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観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

【第12回ラテンビート映画祭】『ザ・クラブ』 (2015) / チリ

2015-10-10 | 洋画(さ行)


原題: El Club
監督: パブロ・ラライン
出演: アルフレド・カストロ、ロベルト・ファリアス、アントニア・セヘルス
鑑賞劇場: 新宿バルト9

第12回ラテンビート映画祭 HPはこちら。

4人の聖職者は過去に犯した罪により海辺の僻地に送られ、禁欲の日々を送っていた。新しい5人目の男が現れたことで、彼らの穏やかな日常に波風が立ち始める…。



今年もラテンビートの季節になってまいりました。
というか映画祭の10月ですね!
忙しくなります・・・。
今年は幸いなことに10月はいっぱい映画観れますんで、思いっきり行く予定(笑)
ラテンビートだけで10本鑑賞予定。回数券使い切りました! 


この『ザ・クラブ』、同じくラテンビートでかかって、その後日本公開を勝ち取った『NO』のパブロ・ラライン監督作品。
社会派映画には定評があるだけにこれもとっても期待。

聖職者全員が聖なるものではないという現象は古くから語られていて、欲望の幅が広がった現在ではさらに細分化されているのかもしれない。海辺の街の小高い丘の上に建つ黄色い家には、聖職者としての規範を踏み外した4人の男と、シスターと呼ばれる女が住んでいる。彼等の過去は、この黄色い家を潰すかどうかの判定をするために、教会本部からやって来た男の聞き取りによって明らかになる。

同性愛や暴力といった、聖職者の禁忌を犯した理由でここに隔離(という言い方が1番しっくり来るんだけどどうだろう?)された彼等だが、一見戒律に沿って悔恨の日々を送っていると思いきや、監視の目がないことをいいことにやりたい放題の自由を満喫していた。教会の庇護のもと、仕事もせずに俗にまみれながらものうのうと暮らす彼等。堕落してもなお守られ、生活は保障され、形だけの聖職をしていることは社会のためにも教会の威信そのものにもマイナスでしかあり得ない。この「聖職者の引退ハウス」のようなものが、チリ社会で問題になっているのかどうかはわからないが、聞き取り役の男の台詞からして恐らくそうなのだろうと観客は推測する。

世俗まみれで形骸化した反省の日々に、社会的に支援することは必要か?黄色い家の前に現れた男の、聞くに堪えない暴言があながち嘘とも思えない。そもそもこの男のような人間が出来てしまったのは、堕落した聖職者が原因ではないのか。教会から派遣された男が下す審判が痛快である。競技犬を飼うための言い訳めいた愛情説や、社会的な不適応への憐れみを乞う行動を拒絶して、住人達が自分たちの欲望のために仕掛けたことを逆手に取る展開がカタルシスとなっている。「外部からの邪魔者は教会の共通の敵」と加担するように見せかけ、聖職の妨げになるものを一気に片付けたかに見えて、実は住人達に永遠に贖罪させ、聖職者本来の任務に専念させる展開は見事。『NO』もとても硬派な作品だったが、本作はそこに更に仕掛けられたトリックが深みを出し、見応えあるものになっている。


★★★★☆ 4.5/5点










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2 Comments

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これだけ (とらねこ)
2015-10-29 15:14:12
roseさん、ラテンビートはこれだけ書いたんですね。
これ傑作でしたもんね!

TIFFももう終わるというのに、こっちを今頃引っさげてやって来ました
ラテンビートでは4本しか見なかったんですが、正直今年はTIFFよりラテンビートの方が満足度が高かったです。
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とらねこさん (rose_chocolat)
2015-11-02 08:10:27
これよかったですよねー。
LBFFは昨日まで横浜分があって、それ終わったらまとめようかと思ったんですけど、
TIFFもあり本数多すぎて忘れそう。 笑

10月は急激に映画月になっちゃいまして、
ちゃんと記録したいけど無理かも・・・
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