Nice One!! @goo

観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

『さざなみ』 誰にも見せることはない心の傷

2016-04-13 | 洋画(さ行)


原題: 45 Years
監督: アンドリュー・ヘイ
出演: シャーロット・ランプリング 、トム・コートネイ

公式サイトはこちら。


結婚45周年を祝うパーティを土曜日に控え、準備に追われていた熟年夫婦ジェフとケイト。ところがその週の月曜日、彼らのもとに1通の手紙が届く。それは、50年前に氷山で行方不明になったジェフの元恋人の遺体が発見されたというものだった。その時からジェフは過去の恋愛の記憶を反芻するようになり、妻は存在しない女への嫉妬心や夫への不信感を募らせていく。(映画.comより)






パートナーを信じる信じないは、一緒にいた歳月には全く関係ない。例え45年間連れ添った夫婦でも。
ましてそれが過去の恋愛だったら?
そして自分が絶対に叶わないものを、その元の恋人が備えているとしたら、果たして冷静に受け止めることができるだろうか?
これはそんな心境の移り変わりについてじっくり描いたものである。

<以下、ネタバレあります! 読んでもいいけど自己責任で!>

45年間という歳月の中で、ジェフとケイトにどんな出来事があったのかは詳細としては多く語られない。
しかしケイトが長い結婚生活で、どんなに逆立ちしても望めなかったこと~子ども~を、ジェフの元恋人・カチャは確実に手に入れていた。
そしてそれを抱えたまま、妊娠中に亡くなった事実は、今でもジェフの心を苛んでいることをケイトはわかってしまった。
若く綺麗で、新鮮な思い出だけがあり、そして今では決して実現できない決定的な血脈を抱えたまま亡くなったということは、ジェフにとっては心残りなことはもちろんだけど、ケイトにとっても、自分のアイデンティティをもぎ取られるに等しい屈辱だったに違いない。
それを晩年に知ることになる、しかも長年経過した末に
・・・ これほど酷いこともなかろう。

<ここまでネタバレ>

シャーロット・ランプリングの、表情だけで感情を表すシーンが秀逸。言葉だけなら何とでも言える、しかし内面を悟ることは難しい。
そこを過去をたどるシーンや、音楽を聴くだけで顰めた眉の動きのみで観客は推移していくので、注意深く見て行かないとわからなくなってしまう。

そしてやはり極めつけは、"Smoke Gets In Your Eyes"でしょう。



この歌詞の意味するところも解りすぎるほど解ってしまうのですが・・・。
男というものは自分の血を残すことにとてもこだわってしまう生き物なだけに、こういうシチュエーションに置かれてしまうケイトの忸怩たる思いが切ない。
今更それを知ったところで、一体どうしろというのだろう。絶望的な想いを表情だけで演じきったシャーロットの演技力をたっぷり味わえる。


★★★★☆ 4.2/5点







最新の画像もっと見る

10 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
遺伝子 (まっつぁんこ)
2016-04-16 15:43:22
生物の本分はDNAを遺すこと。
♂も♀も同じ。
DNAが残らないのが不満ならジェフは他の道を行くべき。
遺したくないという人もいっぱいいるのがやっかいなところです(笑)
返信する
まっつぁん (rose_chocolat)
2016-04-17 10:51:25
>生物の本分はDNAを遺すこと
全くそう思います。

この映画、観た後にぷりぷり怒る人いるかもしれないよね。
なんか逆なんだよねえ・・・。 いつからこんなになっちゃったんだか。
返信する
伏字 (真紅)
2016-05-02 15:15:56
rose_chocolatさん、こんにちは。
これ、伏字にされてる部分すごいデリケートな問題ですよね。
私も感想書くか、ちょっと躊躇してしまいました。
しかしこの旦那ひどいわー、あんまりですよね。
シャーロット・ランプリングは素晴らしかったですね。
返信する
真紅さん (rose_chocolat)
2016-05-03 19:51:58
そこまでぐちぐち考えるのかい!ってツッコめるんですけど、それが男の本性なんでしょうね。
時代は変われど、この部分は全く取り去ることはできないと思いました。
しかしあてつけみたく、事あるごとに思わせぶるのは、嫌なダンナですね。
返信する
お久しぶりです (パピのママ)
2016-06-01 14:29:56
この映画見て、やっぱり女としては妻の味方をしてしまいます。
50年も前の出来事を、男ってこうも昔の女のことを思い出しては、美化してみているんでしょね。
自分だって老人なのに、男ってしょうがないですから、もう。
コメント欄は、生地についてのひどいコメントで傷ついてしまい、それから閉じています。どうも小心者なのでね。
また来ますのでよろしくお願いします。
返信する
パピのママさん (rose_chocolat)
2016-06-03 11:17:01
お久しぶりですー。お元気ですか?

男の考えてることっていつの年代でも結局同じというか、
女から見たら「ばかじゃないの?」って思いたくなるようなことばっかりですよね(笑)
自分の顔鏡で見ろよって言いたくなるw
「一体いつまでおんなじこと考えてるんだろう」としか言いようがありません。

コメント、時々変なの来ますよね。私はざっくり削除しちゃってます。
いちいち相手してる時間ももったいなく・・・ (^_^;)
また書いてくださいねー
返信する
Unknown (なな)
2016-06-19 21:44:17
おひさしぶりです。

観た後,うーんと考え込んでしまう作品って好きです。
まるで突き放すように終わったラストも心に余韻が強く残りました。
・・・とても残酷な物語だと思います。
過去はしたかないとしても,45年連れ添った妻に対して
もう少し露呈するにしても気を遣えと思いました。
男性は女心に関してどうしようもなく鈍感になる時もあるんですよね・・・・。
「もし彼女が生きていたら結婚は彼女としていた?」という問いに
あまりにも正直に「イエス」という夫。
妻がどんな答えを期待しているのか想像し,嘘をつくのも優しさでしょうに・・・・

返信する
ななさん (rose_chocolat)
2016-07-05 10:05:50
お久しぶりです!
ブログにとにかく時間取れませず・・・
コメ返遅くなりごめんなさい!

>露呈するにしても気を遣え
この旦那は遣わなさすぎですよね。

なんというか、こんなに不躾な、無神経な夫だったら愕然とします。
というか、もしそんなのが旦那だったら、それを選んだ自分を責めてしまいそう・・・
返信する
roseさーーんヽ(^o^)丿 (latifa )
2016-10-29 16:16:55
roseさんーーーお久しぶりです!
でも、この記事も、実は映画を見終わった後、すでに拝見させていただいていました^0^
お忙しそうだから、コメントとか遠慮していたんです・・。

白文字の部分、やっぱりガーン!ってなっちゃいますよね。それがなければ、ここまでのショックはなかったかも・・。

湯を沸かすほど・・ ご覧になられたのねー。
今年もなんだかんだと、あと2か月になっちゃいましたね。 まだ気が早いけど、roseさんの年末ベスト、楽しみにしていまーす(^ー^)/
返信する
latifaさん (rose_chocolat)
2016-11-19 10:45:03
どうもですー。なかなかブログできませんでごめんね。

映画は本数は観ていますが、なかなかブログにできなくて。Twitter見て下さい。そっちに載せてます。
ベストも出したいですね。
返信する

post a comment