試写会場 : ユナイテッド・シネマとしまえん
1回目の試写の感想はこちらから。
cinemacafe.netさん(いつもありがとうございます)の当選で、2回目の鑑賞となっています。
今回は、「シネマLIVE!」という企画だそうです。
としまえん懐かしい・・・。 幼稚園の運動会を昔ここでやったし、何度も遊びに行ったところ。
DSC03295 posted by (C)rose_chocolat
既にこの1週間前に試写で鑑賞済みではあるのですが、そのきめ細かさに感動し、ディテールを観てみたいと思っていたので頑張って行ってきました。
全体としては、原作の雰囲気を本当に大切にしている映画であり、そのイメージを崩さないように腐心したあとが見て取れる。
まず、「春が二階から落ちてきた」の場面。これはもう原作のイメージ通りの映像そのまま。 予告にも使われているが、これがこの映画の「肝」になるだけに絶対に手が抜けない部分、そこを監督はよくわかっている。
ロケに使用した建物も、日差しが差し込んで雰囲気がよく出ていた。 女の子を救った春が二階からジャンプする。 桜の花びらが舞って、軽やかに飛び降りて。 それを驚いて見つめる泉水。 大いにこれからの展開を期待させている。
DSC03296 posted by (C)rose_chocolat
何と言ってもこの映画のキャスティングがいい。
上は今回の試写状ですが、この兄弟のキャスティングには感心した。
原作を読まれた方なら、この「泉水と春」に求められる人物像が何なのかが分かると思うが、雰囲気は似せつつもビジュアル的に完全に似ていてはいけない、だが性格は正反対、こうでないとこの話自体が成立しない。
なのでこの加瀬くんと岡田くんという組み合わせにはただただ感嘆するだけなのである。 2人とも演技が自分の立ち位置でしっかりとできる、それに加えて兄弟の特色を理解もできている。 特に岡田くんに関しては、「誰もが好きになってしまう美少年」でなくてはいけないだけに、彼の起用に関してはほぼ完璧ではないだろうか。 2人ともしっかりと役作りをしてきたように感じる。
年齢差の設定に関して、社会人であった泉水を大学院生に替え、それに合わせて春も若干下に設定しているが、これはさして違和感はなかった。 遺伝子という重要キーワードを扱う上では、泉水の環境は絵になっていたから。
子役に関しても、大人になった2人を想像させるキャラクター(特に幼年時代の泉水)で、このような役もめぐり逢いなのだが、実にいい出会いではなかっただろうか。 小さい時からの兄弟の絆、それを回想シーンで盛り込んでいたところも、後の2人の助け合いの伏線にもなっている。
父親役の小日向文世さん。 この中での彼もまた、原作と同じように一貫して穏やかである。 穏やかに自分の中に起こったことを受け止めて、そして静かに闘って、抗って、生きている。
母親役の鈴木京香さん。 幼児の泉水との触れ合いのシーンが自然でいい。 それが結果として暗転に至ってからの落差となって観客に訴えてくるものがあるから。
この夫妻の出会いも、単に仕事上の知り合いというところに少し脚色をしている。 ちょっとどうなのかとも思ったけど、仙台という地域性を考えた場合、決して違和感があるものではなかったので流れ的には大丈夫だと思う。
そしてこの夫妻を演じる上で、「静かに怒りを燃やしながらも、お互いを信じている」という大事なことがしっかりと観客に伝わっていることが重要。 そこはきちんと演じられていたように感じた。
「夏子さん」っていうネーミングも大体笑えるんですが、果たしてここに誰を持ってくるのだろうと思ってたら、吉高由里子さん。 彼女の舌っ足らずな今風のしゃべり方ですが、不思議なんですがこの映画では違和感なかった。 何も考えないで春を追いかけるっていう設定だし、ひたすら春のために・・・ っていう無茶なストーキング? も、ありそうかなとうなずけます。
渡部篤郎さんに関してはこの映画で一番賛否が分かれるところではないかと思う。 実際、原作からは、もう少し年齢が上でがっしりとした人物をイメージしていただけに、ちょっと意外にも感じた。 前回の試写のティーチインの際に森監督が「なかなか引き受けてくれる俳優さんがいなかった」とおっしゃっていたが、役柄を考えるとそれも無理からぬことではある。
スクリーンを通して感じる彼の「狂気」、どこかで観た・・・と思ったら、少し前に『愛のむきだし』を鑑賞していた。 『愛の・・・』は大長編だったので濃密にキャラが立っていたが、そこでの彼の狂気は、この作品においても十分まだ生きていた。
人生において降りかかってくるどうしようもない「悪」。 対話が成り立たない、摩訶不思議な論理を振りかざしてやってくる不条理、渡部さんの演技の中にも感じ取れたように思う。
流れとしては本当に淡々と原作に沿って描いていく、ということが一貫している。 それを彩るのは何と言ってもグラフィックアート。 これだけ取ってみても、それぞれのキーワードに則した絵が使われているし、そして何よりも分かりやすい。 何枚も何枚も登場するだけにここは大事なところ。
主題歌もとてもいいんですね。 この映画の流れに沿っているサウンド。 雰囲気的に違和感がないことがとても大切です。
人生は予測できないことの連続。 そのことに引っ張られてしまう毎日ではある。
だけど時に、その重たさに耐えきれなくなって崩れ落ちてしまいたくなりそうな時に、
「俺たちは最強の家族だ」 って言ってくれる人が側にいるのなら、これほど強いものはない。
そしてそれは、地球の重力さえも跳ね返せるくらいのパワーとなっていくのだと。
その絆をしっかりと感じて、登場人物の目線1つ取っても大切に大切に撮影していった、素敵な映画ではなかったかと感じました。
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