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『高地戦』 (2011) / 韓国

2012-11-13 | 韓国映画


原題: THE FRONT LINE
監督: チャン・フン
出演: シン・ハギュン 、コ・ス 、イ・ジェフン
観賞劇場: シネマート新宿

公式サイトはこちら。


シン・ハギュン出演作品は何本か観ていて、今回も主役ということで当然チェック。朝鮮戦争についても停戦後の戦いという新たな面からの作品なので興味ありました。


朝鮮戦争 wiki


1953年7月27日に、38度線近辺の板門店で北朝鮮、中国軍両軍と国連軍の間で休戦協定が結ばれたが、協定の効力は調印から12時間後。
それまでに境界線の高地を制した所で休戦ラインが引かれる。なので停戦したが、あと12時間戦え。
そんな常識を逸脱した命令が下ったら。
ですがこれは史実、朝鮮戦争の隠された真実だというから惨い話である。


停戦に向けての調停期間がそもそも2年を超えたというのが、前線で戦っている兵士たちにとっては絶望と無力感しかもたらさないものではないだろうか。協議は一体いつ終わるのか、それまで不毛な戦いをする意味は何か。それでも上からの命令には絶対服従なのが軍隊である。逆らえば死が待っている。
高地を取って、取り返されて、また取って。キリがなく果てしない戦いは続けないといけない。不毛な中で部隊につけられた「ワニ中隊」という異名の意味を知る時、高地を守るために犠牲になってきた彼らの同胞の引き裂かれるような慟哭の声が改めて聞こえてくるのだろう。

問題発言で左遷させられ、最初は任務を忠実に遂行するために着任したカン・ウンピョ。しかしその後方での常識が前線では全く通用しないことがわかってくる。
戦場で再開した友人のキム・スヒョクは、以前の彼とは違っていた。生き残るためには多少の見逃しは時に必要になってくる、その狡猾さを最初は非難するが、それでは戦場で生き残れない。食うか食われるか、互いを騙してでも命を長らえた方が勝ちなのだ。
そしてそれは以前に戦場で狂気の瞬間を迎えた時から、ワニ中隊の暗黙の了解となっていたことだった。あの時に守れなかったもの、失ったもの、そのどれもがワニ中隊の面々を深く深く傷つけた。しかしそれを誰が責められようか。シン・イリョン大尉の、どこか影のある、儚げな美しい姿の裏に隠された真実。それを凌駕してでも士気を高めなければならない非情さの中に彼らは置かれた。

多数の犠牲者の上に今日の自分があり、そして明日は自分の屍の上を誰かが通り過ぎていくかもしれない。誰もが置かれた環境の中でできることをするしかなく、それは戦うことしかなかった。それは敵の人民軍も同じことである。戦争さえなかったらもしかしたら肩を組んで酒でも飲めたかもしれない、普通に生きられたかもしれないけど。
人としての情を覚えながらも、それを捨てなければならない運命の中、地獄を見なければならなかった無数の英霊たちがいたこと。歴史の陰に隠された真実がまた1つ明らかになって、彼らの慰めになればいいと思う。


★★★★★ 5/5点







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6 Comments

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この間はお世話になりました (とらねこ)
2012-12-23 23:11:45
足の具合はいかがですか?
無理しないで、早く良くなるといいですね。

ところでこの作品。本当素晴らしかったですよね。
これ、見た人は相当評価が高くなりそうな作品なのに、見ている人が少ないので本当残念。
シン・ハギョンもいいけど、コ・スがやばかった!惚れそうでした。
シン大尉役のイ・ジェフンの佇まい!ミステリアスで良かったですよねー。
口から褒め言葉しか出てこない、本当稀有な作品ですわ
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とらねこさん (rose_chocolat)
2012-12-25 08:53:01
ありがとうございます。あんまり無理は禁物ですねえ。。

これは傑作です。観ている人が少なくて本当に残念ですけど、映画そのものがお好きな方でこれをご覧になった方の評価は押しなべて高い。
今年のmyランクでもかなり上位に行きますよー。

>シン大尉役のイ・ジェフンの佇まい!ミステリアス
そうなのよ~。彼は大絶賛ですね。
私これ観た後にもう1回シネマート行く機会があったんで、パンフ買って確認したくらいだもん(笑)
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Unknown (ふじき78)
2013-02-24 06:54:52
すげえ映画だったけど、何か評判が届いてこなかったんですよ。最初に見る人の絶対数というのが必要なんでしょうね。

予告を観る機会がなく、チラシの図案だけだったので、全くあんな映画だとは思いませんでした。何かチラシのビジュアルが牧歌的に見えません?
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ふじきさん (rose_chocolat)
2013-02-24 09:07:47
そうなんですよね。最初に観た人が圧倒的に少なくて。
探すのが大変でした。
いい作品だと思うんだけどな。。

>チラシのビジュアルが牧歌的に見えません?
かと言って、あんまり入口がどぎつくても観に来てくれないしね。難しい所だけど。
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ようやく ()
2013-05-12 22:05:28
お勧めの映画、ようやく見ました。いや、素晴らしかったですね。友人、同じ中隊、敵味方、それぞれに通ずる情と、それを踏みしだく戦争の論理。引き込まれました。何十回と争奪が繰り返された高地の荒れ果てた光景が記憶に残ります。

少女の狙撃兵は「フルメタル・ジャケット」にも出てきましたが、こちらは韓国映画らしく人間関係の濃いものでしたね。

ちょうど朝鮮戦争を戦った韓国軍将軍の回想録を読んだところ。停戦調印から発効までの12時間の戦闘については数行出てきただけでした。
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雄さん (rose_chocolat)
2013-05-14 19:44:04
ご覧になったんですね。
戦争にまつわる様々な想いを凝縮して、物語性も持たせたいい作品でした。

実際に理不尽な条約や不幸な歴史があるからこそ物語も生まれる訳で、
物言わず逝った大勢の方たちの無念も、こうして世に出すことで少しは浮かばれるのではないかと思う次第です。
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