原題: Land of Mine [ Under Sandet ]
監督/脚本: マーチン・ピータ・サンフリト
出演: ローラン・モラー 、ミケル・ボー・フォロスゴー 、ルイス・ホフマン
第28回東京国際映画祭『地雷と少年兵』ページはこちら。
『ヒトラーの忘れもの』公式サイトはこちら(2017年12月17日公開)
日本公開になったんですね~。よかったです。
終戦直後、デンマークの海岸沿いに埋められた無数の地雷の撤去作業に、敗残ドイツ軍の少年兵が動員される。憎きナチ兵ではあるが、戦闘を知らない無垢な少年たちを前に、指揮官の心情は揺れる。憎しみの中、人間に良心は存在するか? (第28回東京国際映画祭『地雷と少年兵』ページより)
今年のTIFFはいっぱい本数観ているのでなかなかUPできないんですが、忘れないうちに書かないと(と言いながらすごい日数経過)
個人的に、今年TIFFで観た中でグランプリをあげるとしたらこの作品なんですよ。これしかあり得ない。
作品としてのまとまり、映画的な部分、映像の余韻まで完璧でしたね。
Under Sandet IMDb
デンマーク、対人地雷除去完了を宣言
紛争時に地雷を埋めて撤退し、多くの人が苦しみそして撤去という流れは現在でも後を絶たない。
もちろんそんなものを埋めて去る方が悪いのは当然だし、撤去に際して埋めた国に負担させるというのは言い分としては間違ってはいない。
間違いじゃないけど、ではそれを、地雷撤去に全くの未経験者に担当させたとしたら?
それどころか、地雷撤去未経験だけじゃなく、戦闘経験も人生経験もない少年兵にさせたとしたら? 人道的に問題ではないだろうか。
・・・・と、そんなことが国際的に知れ渡ったら問題になるだろうけど、第2次世界大戦当時はメディアが国際的に配信する範囲も狭く、国際的な秩序もなく、地雷撤去技術だってほぼない時代。
戦勝国が敗戦国民をどう扱おうが、そしてそれが少年であろうが何だろうが、どうでもよかった。そんなデンマークのダークサイドの話。
いきなり呼び集められた敗残ドイツ少年兵たちに対し、お前たちはこれから地雷を撤去するまでは帰れないと宣言するデンマーク側指揮官カールの心情。最初はけんもほろろに少年兵たちに接していた彼だったが、何もわからない少年たちの、まるで子どもそのものの心に触れるにつれて、次第に情が移っていく。
それにしても、というか、全ては戦勝国の論理で裁かれるため「少年といえども敵国兵」の法則によって扱われる様が酷い。
食事も与えず、ろくに技術も指導せずに素手と勘だけでの地雷除去をしろというのは、死刑宣告に等しい。体調不良、未熟さゆえに当然全員生き残れるわけではない。
そんな地獄の境遇を何とか生きようと少年たちは彼らなりに知恵を巡らせる。それでも信念や意見の相違があって対立があったり、逆に筋を哀しくも押し通した者、いくら若いとは言え、真摯に生きる彼らの姿の切なさ。またデンマーク側の汚れた思惑も絡んで、彼らに対する扱いは非人道的としか言えないが、それでもそれが戦争の原理である以上逆らうことはできない空しさ。カールのせっかくの心遣いですらも、戦争の原理の前では簡単に捨てられてしまう。
こんな境遇で生きた人々がいたこと、そのことを知らしめて上げることが一番の供養になるのだろう。彼らを待っていた両親は故郷にいたのだろうか。どんな気持ちで待っていたのだろうか。考えるだけで胸がつぶれそうになる。前例のない緊迫感と不条理と対照的な、少年たちの無邪気さが哀しい。
上映後にQ&Aあり。
プロデューサーのマイケル・クリスチヤン・ライクス、ローラン・モラー、マーチン・ピータ・サンフリト監督が登壇。
本作出演のローラン・モラーとルイス・ホフマンは、今回のTIFFで最優秀男優賞を受賞しました。
敗戦国の人間だって、先勝国民になれば同じように非人道的なこともしてしまうはずなんだろうなと。
人間の暗い部分をここまで鮮烈に描いた戦争映画は初めてかも。
第二次大戦後デンマーク西海岸で起こった史実に基づく。あどけない少年兵が強いられる際限のない緊張感、死と生の微かな耐えられない境界線。人の残虐性に敵味方はない、そしてどれもが哀しい。
★★★★★+★★★ 傑作!!
私も全くの同意見!です!
グランプリは個人的にはこの作品だと思っています。
迫力や諸々言い出したら止まりませんが、
何よりデンマークのダークサイドを描こうと決意した監督の心意気が良かったと思いました!
グランプリ、これしかなかったですよね。
(もちろんグランプリ選出作品もよかったけどね)
配給が決まったそうなので、公開楽しみです。
人の心の闇は戦争より恐ろしい。本作が、不運にも巻き込まれてしまった人たちへのせめてもの鎮魂になればいいと思います。
人って情が移るものなんだと、よーく分かりました。
愛知もTIFFで掛かった名作を上映してほしいです。
一年も待つのは長すぎる~(笑)
集計がんばって!^^
少年兵にこんなことさせてしまう、形勢が逆転すると人間ってこんなに残酷になれてしまう。
忘れてはいけない作品でしたね。
まだ去年の書いてないwwww もういいかな
一般公開されて、鑑賞できて良かったです。
少年兵っていうのが悲劇の中心ではありますが、戦争というものの悲惨さ、無慈悲さを静かながら強烈に感じさせられました。
少年兵といえども敵国の兵士、とはいえやはり年端もいかない少年たち、、難しいですね。
アカデミー外国語映画賞候補にもなったことですし、再公開は無理かな?
お願いしたいところですね。この現実は知られるべきです。