになる。

2020年05月22日、スーパーシティ法案で特に事業者が個人情報を取り扱いをする際の問題点について質問(福島みずほ公式ブログ)

追記(2020年5月23日)
福島瑞穂(みずほ)議員が本日(5月23日)、ツイッター(Twitter)で「#スーパーシティ法案に抗議します」というタグをつけて、次のように連続してツイート。
「国家戦略特区改悪法案であるスーパーシティ法案が参議院の委員会で可決。来週水曜日(5月27日)に本会議で成立すると言われている。委員会で質問をし続けましたが大問題の法案。区域会議に選ばれた自治体について内閣府、事業者、首長がトップダウンでその街のデザインを決める。」
「その街のまちづくりを住民が、自治体の議会が決めるのではなく事業者も入っている区域会議でその街のデザインを決める。ドローンや自動運転、キャッシュレスを始め未来都市を丸ごと作るというのが触れ込み。有識者会議の座長竹中平蔵さんはミニ独立政府を作ると言った。」
「データ基盤整備事業を作り これは民間企業や外資系企業が担うことができる。民間企業は国や自治体の情報の提供を求めることができる。これが大きな変化。個人の情報やその街の様々な情報が民間企業に吸い上げられていくと言うシステム。個人の同意は形骸化していく。」
「内閣府と首長と事業者で作る区域会議に住民の参加はない。条文上も担保されていない。官邸のもとトップダウンで街づくりが決められ上から降りてくる。誰が主権者なのか。住民ではなく事業者が主権者となって情報を吸い上げ、その街のデザインをしビジネスをする。」
「顔認証システムは嫌だと思う住民にとって選択の余地があるのか。個人情報保護の観点で極めて大きな問題。」

追記(2020年5月23日)
人工知能(AI)やビッグデータなど最先端技術を用いた事業を特例的規制緩和で導入するスーパーシティ法案(国家戦略特区法改定案)が22日の参院地方創生・消費者問題特別委員会で、自民、公明、維新などの賛成多数で可決されました。日本共産党と、立憲民主党などの共同会派は反対しました。
スーパーシティでは、先端サービスの実現を理由に、商品購入履歴や健康などの個人情報が集積され、全人格まで掌握される危険があります。また事業計画立案に伴う住民合意の方法が定められておらず、住民合意のあり方はあいまいです。-以下略-(しんぶん赤旗電子版、5月23日配信)

参考「与党急ぐスーパーシティ法案 規制緩和だけではない問題」(朝日新聞デジタル、2020年5月21日配信)
人工知能(AI)などを活用した最先端都市づくりをめざす「スーパーシティ構想」を盛り込んだ国家戦略特区法の改正案が国会で審議中だ。与党は来週中に成立させる日程を描くが、個人情報の管理や住民の合意のあり方などあいまいな点が残る。野党は新型コロナウイルス対応が急がれるなか、「不要不急の法案」と批判を展開している。

「スーパーシティ構想」とは、住民や企業などから集めた様々な分野の情報を「データ連携基盤」(都市OS)に集約し、AIなどの最先端技術で連結させ、サービスにつなげるもの。政府は「まるごと未来都市」とうたっている。

複数の分野にわたる規制改革をまとめて行い、テレワークや車の自動走行、キャッシュレス決済、ドローン配送、遠隔医療、遠隔教育などを進めることを想定する。担当の北村誠吾地方創生相は19日の記者会見で、新型コロナの感染拡大で政府が接触機会の削減を訴えていることを踏まえ、「一層、デジタル社会の大切さを感じている。成立を果たさなければならない」と意気込みを示した。

今国会で成立すれば、政府は秋にも、スーパーシティ構想を進めたい自治体などを正式に公募する考え。内閣府によると、全国の54団体からアイデアの応募がある。2025年の万博の開催予定地である大阪市の人工島「夢洲(ゆめしま)」を含む地域も「候補地」に挙がっているという。

個人情報を集める際の本人同意や、自治体が対象地域を決める際の住民合意をどう得るかなど課題も多いが、内閣府地方創生推進事務局は「個別ケースの判断」としており、具体的に定まっていない。

与党「来週成立」 野党「コロナや検察庁法に隠れて議論不足」
法案は昨年の通常国会では実質的な審議が行われず廃案になったが、今国会では自民、公明、日本維新の会などの賛成で衆院を通過。与党は22日の参院地方創生特別委員会で可決し、来週の参院本会議で可決・成立させる方針だ。立憲民主党などでつくる野党統一会派や共産党は法案に反対しており、社民党の福島瑞穂党首は20日の会見で、「コロナや検察庁法改正案に隠れ、議論になっていない。法案はやめるべきだ」と語った。(菅原普)

個人情報の提供 どう本人同意? 識者の指摘

規制緩和や公共サービスの民営化問題に詳しいNPO法人アジア太平洋資料センター共同代表の内田聖子さんに、法案の問題点を聞いた。

――なぜ法案が問題だと考えるのか。
 これまでの国家戦略特区は規制緩和や税制優遇などでビジネスを呼び込むものだった。しかし、スーパーシティ構想は、国や自治体がもっている個人情報や、民間企業が持つ行動履歴などの個人データを一元化して、様々な住民サービスに利用し、便利で快適な暮らしを実現しようというものだ。単に、規制緩和で農家レストランや民泊ができるという話ではない。暮らしに直結するサービスに活用するため、地域の多くの住民の生活に大なり小なり影響を与えるものだ。

――個人情報の扱いも問題になる。
例えば、配車アプリを介して、市民の自家用車を利用する「通院タクシー」を導入しようとする場合、国や自治体は、情報を一元管理する都市OSを管理する事業者から高齢者の住む場所、健康状態、要介護度の情報などの提供を求められる可能性がある。政府は「個人情報保護法令に従い、必要な場合は本人の同意が必要」と説明しているが、行政機関個人情報保護法には、公益に資するなど特別な理由がある場合、本人同意なしで提供できるとも定められている。どちらが優先されるのか。政府は国会で、自治体や事業者や国でつくる区域会議が「判断する」と答弁したが、あいまいだ。

個人が特定されないマスデータとして処理されるとしても、生体認証やプロファイリングなどに対する市民の懸念が高まるなか、人権という観点から法案が精査されたとは思えない。米国のサンフランシスコ市では、行政が町に監視カメラを導入することを禁止する条例も可決されている。(以下略)



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